とあるクラスの勇者伝説

倉箸なーこ

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先生からのプレゼント

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「よし、9人全員集まったな!」

魔導中学校の前に、3年A組の生徒9人は集まった。
皆、探検に出かける前の子供のような、わくわくとした表情をしている。よし、行くぞ!と明が言うよりも先に、中学校の玄関口から声が聞こえてきた。

「…なにしてんの?3年A組大集合しちゃって」

矢部先生だ。玄関口の壁にもたれながら、相変わらず光の無い目で生徒達をじっと見ている。ちょうど矢部先生の目の前にいた明は『殺されてしまう』と心のどこかで思い、

「卒業試験改訂の話です!!!改訂も何も昔から卒業試験なんて無いのにどういう事ですか!?何か隠してたりするんじゃないですか!?と!!先生方に聞きに来ました!!!」

叫ぶようにそういうと、目の前にいる矢部先生は目を丸にして呆気にとられたような顔をした。だが、瞬時にいつも通りの顔に戻すと、いつも通りの声色で言った。

「何言ってるんです、ずっと昔から卒業試験あったでしょ?忘れたの?」

「いや、無くないですか?俺の兄貴だって無いって言うし、親だって無いって言うし」

「…おぉ、」

すかさず絆が割り込んで言った。
絆はまっすぐと矢部先生を見つめると、矢部先生は後ずさりした。

「学校に電話かけたって繋がらないし、これは確信犯だなと3年A組で学校に乗り込みに来ました」

「…まじか、行動力早いなぁ…こんな急展開にする予定じゃなかったのに……体育場に行って待っててください、すぐ行きますので」

矢部先生は頭を掻きながら、諦めたように笑った。
そして、生徒を体育場へ行くように促すと、矢部先生は職員室の方へと消えていった。

「…殺されなかった…」

明は安堵した表情を浮かべ、胸を撫で下ろした。
生徒達は顔を見合わせた。

「「「「「体育場に行くか」」」」」」





「…お客様です。3年A組の勇者9名」

「「「行動が早いなぁ!!!!」」」

矢部先生からの一言に、職員室の先生方は目を丸くして叫んだ。

「…すぐ行くって言っちゃったから…早く行きますよ先生」

矢部先生は諦めたように、へたりと座り込んだ国木田先生の腕を持ち上げて立たせた。

「…ラスボスと戦うためにこの世界創ったけど、流石にまだ早くない…?まだ新学期でしょ…?どうやればラスボスと戦えるかわからないから時間稼ぎの為に卒業試験とか作ったのに…どうやって説明すれば…」

佐藤先生は落ち着かないのかうろうろとしながら
ぶつぶつと独り言を呟いていた。

「…そのまま説明するしかないでしょう。ついでに国木田先生、先生の能力で生徒に去年と一昨年のを思い出させてください。記憶あった方が納得しやすいと思うので…」

「…かしこまりました!」

矢部先生は国木田先生に指示をすると、国木田先生は敬礼し、素早くグローブを手にはめた。

「さて、魔王先生の皆様、勇者生徒に会いに行きましょう」




「先生達遅くね?」

将太は寝っ転がりながら呟いた。
生徒達は体育場で先生方を待っていた。
中には暇すぎて座り込んだり、寝っ転がったりなどとくつろぐ生徒もいた。

「…どっかから逃げたとか?」

座り込んだ剛が呟くと、「逃げてません!」と剛の頭上から声が降ってきた。剛は上を見ると、雨宮先生が仁王立ちで上から剛を見下ろしていた。
叩かれるのではないかと剛は身構えたが、想定外なことに、雨宮先生は勢い良く剛の頭を撫でた。

「たっはーー!坊主の髪がちょっと伸びた感じ!私好きだわぁ…意外と髪柔らかくてサラサラなんだね」

雨宮先生は楽しそうに剛の頭を撫でる。

「一応リンスーつけてるんですよ!」

剛はドヤ顔で雨宮先生に言うと、「へぇ!良い事じゃん!」と雨宮先生はまたもや勢い良く頭を撫でた。

「…え。つける意味無くない?」

きょとんとした楓から飛んできた言葉に、剛は立ち上がり、いきり立って反論した。

「おっっっま…!!俺だって美容に気ぐらい使いま すぅ!!…っていやいやこんな話してる暇じゃない卒業試験の話!!」

「あ、そうだった!」

ここに来た目的を思い出し、剛も、楓も、他の生徒も雨宮先生を見つめた。見つめられた雨宮先生は、生徒達の後ろにある大きいステージを指差して言った。

「そんな皆さんに国木田先生よりプレゼントがございます。ステージをご覧下さい」

そう言われ、生徒達はステージの方を見た。学園祭などで演劇が始まる時のブザーが鳴り響き、ゆっくりと幕が開いていく。すると、ライトに照らされた国木田先生が現れた。

「痛いのは一瞬です!大丈夫!」

と国木田先生は言いながら上に手をのばした。
手の上にはまるでブラックホールのように真っ黒くおぞましい魔法が溜まっていく。生徒達は「な、何あれ!?」と仰天して体育場から逃げようと動き出した所を、すかさず矢部先生が糸を作り出し、拘束した。

「はい!国木田先生早く!」

「おっけい!僕からのプレゼントです!」

国木田先生はそう言うと、生徒達目掛けて魔法を解き放った。ドオオオオオン!と爆発と共に地鳴りが響く。

「げほっ、ごほ、っ…派手にやりましたね、」

矢部先生は煙をかき分け、咳き込みながら言った。
生徒達は意識を失い倒れている。

「これで目覚めた時には全ての記憶が戻ってるはずです。今叩き起こしても大丈夫ですよ」

国木田先生はグローブを外しながら言った。「本当ですか?」と矢部先生は、倒れている剛の頬を優しく数回叩き、「すみませんお客様、もう終電ですよ」と言うと剛は飛び起きた。

「おわぁ!すみません!すぐ降ります!」

「ははは!お前終電まで寝過ごす歳じゃないでしょう!?」

何が何だかわからないように目を泳がせている剛をよそに、矢部先生は盛大に笑う。

「あれ、矢部先生スーツじゃない、変な服…あれ、皆も変な服…………あれ、でも見たことある、あ!またRPGの世界!?」

剛は飲み込みが早く、立ち上がると先生方に向かって聞いた。

「これで3回目じゃないっすか、今年は何があったんですか?また俺達なんかしちゃいました?」

「いや?別に何も無いよ。でも、この連鎖に終止符を打たないといけないのでね。話はみんなが起きてからしましょう。皆さん叩き起して!」

矢部先生はそういうと、剛と先生方は「ラジャー!」と声を合わせて動き出した。

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