半径1メートルだけの最強。

さよなきどり

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第五節 〜ギルド、さまざまないろ〜

058 彼女たち曰(いわ)く

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この作品最大の禁忌(タブー)!
ゴメンナサイ。そこまで大したコトないな……
ご笑覧いただければ幸いです。
※注
白い◇は場面展開、間が空いた印です。
―――――――――
 最も重要かつ核心部分は刻まれた魔法章の一本一本の線の中に刻まれたナノ単位の回路線だと云うが、そんなの尚更見えんがな。
 超極小ナノな世界での傷や切断って。それも複雑に入り組み3D的な複層構造の魔法的な何かだって。ナニソレ。


∮ 検索及び検証考察結果を報告
 “高高速自動読取トゥルース ・解析及び再構築付与スルー・アイ”【真魔眼】でよく見てみて下さい。見えますから。
 と結論 ∮〉

 僕は似非に言われて半信半疑だったけど、真魔眼の使い方なんてコレッポッチも分かんなかったけど、言われるままに目ン玉をグワっとおっぴろげた。
 仕草だけのつもりだけだったんだけど、途端に視界と脳みそが急激に広がったと言うか、ズームされたって言うか、いや、元の視界もちゃんと見えてて維持されてるんだけど、第三の目というか多次元な脳みそっていうか。マアそんな感じで、僕にも見えた。3Dのナノの世界が。それは似非の言った通りに。理解した。

 率直に言って。『ハンダ付けが非常に下手』って感じだった。
 はみ出し隣に接触していたり、団子になって定着せずに切断されたままだったり、酷いのは見当違いの箇所と繋げていたりしていた。勿論うまく成功し、修繕出来ているものもあるのだが。でもなぁ、って感じで急に見えたのと理解したのとが相まって僕は非常に驚き、大声を出しちゃっていた。それも明確に。

「なんじゃコレ!  バッチいなオイ‼ まじヘタクソすぎ。修理になってないじゃん。逆に壊してんじゃん! まるでバカ、誰だこりゃ?」

 言い訳をさせてほしい。僕は声を出さずに頭の中だけで似非と会話していたつもりだったんだ。だって似非の声は絶対に人には聞こえないし、そんなの、独り言をブツブツ呟くアブナイ人みたいだろ。
 でも自分では全然気づかなかったんだけど、今までも時々独り言を呟いていると、サチもハナも気づいていたらしい。アブナイ人っぽくて気持ち悪いから黙っていた、らしい。

 でもさ、言ってよう。

 それも異世界こっち語でしっかりと。
 頭の中では今でも日本語だけど、下手に語学習得能力が高かった弊害? なのか? バッチリ言ってました。ハイ。
 そして、その場にはお仕事中のアラクネのおネイサさま達が、いらっしゃいましたとさ。

 ドバンと一斉に殺気が膨れ上がった。僕に対して。25人分。

 ああ、俺が悪いさ、俺は正直さ、だから何だよ。泣くぞ。


 検討の結果、“飛竜落し”の不動分三百五十丁のその殆どが再修理が可能な事が判った。今いるギルド兵に一丁ずつ与えてもお釣りが来る。ウハウハな状態だ。
 アラクネのお姉サマ達25人なら、適切な指導を受け【表象印契】を覚醒させたらば、の話しではあるのだけど。
 僕なんですよねー、適切な指導しちゃう者って。スイヤセン。

 ◇

 覚醒を促すためのプロセスは先ず学習としての“知識”の蓄積と、その上で只ひたすら手を動かす(手を翳し魔力アルカヌムを送り込む)作業を続け、“練度”を高める。
 “知識”ありきの話だけど、アラクネが元々持つユニークではないスキルの基本技能である“ハンダ付け”を五十時間ぐらい使い続ければ充分以上の施術伎倆に達し、覚醒に至るはず。そうすれば後はバンバンドバドバ大量処理できますから、ハイ。

 今はまだまだ上手く行かないし失敗続きだろうけど、やり直しオーケーだし、実機は腐るほどあるし、時間を掛けてじっくりとね。ただその時間が無いからキリキリ働かないといけないだけだけどね。
 よし、ガンバロー。イジメじゃないよ。指導だよ。ノン休憩だけど。本場のブラックはこんなもんじゃないよ。
 

 問題だったのが“正しい知識”の方だ。
【表象印契】の基礎情報は勿論だが今、切実に必要なのは目の前の“尊遺物レリクト”を動かす為の印刻魔法陣の構造とシステムの知識、すなわち『設計図及び詳細仕様書』をまるまる暗記しなくてはならない。それもナノ単位級の超膨大な情報だ。


 魔力アルカヌムを注ぎ込むだけで自動で魔法を構成発動制御させる魔法陣には最低でも100テラバイト相当の情報量が内包されている。
 そんなモノを口頭や紙に書いて覚えさせる事は不可能。時間もない。ではどうするのか。大規模情報の送信はやっぱりBluetoothとかWi-Fiぽいのを利用します。爆速だけど有線を脳みそにぶっ刺す訳にはいかないし。てな訳で相手の記憶媒体脳みそに僕の知識を直接共用AirDropします。

 【表象印契】の因子とは即ち亜次元を持ち、専用の並列疑似脳を備えているのだけど、そこに一切合切打ち込む。
 僕には印刻魔法陣をひと目でフルコピー出来る“真魔眼”がある。そして亜次元や疑似脳の理念やシステムは何だっけ、同ジグなんとか疑似脳?

〈∮ 検索及び検証考察結果を報告
同軸多重高速思考オールパーパス攻究編纂型疑似脳・ブレインズ”です。
と結論 ∮〉
 で、熟知してるし。で、何だっけ、諸事なんとか機関?

〈∮ 検索及び検証考察結果を報告
諸事自動研鑽研究及び オートメーション・仮想実験実装機関 イクウィップ・ラボ”です。
と結論 ∮〉
 で、どうにかして、【表象印契】で相手の記憶媒体に直接刻む。
(もちろん僕は【表象印契】持ちですが何か? 指導者ですから)

 簡単に言うと、僕の頭の中にある知識と経験値を彼女たちの疑似脳に転送して焼き付ける。魔法でイイようにパパっとねッて感じ。
 でもそのパパっとが問題だった。本格的にアラクネのお姉サマ達に嫌われる原因となった。マッドサイエンスと魔法のコラボって感じでカッコ良かったんだけどな。

 でもやり方は簡単。一人ひとりと向き合い、リラックスしてもらい、僕の掌を軽く相手の額に触れさせ、約三十秒。それだけ。
 ヤラカシの原因はデーターを疑似脳に送る際、最初は本人の生態脳を経由するんだよね。いや自分も知りませんでした。やあ失敗失敗。
 それと、1メートル以内ならたぶん、多数人数でも触れなくても一瞬で出来たけど相手は人だし、脳みそだし、慎重を期してやっちゃったんだよね。それがいけなかったのかなって。
 でも善意よ善意。

 彼女達いわく、
『雁字搦めに束縛され、手足ひとつ動けなくされ上で全身を舐め回されるような責めと苦痛、強制的な意思の白濁を伴う昇天。それが引き伸ばされた時間軸の中で永遠に続くような』

 それってまるでアレな趣味の人達の秘密なアレなアレでアレな行為でアレっちゃったって、じゃないよ。決して僕は意図してやってないよ。偶然だよ。永遠って三十秒だよ。全て脳みそと魔法の摩訶不思議、それにつきます。

 それに強制してないよね。不具合が起こったら何時でも中止して大丈夫って言ったよね。始める前に確認取ったよね。何回も。
『いいからやれ』って強要したのは逆に、あなた達ですよね。


 コトが終わったあと。違うから。知識の転送が終わったあと、彼女達は皆膝から崩れ落ち、横座りの撓った姿で僕を恨めしげに見上げる。荒い息をつき頬を紅く上気させ、ちょっと目尻に涙を溜めながら。

 人でなし。
 いつか同じ目にあわせてやるから。
 こんな事させて、恥ずかしくないの。
 随分と酷いこと、するのね。
 等々……

 皆さん同じような台詞で僕を罵倒して下さいました。まあ、色々思うところもあるけどありがとうございました。そして眼福でした。
 ココにハナが居なくて本当に、ホントに良かったと胸を撫で下ろしましたとさ。

 でも途中から様子を見に来ていた委員長系ギル長にはコレでもかってぐらいのクソ最低ゴミムシを並の真っ白過ぎる半眼で見下されたけどな。腕組んで仁王立ちで。言っておくけどアンタの赤鬼だってココにいれば俺と同じ感想を吐いた筈だ。健康な男子ならな。ハナには言わないで下さいお願いします。


 そんな訳でアラクネのお姉サマ達は今、必死こいての絶賛デスマーチ中。その横で、僕は次のお仕事に取り掛かります。の“飛竜落し”の修理っていうか製造。まあ、前のギルド長がやり残した仕事の続きってだけだけど。

 前のギルド長さんって、本当に凄い人だったのかもしれない。
 そして確実に自個保有魔系特異技能ユニークスキル【表象印契】の覚醒持ち。アラクネ族ではなかったらしいけど(アラクネに発現する【表象印契】は女性限定)、確実でそれも凄腕。
 最上級ランクの魔法陣刻印も出来ていた。ココにその証拠がある。“飛竜落し”改メ“シン・飛竜落し”
 “シン”を付けただけだけど、ノリで。区別するためでもあるよ。

 ◇
 
 地下施設最下層の高度に整えられた実にシステマティックな武器保管庫。そこで驚いた事が、アラクネおネエさん達の実にエッチな……違いました。

 修理伎倆が拙ないのに修理環境が整いすぎている事と、皆さんが“飛竜落し”と認識していた“筒様保持式実包射出魔導兵装一型”は思ってたとおり唯の“投網”で、本当の“飛竜落し”は倉庫の隅に大量に積み上げられた、今はもう、その機能を完全に失った“槍”の方だって事。

 1つ目は置いといて、2つ目はパッと見ですぐ解った。だって“筒様保持なんちゃら”の横っ腹には“投網ちゃん2号”って書いてあったし、槍には“飛竜落し”って書かれてた。失われた、今はもう誰も読む事も詠む事も適わない古の魔法詠唱文字で。そう、ばっちし日本語で。
 可笑しいと思ったんだよね。上空に向けて撃ったら二十メートルも届かないし、そのままズバリ投網だったし。

 戦略として『掛かり』を担う“投網ちゃん”と、『止め』を担う“シン・飛竜落し(槍)”は対カトンボ兵器として二つでひとつと考えていいと思う。
 だからやっぱりより願望を込め、先に逝った“飛竜落し”の名称を引き継いだのかな。まあ、エイヤの剣刀より近代的な飛び道具、名前も“投網ちゃん”より“飛竜落し”の方がカッチョええモンな。
 でもトアミ2ゴウって……



―――――――――
お読み頂き、誠にありがとうございます。
よろしければ次話もお楽しみ頂ければ幸いです。

毎日更新しています。
次話は明日、17 時ちょっと過ぎに投稿します。
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