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大聖堂での戦い(2)
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ソフィアとミーアはオレを探して階段を駆け上がった。その頃オレは、ミカエリの魔力を辿って最上階まで来ていた。そこに膨大な魔力を秘めた男が立っていた。
「ハッハッハッハッ ようやく来たか!アテナの犬よ!」
「やはりお前は悪魔族だな!」
「我は悪魔族四天王の一人ミカエリだ!向こうの空を見てみるがいい。」
ミカエリに言われて見てみると、空が真っ黒の闇に包まれている。
「もうじきルシフ様が魔王として復活するのだ。これから世界は我ら悪魔族のものだ。」
「別にルシフとかいうのが復活しても、世界が悪魔族のものになるわけないだろ。」
「お前はルシフ様の力を知らないのだ。あのお方はアテナと対等に戦えるほどの力を持っているのだ。わかるか!ルシフ様より強い者などこの世界には存在しないのだ。ハッハッハッハッ 貴様の首をルシフ様への手土産にするとしようか。」
“ミカエリの言葉に嘘がないなら、もしかしたらルシフはオレよりも強いのかもしれない。でも、オレは逃げない!創造神様と約束したんだから!絶対に逃げない!”
ミカエリの身体から真っ黒なオーラが溢れ出てきた。このまま戦いになれば、大聖堂が破壊されて中にいる信者たちに多数の死傷者が出てしまうかもしれない。オレは最上階全体に結界を張った。
「なるほどな。他人を巻き込みたくないということか。甘いな。」
ミカエリの身体が黒い靄となってオレの方に向かってくる。オレは自分の身体の周りに結界を張ったが、体のいたるところから血が噴き出した。
グハッ
「ハッハッハッハッ 貴様の結界など我には通用せぬわ!」
再びミカエリの身体が黒い靄となっていく。オレは魔法を唱えた。
『グラビティー』
だが、黒い靄は先ほどと同じようにオレに襲い掛かる。剣で振り払おうとするがそれもできない。再び体中から血が噴き出した。
グハッ
“一体どうなっているんだ?!こんな技は初めてだ!このままじゃまずい!”
するとそこにソフィアとミーアがやってきた。どうやら二人はオレの結界の中に入れずに、外から様子を見ている。まあ、その方が二人が安全だ。
「ユリウス様~!」
二人の叫び声が聞こえてきた。奈落にいた時は何度も何度も死んだが、常に一人きりで誰も心配してくれるものがいなかった。でも、今は仲間がいる。ここで負けるわけにはいかない。オレは身体の奥底から湧き上がる力をそのまま解放した。
「うお———————!!!」
全身から眩しい光が放たれ、結界の外にある壁や天井にまでひびが入っていく。
「どうやら貴様のことを甘く見ていた様だ。まさかここまでの力を持っていようとはな。やはり危険だ。貴様はここで殺しておいた方がよさそうだ。」
再びミカエリの身体が黒い靄へと変化していく。その時、耳元に声が聞こえた。
『悪魔族は精神生命体。実態なき存在よ。』
“そうだった。ミカエリは悪魔族だ。物理攻撃を加えても無駄だ。ならば、存在そのものを消滅させればいいだけだ。”
オレは頭の中で存在を消し去る魔法を探した。そして見つけた魔法を黒い靄に向かって放った。
『エリメネイト』
すると、オレの身体から出ていた神々しいオーラが黒い靄を包み込み始めた。たまらずミカエリが実体化した。
「な、なんだ!これは!来るな!来るな!」
だが、ミカエリの身体が完全に包み込まれた瞬間、すべてがその場から消え去った。
「ふ~!終わった~!」
気が抜けたせいか、意識がもうろうとする。血を流しすぎたようだ。
“なんか久しぶりに苦戦したな~。”
オレの近くにソフィアとミーアが駆け寄ってきた。
「ソフィア、ミーア。子ども達は?」
「全員無事にゃ!」
「サニー様が大司教様達と城外に避難させています。」
「そうか~。悪い。ちょっとここで休ませてくれるかな。」
バタン
気がつくとオレはベッドの上にいた。ベッドの脇にはサニー、ソフィア、ミーアがいる。
「ああ、気が付いたにゃ!」
「ユーリ!大丈夫?」
「ここは?」
「大聖堂の診療室よ。」
「そっかー。子ども達は?」
「大司教様達と一緒に郊外の教会に行ったわ。」
「よかったー。」
オレはベッドから起き上がり、礼拝堂に向かった。アテナ様に報告するためだ。そして、みんなでアテナ様の石像の前で手を合わせた。
『ありがとう。ユリウス、サニー、ソフィア、ミーア。』
4人にははっきりとアテナ様の声が聞こえた。ソフィアとミーアは驚いたようだ。
「私にもアテナ様のお声が聞こえました!」
「私もにゃ!」
「きっとソフィアもミーアも、オレやサニーと同じようにアテナ様に認められたってことだよ。」
「やったにゃー!」
二人が本当に嬉しそうだ。それからオレ達は大司教達のいる郊外の教会に向かった。
「ご無事でよかったです。ユリウス殿。」
「ええ、なんとか。」
「ユリウス様に怪我をさせるとは、悪魔族のミカエリはそれほど強かったのですか?」
今までのオレの戦いを見てきたカーリー隊長にとっては、オレが苦戦するのが意外だったのかもしれない。
「はい。相当強かったですよ。何とか紙一重で勝つことができましたけど。」
「我々では歯が立たなかったでしょうな。ユリウス様がいてくれて本当に助かりました。」
子ども達は元通り無邪気に遊んでいるようだ。
「ユリウス様、サニー様、ソフィア様、ミーア様、ありがとうございました。私も子ども達も全員無事でいられたのは、皆さんのお蔭です。」
「いいえ。カノンさんが子ども達を守って励ましたからですよ。」
バートン司教がカノンの肩を抱いた。
「私は君がいなくなって分かったんだ。私は教皇などにならなくてもいい。子ども達や君だけが傍にいてくれたら、それ以上は何もいらないよ。」
「司教様、それは違います。司教様はこの子達だけでなく、世界中の子ども達や世界中の人々を幸せに導くのがお役目なんです。それがアテナ様の希望なのですから。」
「そうだね。でも、私一人では・・・」
「私がいます。私が司教様のお側でお支えします。」
「ありがとう。カノン。」
その日は子ども達と一緒に過ごして、翌日、オレ達は大聖堂に向かった。大司教ミカエリが行方不明となり、街中は大騒ぎになっていた。そこでオレ達は大聖堂に急いだ。大聖堂に到着すると、教皇選挙のために集まっている大司教や司教達に前日までに起こっていた様々な出来事を説明した。すると、司教達の中から疑問の声があがった。
「グレゴリー大司教様が言った通りなら、大司教ミカエリ様は悪魔族の四天王だったわけですね。そんな恐ろしい存在をどうやって討伐されたんですか!私には信じられません!」
「そうですよ。ゲルタ司教の言う通りです。それに、他にも悪魔族達がいたんですよね。悪魔族が一体現れただけでも、どの国も存亡の危機になるんですよ。どうにも信じられないのですが。」
すると中には批判的な意見も出た。
「グレゴリー大司教は、自分の推薦するバートン司教を教皇選挙で勝たせるためにミカエリ大司教を幽閉したんじゃないでしょうな。」
大聖堂の中でみんながガヤガヤとしゃべり始めた。どうやら言葉だけでは納得しないようだ。するとサニーがみんなの前に出て言った。
「私はボルトン王国のアストン公爵家のサニー=ボルトンです。私にはアテナ様の声が聞こえます。アテナ様は、自分が祭られているこの大聖堂が悪魔族の支配下にあったことを悲しんでおられたのです。ですが、私とここにいる仲間達でこの神聖な大聖堂を悪魔族の手から取り返したことで、物凄く喜んでおられました。」
サニーの言葉でいったんは落ち着いたが、再び不信感を持った声が聞こえてくる。
「ボルトン王国って言えばグレゴリー大司教のいる国だろ?」
「そうだな。」
「そこの公爵様の御令嬢が言ってもな~。それに、確かあの国には聖女と言われている王女がいたんじゃないか?」
「聞いたことがあるぞ。マーガレット王女とか言っていたよな。」
どうやらサニーの言葉でも納得できない者達がいるようだ。
“仕方ないな~。”
オレは魔力を開放した。すると、辺り一帯に暖かい風が吹き始め、彼らの前から神々しい光が照らされた。オレは飛行魔法を利用して浮き上がった。その様子を見て大司教達も司教達もオレに向かって平伏した。恐らく天使か何かと誤解しているのだろう。オレはその場にいる大司教と司教達に言った。
「グレゴリー大司教とサニーが言ったことは事実だ。みんなは帝国の件を知っているだろう。あの国でも宰相のビスマンが悪魔族の四天王だった。それをここにいるオレとサニー達で討伐したんだ。信じられないようなら向こうの空を見てみるがいい。」
オレが指さした空は真っ黒だ。
「みんなにも見えるだろう。もうすぐ悪魔族の王サティーニが復活するんだ。悪魔族を弱体化させるには、この世界から悲しみ、憎しみ、苦しみ、嫉妬心、あらゆる負の感情を排除する必要がある。それができなければこの世界は滅ぶだろう。そうならないためにも、新たな教皇にはアテナ様の愛と優しさを実践できる者になってもらうしかない。バートン司教はこの聖都カレットの郊外で、親のいない子ども達や飢えて困っている人々の救済をしてきた。自分達の生活も幸せもすべて犠牲にしてだ。」
オレが話を続けようとすると、誰かが叫んだ。
「私はバートン司教についていきます。」
「私もだ!」
「私も協力させてください!」
バートン司教の近くに人が集まり始めた。どうやら選挙をすることなく次期教皇はバートン司教になりそうだ。
「さすがはユリウス殿です。説得力が違いますな。」
「オレは本当のことを言ったまでです。」
「ですが、悪魔王が復活するとなると大変なことになりますよ。」
「ええ、わかっています。世界に影響が出る前に何とかしようと思っています。」
「そうですか。ところで、方角は・・・ま、まさか魔大陸ですか?!」
「恐らく、そうだと思います。」
「魔族がサティーニの支配下に置かれるようなことがあればとんでもないことになりますよ。」
「そうですね。オレ達はここが落ち着き次第魔大陸に向かいます。」
「わかりました。」
その後、大司教と司教達の話し合いが行われ、新たな教皇にバートン司教が就任することが決まった。バートン司教とカノンが運営していた教会と、子ども達の施設は聖都の中に移されることになった。
「バートン司教様。これからが大変ですけど、無理せずに頑張ってください。」
「何から何までありがとうございました。」
「ハッハッハッハッ ようやく来たか!アテナの犬よ!」
「やはりお前は悪魔族だな!」
「我は悪魔族四天王の一人ミカエリだ!向こうの空を見てみるがいい。」
ミカエリに言われて見てみると、空が真っ黒の闇に包まれている。
「もうじきルシフ様が魔王として復活するのだ。これから世界は我ら悪魔族のものだ。」
「別にルシフとかいうのが復活しても、世界が悪魔族のものになるわけないだろ。」
「お前はルシフ様の力を知らないのだ。あのお方はアテナと対等に戦えるほどの力を持っているのだ。わかるか!ルシフ様より強い者などこの世界には存在しないのだ。ハッハッハッハッ 貴様の首をルシフ様への手土産にするとしようか。」
“ミカエリの言葉に嘘がないなら、もしかしたらルシフはオレよりも強いのかもしれない。でも、オレは逃げない!創造神様と約束したんだから!絶対に逃げない!”
ミカエリの身体から真っ黒なオーラが溢れ出てきた。このまま戦いになれば、大聖堂が破壊されて中にいる信者たちに多数の死傷者が出てしまうかもしれない。オレは最上階全体に結界を張った。
「なるほどな。他人を巻き込みたくないということか。甘いな。」
ミカエリの身体が黒い靄となってオレの方に向かってくる。オレは自分の身体の周りに結界を張ったが、体のいたるところから血が噴き出した。
グハッ
「ハッハッハッハッ 貴様の結界など我には通用せぬわ!」
再びミカエリの身体が黒い靄となっていく。オレは魔法を唱えた。
『グラビティー』
だが、黒い靄は先ほどと同じようにオレに襲い掛かる。剣で振り払おうとするがそれもできない。再び体中から血が噴き出した。
グハッ
“一体どうなっているんだ?!こんな技は初めてだ!このままじゃまずい!”
するとそこにソフィアとミーアがやってきた。どうやら二人はオレの結界の中に入れずに、外から様子を見ている。まあ、その方が二人が安全だ。
「ユリウス様~!」
二人の叫び声が聞こえてきた。奈落にいた時は何度も何度も死んだが、常に一人きりで誰も心配してくれるものがいなかった。でも、今は仲間がいる。ここで負けるわけにはいかない。オレは身体の奥底から湧き上がる力をそのまま解放した。
「うお———————!!!」
全身から眩しい光が放たれ、結界の外にある壁や天井にまでひびが入っていく。
「どうやら貴様のことを甘く見ていた様だ。まさかここまでの力を持っていようとはな。やはり危険だ。貴様はここで殺しておいた方がよさそうだ。」
再びミカエリの身体が黒い靄へと変化していく。その時、耳元に声が聞こえた。
『悪魔族は精神生命体。実態なき存在よ。』
“そうだった。ミカエリは悪魔族だ。物理攻撃を加えても無駄だ。ならば、存在そのものを消滅させればいいだけだ。”
オレは頭の中で存在を消し去る魔法を探した。そして見つけた魔法を黒い靄に向かって放った。
『エリメネイト』
すると、オレの身体から出ていた神々しいオーラが黒い靄を包み込み始めた。たまらずミカエリが実体化した。
「な、なんだ!これは!来るな!来るな!」
だが、ミカエリの身体が完全に包み込まれた瞬間、すべてがその場から消え去った。
「ふ~!終わった~!」
気が抜けたせいか、意識がもうろうとする。血を流しすぎたようだ。
“なんか久しぶりに苦戦したな~。”
オレの近くにソフィアとミーアが駆け寄ってきた。
「ソフィア、ミーア。子ども達は?」
「全員無事にゃ!」
「サニー様が大司教様達と城外に避難させています。」
「そうか~。悪い。ちょっとここで休ませてくれるかな。」
バタン
気がつくとオレはベッドの上にいた。ベッドの脇にはサニー、ソフィア、ミーアがいる。
「ああ、気が付いたにゃ!」
「ユーリ!大丈夫?」
「ここは?」
「大聖堂の診療室よ。」
「そっかー。子ども達は?」
「大司教様達と一緒に郊外の教会に行ったわ。」
「よかったー。」
オレはベッドから起き上がり、礼拝堂に向かった。アテナ様に報告するためだ。そして、みんなでアテナ様の石像の前で手を合わせた。
『ありがとう。ユリウス、サニー、ソフィア、ミーア。』
4人にははっきりとアテナ様の声が聞こえた。ソフィアとミーアは驚いたようだ。
「私にもアテナ様のお声が聞こえました!」
「私もにゃ!」
「きっとソフィアもミーアも、オレやサニーと同じようにアテナ様に認められたってことだよ。」
「やったにゃー!」
二人が本当に嬉しそうだ。それからオレ達は大司教達のいる郊外の教会に向かった。
「ご無事でよかったです。ユリウス殿。」
「ええ、なんとか。」
「ユリウス様に怪我をさせるとは、悪魔族のミカエリはそれほど強かったのですか?」
今までのオレの戦いを見てきたカーリー隊長にとっては、オレが苦戦するのが意外だったのかもしれない。
「はい。相当強かったですよ。何とか紙一重で勝つことができましたけど。」
「我々では歯が立たなかったでしょうな。ユリウス様がいてくれて本当に助かりました。」
子ども達は元通り無邪気に遊んでいるようだ。
「ユリウス様、サニー様、ソフィア様、ミーア様、ありがとうございました。私も子ども達も全員無事でいられたのは、皆さんのお蔭です。」
「いいえ。カノンさんが子ども達を守って励ましたからですよ。」
バートン司教がカノンの肩を抱いた。
「私は君がいなくなって分かったんだ。私は教皇などにならなくてもいい。子ども達や君だけが傍にいてくれたら、それ以上は何もいらないよ。」
「司教様、それは違います。司教様はこの子達だけでなく、世界中の子ども達や世界中の人々を幸せに導くのがお役目なんです。それがアテナ様の希望なのですから。」
「そうだね。でも、私一人では・・・」
「私がいます。私が司教様のお側でお支えします。」
「ありがとう。カノン。」
その日は子ども達と一緒に過ごして、翌日、オレ達は大聖堂に向かった。大司教ミカエリが行方不明となり、街中は大騒ぎになっていた。そこでオレ達は大聖堂に急いだ。大聖堂に到着すると、教皇選挙のために集まっている大司教や司教達に前日までに起こっていた様々な出来事を説明した。すると、司教達の中から疑問の声があがった。
「グレゴリー大司教様が言った通りなら、大司教ミカエリ様は悪魔族の四天王だったわけですね。そんな恐ろしい存在をどうやって討伐されたんですか!私には信じられません!」
「そうですよ。ゲルタ司教の言う通りです。それに、他にも悪魔族達がいたんですよね。悪魔族が一体現れただけでも、どの国も存亡の危機になるんですよ。どうにも信じられないのですが。」
すると中には批判的な意見も出た。
「グレゴリー大司教は、自分の推薦するバートン司教を教皇選挙で勝たせるためにミカエリ大司教を幽閉したんじゃないでしょうな。」
大聖堂の中でみんながガヤガヤとしゃべり始めた。どうやら言葉だけでは納得しないようだ。するとサニーがみんなの前に出て言った。
「私はボルトン王国のアストン公爵家のサニー=ボルトンです。私にはアテナ様の声が聞こえます。アテナ様は、自分が祭られているこの大聖堂が悪魔族の支配下にあったことを悲しんでおられたのです。ですが、私とここにいる仲間達でこの神聖な大聖堂を悪魔族の手から取り返したことで、物凄く喜んでおられました。」
サニーの言葉でいったんは落ち着いたが、再び不信感を持った声が聞こえてくる。
「ボルトン王国って言えばグレゴリー大司教のいる国だろ?」
「そうだな。」
「そこの公爵様の御令嬢が言ってもな~。それに、確かあの国には聖女と言われている王女がいたんじゃないか?」
「聞いたことがあるぞ。マーガレット王女とか言っていたよな。」
どうやらサニーの言葉でも納得できない者達がいるようだ。
“仕方ないな~。”
オレは魔力を開放した。すると、辺り一帯に暖かい風が吹き始め、彼らの前から神々しい光が照らされた。オレは飛行魔法を利用して浮き上がった。その様子を見て大司教達も司教達もオレに向かって平伏した。恐らく天使か何かと誤解しているのだろう。オレはその場にいる大司教と司教達に言った。
「グレゴリー大司教とサニーが言ったことは事実だ。みんなは帝国の件を知っているだろう。あの国でも宰相のビスマンが悪魔族の四天王だった。それをここにいるオレとサニー達で討伐したんだ。信じられないようなら向こうの空を見てみるがいい。」
オレが指さした空は真っ黒だ。
「みんなにも見えるだろう。もうすぐ悪魔族の王サティーニが復活するんだ。悪魔族を弱体化させるには、この世界から悲しみ、憎しみ、苦しみ、嫉妬心、あらゆる負の感情を排除する必要がある。それができなければこの世界は滅ぶだろう。そうならないためにも、新たな教皇にはアテナ様の愛と優しさを実践できる者になってもらうしかない。バートン司教はこの聖都カレットの郊外で、親のいない子ども達や飢えて困っている人々の救済をしてきた。自分達の生活も幸せもすべて犠牲にしてだ。」
オレが話を続けようとすると、誰かが叫んだ。
「私はバートン司教についていきます。」
「私もだ!」
「私も協力させてください!」
バートン司教の近くに人が集まり始めた。どうやら選挙をすることなく次期教皇はバートン司教になりそうだ。
「さすがはユリウス殿です。説得力が違いますな。」
「オレは本当のことを言ったまでです。」
「ですが、悪魔王が復活するとなると大変なことになりますよ。」
「ええ、わかっています。世界に影響が出る前に何とかしようと思っています。」
「そうですか。ところで、方角は・・・ま、まさか魔大陸ですか?!」
「恐らく、そうだと思います。」
「魔族がサティーニの支配下に置かれるようなことがあればとんでもないことになりますよ。」
「そうですね。オレ達はここが落ち着き次第魔大陸に向かいます。」
「わかりました。」
その後、大司教と司教達の話し合いが行われ、新たな教皇にバートン司教が就任することが決まった。バートン司教とカノンが運営していた教会と、子ども達の施設は聖都の中に移されることになった。
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「何から何までありがとうございました。」
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