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第四章 怪奇!化け猫談義
怪猫、美女に口付けされる
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(空襲の前の晩、オレはまず、牛と馬に”逃げることができねえお前達は、可哀想だが覚悟を決めろ”と言った。
だが、死期を悟ったあいつらは、不思議なくらい落ち着いていたな。
パニックを起こして騒ぎ出すようなのは、一頭もいなかった。
それから、猫と犬に、今すぐ逃げろと言ったんだが。
どいつもこいつも馬鹿ばっかりだ。
ご主人様をおいては行けないといって、誰も逃げようとしねえ。
そして、とうとう、オレの告げた空襲の朝になっちまったのさ。
だが、ご家族は少しも慌てた様子がなかったのは、本当にご立派だったと思うぜ。
そうそう、「曲がり家」って知ってるか?
このお屋敷は小さな曲がり家だったんだ。
人間の暮らす母屋と、牛と馬のいる家畜小屋が繋がって、四角形の二辺の形になってる。
だから曲がり家という。
母屋の納戸を開けりゃ、もう目の前に牛馬がいる。
もっと北の南部藩に多い作りで、潮騒市じゃあまり見られねえんだけどな。
それだけ、旦那様は家畜を実の家族として、大事にされてたよ。
自分達だけ、バカみたいにデカい家に住んで、小作人も押し込めるボロボロの家畜小屋は敷地の隅の方、みたいなロクでもねえ地主共とは大違いだった。
どうして、あんないい人達が........。
いや、それでな。
朝、いつもと変わらないように、真白様達は、お仏壇に手を合わせ、朝食を取られてたな。
三人共、笑顔で、冗談も言い合い、それは楽しそうにされていたのによ。
あれが、ご家族最後の朝飯だよ!チクショウ!何でだ!?
朝食の間、オレはずっと真白様のお膝元で、ニャ~ン!ニャ~ン!と鳴き続け、同時に三人に思念も送り続けたんだ。
「逃げて下さい!逃げて下さい!もう最後です!」と。
その時のオレの名は「田吾作」だよ。
真白様は騒ぎ続けるオレを見て、ニッコリ優しく笑われてくれたんだ。
「田吾作、ありがとう。」と仰られたあの時の笑顔、80年経った今でも忘れられねえ。
そしてよ。
ご家族は犬と猫を木の檻に入れて、馬車に乗せ、裏山の奥の方まで連れて行かれてな。
一頭づつ、抱きしめて放して下さったのさ。
真白様は、オレを抱き上げると、額に口付けして下さり、こう言われた
「田吾作、本当にありがとう。これからは自由に、好きに生きるんだよ。最期まで、看てあげられなくてゴメン。」
だが、死期を悟ったあいつらは、不思議なくらい落ち着いていたな。
パニックを起こして騒ぎ出すようなのは、一頭もいなかった。
それから、猫と犬に、今すぐ逃げろと言ったんだが。
どいつもこいつも馬鹿ばっかりだ。
ご主人様をおいては行けないといって、誰も逃げようとしねえ。
そして、とうとう、オレの告げた空襲の朝になっちまったのさ。
だが、ご家族は少しも慌てた様子がなかったのは、本当にご立派だったと思うぜ。
そうそう、「曲がり家」って知ってるか?
このお屋敷は小さな曲がり家だったんだ。
人間の暮らす母屋と、牛と馬のいる家畜小屋が繋がって、四角形の二辺の形になってる。
だから曲がり家という。
母屋の納戸を開けりゃ、もう目の前に牛馬がいる。
もっと北の南部藩に多い作りで、潮騒市じゃあまり見られねえんだけどな。
それだけ、旦那様は家畜を実の家族として、大事にされてたよ。
自分達だけ、バカみたいにデカい家に住んで、小作人も押し込めるボロボロの家畜小屋は敷地の隅の方、みたいなロクでもねえ地主共とは大違いだった。
どうして、あんないい人達が........。
いや、それでな。
朝、いつもと変わらないように、真白様達は、お仏壇に手を合わせ、朝食を取られてたな。
三人共、笑顔で、冗談も言い合い、それは楽しそうにされていたのによ。
あれが、ご家族最後の朝飯だよ!チクショウ!何でだ!?
朝食の間、オレはずっと真白様のお膝元で、ニャ~ン!ニャ~ン!と鳴き続け、同時に三人に思念も送り続けたんだ。
「逃げて下さい!逃げて下さい!もう最後です!」と。
その時のオレの名は「田吾作」だよ。
真白様は騒ぎ続けるオレを見て、ニッコリ優しく笑われてくれたんだ。
「田吾作、ありがとう。」と仰られたあの時の笑顔、80年経った今でも忘れられねえ。
そしてよ。
ご家族は犬と猫を木の檻に入れて、馬車に乗せ、裏山の奥の方まで連れて行かれてな。
一頭づつ、抱きしめて放して下さったのさ。
真白様は、オレを抱き上げると、額に口付けして下さり、こう言われた
「田吾作、本当にありがとう。これからは自由に、好きに生きるんだよ。最期まで、看てあげられなくてゴメン。」
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