ゾンビ転生〜パンデミック〜

不死隊見習い

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Season3

謀反ーBetrayー

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「ビル、なにを!?」

 エストレアの問いかけにビルは笑みを返す。

「悪いねエストレア殿。つまりそういうことだ」

 エストレアは魔力の刃をビルに向けるも彼は国王を盾にし牽制する。それを見た彼女は剣を下げるほかなかった。

「エストレア!!儂のことはよい!此奴らを倒せ!!」
「しかし……!?」

 国王の鬼気迫る表情にエストレアは再び剣を向ける。

「おっと、そうはいかんぜ」
「お姉ちゃん……」

 その声にエストレアは固まる。いつの間にか背後に回っていた立派なアフロヘアーに口髭を携えた男、ハーゲンがルーナとジョシュの首元に二刀の剣を当てていた。側にいたチャックとヤンも今になって気づいた様子である。

「おまえ……いつの間に!?」
「動くなよ。子供を殺すのは趣味じゃないが俺なら3秒もあればおまえ達ごと葬れる」

 二人はその言葉に偽りがないことを悟り、動けなかった。

「おい、お前も武器を離せ」

 バーゲンは未だに二人の隙を窺うエストレアに言葉を投げる。しかし彼女はバーゲンを睨みつけたまま固まっていた。
 子供達に手を出したら殺す。彼女の意を汲み取ったバーゲンもまた動けずにいた。

「もういいエストレア……。武器を下ろしてくれ」

 国王の言葉ににエストレアは剣を床に捨てる。それを見たメルセデスは部下達に命令し、国王達を拘束させると一同の前にニヤニヤと薄ら笑いを浮かべて立った。

「皆さんのお陰で誰の血も流すことなく制圧が完了致しました。ご協力感謝します」

 満足気に手を叩くメルセデスにエストレア達は冷ややかな眼差しを送った。
 その様子を意にも介さずメルセデスは一同を見渡す。

「ビル、シリウスは遠ざけたようだな」
「ああ、ご命令通りにな」

 メルセデスはシリウスの存在がこの場を制圧することに大きなリスクとなると判断していた。

「しかし、警戒しすぎではないのか?教会が言うには奴は弱体化しているのだろう?」

 バーゲンの問いかけにビルが答える。

「ポラリスという若い兵士がいてね。これが中々骨があり、シリウス殿も触発されたようで僅かだが力を取り戻したのだよ」
「そういうわけだバーゲン」

 ビルの説明を聞くもバーゲンは納得し難いような顔をした。

「……まあ、何でもいいが。約束通り奴の首は俺がもらうぜ」

 “死の霧”の二つ名を持つバーゲンは残忍さと狡猾さを合わせ持ち強い者をどんな手を使ってでも自身の手で殺すことを喜びとしていた。

「まったく貴方は相変わらず意地汚いですな」

 整えられた顎髭を携えた男、“地獄男爵”フォードが呆れ返る。この男は貴族の出身であり正統な戦いを好むが相手が女や子供であろうと平然と手を下す残酷性を持っていた。

「しかしそのポラリスという兵士、興味深いな」
「なに、ただの正義感が強いだけの雑魚だよ。まあ今頃は死んでいるか化け物になっているがな」

 その言葉を聞きエストレアは殺意を剥き出しにするもすぐに戦士達に押さえつけられた。彼女はそれでもビルに向かって叫ぶ。

「ビル……何故裏切った!!」
「裏切る?悪いが私は元々メルセデス殿側でね」
「何故じゃ。お主はダイムラーの右腕のはず!!」

 国王の問いかけにビルはため息混じりに答える。

「勘違いしているようですが私は別に秩序がどうだとか名誉が何だとかで戦っている訳ではないんですよ。以前はダイムラー殿についていた方が金入りが良かった。それが今はメルセデス殿の方が良くなった。ただそれだけの話です」
「……食糧庫の場所を伝えたのもお前か……」
「ええ。ムサシ殿がいた事は予想外でしたがお陰でカヲルを消すことが出来ました。彼女は勘がよく、我々の計画に気づく可能性がありましたから」

 戦士ギルドのメンバーであり、ゾンビ化したムサシに殺されたカヲルは反王権派の活動に以前から目を光らせており、このゾンビ騒動が発端に活発化することを危惧していた。

 その時、エストレアにシリウスからの念話が入った。

『エストレア、そっちの様子はどうだ』
『シリウス!!まだ来るな、ビルが裏切った!」
『何だと!!』

 予想外の出来事にシリウスは焦りの表情を浮かべる。

『全員捕らえられた。今来ても人質を取られるだけだ。」
『しかし……』
『安心しなよシリウス。まだ殺さないからさ」

 エストレアの頭を地面に押さえつけながらメルセデスが念話に割り込む。

『メルセデス……貴様……』
『こうして話すのは久しぶりだね。さっきは魔法をどうも」
『……皆をどうするつもりだ』
『だからまだ殺さないと言っているだろう。こう見えて俺も勇者アルタイルは尊敬しているんだぜ。この王室を血で汚したくない」

 部下に命令すると国王達を無理やり立たせ、移動を開始する。

『城から北の闘技場。そこで待ってるからさ。そうだなぁ、ランチの前には処刑を始めるからせいぜい助けに来てくれよ勇者様』

 メルセデスから一方的に念話を切られるとシリウスは背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。
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