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第二章 霧ヶ峰のヤマネ
ヤマネの森でお弁当
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ここにいる誰もが、カリンバの音色に癒されている。
一人を除いて。
山田さんだけは、相変わらずブスッとして、不機嫌そのものの顔をしている。
しかも、何やら「これじゃ金にならない、これじゃ金にならない。」と、ブツブツ呟いているように聞こえるが?
いったい、この人は何者で、何の目的で、ヤマネの棲みかを見にきたのだろう?
何か、良からぬ考えを持っていなければいいんだけど。
実は、こういうことがあった。
以前、クマタカの生息地の調査を手伝った時、「環境調査の会社の社員」を名乗る男、二人が参加してきた。
しかし、この会社は、本当は「環境破壊の事前調査」をする企業だったのである。
親会社には、道路やダム建設などの大型公共事業を請け負う、大手ゼネコンがズラリ。
彼らの目的は、環境保護側の「敵情視察」だったのだ。
もしかして、山田さんも、あの二人のような環境破壊のエージェントなのか?
ともかく、要注意人物であることは間違いない。
だが、今は山田さん以外は、全員が目を輝かせ、和やかな森の空気と氣持ちも一つになっている。
理夢ちゃんが、ニコニコして添乗員にお願いする。
「ウチ、ここでお弁当、食べとおす!」
反対する者もなく、そうしよう、そうしようということなり、僕達はヤマネの森で昼食に。
山田さんを除く五人の女性達は、和気あいあいと楽しそうに話ながら、食事している。
何を喋っているのか、佑夏はまたも爆笑を誘っているな。
クールな外見に似合わず、高学歴でパーク協会職員の小林さんも、よく笑う人だ。
僕はといえば、東山さん、ディーンフジオカ添乗員と男三人で食べている。
森の澄んだ空気の中で食べる弁当は最高に美味い。
しかも、ヤマネと一緒という極上ロマン付き。
ヤマネは夜行性である。
どの木の中に、今は潜んでいるのだろうか?
東山さんは知っているはずだが、まだ教えてはくれない。
「どうぞ~。」
食べ終わる頃、佑夏と水野さんが、僕達、男衆にお菓子を配りに来てくれる。
やっぱり、男だけでは有り得ない、幸せな時間だったりする。
一人を除いて。
山田さんだけは、相変わらずブスッとして、不機嫌そのものの顔をしている。
しかも、何やら「これじゃ金にならない、これじゃ金にならない。」と、ブツブツ呟いているように聞こえるが?
いったい、この人は何者で、何の目的で、ヤマネの棲みかを見にきたのだろう?
何か、良からぬ考えを持っていなければいいんだけど。
実は、こういうことがあった。
以前、クマタカの生息地の調査を手伝った時、「環境調査の会社の社員」を名乗る男、二人が参加してきた。
しかし、この会社は、本当は「環境破壊の事前調査」をする企業だったのである。
親会社には、道路やダム建設などの大型公共事業を請け負う、大手ゼネコンがズラリ。
彼らの目的は、環境保護側の「敵情視察」だったのだ。
もしかして、山田さんも、あの二人のような環境破壊のエージェントなのか?
ともかく、要注意人物であることは間違いない。
だが、今は山田さん以外は、全員が目を輝かせ、和やかな森の空気と氣持ちも一つになっている。
理夢ちゃんが、ニコニコして添乗員にお願いする。
「ウチ、ここでお弁当、食べとおす!」
反対する者もなく、そうしよう、そうしようということなり、僕達はヤマネの森で昼食に。
山田さんを除く五人の女性達は、和気あいあいと楽しそうに話ながら、食事している。
何を喋っているのか、佑夏はまたも爆笑を誘っているな。
クールな外見に似合わず、高学歴でパーク協会職員の小林さんも、よく笑う人だ。
僕はといえば、東山さん、ディーンフジオカ添乗員と男三人で食べている。
森の澄んだ空気の中で食べる弁当は最高に美味い。
しかも、ヤマネと一緒という極上ロマン付き。
ヤマネは夜行性である。
どの木の中に、今は潜んでいるのだろうか?
東山さんは知っているはずだが、まだ教えてはくれない。
「どうぞ~。」
食べ終わる頃、佑夏と水野さんが、僕達、男衆にお菓子を配りに来てくれる。
やっぱり、男だけでは有り得ない、幸せな時間だったりする。
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