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「な、なんだ、あの女の子……」
隙間から口をぽかんと開けて幼女を見ていると、その幼女は、夏芽の方を見てウインクをした。
「お姉ちゃん、もう安心だよ!出てきていいよー!」
「あ、あなた、何者なの??」
夏芽は、その隙間から出て、その幼女に話しかけた。
「ん?私はぁ~ウイッテっていうの~!
最強のまどうし?ってところの血を引き継いでいるらしいんだけど、おうちから追い出されちゃったらしいんだよね~!だから、他の人のおうちでそだれられたんだけど~、ちゃんと魔法が使えて良かったな~ってあはは、で、お姉ちゃんは、どうしたの?」
「わわ、私はぁ、横の旅館に泊まってて、トイレに来ただけだけだよ!そう、トイレトイレ~っと」
夏芽は、自分が最強の剣士だと名乗っていいのかためらい、必死にトイレに逃げ込むことにした。
「そっかあ、お姉ちゃん、トイレに行くのかぁ~!でもでも、私も横の旅館に泊まっているから~、朝ご飯の時にまた会えるね。ばいばーいお姉ちゃーん」
トイレのドア越しにウイッテの声が聞こえてくる。
「はーい、あとでねー!」
夏芽は返事をしたが、ウイッテが旅館に戻ったことを確認すると、ふわぁと大きなため息をついた。
「本当は、追い出されたんじゃないんだけどなぁ……」
*
窓から差し込む光は、小さな個室の窓のカーテンによって、遮られ、弱々しく電灯の点いていない部屋をぼんやりと明るく照らしている。
その光は、母親とその娘をキラキラと照らしている。
「元気な女の子ですね!とっても可愛いです!きっとお母様に似たのですよ!」
母親の寝ているベットの横で座っている女性は、娘の顔を微笑みながら覗き込んだ。
「そ、そんな、、、恥ずかしいよ…私に似てるなんて……。」
母親の顔が、ぽっと赤くなった。
「本当のことですよー!これはきっと大きくなった時はさぞ可愛いんだろうなぁ…」
女性は、両手で、宙を拝みながら、くるくると回転しながらその小さな部屋を出ていった。
「なんなのよ、あの子ったら……。でもいいわ、こんなに優しいお姉ちゃん達がたくさんいるんだもの。きっとこの子もいい子に育つに違いないわ。しっかりと代々の血筋を受け継いだ素晴らしい魔道士になってくれること間違いなしね。あなたもそう思うでしょ?」
母親は、腕の中で眠っている新生児に優しく語りかけた。
新生児は呼応するように口をぱくぱくと動かした。
「ふふ。いいお返事ね」
*
ドスドスドスドス……。
階段から駆け下りる音が一階に響く。
そして、居間に続くドアが開いた。
「妹、すごく可愛かった~~。あ~~あの子が私の妹になるのかぁ~~。流石は私のお母様ですわあ」
興奮しながら大声で居間に入ってきた女性を、一階にいたメイドが睨みつけた。
「階段はドスドス降りるなと言ったはずですよ。何度言ったら分かるんですか?もうあなたもお姉ちゃんになるのよ、マルコさん、自覚、あるんですか?」
「そんなに言わなくてもいいじゃ~ん。ラテさんは厳しいなあ。私だってもう17歳になったんだよ!大丈夫に決まっているじゃああーりませんか!」
マルコは、回りながら、キレイなショートヘアをそよそよと揺らしてラテの近くへ行き、片手を上げてセクシーポーズをとった。
ラテは、その姿を目を細めて見つめ、はぁ~~と深い溜め息をついた。
「そういうところですよ。マルコさん。これだから心配なんですよ。それと、紅茶入れている途中なのであまり回りながら近寄らないで下さい。こぼれて火傷しても知りませんよ」
「ちぇっ。おもしろくないなぁ…。せっかく新しいポーズできるようになったのに…」
「そんなことをしている暇があったら魔術の練習でもしてきたらいかがですか?マルコさんは最強の魔道士の家系の後継ぎなのですから。妹に魔術で負けて国家笠下のパーティーから戦力外を受けるのは嫌でしょう?」
「へーんだ!ラテさんは私の実力を知らないからそう言えるんだあ。私なんて通っていた魔法学校の実技試験では一位以外取ったこと無いんだからあ。余りにも実技が出来すぎて飛び級で卒業したんだよ!まあ、だから来週から国のパーティーに入れてもらえることが確定しているんだけどねえ」
「そのくらい知ってますよ。何年私がここでメイドをしていると思っているんですか。あなたが生まれる前からずっとここで紅茶を入れ続けているんですから。あなたが幼い頃のお世話なんて大変だったんだから……。すぐにうんちを漏らすし、好き嫌いはするわで本当に……」
「あー!それ以上言うな!ラテおばさん!もういいよーだ!そんなに言うならお外で練習してくるよー。あ、家に火が付いてもラテおばさんのせいにするからねー!ばいばーい♪」
マルコは、そう言い残して、居間を出て廊下をドスドスと駆け出していった。
玄関で靴を履いている時に、居間から「おばさんっていうなァァァァ!」という恐ろしい声が聞こえてきたが、返事をせずに笑顔で扉を開いて、外へ踏み出した。
部屋の中からはそんなに強くは感じなかった日差しが、外に出ると凶器へと変貌をしていた。
光は、マルコのおでこをつんつんと攻撃する。
「あっついなぁ…。薄着のローブ着といてよかったあ~。」
マルコは、家の庭に出た。
庭はとても広く、いかにも大豪邸を感じさせる。
草木はとても整理されていて、雑草の一つも生えていない美しい芝生が広がっていた。
「よーし、いっちょ練習すっかあー!」
そう言うと、マルコはローブを脱いで、芝生の上に落とし、片手を胸の前に伸ばし、目を閉じた。
「まずは火だ」
マルコは、手首をぐるりと回して、指先から赤、青、紫の色が混合した美しい炎を放った。
綺麗だった青空も、マルコの周りだけ赤色に染まった。
トクトクトクと、マルコの耳元で鳴る。
そして、マルコが右手を握ると、火は一瞬にして静まり、空気中に消え去ってしまった。
「次は、水」
すると、マルコは、右手を下、左手を上にして、手と手の間に空間を作り、そこから、青色の鮮やかな水を放った。
さやさやと流れる小川のように、また、激しく流れる滝のように、二層の水が曲線を描きながら、しかし、真っ直ぐと一直線に進んでいく。
そして、マルコは、水を出したままゆっくりと回りだし、水を草木に与えた。
その飛沫を受けた草木は、いきいきと輝き、葉についた雫が感謝を伝えていた。
「ふふ、どうだい?気持ちいいだろう?ははは♪でもこれからちょっときついことお願いしちゃうからね♪」
次にマルコは、水を出していた両手を握って水を止め、両手の平を合わせて腰をかがめた。
「土の力!」
手を合わせたまま、両足を踏ん張らせて地面に力を伝わせると、ゴゴゴゴゴという音と同時に、芝生から岩の塊がドンドンと生えてきた。
その塊は、連続して勢いよく地面を飛び出していき、家の壁にぶつかる瀬戸際で、手を離して、岩を止めた。
「おお……あぶなかったあ……。家に当てちゃってたら、ラテさんに何を言われるか分からないや。みんなごめんね!今から直してあげるから♪」
マルコが両手を広げると、塊は地面の中にストンと戻っていった。
しかし、芝生には岩が生えたあとの穴が残ってしまった。
「あらら。みんなごめんね……。今から復活魔法でみんなのこと元気にしてあげるから!そ~れ、フラッシュヒール!」
両手を広げたまま、マルコがこう呪文を唱えると、空から暖かい光が注がれ、荒れていた芝生から小さな緑が生まれ、そしてその草木は、みるみる育っていき、いつの間にか先程と同じ芝生に戻っていた。
「ふふふ。みんなありがと~う!そ~れ、もう一回水のプレゼントだよぉ~!」
マルコは、再び手と手の間から鮮やかな水を草木たちに与えた。
それを浴びた草木たちは、風に揺られてそよそよと葉を揺らしていた。
「ひひひ。今日はこんなもんかな~!みんなありがとね~!」
芝生に礼を言うと、マルコは家に帰っていった。
気づくと時間は既に16時を回っていた。
*
「たっだいま~!」
ガチャリと元気よくドアを開けると、二階から妹の泣き声が響いていた。
「お?我が妹が泣いているぞ?どれどれ?お姉ちゃんが泣き止ませてあげようではあーりませんか!」
二階に上がる前に居間に行くと、そこには誰もいなかった。
「ラテさん、いないのか。珍しいなあ。二階に行ってるのかな?」
そして、マルコがゆっくりと階段を登っていくと、二階から、妹の悲鳴と母親の驚く声、そして、ラテさんの悩み声が聞こえてきた。
「ど、どうしちゃったんだろう……?も、もしかして、妹が、、、病気で……」
マルコは、冷や汗を流しながら妹のいる部屋まで、無心で駆け上がった。
心の中で不安と焦りが交差し、妹の身に危険が近づいているのではないかと思うと、鳥肌が立ってきた。
そして、階段を登りきり、扉の取っ手を引くと、そこには、泣いている妹と、妹を抱きかかえて顔に涙を浮かべている母親、そして、妹の腕をまじまじと見つめて、ベタベタと触っているラテがいた。
「ど、どうしたの???妹に何かあったの???」
ハアハアと息を切らしながら問うマルコ。
それを深刻そうな顔でラテが見つめる。
「マルコ、来たのですね。大変です。まさかの事態が起きてしまいました」
「ど、どうしたの?」
恐怖に襲われながらも聞く。
「これを見てください」
ラテは、新生児の腕を指さした。
マルコが近づいて、腕を見ると、なんと、朱色の紋章が刻まれていたのだ。
「あ、あの、ラテさん、これって??」
マルコが尋ねると、ラテは溜息を吐きながら小さな声で答えた。
「これは、、、魔女の紋章……。悪魔の証……」
隙間から口をぽかんと開けて幼女を見ていると、その幼女は、夏芽の方を見てウインクをした。
「お姉ちゃん、もう安心だよ!出てきていいよー!」
「あ、あなた、何者なの??」
夏芽は、その隙間から出て、その幼女に話しかけた。
「ん?私はぁ~ウイッテっていうの~!
最強のまどうし?ってところの血を引き継いでいるらしいんだけど、おうちから追い出されちゃったらしいんだよね~!だから、他の人のおうちでそだれられたんだけど~、ちゃんと魔法が使えて良かったな~ってあはは、で、お姉ちゃんは、どうしたの?」
「わわ、私はぁ、横の旅館に泊まってて、トイレに来ただけだけだよ!そう、トイレトイレ~っと」
夏芽は、自分が最強の剣士だと名乗っていいのかためらい、必死にトイレに逃げ込むことにした。
「そっかあ、お姉ちゃん、トイレに行くのかぁ~!でもでも、私も横の旅館に泊まっているから~、朝ご飯の時にまた会えるね。ばいばーいお姉ちゃーん」
トイレのドア越しにウイッテの声が聞こえてくる。
「はーい、あとでねー!」
夏芽は返事をしたが、ウイッテが旅館に戻ったことを確認すると、ふわぁと大きなため息をついた。
「本当は、追い出されたんじゃないんだけどなぁ……」
*
窓から差し込む光は、小さな個室の窓のカーテンによって、遮られ、弱々しく電灯の点いていない部屋をぼんやりと明るく照らしている。
その光は、母親とその娘をキラキラと照らしている。
「元気な女の子ですね!とっても可愛いです!きっとお母様に似たのですよ!」
母親の寝ているベットの横で座っている女性は、娘の顔を微笑みながら覗き込んだ。
「そ、そんな、、、恥ずかしいよ…私に似てるなんて……。」
母親の顔が、ぽっと赤くなった。
「本当のことですよー!これはきっと大きくなった時はさぞ可愛いんだろうなぁ…」
女性は、両手で、宙を拝みながら、くるくると回転しながらその小さな部屋を出ていった。
「なんなのよ、あの子ったら……。でもいいわ、こんなに優しいお姉ちゃん達がたくさんいるんだもの。きっとこの子もいい子に育つに違いないわ。しっかりと代々の血筋を受け継いだ素晴らしい魔道士になってくれること間違いなしね。あなたもそう思うでしょ?」
母親は、腕の中で眠っている新生児に優しく語りかけた。
新生児は呼応するように口をぱくぱくと動かした。
「ふふ。いいお返事ね」
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ドスドスドスドス……。
階段から駆け下りる音が一階に響く。
そして、居間に続くドアが開いた。
「妹、すごく可愛かった~~。あ~~あの子が私の妹になるのかぁ~~。流石は私のお母様ですわあ」
興奮しながら大声で居間に入ってきた女性を、一階にいたメイドが睨みつけた。
「階段はドスドス降りるなと言ったはずですよ。何度言ったら分かるんですか?もうあなたもお姉ちゃんになるのよ、マルコさん、自覚、あるんですか?」
「そんなに言わなくてもいいじゃ~ん。ラテさんは厳しいなあ。私だってもう17歳になったんだよ!大丈夫に決まっているじゃああーりませんか!」
マルコは、回りながら、キレイなショートヘアをそよそよと揺らしてラテの近くへ行き、片手を上げてセクシーポーズをとった。
ラテは、その姿を目を細めて見つめ、はぁ~~と深い溜め息をついた。
「そういうところですよ。マルコさん。これだから心配なんですよ。それと、紅茶入れている途中なのであまり回りながら近寄らないで下さい。こぼれて火傷しても知りませんよ」
「ちぇっ。おもしろくないなぁ…。せっかく新しいポーズできるようになったのに…」
「そんなことをしている暇があったら魔術の練習でもしてきたらいかがですか?マルコさんは最強の魔道士の家系の後継ぎなのですから。妹に魔術で負けて国家笠下のパーティーから戦力外を受けるのは嫌でしょう?」
「へーんだ!ラテさんは私の実力を知らないからそう言えるんだあ。私なんて通っていた魔法学校の実技試験では一位以外取ったこと無いんだからあ。余りにも実技が出来すぎて飛び級で卒業したんだよ!まあ、だから来週から国のパーティーに入れてもらえることが確定しているんだけどねえ」
「そのくらい知ってますよ。何年私がここでメイドをしていると思っているんですか。あなたが生まれる前からずっとここで紅茶を入れ続けているんですから。あなたが幼い頃のお世話なんて大変だったんだから……。すぐにうんちを漏らすし、好き嫌いはするわで本当に……」
「あー!それ以上言うな!ラテおばさん!もういいよーだ!そんなに言うならお外で練習してくるよー。あ、家に火が付いてもラテおばさんのせいにするからねー!ばいばーい♪」
マルコは、そう言い残して、居間を出て廊下をドスドスと駆け出していった。
玄関で靴を履いている時に、居間から「おばさんっていうなァァァァ!」という恐ろしい声が聞こえてきたが、返事をせずに笑顔で扉を開いて、外へ踏み出した。
部屋の中からはそんなに強くは感じなかった日差しが、外に出ると凶器へと変貌をしていた。
光は、マルコのおでこをつんつんと攻撃する。
「あっついなぁ…。薄着のローブ着といてよかったあ~。」
マルコは、家の庭に出た。
庭はとても広く、いかにも大豪邸を感じさせる。
草木はとても整理されていて、雑草の一つも生えていない美しい芝生が広がっていた。
「よーし、いっちょ練習すっかあー!」
そう言うと、マルコはローブを脱いで、芝生の上に落とし、片手を胸の前に伸ばし、目を閉じた。
「まずは火だ」
マルコは、手首をぐるりと回して、指先から赤、青、紫の色が混合した美しい炎を放った。
綺麗だった青空も、マルコの周りだけ赤色に染まった。
トクトクトクと、マルコの耳元で鳴る。
そして、マルコが右手を握ると、火は一瞬にして静まり、空気中に消え去ってしまった。
「次は、水」
すると、マルコは、右手を下、左手を上にして、手と手の間に空間を作り、そこから、青色の鮮やかな水を放った。
さやさやと流れる小川のように、また、激しく流れる滝のように、二層の水が曲線を描きながら、しかし、真っ直ぐと一直線に進んでいく。
そして、マルコは、水を出したままゆっくりと回りだし、水を草木に与えた。
その飛沫を受けた草木は、いきいきと輝き、葉についた雫が感謝を伝えていた。
「ふふ、どうだい?気持ちいいだろう?ははは♪でもこれからちょっときついことお願いしちゃうからね♪」
次にマルコは、水を出していた両手を握って水を止め、両手の平を合わせて腰をかがめた。
「土の力!」
手を合わせたまま、両足を踏ん張らせて地面に力を伝わせると、ゴゴゴゴゴという音と同時に、芝生から岩の塊がドンドンと生えてきた。
その塊は、連続して勢いよく地面を飛び出していき、家の壁にぶつかる瀬戸際で、手を離して、岩を止めた。
「おお……あぶなかったあ……。家に当てちゃってたら、ラテさんに何を言われるか分からないや。みんなごめんね!今から直してあげるから♪」
マルコが両手を広げると、塊は地面の中にストンと戻っていった。
しかし、芝生には岩が生えたあとの穴が残ってしまった。
「あらら。みんなごめんね……。今から復活魔法でみんなのこと元気にしてあげるから!そ~れ、フラッシュヒール!」
両手を広げたまま、マルコがこう呪文を唱えると、空から暖かい光が注がれ、荒れていた芝生から小さな緑が生まれ、そしてその草木は、みるみる育っていき、いつの間にか先程と同じ芝生に戻っていた。
「ふふふ。みんなありがと~う!そ~れ、もう一回水のプレゼントだよぉ~!」
マルコは、再び手と手の間から鮮やかな水を草木たちに与えた。
それを浴びた草木たちは、風に揺られてそよそよと葉を揺らしていた。
「ひひひ。今日はこんなもんかな~!みんなありがとね~!」
芝生に礼を言うと、マルコは家に帰っていった。
気づくと時間は既に16時を回っていた。
*
「たっだいま~!」
ガチャリと元気よくドアを開けると、二階から妹の泣き声が響いていた。
「お?我が妹が泣いているぞ?どれどれ?お姉ちゃんが泣き止ませてあげようではあーりませんか!」
二階に上がる前に居間に行くと、そこには誰もいなかった。
「ラテさん、いないのか。珍しいなあ。二階に行ってるのかな?」
そして、マルコがゆっくりと階段を登っていくと、二階から、妹の悲鳴と母親の驚く声、そして、ラテさんの悩み声が聞こえてきた。
「ど、どうしちゃったんだろう……?も、もしかして、妹が、、、病気で……」
マルコは、冷や汗を流しながら妹のいる部屋まで、無心で駆け上がった。
心の中で不安と焦りが交差し、妹の身に危険が近づいているのではないかと思うと、鳥肌が立ってきた。
そして、階段を登りきり、扉の取っ手を引くと、そこには、泣いている妹と、妹を抱きかかえて顔に涙を浮かべている母親、そして、妹の腕をまじまじと見つめて、ベタベタと触っているラテがいた。
「ど、どうしたの???妹に何かあったの???」
ハアハアと息を切らしながら問うマルコ。
それを深刻そうな顔でラテが見つめる。
「マルコ、来たのですね。大変です。まさかの事態が起きてしまいました」
「ど、どうしたの?」
恐怖に襲われながらも聞く。
「これを見てください」
ラテは、新生児の腕を指さした。
マルコが近づいて、腕を見ると、なんと、朱色の紋章が刻まれていたのだ。
「あ、あの、ラテさん、これって??」
マルコが尋ねると、ラテは溜息を吐きながら小さな声で答えた。
「これは、、、魔女の紋章……。悪魔の証……」
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