とあるクラスの勇者伝説

倉箸なーこ

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ラスボス戦

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「皆さんおはようございます!」

「「「「…おはようございます」」」」

生徒達は叩き起され、皆、不機嫌そうな表情を浮かべながら挨拶をした。生徒達の不機嫌そうな顔を見ながら、安田先生は言った。

が蘇ってきて変な感じでしょ?去年と一昨年俺達と戦ってない人の為に、小六の時の記憶も思い出させときました」

その言葉に「そう言えばそんな事あったなぁ」と生徒達は蘇った記憶を懐かしく思った。

「まぁ、思い出したのは良いんですが…は何があったんですか?」

花火が先生方を見つめて聞いた。他の生徒達もどうやら同じ事を考えていたようだ。

「…君達って本当に飲み込みが早いですね…この世界は俺達が死んでから創ってるんですが、去年と一昨年はまるで定めかのように、君達も先生達も小六、中一、中二ときて、中三の今年も何かが起きるだろうと思いまして」

安田先生は、まるで授業をするかのように生徒の周りを歩きながら話す。生徒達はただ、安田先生を目で追っていた。

「また辛い思いもしたくないので、何かが起きる前にこの負の連鎖を止めるべく、俺達は死にました」

さらりと言われた言葉に生徒達は目をまん丸として、
次の瞬間口々に「そんなぁ!?」「死んだの!?」「じゃあ私達も死んだの!?」と叫びを上げた。

「静かに!静かに!…まぁ、君達がこの世界に居る時点で、死んだ事になりますね」

騒ぎ立てる生徒達を安田先生は宥めながらそう言った。
花火は怪訝な目で安田に聞いた。

「…じゃあ、今回はその負の連鎖を止めることが、ゲームクリアの条件なんですか?」

「…そうですね。俺が考えるにはね、この世界を創ったのは俺達だけど、その土台や、このRPGの世界で生徒は勇者、先生は魔王という設定を作った、が他にいると思うんです。カミサマ的な存在が」

「カミサマ?」

「そう、カミサマ。そのラスボスのカミサマをゲームクリアの条件だと思うんだ」

「…救うってどういう事っスか?」

剛が疑問を浮かべ、安田先生に聞いた。

「うーん…君達が6年の時も、ラスボスの大魔王である坂木先生の心を救ったでしょ?1年の時は矢部先生の心を、2年の時は椿先生の心を。ラスボスは全員心を救われてるんだ」

「心を救われたって…何だか恥ずかしいですね」

「そうですねぇ」

矢部先生と椿先生は何だか恥ずかしそうに頭をかいて笑った。「「でもあの時はありがとう」」と声を揃えて2人は言って、声が揃ったことに驚いて2人は盛大に笑った。

「だから…つまりね、この物語を創ったカミサマを同じように救う事が出来たら、負の連鎖を断ち切れると思うんです」

「けれど…どうすればそのラスボスと戦えるか今はわからないから時間稼ぎの為に卒業試験を作ったんですが…バレてしまう始末で…」

安田先生の言葉に続き、国木田先生がうなだれながら言った。そんな国木田先生の姿を見て、矢部先生は何か悪巧みをするような顔をして言った。

「一か八か、やってみても良いですか?」

矢部先生はそういうと、先生と生徒の返答を待つことなく、大きく息を吸って、体育場の天井を見上げて叫んだ。

「おいカミサマァ!こっちの準備は整った!どうせ高みの見物でもして暇してんだろ!?さっさとラスボス戦でも始めましょうや!」

喧嘩腰で矢部先生は叫ぶ。安田先生が「いきなりどうしたんだ」と止めさせようとしたよりも先に、皆の視界は停電したかのように暗転した。「何事だ!?」と安田先生の声に「大丈夫か!?」と佐藤先生の声が響く。

「…のお出ましですか」

矢部先生の声がぼそりと言う。すると暗闇のどこからか、声が響いた。

『こんなに早いとは思って無かったよ皆さん!まぁ…呼ばれたからには戦ってあげましょう!』

その声の主がだとは、皆すぐさま勘づいた。
少し低めな、けれども無邪気さと可愛らしさを含めた声色でカミサマは話を続ける。

『いつもなら生徒は勇者で先生方は魔王だったけど、今回は私が魔王となりますね!敵対していた勇者と魔王の共闘…見れるのがとても楽しみです!せいぜい良いラスボス戦にしましょう!』
 
すると、急に皆の視界が明るくなり、目が姿や形を認識できるようになった。けれども視界に映ったのは先程までいた体育場では無く、不気味な紫色の空に、周りは木々が生い茂る場所だった。皆の目の前には不気味な空に負けずと古びた城がそびえている。
「最上階のラスボスを倒せ!」とテロップが皆の頭上に浮き出た。

「なるほどなぁ…俺らと同じ戦い方かぁ。俺らリスペクトでしょうか?」

佐藤先生が納得したように呟くと、隣の安田先生も「確かに」と笑った。

「…まさか、こんなあっさりとカミサマが現れるとは思いましたよ」

国木田先生は城を見上げながら笑い混じりに呟いた。

「カミサマが本当にこの世界の神様なら、上から見てるんじゃないかなーって思いまして。まぁ、あれで現れなかったら、俺が気ィ狂ったみたいになっちゃうので恥ずかしいですね。出てきてくれて良かった」

矢部先生は淡々とした声色で言った。

「先生方、行きまっせ」

花火がぶっきらぼうに先生達に言った。
その後ろにいる生徒達は暇そうにあくびをしている。

「やっぱり行動が早いねぇ君達」

安田先生は言った。

「当たり前じゃないですか、何回目だと思ってるんです。4回目ですよ!もう慣れましたよね」

「「「ねー!」」」」

花火は生徒達の方を見てそういうと、生徒達は一斉に相槌の声を上げた。

「さて、本当に行きますよ!」

花火はそういうと、重い城のドアを開けた。
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