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3年A組の勇者9名
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新学期一日目ということで、学校も早く終わり、花火は家に元気よく帰った。
「ただいまー!」
「おかえりー、クラス替えどうだった?」
「まぁまぁ良しって感じ、夏目と同じクラスになった~!」
「お!良かったね~!」
母から新学期お決まりの台詞を言われ、花火は無邪気にピースをしてみせる。花火はリュックサックからファイルを取り出し、帰りの学活で配られた「卒業試験改訂のお知らせ」を母に渡した。
「ねぇ、私達3年の保護者達で「卒業試験反対だー!」って学校に訴えに言ったの?」
花火は冗談めかしながら母に聞いた。母はきょとんとした顔をしながらプリントに目を通し、答えた。
「…いや?少なからず私は行ってないな。まぁ他の保護者は知らないけどねぇ」
「えー…そっかぁ」
「でもプリントには保護者様からの訴えにより卒業試験改訂って書いてあるからねぇ、誰か他の保護者でも訴えたんじゃない?」
母はそういうと、プリントを近くのホワイトボードに磁石で貼り付けて、テレビを見始めた。
花火もその場で話を終えて、ソファーに座り、大きいタブレットを取り出し電源をつけた。
「うわ、なんだか沢山メッセージが来てる」
トークサービスのアイコンの右上に沢山の数字が羅列している。アプリを開いてみると、それは3年A組のグループトークの通知だった。ピコンピコンと通知がうるさい。
「そんな皆話に花が咲いてるのかしら」
花火はそう思いトークを覗いてみる。トーク内容を遡って遡って見てみると、「1年間よろしくね」といった話から、卒業試験改訂の話に変わっている。
『卒業試験改訂の話なんだけどさ、一昨年卒業した俺の兄貴に聞いてみたら、卒業試験なんて無かったって言うんだよね』
どうやら、この絆のメッセージから物議を醸しているようだ。遡っていると言うのに、ピコンピコンと新しいメッセージが送信されていくので、花火は苛立ちながら通知を切った。
『俺の親も卒業試験なんて元々無いのに改訂ってどういう事?ってうるさいんだよ。無かったっけ?』
明からのメッセージ。卒業試験は無いと言われれば無かったような気もするし、あったような感じもする。と花火は頭を悩ませた。
『無かった気がする。だからさっき親が学校に電話掛けてみたんだけど一向に繋がらないって』
楓からのメッセージ。
『もうそりゃ確信犯じゃん』
『学校に乗り込みにでも行く?3のAの生徒で』
『いいね!乗り込みに行くか!笑』
『じゃあ2時に学校に全員集合な!』
「おいおい待って勝手に話が進んでんだけど!?」
花火は驚いて時計を見てみると、時計の針は1時35分を指していた。面倒臭いという感情と、何だか面白そうという感情が花火の中で戦ったが、圧倒的に面白そうという感情が勝ち、花火はソファーから飛び降り、タブレットをスマホサイズに変形させて「学校行ってきまーーす!」と叫び家を飛び出した。「なんでー!?」と親から疑問の叫びが飛んできたが、花火は気にもせずドアを閉めた。
*
「…ボロが出ちゃいましたね」
松本先生は鳴り止まない固定電話を見つめながら呟いた。魔導中学校の職員室に、先生方はいた。
「…すみません俺の責任です…生徒やその周りの人の記憶担当は俺だったので……まさか思い出すなんて思いませんでした…ちょっと爪が甘かった…」
英語科の担当である国木田先生が頭を抱えながら悔しそうに言った。眉間にシワがより、険しい顔をしている。
「まぁ…今回はバダバタとしながら世界創りましたからねぇ…3回目ですが俺もまだ慣れませんし…国木田先生のせいじゃ無いですよ」
安田先生が、固定電話のコンセントを引き抜きながら言った。
「そうですよ…この職員室見てもバタバタしてたのわかりますよね…ファンタジーの世界なのに固定電話とかあります…?印刷機とか…というかもはや現実と同じ内装ですよね」
松本先生が続けて言った。ファンタジーなRPGの世界を創ったと言えど、職員室の内装も、各教室の内装も、現実の世界と変わらない。
「名前が日本語で漢字な時点でファンタジーじゃない気がしますよね…」
音楽科の雨宮先生が、窓から外を見つめながら呟いた。
「…俺、カタカナの名前覚えられないんですよね。あと…考える暇無かったし…」
体育科の佐藤先生が、頭を掻きながら言った。
「まぁ、早く物事が進んで良かったじゃないですか…ポジティブ大事ですよ…」
家庭科の五十嵐先生が諦めたように、けれどもポジティブに言った。「早すぎますよ…まだ来て欲しくない…その時じゃない…」と隣の国木田先生が呟いた。
「うわ!ちょっと待って俺のスマホにまで電話来始めたんですが…鳴り止まない!!」
理科の椿先生がスマホを必死に操作しながら叫んだ。
鳴り止むどころか、スマホが動かなくなり始めたので椿先生は窓を開け、思い切り外に投げ飛ばした。現実世界とは違い、ファンタジーな世界なので、何万メートルも先に勢い良く飛んだ。弧を描いたスマホを見ながら「ホームラン!」と安田先生が言うので、椿先生は安田先生を睨んだ。
「ちょっと…誰か親御さんの能力だろうか…脳内に「どういう事だ」とシンパシーが届いてるんですが…最終手段使ってきたんですけど………」
社会科の如月先生が座りながら頭を抱えながら呟いた。
「うぉぉ…」と可愛らしい見た目とは裏腹に鈍い声を出した。
「消してあげますよ」
松本先生が如月先生の元へと近寄り、自分の手に魔法を纏わせて、如月先生の頭にかざした。
「…シンパシー消えた…ありがとうございます…!」
「いえいえ」
如月先生は脳内に届くシンパシーが消え、喜びと開放感により立ち上がった。その瞬間「皆さん」と声が響いた。声の元を見ると、社会科の矢部先生が職員室の入口に立っていた。いつも余裕で満ちた表情の矢部先生だったが、焦り混じりな表情を浮かべている。
そうして、こう言った
「…お客様です。3年A組の勇者9名」
「「「行動が早いなぁ!!!!!!」」」
「ただいまー!」
「おかえりー、クラス替えどうだった?」
「まぁまぁ良しって感じ、夏目と同じクラスになった~!」
「お!良かったね~!」
母から新学期お決まりの台詞を言われ、花火は無邪気にピースをしてみせる。花火はリュックサックからファイルを取り出し、帰りの学活で配られた「卒業試験改訂のお知らせ」を母に渡した。
「ねぇ、私達3年の保護者達で「卒業試験反対だー!」って学校に訴えに言ったの?」
花火は冗談めかしながら母に聞いた。母はきょとんとした顔をしながらプリントに目を通し、答えた。
「…いや?少なからず私は行ってないな。まぁ他の保護者は知らないけどねぇ」
「えー…そっかぁ」
「でもプリントには保護者様からの訴えにより卒業試験改訂って書いてあるからねぇ、誰か他の保護者でも訴えたんじゃない?」
母はそういうと、プリントを近くのホワイトボードに磁石で貼り付けて、テレビを見始めた。
花火もその場で話を終えて、ソファーに座り、大きいタブレットを取り出し電源をつけた。
「うわ、なんだか沢山メッセージが来てる」
トークサービスのアイコンの右上に沢山の数字が羅列している。アプリを開いてみると、それは3年A組のグループトークの通知だった。ピコンピコンと通知がうるさい。
「そんな皆話に花が咲いてるのかしら」
花火はそう思いトークを覗いてみる。トーク内容を遡って遡って見てみると、「1年間よろしくね」といった話から、卒業試験改訂の話に変わっている。
『卒業試験改訂の話なんだけどさ、一昨年卒業した俺の兄貴に聞いてみたら、卒業試験なんて無かったって言うんだよね』
どうやら、この絆のメッセージから物議を醸しているようだ。遡っていると言うのに、ピコンピコンと新しいメッセージが送信されていくので、花火は苛立ちながら通知を切った。
『俺の親も卒業試験なんて元々無いのに改訂ってどういう事?ってうるさいんだよ。無かったっけ?』
明からのメッセージ。卒業試験は無いと言われれば無かったような気もするし、あったような感じもする。と花火は頭を悩ませた。
『無かった気がする。だからさっき親が学校に電話掛けてみたんだけど一向に繋がらないって』
楓からのメッセージ。
『もうそりゃ確信犯じゃん』
『学校に乗り込みにでも行く?3のAの生徒で』
『いいね!乗り込みに行くか!笑』
『じゃあ2時に学校に全員集合な!』
「おいおい待って勝手に話が進んでんだけど!?」
花火は驚いて時計を見てみると、時計の針は1時35分を指していた。面倒臭いという感情と、何だか面白そうという感情が花火の中で戦ったが、圧倒的に面白そうという感情が勝ち、花火はソファーから飛び降り、タブレットをスマホサイズに変形させて「学校行ってきまーーす!」と叫び家を飛び出した。「なんでー!?」と親から疑問の叫びが飛んできたが、花火は気にもせずドアを閉めた。
*
「…ボロが出ちゃいましたね」
松本先生は鳴り止まない固定電話を見つめながら呟いた。魔導中学校の職員室に、先生方はいた。
「…すみません俺の責任です…生徒やその周りの人の記憶担当は俺だったので……まさか思い出すなんて思いませんでした…ちょっと爪が甘かった…」
英語科の担当である国木田先生が頭を抱えながら悔しそうに言った。眉間にシワがより、険しい顔をしている。
「まぁ…今回はバダバタとしながら世界創りましたからねぇ…3回目ですが俺もまだ慣れませんし…国木田先生のせいじゃ無いですよ」
安田先生が、固定電話のコンセントを引き抜きながら言った。
「そうですよ…この職員室見てもバタバタしてたのわかりますよね…ファンタジーの世界なのに固定電話とかあります…?印刷機とか…というかもはや現実と同じ内装ですよね」
松本先生が続けて言った。ファンタジーなRPGの世界を創ったと言えど、職員室の内装も、各教室の内装も、現実の世界と変わらない。
「名前が日本語で漢字な時点でファンタジーじゃない気がしますよね…」
音楽科の雨宮先生が、窓から外を見つめながら呟いた。
「…俺、カタカナの名前覚えられないんですよね。あと…考える暇無かったし…」
体育科の佐藤先生が、頭を掻きながら言った。
「まぁ、早く物事が進んで良かったじゃないですか…ポジティブ大事ですよ…」
家庭科の五十嵐先生が諦めたように、けれどもポジティブに言った。「早すぎますよ…まだ来て欲しくない…その時じゃない…」と隣の国木田先生が呟いた。
「うわ!ちょっと待って俺のスマホにまで電話来始めたんですが…鳴り止まない!!」
理科の椿先生がスマホを必死に操作しながら叫んだ。
鳴り止むどころか、スマホが動かなくなり始めたので椿先生は窓を開け、思い切り外に投げ飛ばした。現実世界とは違い、ファンタジーな世界なので、何万メートルも先に勢い良く飛んだ。弧を描いたスマホを見ながら「ホームラン!」と安田先生が言うので、椿先生は安田先生を睨んだ。
「ちょっと…誰か親御さんの能力だろうか…脳内に「どういう事だ」とシンパシーが届いてるんですが…最終手段使ってきたんですけど………」
社会科の如月先生が座りながら頭を抱えながら呟いた。
「うぉぉ…」と可愛らしい見た目とは裏腹に鈍い声を出した。
「消してあげますよ」
松本先生が如月先生の元へと近寄り、自分の手に魔法を纏わせて、如月先生の頭にかざした。
「…シンパシー消えた…ありがとうございます…!」
「いえいえ」
如月先生は脳内に届くシンパシーが消え、喜びと開放感により立ち上がった。その瞬間「皆さん」と声が響いた。声の元を見ると、社会科の矢部先生が職員室の入口に立っていた。いつも余裕で満ちた表情の矢部先生だったが、焦り混じりな表情を浮かべている。
そうして、こう言った
「…お客様です。3年A組の勇者9名」
「「「行動が早いなぁ!!!!!!」」」
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