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魔大陸に向けて出発
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アリスト聖教国の問題を解決したオレ達は、真っ黒な空が広がる魔大陸に行くことにした。魔大陸はアリスト聖教国から海を越えて行かなければならない。
「ユリウス様。本当に魔大陸が存在しているんですか?」
「伝説の大陸にゃ。」
「ミカエリが言ったんだ。あの黒い空は悪魔王サティーニが復活する証だって。だとしたら、あの空の下に大陸があるのは間違いないだろ?」
「確かにそうね。でもユーリ、あそこに行くには船が必要よ。」
「港町まで行ったら頼んでみるさ。」
オレ達は港町ナオツに急いだ。
ナオツの街を見渡せる丘の上までやってきたが、目の前には広大な海が広がり、その上にたくさんの船が見えた。流石は港町だ。磯の香りと心地よい風が気持ちいい。
「海ね。」
「ああ、久しぶりだな~。」
幼いころに家族で行った海水浴を思い出した。
「美味しいものがたくさんありそうな予感がするにゃ!」
「ミーはいつも食べ物のことを考えてるのね。」
「当たり前にゃ!この街でしか食べられないものがきっとあるにゃ。それを食べるにゃ!」
「ミーア、食べるより先に船の手配でしょ。」
「わかったにゃ。」
港まで行くと大きな船が何隻も停留していた。そこで船乗り達に声をかけた。
「海の向こうにある島まで行きたいんですけど。」
「お前はバカなのか?海の向こうに島なんかあるわけないだろう。それに、向こうの空を見てみろ!真っ黒じゃないか!あんな嵐が来そうな場所に行けるわけがないだろう!」
どうやら海の向こうのことは知らないようだ。
「すみません。海の向こうの島に行きたいんですけど。」
「冷やかしか?島があるなんて聞いたことはないぞ!それに、沖合にはクラーケンやシーサーペントのような魔物が出るんだ!無理に決まってるだろ!」
他にもあたってみたが結果は同じだった。
「ユーリ、どうするの?このままじゃ海の向こうには行けないわよ。」
「泳いでいくにゃ!」
「ミーア!泳いでいけるわけないでしょ!」
「ソフィアの言う通りだ。無理だな。」
オレ達が途方に暮れていると、身体の大きな男性が声をかけてきた。
「お前達、海の向こうに行きたいのか?」
「はい。でも、誰も海の向こうに島があるのを信じてもらえないんです。」
「当たり前だ!海の向こうに行った奴は俺以外にはいないんだからな。」
「あなたは魔大陸に行ったことがあるんですか?」
「そうか。あの島は魔大陸って言うのか。どうりでな。頭から角を生やした連中や下半身が蜘蛛の姿の綺麗な女どもがいたわけだ。もしかしてあいつらは魔族とかいう連中なのか?」
「はい。恐らくそうだと思います。」
「シーサーペントに襲われて船が難破してな。俺はあの島の浜辺に流れ着いたんだ。そこで頭から角を生やした体の大きな連中に助けられてな。親切に帰りの船まで用意してくれたんだ。」
「そうなんですか~。」
「お前達は見たところ冒険者のようだが、あの島に何の用だ?」
サニー達がオレの顔を見た。オレは正直に言うべきかどうか考えた。
「信じてもらえるかどうかわからないんですけど、この国の大司教ミカエリは悪魔族だったんです。あの黒い空の下で悪魔族の王ルシフが復活すると、ミカエリが死ぬ間際で言ったんです。オレ達はルシフが世界を滅ぼすのを防ぎたいんです。」
船乗りの男は考え込んでいた。そして口を開いた。
「わかった。オレが船でお前達を島まで送ってやろう。」
「オレの話を信じてもらえるんですか?」
「ああ、俺もあの島の話をみんなにしたが信じてもらえなかったんだ。お前の目は嘘を言っている目じゃない。それに大司教ミカエリは行方不明らしいじゃないか。お前の言ったことはまんざら嘘でもなさそうだしな。」
それからオレ達は自己紹介をした。彼の名前はイカルド。先祖代々この街で船乗りをしているらしい。
「イカルドさん。明日の朝に出発でいいですか?」
「ああ、いいぞ。これからどうするんだ?」
「はい。せっかくなのでこの街を散策してきます。」
「宿は決めてあるのか?」
「いいえ。」
「なら、『海賊亭』に行ってみろ。料理が半端なく旨いから!俺の紹介だって言えば安くしてくれるぞ!」
「ありがとうございます。」
それからオレ達はナオツの街を散策しながら海賊亭に向かった。
「ユリウス様~。お腹空いたにゃ~。」
「私もお腹空いたわ。」
「ユリウス様。あそこに見えるのが『海賊亭』ではないでしょうか?」
ソフィアに言われて見てみると、ドクロのマークの旗が立っていた。間違いなく『海賊亭』だ。
「あの~、イカルドさんに紹介されてきたんですけど。」
「そうかいそうかい。イカルドにね~。宿泊かい?それとも食事かい?」
「両方でお願いします。」
「はいよ。なら、イカルドからの紹介だからね。宿代は安くしとくよ。」
「ありがとうございます。」
最初にお金を払って部屋に向かった。いつものようにオレとサニーは一人部屋で、ソフィアとミーアが二人部屋だ。それから1階の食堂に向かった。
「私はこの大盛定食がいいにゃ!」
「私も同じでいいわ。」
「サニー!食べきれるのか?」
「大丈夫よ。今日は凄くお腹空いてるんだから。」
オレとソフィアは普通の定食にした。そしてしばらく待っていると料理が運ばれてきた。サニーとミーアの前には、テーブルに置ききれないほどの料理が運ばれてきた。以前行った聖都カレットのレストランよりも凄い。
「食べきれるかな~?」
「だから言ったよね。」
サニーが量の多さに不安になったようだ。
「大丈夫にゃ。食べられなかったら私が食べるにゃ!」
やはり港町だけあって素材が新鮮だ。そのため、魚も焼き魚でなく生の刺身として出てきた。なんか久しぶりのお刺身だ。
「ミー!後はお願いしていい?」
「いいにゃ!私が残りをいただくにゃ!」
やはりサニーは食べきれずに、ミーアとオレが協力して食べた。
「少し食べすぎたにゃ。お腹が大きくなったにゃ。」
「なら、少し休んだら街を散策しようか。」
「そうね。」
そして街に繰り出したオレ達は、市場や商店街を見て回った。日本にいた時にはよく見かけていた干物や乾燥させた貝などが並んでいた。オレはそれを買って空間収納に仕舞った。ボルトン王国に帰った時のお土産にするつもりだ。
「ユーリ。あの店に行ってみましょうよ。」
「私も行ってみたいです。」
サニーとソフィアが指さした店には真珠やサンゴを使った装飾品が売られていた。ネックレスや指輪、ブレスレットに目が釘付けになった。
「サニー、ソフィア、ミーア。好きなのを一つずつ選んでいいよ。」
「本当?」
「やったにゃー!」
「ありがとうございます。ユリウス様。」
女性の買い物はここからが長い。あれこれと手に取って見て回り始めた。店の中を行ったり来たりしている。そして散々悩んだ挙句、最初に手に取ったものを選んでいた。心の中で、最初に気に入ったものにすれば悩む必要もないのにとも思ったが、口が裂けても言えない。
「よく似合ってると思うよ。」
「ありがとう。ユーリ。」
「ありがとうございます。大切にさせていただきます。ユリウス様。」
「大事にするにゃ!」
サニーは指輪、ソフィアはブレスレット、ミーアはネックレスを選んだようだ。それを購入して再び街を歩き始め、空が暗くなるころ宿に戻った。すると1階の食堂にはたくさんのお客がいた。宿泊客だけでなく、食事をしたり、お酒を飲んだりする客もいるのだろう。
「おはようございます。イカルドさん。」
「おお、来たか。宿はどうだった?」
「はい。料理は美味しいし、最高でした。」
「最高だったにゃ!」
「そうか。なら、よかった。」
船が大きいのに他に船員の姿が見当たらない。
「他の船員の方はいないんですか?」
「まあな。昨日言ったように、俺はこの街じゃぁ、変り者扱いされてるからな。一緒に働く奴なんぞいないさ。」
「そうなんですか。なら、オレ達がお手伝いしますよ。」
「バカ言え!船の仕事は生半可なことじゃできねぇんだ。お前達は下の船室で休んでいればいいさ。」
「わかりました。でも、潮風にあたりたいので邪魔にならないようにしますから、上にいてもいいですか?」
「海に落ちないように気をつけろよ。」
「はい。」
そしていよいよ船が出港した。見た目は帆船だが、どうやら補助的な動力に魔石を使って動かしているようだ。
「結構揺れますね。」
「気をつけろよ。大きな波が来たりすることもあるからな。」
「はい。」
船の上を海鳥が飛んでいる。時折、海鳥達が水面に急降下しているようだ。
「ユーリ!あれって何してるの?」
するとイカルドが教えてくれた。
「この辺りには魚がたくさんいるからな。ああやって海鳥達は魚を捕獲してるんだよ。つまり、海鳥達が飛び込んだ場所には魚が沢山いるってことさ。」
「なるほどですね。そこに網を投げるんですね?」
「まあな。」
「でも一人じゃ大変にゃ!船を動かして、網を投げて、網を引き揚げるにゃ。」
確かにミーアが言った通りだ。一人でするにはあまりにも重労働だ。
「もう慣れちまったよ。」
出港して2日ほどたった頃、海の色が濃い青色にかわった。
「ここからは要注意だ。海底が深くなるから、クラーケンやシーサーペントが出るんだ。」
すると船が大きく揺れ始めた。
「揺れるにゃ!」
「みんな、海に落ちないようにしっかり掴まるんだ!」
前を見ると何やら海が盛り上がっているように見える。そこから巨大なクジラのような魔物とクラーケンが現れた。どうやら2匹が争っているようだ。巨大なクジラの脇には小さなクジラが見える。もしかしたら、クラーケンが小さなクジラを狙って襲い掛かったのかもしれない。
「ユリウス!槍を持ってきてくれ!」
「はい!」
オレは船の槍置き場からありったけの槍を持ってきた。そしてそれをイカルドに渡した。イカルドはクラーケンめがけて槍を投げた。
「死ねー!」
シュッ バキッ
クラーケンが長い足でそれをはじき返した。
「クソー!やはり無理か!」
クラーケンがクジラと戦っている間に逃げてしまう方法もある。だが、子どもを守りながら戦っているクジラが圧倒的に不利だ。
「イカルドさん。今から見ることは秘密ですから!」
イカルドが不思議そうな顔をしている。オレはその横で魔力を解放した。するとオレの身体が光り始め、身体から眩しいオーラが放たれた。必死に戦っていたクラーケンもクジラ親子もオレの魔力に気が付いたようだ。クジラは戦いをやめて海の中に潜ろうとしている。
『シャイニングビーム』
オレが手を前に出して魔法を唱えると、青白い光線がクラーケンを切り裂いた。上下2つに切り分けられたクラーケンはそのまま海に浮かんでいた。
「ふ~」
「さすがね。ユーリ。」
「あのクラーケンを回収して食べるにゃ!」
「何言ってるのよ。ミーア。」
驚いて固まっていたイカルドが声をかけてきた。
「お前さん。何者なんだ?」
「冒険者ですよ。」
「なるほどな。昨日お前さんが言っていた話は本当のようだ。俺も今の魔法を見て確信したよ。大司教のミカエリを倒したのはお前さんなんだな。」
「まあ、そうですね。」
するとサニーが言った。
「私達はアテナ様の手助けをしているんです。このことは秘密にしてくださいね。」
「アテナ様の?!すると、お前さん達は使徒様か何かなのか?」
「違いますよ。でも、イカルドさんの船に乗せてもらったのは偶然じゃないかもしれませんね。もしかしたらアテナ様が導いてくれたのかもしれないです。」
「なら、俺も頑張らなきゃな。アテナ様のお手伝いをさせてもらってるんだから。ハッハッハッハッ」
「ユリウス様。本当に魔大陸が存在しているんですか?」
「伝説の大陸にゃ。」
「ミカエリが言ったんだ。あの黒い空は悪魔王サティーニが復活する証だって。だとしたら、あの空の下に大陸があるのは間違いないだろ?」
「確かにそうね。でもユーリ、あそこに行くには船が必要よ。」
「港町まで行ったら頼んでみるさ。」
オレ達は港町ナオツに急いだ。
ナオツの街を見渡せる丘の上までやってきたが、目の前には広大な海が広がり、その上にたくさんの船が見えた。流石は港町だ。磯の香りと心地よい風が気持ちいい。
「海ね。」
「ああ、久しぶりだな~。」
幼いころに家族で行った海水浴を思い出した。
「美味しいものがたくさんありそうな予感がするにゃ!」
「ミーはいつも食べ物のことを考えてるのね。」
「当たり前にゃ!この街でしか食べられないものがきっとあるにゃ。それを食べるにゃ!」
「ミーア、食べるより先に船の手配でしょ。」
「わかったにゃ。」
港まで行くと大きな船が何隻も停留していた。そこで船乗り達に声をかけた。
「海の向こうにある島まで行きたいんですけど。」
「お前はバカなのか?海の向こうに島なんかあるわけないだろう。それに、向こうの空を見てみろ!真っ黒じゃないか!あんな嵐が来そうな場所に行けるわけがないだろう!」
どうやら海の向こうのことは知らないようだ。
「すみません。海の向こうの島に行きたいんですけど。」
「冷やかしか?島があるなんて聞いたことはないぞ!それに、沖合にはクラーケンやシーサーペントのような魔物が出るんだ!無理に決まってるだろ!」
他にもあたってみたが結果は同じだった。
「ユーリ、どうするの?このままじゃ海の向こうには行けないわよ。」
「泳いでいくにゃ!」
「ミーア!泳いでいけるわけないでしょ!」
「ソフィアの言う通りだ。無理だな。」
オレ達が途方に暮れていると、身体の大きな男性が声をかけてきた。
「お前達、海の向こうに行きたいのか?」
「はい。でも、誰も海の向こうに島があるのを信じてもらえないんです。」
「当たり前だ!海の向こうに行った奴は俺以外にはいないんだからな。」
「あなたは魔大陸に行ったことがあるんですか?」
「そうか。あの島は魔大陸って言うのか。どうりでな。頭から角を生やした連中や下半身が蜘蛛の姿の綺麗な女どもがいたわけだ。もしかしてあいつらは魔族とかいう連中なのか?」
「はい。恐らくそうだと思います。」
「シーサーペントに襲われて船が難破してな。俺はあの島の浜辺に流れ着いたんだ。そこで頭から角を生やした体の大きな連中に助けられてな。親切に帰りの船まで用意してくれたんだ。」
「そうなんですか~。」
「お前達は見たところ冒険者のようだが、あの島に何の用だ?」
サニー達がオレの顔を見た。オレは正直に言うべきかどうか考えた。
「信じてもらえるかどうかわからないんですけど、この国の大司教ミカエリは悪魔族だったんです。あの黒い空の下で悪魔族の王ルシフが復活すると、ミカエリが死ぬ間際で言ったんです。オレ達はルシフが世界を滅ぼすのを防ぎたいんです。」
船乗りの男は考え込んでいた。そして口を開いた。
「わかった。オレが船でお前達を島まで送ってやろう。」
「オレの話を信じてもらえるんですか?」
「ああ、俺もあの島の話をみんなにしたが信じてもらえなかったんだ。お前の目は嘘を言っている目じゃない。それに大司教ミカエリは行方不明らしいじゃないか。お前の言ったことはまんざら嘘でもなさそうだしな。」
それからオレ達は自己紹介をした。彼の名前はイカルド。先祖代々この街で船乗りをしているらしい。
「イカルドさん。明日の朝に出発でいいですか?」
「ああ、いいぞ。これからどうするんだ?」
「はい。せっかくなのでこの街を散策してきます。」
「宿は決めてあるのか?」
「いいえ。」
「なら、『海賊亭』に行ってみろ。料理が半端なく旨いから!俺の紹介だって言えば安くしてくれるぞ!」
「ありがとうございます。」
それからオレ達はナオツの街を散策しながら海賊亭に向かった。
「ユリウス様~。お腹空いたにゃ~。」
「私もお腹空いたわ。」
「ユリウス様。あそこに見えるのが『海賊亭』ではないでしょうか?」
ソフィアに言われて見てみると、ドクロのマークの旗が立っていた。間違いなく『海賊亭』だ。
「あの~、イカルドさんに紹介されてきたんですけど。」
「そうかいそうかい。イカルドにね~。宿泊かい?それとも食事かい?」
「両方でお願いします。」
「はいよ。なら、イカルドからの紹介だからね。宿代は安くしとくよ。」
「ありがとうございます。」
最初にお金を払って部屋に向かった。いつものようにオレとサニーは一人部屋で、ソフィアとミーアが二人部屋だ。それから1階の食堂に向かった。
「私はこの大盛定食がいいにゃ!」
「私も同じでいいわ。」
「サニー!食べきれるのか?」
「大丈夫よ。今日は凄くお腹空いてるんだから。」
オレとソフィアは普通の定食にした。そしてしばらく待っていると料理が運ばれてきた。サニーとミーアの前には、テーブルに置ききれないほどの料理が運ばれてきた。以前行った聖都カレットのレストランよりも凄い。
「食べきれるかな~?」
「だから言ったよね。」
サニーが量の多さに不安になったようだ。
「大丈夫にゃ。食べられなかったら私が食べるにゃ!」
やはり港町だけあって素材が新鮮だ。そのため、魚も焼き魚でなく生の刺身として出てきた。なんか久しぶりのお刺身だ。
「ミー!後はお願いしていい?」
「いいにゃ!私が残りをいただくにゃ!」
やはりサニーは食べきれずに、ミーアとオレが協力して食べた。
「少し食べすぎたにゃ。お腹が大きくなったにゃ。」
「なら、少し休んだら街を散策しようか。」
「そうね。」
そして街に繰り出したオレ達は、市場や商店街を見て回った。日本にいた時にはよく見かけていた干物や乾燥させた貝などが並んでいた。オレはそれを買って空間収納に仕舞った。ボルトン王国に帰った時のお土産にするつもりだ。
「ユーリ。あの店に行ってみましょうよ。」
「私も行ってみたいです。」
サニーとソフィアが指さした店には真珠やサンゴを使った装飾品が売られていた。ネックレスや指輪、ブレスレットに目が釘付けになった。
「サニー、ソフィア、ミーア。好きなのを一つずつ選んでいいよ。」
「本当?」
「やったにゃー!」
「ありがとうございます。ユリウス様。」
女性の買い物はここからが長い。あれこれと手に取って見て回り始めた。店の中を行ったり来たりしている。そして散々悩んだ挙句、最初に手に取ったものを選んでいた。心の中で、最初に気に入ったものにすれば悩む必要もないのにとも思ったが、口が裂けても言えない。
「よく似合ってると思うよ。」
「ありがとう。ユーリ。」
「ありがとうございます。大切にさせていただきます。ユリウス様。」
「大事にするにゃ!」
サニーは指輪、ソフィアはブレスレット、ミーアはネックレスを選んだようだ。それを購入して再び街を歩き始め、空が暗くなるころ宿に戻った。すると1階の食堂にはたくさんのお客がいた。宿泊客だけでなく、食事をしたり、お酒を飲んだりする客もいるのだろう。
「おはようございます。イカルドさん。」
「おお、来たか。宿はどうだった?」
「はい。料理は美味しいし、最高でした。」
「最高だったにゃ!」
「そうか。なら、よかった。」
船が大きいのに他に船員の姿が見当たらない。
「他の船員の方はいないんですか?」
「まあな。昨日言ったように、俺はこの街じゃぁ、変り者扱いされてるからな。一緒に働く奴なんぞいないさ。」
「そうなんですか。なら、オレ達がお手伝いしますよ。」
「バカ言え!船の仕事は生半可なことじゃできねぇんだ。お前達は下の船室で休んでいればいいさ。」
「わかりました。でも、潮風にあたりたいので邪魔にならないようにしますから、上にいてもいいですか?」
「海に落ちないように気をつけろよ。」
「はい。」
そしていよいよ船が出港した。見た目は帆船だが、どうやら補助的な動力に魔石を使って動かしているようだ。
「結構揺れますね。」
「気をつけろよ。大きな波が来たりすることもあるからな。」
「はい。」
船の上を海鳥が飛んでいる。時折、海鳥達が水面に急降下しているようだ。
「ユーリ!あれって何してるの?」
するとイカルドが教えてくれた。
「この辺りには魚がたくさんいるからな。ああやって海鳥達は魚を捕獲してるんだよ。つまり、海鳥達が飛び込んだ場所には魚が沢山いるってことさ。」
「なるほどですね。そこに網を投げるんですね?」
「まあな。」
「でも一人じゃ大変にゃ!船を動かして、網を投げて、網を引き揚げるにゃ。」
確かにミーアが言った通りだ。一人でするにはあまりにも重労働だ。
「もう慣れちまったよ。」
出港して2日ほどたった頃、海の色が濃い青色にかわった。
「ここからは要注意だ。海底が深くなるから、クラーケンやシーサーペントが出るんだ。」
すると船が大きく揺れ始めた。
「揺れるにゃ!」
「みんな、海に落ちないようにしっかり掴まるんだ!」
前を見ると何やら海が盛り上がっているように見える。そこから巨大なクジラのような魔物とクラーケンが現れた。どうやら2匹が争っているようだ。巨大なクジラの脇には小さなクジラが見える。もしかしたら、クラーケンが小さなクジラを狙って襲い掛かったのかもしれない。
「ユリウス!槍を持ってきてくれ!」
「はい!」
オレは船の槍置き場からありったけの槍を持ってきた。そしてそれをイカルドに渡した。イカルドはクラーケンめがけて槍を投げた。
「死ねー!」
シュッ バキッ
クラーケンが長い足でそれをはじき返した。
「クソー!やはり無理か!」
クラーケンがクジラと戦っている間に逃げてしまう方法もある。だが、子どもを守りながら戦っているクジラが圧倒的に不利だ。
「イカルドさん。今から見ることは秘密ですから!」
イカルドが不思議そうな顔をしている。オレはその横で魔力を解放した。するとオレの身体が光り始め、身体から眩しいオーラが放たれた。必死に戦っていたクラーケンもクジラ親子もオレの魔力に気が付いたようだ。クジラは戦いをやめて海の中に潜ろうとしている。
『シャイニングビーム』
オレが手を前に出して魔法を唱えると、青白い光線がクラーケンを切り裂いた。上下2つに切り分けられたクラーケンはそのまま海に浮かんでいた。
「ふ~」
「さすがね。ユーリ。」
「あのクラーケンを回収して食べるにゃ!」
「何言ってるのよ。ミーア。」
驚いて固まっていたイカルドが声をかけてきた。
「お前さん。何者なんだ?」
「冒険者ですよ。」
「なるほどな。昨日お前さんが言っていた話は本当のようだ。俺も今の魔法を見て確信したよ。大司教のミカエリを倒したのはお前さんなんだな。」
「まあ、そうですね。」
するとサニーが言った。
「私達はアテナ様の手助けをしているんです。このことは秘密にしてくださいね。」
「アテナ様の?!すると、お前さん達は使徒様か何かなのか?」
「違いますよ。でも、イカルドさんの船に乗せてもらったのは偶然じゃないかもしれませんね。もしかしたらアテナ様が導いてくれたのかもしれないです。」
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