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4話
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あのあと仕事があるエイデンと別れ、何事もなくベッドで眠りにつく。その夢の中で二人の少女が楽しそうに話していた。
「…それでね!アニタのお兄さんにバレちゃったの!」
「え!それは本当ですか!?」
大丈夫でしたか?と上目遣いで心配するアニタにアキは思わず顔が緩む。
「もうほんっとに…かわいい~!」
そう叫んで彼女に抱きつこうとすると持ち前の運動神経でスッと避けられ、抱きつこうと伸ばした手の甲をペシッと軽く叩かれた。
「痛かったでしょうが私はアキを心配しているのです!分かっていますか!?」
「分かってるけど、私は推しが可愛くて仕方がないの!」
「…お、推し??」
「そう!最初は少し厳しそうな印象だったけど凄く優しいし、めっちゃ可愛い!エイデン兄様がシスコンになる理由もめちゃくちゃ分かる!」
まだまだ熱く語るアキからアニタは少し離れて困惑しながらも真面目に聞いていた。
「推し?というのはとにかく分かりました。それよりお兄様にバレたことはどうなったのですか?」
「それがね案外冷静だった。やっぱりねって」
「…なんというか、お兄様らしいですわ」
アニタはその光景を思い浮かべているのかエイデンと似た考え方をして納得する。
「アハハッ!確かにね。あっ、でもねアニタが魔物討伐騎士団になりたいっていうの聞いたら卒倒しそうな勢いだったよ」
「それは言ったことありませんもの。驚くのも当然ですわ」
二人で一緒に声を上げて笑い、エイデンの話で盛り上がる。ひとしきり話したあとアキは聞かなければならないことを思い出した。
「あ、そうだ!ねぇアニタ、魔物討伐騎士団ってどうやってなるの?」
「そうですね…実技試験が主です」
「やっぱりか。でも筆記はないの?」
「それがあるのは王家の騎士や文官ですわ」
「王家かーそれにはなりたくないんでしょ?」
「えぇ。確かに王家の騎士もお強いですが私が心からなりたいと思ったのは魔物を倒す騎士なのです」
「じゃあ私も一緒に頑張る。アニタになら背中を預けられるよ」
「…!私もアキを信じていますわ!」
「フフッ。あ、あとねもう一つ聞きたいんだけど今アニタに婚約者って…いる?」
「はい、いますよ」
「その人とはどうするの?」
「婚約破棄…ってところでしょうか?ですが、あちらからしてくれるのを待ちます」
「なんで?」
「相手の評判を悪くするからです。何か問題があったときにするものですからね」
「その相手って誰なの?」
「それは…」
次に続こうとした言葉を聞こうとしていた瞬間意識が切れ、目を開くと朝になっていた。
「…転生したときも思ったけどなんでこうもタイミングが悪いんだろう」
この世界の小説を買ったのに中身も読めずただ転生したが今のところは順調に進んでいる。しかし今日はいつもと違って胸騒ぎを覚えた。気のせいだと思っているとコンコンとドアを叩く音が鳴りゆっくりと開く。
「起きたかい?アニタ」
「おはようエイデン兄様」
「うん、おはよう!突然だけど今日は君の婚約者が訪れるそうだ」
「…私の婚約者って誰なの?」
「あれ?アニタから聞いてない?君の婚約者はこの王国の第2王子であるローウェン・イニーツィオ様だよ」
「…それでね!アニタのお兄さんにバレちゃったの!」
「え!それは本当ですか!?」
大丈夫でしたか?と上目遣いで心配するアニタにアキは思わず顔が緩む。
「もうほんっとに…かわいい~!」
そう叫んで彼女に抱きつこうとすると持ち前の運動神経でスッと避けられ、抱きつこうと伸ばした手の甲をペシッと軽く叩かれた。
「痛かったでしょうが私はアキを心配しているのです!分かっていますか!?」
「分かってるけど、私は推しが可愛くて仕方がないの!」
「…お、推し??」
「そう!最初は少し厳しそうな印象だったけど凄く優しいし、めっちゃ可愛い!エイデン兄様がシスコンになる理由もめちゃくちゃ分かる!」
まだまだ熱く語るアキからアニタは少し離れて困惑しながらも真面目に聞いていた。
「推し?というのはとにかく分かりました。それよりお兄様にバレたことはどうなったのですか?」
「それがね案外冷静だった。やっぱりねって」
「…なんというか、お兄様らしいですわ」
アニタはその光景を思い浮かべているのかエイデンと似た考え方をして納得する。
「アハハッ!確かにね。あっ、でもねアニタが魔物討伐騎士団になりたいっていうの聞いたら卒倒しそうな勢いだったよ」
「それは言ったことありませんもの。驚くのも当然ですわ」
二人で一緒に声を上げて笑い、エイデンの話で盛り上がる。ひとしきり話したあとアキは聞かなければならないことを思い出した。
「あ、そうだ!ねぇアニタ、魔物討伐騎士団ってどうやってなるの?」
「そうですね…実技試験が主です」
「やっぱりか。でも筆記はないの?」
「それがあるのは王家の騎士や文官ですわ」
「王家かーそれにはなりたくないんでしょ?」
「えぇ。確かに王家の騎士もお強いですが私が心からなりたいと思ったのは魔物を倒す騎士なのです」
「じゃあ私も一緒に頑張る。アニタになら背中を預けられるよ」
「…!私もアキを信じていますわ!」
「フフッ。あ、あとねもう一つ聞きたいんだけど今アニタに婚約者って…いる?」
「はい、いますよ」
「その人とはどうするの?」
「婚約破棄…ってところでしょうか?ですが、あちらからしてくれるのを待ちます」
「なんで?」
「相手の評判を悪くするからです。何か問題があったときにするものですからね」
「その相手って誰なの?」
「それは…」
次に続こうとした言葉を聞こうとしていた瞬間意識が切れ、目を開くと朝になっていた。
「…転生したときも思ったけどなんでこうもタイミングが悪いんだろう」
この世界の小説を買ったのに中身も読めずただ転生したが今のところは順調に進んでいる。しかし今日はいつもと違って胸騒ぎを覚えた。気のせいだと思っているとコンコンとドアを叩く音が鳴りゆっくりと開く。
「起きたかい?アニタ」
「おはようエイデン兄様」
「うん、おはよう!突然だけど今日は君の婚約者が訪れるそうだ」
「…私の婚約者って誰なの?」
「あれ?アニタから聞いてない?君の婚約者はこの王国の第2王子であるローウェン・イニーツィオ様だよ」
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