異世界修行の旅

甲斐源氏

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ミーアの使い魔キングウルフのギン

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 帝国に入ってから初めての街で食事をした後、オレ達は隣の街に向かって街道を歩き始めた。


「ユーリ。私、ゴーストとかゾンビとか苦手なんだけど。」

「ユリウス様。私もです。」

「ミーアは別に怖くないにゃ!」

「別に死霊系の魔物とは限らないよ。」

「でも夜にしか現れないんでしょ?」

「夜に活動する魔物は他にもいるからね。」


 森に差し掛かったところで薄暗くなっていた。そこで、道から少し入った川沿いの開けた場所で野宿することにした。


「なんか嫌な雰囲気なんだけど。」


 サニーがオレの腕に抱き着いてきた。ソフィアはそれを見て躊躇していたが、風で木が擦れる音がすると慌てて逆側に抱き着いてきた。


「あっ、すみません。ユリウス様。」

「いいよ。別に。」

「ずるいにゃ!私だけ1人にゃ!」

「だってミーは怖くないって言ったじゃない。」

「怖くないにゃ。でもミーアだってユリウス様にくっつきたいにゃ!」

カサカサ カサカサ


 音のする方を振り向くと、そこにいたのはゴーストでもゾンビでもなく人間だった。しかも手に武器を持った男達がぞろぞろと現れた。


「あいつら盗賊じゃない?」

「たぶんね。」


 サニーとソフィアがオレから離れた。そしてオレは気付かれないように空間収納から3人の武器を取り出した。


「お頭!久しぶりの獲物ですぜ!」

「おお!上玉じゃねぇか!」

「ウッシッシッ どうしやす?」

「男は殺せ!」

「へい。」


 男達が近づいてくる。


「みんな。今回は任せたよ。」

「わかったわ。」

「お任せを。」

「了解にゃ。」


 すると後ろにいた盗賊達から悲鳴が聞こえた。


ギャー
ギエー


 何が起こっているのか確かめようと目に魔力を集中させると、キングウルフが盗賊達に襲い掛かったようだ。盗賊達の後ろに体の大きなキングウルフが見えた。


「おい!お前達!先にこっちの魔物だ!」


 盗賊達はキングウルフの大きさに腰が引けている。一応剣は構えているが、その手は恐怖でぶるぶると震えていた。


「ユーリ。どうするの?」

「ミーア!お前、キングウルフの使い魔が欲しくないか?」

「欲しいにゃ!」

「なら、お前があのキングウルフの相手をしろ!」

「わかったにゃー!」


 ミーアが物凄い速さでキングウルフに近づいた。キングウルフがうなり声をあげてミーアに噛みつこうとする。だが、ミーアがジャンプしてそれをかわして風魔法を放った。すると、キングウルフは風に飛ばされまいと必死に踏ん張っていたが、ミーアが風の中を素早く近づいて足に攻撃した。


バコン


 キングウルフは風に飛ばされて地面に叩きつけられ、その場でぐったりと倒れてしまった。ミーアが慌てて近づいて確認したが、かなり弱っているようだった。


「サニー!お願いにゃ!」


 サニーが光魔法のヒールでキングウルフの傷を癒やすと、キングウルフが攻撃してくるかと思いきや、サニーの手を舐めた後にミーアの足元で腹を見せた。服従の証だ。それを見ていた盗賊達はもう真っ青だ。自分達に勝ち目はないと思ったのか、一斉に逃げ出そうとした。


「化け物だ~!助けてくれ~!」

「逃がすわけないじゃん。」

『止まれ』


 オレが声をかけると彼らは身動きができなくなった。


「なんだ?!どういうことだ?」

「お頭!俺達どうなるんすか?」

「知るわけねぇだろ!」


 魔法で辺り一帯を調べてみると、川の向こう側に魔物の気配が複数あった。恐らく、オークかウォーウルフだろう。


「ソフィア!ミーア!彼らの武器と装備品を回収してくれ!」

「何をする気だ?やめろ!」

「じっとしてなさい!」

バコン

「やめてくれ!お願いだ!助けてくれ!」


 オレは武器と装備品を回収した後、彼らを魔法の鎖で縛り上げ、空中に浮かせて川の向こうに放り投げた。


ドテッ ボコン


「痛たたた~!貴様ら!覚えてろよ!絶対に仕返ししてやるからな~!」


 すると、キングウルフが遠吠えをあげた。


ワオー ワオー ワオー


 対岸の草むらからぞろぞろとウォーウルフが集まってくる。どうやらキングウルフがウォーウルフに命令したようだ。ウォーウルフ達が拘束されている盗賊達に襲い掛かった。盗賊達はなすすべもなく絶命していく。


「た、助けてくれー!」

ギャー グワー


 流石に人間が魔物に食べられる様子を見たくはない。


「行こうか。」

「そうね。」


 川沿いを歩いていくと、そこから少し離れた所に開けた場所があった。


「今日はここで野宿しようか。」

「では、森で薪を集めてきます。」

「一緒に行くにゃー!」


 ミーアが行こうとするとその後ろをキングウルフがついていく。それを見て思った。キングウルフはかなりの巨体だ。キングウルフを連れて街には入れない。そこで頭の中の知識から召喚魔法を調べてみた。


「ユリウス様~。薪をいっぱい拾ったにゃ。」

「ご苦労さん。ミーア。キングウルフだけど街に連れて行くわけにはいかないだろ?」

「嫌にゃ!ギンちゃんはミーアの使い魔にゃ!ずっと一緒にいるにゃ!」

「へ~。ギンちゃんって名前つけたんだ~。ミーもセンスいいわね。」


 確かにギンはミーアになついている。だからといってAランクのキングウルフが街に入れば大騒ぎだ。


「ミーアの気持ちもわかるけどさ。街の人達が怖がるだろ。」

「そうよ!ミーア!私達は隠密行動をとっているのよ!」


 ミーアがしょんぼりしてしまった。先ほど調べた召喚魔法を試してみるしかないだろう。


「ミーア。あのさー。今から召喚魔法を教えるから、それを覚えたらいいよ。」

「そんなことできるにゃ?」

「ミーアにできるかどうかは、やってみないと分からないけどさ。」


 オレはミーアに召喚魔法を教えた。すると、キングウルフの姿が見えなくなっていく。そして、再度呼び出すと、地面が黒くなり、そこからキングウルフが現れた。


「やったにゃー!成功にゃー!これならいつでも会えるにゃー!」


 キングウルフがペロペロとミーアの顔をなめていた。そして、その日はオレが空間収納に仕舞っておいた食料を食べて寝ることにした。
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