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最終章 湖面の誓い
ヤマネ姫と巣穴
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もの凄く、佑夏の手を握りたい状況!だが、そんな訳にもいかない。
「秋の森 姫と見上げる ヤマネの巣」
今、彼女と二人、この旅の目的である、ヤマネの巣の前に立っている。
あ、右手の袖を、佑夏に捉まれ、止められてしまう。
自分でも無意識の内に、木に手を伸ばしてしまっていたと氣付く、全く、木には触らないように言われていたってたのに。
佑夏の顔を見ると、特段、僕を責める様子も無く、クスクス、笑っている。
あらためて、二人で、ヤマネの巣穴に向き直る。
なんてこと無い、ただの木の洞。
ふと思う、森林伐採で、こんな風に中に動物が入ったまま切られてしまった木が、今まで無数にあり、これからも後と絶たないのだと。
そう思うだけで、ひどく胸が痛い。
動物の棲みかを奪ったリゾートなどで、人間同士の恋も続かなくなるのは当然じゃないだろうか。
そこいくと、僕の愛するヤマネ姫は、こうして、今、小動物の巣の前で、僕の隣に立ってくれているのだ。
これは、愛が深まるよ!これだろ!コレ!しつこいようだが、手を握るか、肩を抱きたい!
そっと、佑夏に視線を落としてみると、彼女も僕を見上げて微笑んでくれている。
何の変哲も無い、ただの木の前、中にはヤマネという小さな命、そこで、二人こうして、見つめ合っている。
自分で言うのも何だが、爽やかな愛。潮崎さんのサーフィンと、どっちがいいって、こっちだろ。
故意に見せつけているつもりはないが、多分、他のメンバーも不快感は感じていないんじゃないか?
これが、テーマパークや、スキー場や、高級ホテルなんかで、人目も憚らず、ベタベタ、イチャイチャしていたとしたら?考えただけで、吐き気をもよおす。
ああいうのは、端から見ても、氣持ちのいいものではないし、そこに尊さなど、とても見出だすことはできないよね。
僕の想い人、ヤマネ姫は、そんな人ではないんだ。
例え、教員採用試験の結果がどうなろうと、もし、この長野旅行を最後に、彼女とは離れ離れになったとしても、出会えて本当に良かった、心から、そう思う。
(おい、ジンスケ。佑夏と知り合えたのは、ぽん太のおかげだぜ。そこんとこ、忘れんなよ)
(うるさい!今、いい所なんだ。邪魔するな。)
そう、二人の出会いは、決して偶然なんかじゃない。
60年間、誰にも飼ってもらえず、外を彷徨い続けた醜い化け猫を、佑夏は拾い上げ、僕はソイツを引き取った。
彼女はもちろん、ちょっと恥ずかしいが、僕も持っている、お互いの優しい心が導き合わせてくれたのだろう。
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あ、右手の袖を、佑夏に捉まれ、止められてしまう。
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佑夏の顔を見ると、特段、僕を責める様子も無く、クスクス、笑っている。
あらためて、二人で、ヤマネの巣穴に向き直る。
なんてこと無い、ただの木の洞。
ふと思う、森林伐採で、こんな風に中に動物が入ったまま切られてしまった木が、今まで無数にあり、これからも後と絶たないのだと。
そう思うだけで、ひどく胸が痛い。
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これは、愛が深まるよ!これだろ!コレ!しつこいようだが、手を握るか、肩を抱きたい!
そっと、佑夏に視線を落としてみると、彼女も僕を見上げて微笑んでくれている。
何の変哲も無い、ただの木の前、中にはヤマネという小さな命、そこで、二人こうして、見つめ合っている。
自分で言うのも何だが、爽やかな愛。潮崎さんのサーフィンと、どっちがいいって、こっちだろ。
故意に見せつけているつもりはないが、多分、他のメンバーも不快感は感じていないんじゃないか?
これが、テーマパークや、スキー場や、高級ホテルなんかで、人目も憚らず、ベタベタ、イチャイチャしていたとしたら?考えただけで、吐き気をもよおす。
ああいうのは、端から見ても、氣持ちのいいものではないし、そこに尊さなど、とても見出だすことはできないよね。
僕の想い人、ヤマネ姫は、そんな人ではないんだ。
例え、教員採用試験の結果がどうなろうと、もし、この長野旅行を最後に、彼女とは離れ離れになったとしても、出会えて本当に良かった、心から、そう思う。
(おい、ジンスケ。佑夏と知り合えたのは、ぽん太のおかげだぜ。そこんとこ、忘れんなよ)
(うるさい!今、いい所なんだ。邪魔するな。)
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60年間、誰にも飼ってもらえず、外を彷徨い続けた醜い化け猫を、佑夏は拾い上げ、僕はソイツを引き取った。
彼女はもちろん、ちょっと恥ずかしいが、僕も持っている、お互いの優しい心が導き合わせてくれたのだろう。
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