虎狩りと鴨撃ちの輪舞(ロンド) ~奈佐原高校チェス同好会~

奈倉柊

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第二部  白:奈佐原高校チェス同好会feat.鷺沢悠  黒:鮎川凛久  20xx年10月x日

25.エピローグ(感想戦②byニキ)

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 24話完結って触れ込みで中途半端に終わったり終わらなかったり、俺はその責任は完璧、俺にあると思ってて、けど航太は自分のせいだって言ってる。
 まあどっちでもいいよね、っていうのが俺と大宮の結論。
 っていうかを経て、その後どうなったかって?
 そんなことはラブラブハッピーな奴らに語らせりゃいいのに、何で俺に訊くわけ?
 24話完結って言ってたなら、この一話、普通に余分だし。

 まあ俺と大宮の初デートは、行き先チョイスのわりに悪くなかった。
大宮のリクエストは「激辛スクエア」っていう、激辛料理を出す店ばっか集まってる地下街だった。大宮はそこに入ってるクレープ屋の「激辛ハバネロショコラクレープ」が食いたかったらしく(何で「激辛」スクエアにクレープ屋が入ってんのかは謎)、それデートで行く必要あるのかって思いはしたものの。
 大宮は何気に普段より優しかったし、激辛スクエアにも意外とデート要素は見いだせた。
 ちょっとお洒落な感じのスパイスカレー屋(でも激辛)で、二種類のカレーをシェアしたり(でもどっちも激辛)、お互いのクレープ(俺のは苺とカスタードの普通に甘いやつ)を味見し合ったり。
 さすがに四人掛けのテーブルで横並びに座るまではしなかったけど、俺がすぐ隣を歩くといつもはちょっと距離を取るのに、この日はそうしなかった。
 しかも帰り道で大宮は、悪くないなこういうの、って言ってくれたわけ。
 一応それでちゃんと付き合うていにはなったのに、俺らのラブラブハッピーは三日も続かなかった。
 三日目にはもう変な風にこじれて、俺と大宮はそっから口をきいてない。
 おまけに航太に相談しても鷺沢に相談しても「そんなのそのうちどうにでもなるよ」って、まったく中身のないアドバイスしかもらえずにいる。
 原因?
 俺が大宮に、鷺沢プロデュースのそのルックス維持する必要もうないよね、って言ったら、大宮がめちゃくちゃ不機嫌になった。
 だって俺としては元の大宮のままで好きなんだし、今さら無駄に女子の注目を集めて欲しくない。そういう俺の繊細かつ複雑な気持ちを、大宮はもうちょっと解ってくれていいんじゃないかと思う。
 っていうのを伝えたところ大宮は、俺はそもそもお前のために努力してこうやってるんだ、その努力を不必要だと言われるのは非常に心外だ、とのたまった。
 でも「そもそもお前のため」って、は鮎川対策だったんだから、今となってはマジで不必要じゃん。
 しかも俺には、これが「そのうちどうにでもなる」問題だとはとても思えない。
 航太も鷺沢も、自分たちがうまく行ってるから「そのうちどうにでもなる」って言えるわけで。

 っていうか鷺沢はその後、ちゃんとクラリネット吹けるようになったのかっていうと、全然なってないらしい(本人談)。
 けど鷺沢は、それでいいんだそうだ。
 諦めたわけじゃないけど焦ってもない、と。
 とりあえず今は航太と一緒にいられれば、自分にはそれがいちばん必要で大切なことだから、と。
 いいな、と思う。
 一緒にいてそういう風に癒されたり満たされたりって。
 俺と大宮じゃどう頑張ってもそういう雰囲気にはならないし、それどころか三日で口きかなくなるって何なわけ?
 俺が馬鹿なのか大宮が馬鹿なのかどっちだと思うか訊いてみたら、航太と鷺沢は二人そろって「どっちも馬鹿だよ」と答えてきた。
 え、それマジか?
 努力ったって、大宮の場合は慣れないことをやるのが苦手なだけで、いったんルーティンになってしまえば誰よりちゃんとこなす奴だ(その証拠に今の大宮は、鷺沢から教わったネクタイのセミウインザーノットを一分かからず完璧に結べる)。
 それを恩着せがましく「お前のため」とか言われても。
 言われても、なんだけどさ。

 もしかして俺が今、鷺沢とか航太とかの助けを借りて、大宮とまともに対局したいって思ってる気持ちは、それと同じ、なのか?
 相手と対等になりたい、釣り合うと認められたい、そういう気持ちが大宮の場合、的外れだとは思うけど外見っていう要素に集約されてるわけで?
 俺が大宮とちゃんと対局できるようになりたいって思って、鷺沢とか航太とかにあれこれ教わってやってるのって、それと同じ意味?
 そう思ったら、なんか今まで感じたことのない感情がぶわっと来て、これってなんなんだ、と思ってみたらつまりそれは大宮のそういう的外れにまっすぐな感じを、可愛い、と感じてる自分に気づく。
 大宮が可愛いって。
 末期症状だよ。
 けどここは、白旗揚げます。
 俺は、大宮のことが、無茶苦茶好きだから。
 だって人生で初めて、に一緒にチェスやれる相手を、俺は見つけたわけなんだから。
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