最強転生者が神になるまで

甲斐源氏

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不安いっぱいの異世界

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 オレは神様と思われる老人によって自分がすでに死んだことを教えられた。そして、厳しい修行を乗り越え、異世界に放り出された。


“痛てて! ここはどこだ?”


 オレは周りを見渡した。見渡す限り草原だ。次に自分の身なりや所持品を確認した。なんか服装が変わっている。豪華ではないが、動きやすい。それに、背中に洞窟で手に入れた剣もある。指には指輪がはめられていた。ポケットの中を探すと、袋に入ったコインと紙が入っていた。紙を開くと不思議な文字だが、なぜかオレにも読めた。


『餞別代りに服を新しくしておこう。その剣は普通の剣ではないからなくさないようにな。指輪はすでに名前までつけてるようじゃから持っていくがよい。魔法の使い方を教えてくれるじゃろうから、大切にせいよ。じゃあ、またあの世でな。』 


“神様もひどいな。どうせなら街に近いところが良かったのに。どっちに行けばいいのかわからないじゃないか。”


“リン。ここはどこだ?”

“ここはアルメデス王国です。”

“ここから一番近い町はどっち?”

“この道を東に向かうとピッツデリーという街があります。ですが、マスター。地図を開けばわかりますよ。”


 リンに指摘されて気が付いた。そうだ。頭にマップを開けばよかったんだ。オレは頭にマップを開いて、街まで徒歩で行くことにした。歩いてる途中で、オレはリンに確かめたいことがあった。


“リン。オレって修行したんだよな? どれくらい強くなってるんだ?”

“かなり強いと思いますよ。マスターが戦っていたあの巨大な蛇は、普通の人族では相手になりませんから。”

“そうなのか?”

“それに、マスターは身体能力だけでなく、魔力量も膨大になっています。ドラゴンと戦っても負けることはないでしょう。”

“えっ! そんなに強くなってるの?”

“私が指導したんですから、そのぐらい当然です。”

“リンって何者なの?”

“・・・・・”


 しばらく歩くと喉が渇いた。それに空からの日差しも強い。少し休憩しようと、街道沿いの木陰に入って休むことにした。魔法で手から水を出してのどを潤していると、オレの近くに鳥が集まってくる。オレは手のひらに水をためて小鳥達に水をあげた。


“可愛いもんだな~。でも、人を怖がらないなんて、この世界は平和なんだろうな~。”

“違います。小鳥達はマスターだから警戒しないのです。”

“オレだからなの?”

“はい。”


 小鳥達はオレの手や肩にたかって囀り始めた。まるで歌でも歌っているようだ。歌うといっても、きれいな声で鳴いているだけだが、オレには小鳥たちが幸せそうに歌っているように思えたのだ。

 そこに1台の馬車が通りかかった。


“この世界は馬車なのか? 生まれて初めて見たよ。”


“マスターの世界のように文明が発達した世界ではないんですよ。”


 窓からこちらを見て手を振っている。小さな女の子だろうか。オレも手を振った。

 
“そうか~。この世界は車がないんだ。もしかして、ゲームのような世界なのかな~? まっ、剣がある時点で決定だよな。”


 少し休んで楽になったオレは、再び街に向かって歩き出した。1時間ほど歩いたところで、城壁が見えてきた。言葉が通じるかどうか不安だったが、オレは街に入るための列に並んだ。目の前の人達が何か話をしている。耳を澄まして聴いていると、なぜかその会話がオレに理解できた。まるで、日本語のようだ。

 そして、やっとオレの順番が来た。


「どこから来た?」

「草原からですけど。」

「草原? 身分証を見せてみろ。」

「ないですけど。」

「ない? ちょっとこっちにこい!」


 オレは門番に詰所まで連れていかれた。


「この水晶に手をかざしてみろ。犯罪者であれば反応するからな。」


 オレが水晶に手をかざしても何の反応もない。


「犯罪者ではないようだな。だが、怪しいな~。」


 オレは、ここでよくあるパターンを使うことにした。


「すみません。気を失って何も覚えてないんです。気が付いたら草原に寝てて。」

「何も盗まれなかったのか?」

「はい。気づいたら馬車が目の前を通っていきましたけど。」

「ああ、領主様の馬車だな。お前の事情は分かった。ならば、ここで身分証を発行してやろう。覚えてることだけ記入すればいい。銀貨1枚だ。」


 オレは詰所の中で紙を渡された。自分では日本語で書いたつもりだが、書かれた文字は見知らぬ文字だった。


「そうか。ケンというのか。この街にも医者がいるから行ってみればいいさ。」

「ありがとうございます。」


 街に一歩入って驚いた。中世のヨーロッパの風景だ。よくアニメで見た映像と、自分の目に映る映像が重なって見える。


“本当に異世界なんだな~! なんかワクワクしてきたぞ~。”


 街を歩く人々の姿に感動する。まず、髪の色が金、銀、茶、青、緑とカラフルだ。だが、黒色の髪はいない。目の色も青、緑、茶とこちらもカラフルだが、やはり黒はいない。オレは、まだ自分の姿を確認していないので少し不安になった。


“もしかしてオレって黒髪で黒い瞳なのかな~? 目立つなって言われたのに、いきなり目立っちゃうよ。”


 街を歩く人々の中に、頭から耳の出ている人達がいる。最初は帽子かと思ったが、よく見るとやはり耳だ。さらに、ゲームやアニメの世界でおなじみの耳の尖った人達もいる。それに体形がずんぐりした頑丈そうな小人のような人達もいた。


“多分、あの人達って獣人やエルフ、それにドワーフだよな~? ってことは魔族もいるのかな~?”

“いますよ。ただ、魔族は他の種族と交流を持ちません。”


 頭の中でリンと話をしていると、通行人の邪魔になってしまったようだ。


「君、道の真ん中でキョロキョロしてると危ないよ!」

「あっ、すみません。」


 なんか、人がやたらと多い。オレはキョロキョロしながら通りを散策し始めた。服を売っている店、薬のようなものを売っている店、レストランや食堂、それに店先にたくさんの剣や小刀を並べている武器屋、いろんな店がある。大きい通りには屋台も出ていた。


“どうしようかな~。寝る場所の確保をしないと、それにお金を稼がないとな~。”


 オレは情報収集のため屋台で肉串を買って、そこの店主に聞いてみた。


「肉串1本いくらですか?」

「大銅貨3枚だよ。」


 ポケットの袋には金貨と銀貨が入っている。とりあえず銀貨を1枚渡しておつりをもらった。おつりが大銅貨7枚だ。ということは、銀貨1枚で大銅貨10枚の計算だ。


「聞きたいんだけど。」

「何だい?」

「オレ、この街に来たばかりでよくわからないんだけど。仕事ってどうやって探すの?」

「仕事か~? 背中に剣を背負ってるからてっきり冒険者だと思ったけど、違うの か? まっ、いいや。普通の仕事なら商業ギルドだな。護衛や警備、それに魔物の討伐なら冒険者ギルドだ。」

「ありがとう。それと、宿屋がどこにあるか知ってる?」

「ああ、この通りの1本裏の通りに宿屋が何軒かあるぞ。」

「ありがとう。肉串もう1本頂戴。」

「はいよ。」


“とりあえず、宿屋を探しに行くかな。”


 少し先の角を曲がろうとしたときに、3人組の人相の悪い男達とぶつかってしまった。


「よぉ、兄ちゃん。痛かったぞ。」

「すみませんでした。」

「すみません? それだけか? 謝ってすむと思っているのか!」
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