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7話
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アニタ・フォーセットのウェーブがかった金髪がふわりと揺れる。アメジストの瞳は憂いを帯びているようでそれを見た者はその魅力に惹きつけられる。しかし当の本人(嶋田亜紀)は心の中で激しく後悔していた。
まずい…王族にあんなこと言ったら駄目だったよね。侮辱した罪になんて…ならないよね?あぁもうどうしよう。アニタに絶対怒られる…まぁそれはいいんだけど。アニタは怒る姿もかわいいからね~。
悩んでいるうちに自宅へとつき、動きやすい服へと着替える。屋敷を出て手入れされた庭を足早に進み草が伸びきった場所へとつく。そこで亜紀は模擬剣を右手に持ち特訓を始めた。
んーやっぱり模擬とはいえどなにか違う。剣だとある程度重みがある分、力を乗せやすいが調節しにくい。かといって、レイピアは逆に軽すぎる。ナイフは多分魔物と対峙するとき危険性がある上、扱い方がよく分からない。こうなると残されたのは……
「刀…か」
この世界に刀は存在しない、そりゃそうだ。ヨーロッパ風な世界観に日本の刀が出るほうが違和感がある。だけど…欲しいなぁ、何故かそれが一番私に合ってる気がする。
「無いのなら…自分で作るしかない!」
模擬剣を持ったまま腕を上にあげる。私なりの決意表明、エイエイオー!だ。
しかしもう一つ問題がある。魔物討伐騎士団の試験だ。基本的に誰でも受けることができるが平民と貴族によって試験の基準が違う。平民は試験の期日までに申込みをして基礎テストをする。それから訓練に入るといったものだが、貴族は元から剣術を習っていることが多いのでその部分は免除される。しかし貴族として騎士団に入るには騎士団長、もしくは副騎士団長からの推薦が必要となる。コネとも言えるがある意味一番いい方法だと思える。才能だけあってもその人の性格などもあるだろう。大きな権力を持っているからこその推薦だと思えた。
あまりの難しさに模擬剣を肩にポンと乗せてふぅとため息が出る。
私は今17歳、あと2ヶ月もすれば18歳になる。それまでに団長か副団長を探さないといけないが、そんなこと可能なのだろうか。それに簡単に婚約破棄なんてできるはずがない。
「どうしようかなー」
問題は山積み、転生したとはいえ元々平凡な高校生である私には得策なんて思いつかない。…こんな時アニタならなんて言うんだろう。どんな策を出してくるんだろう。私はアニタであって"アニタ"ではない。
私はぐるぐると結論の出ない思考を寝るまで繰り返していた。
眠りに入るといつものようにアニタが座っていた。夢の中なのでアニタは部屋を好きなように変化できる。今日はイスに座って本を読んでいた。本に集中しているようでこちらにはまだ気づいた様子はない。そぉっと近づき肩に手を置こうとした瞬間、目の前にアニタはいなかった。
「えっ……?」
私から間抜けな声が出た瞬間左肩をポンポンと叩かれ、ゆっくりと振り向くが誰もいない。本当に怖くなってきて涙声で「アニタァ…」と呟くと右からふふっと笑い声が聞こえた。思いっきり右を振り向くとそこには笑いを堪えるようにして肩を震わせているアニタがいた。
「ふ…ふふっ驚きすぎよアキ!」
笑ってるのかわいすぎか!…じゃなくてマジで怖かった!今も心臓バクバクしてる…。
「本当に怖かった…アニタひどいよぉ」
少し拗ねたように言うと笑いながらも「ごめんなさい」と無邪気に言う。最初はお淑やかで優雅な人だったが仲良くなるに連れて、かわいいいたずらっ子へと変わっている。おそらくこれは元の性格だろう。
まだバクバクしている心臓を落ち着けて、アニタに今日の報告をした。するとめちゃくちゃ怒られた。流石にぶっちゃけすぎたらしい。正座させられお説教をひたすら聞いていた。
今日分かったこと:美人は怒ると怖い
お説教の中に私を心配する言葉もあった。怒っているけど優しい、そんなアニタだから私は好きなのだ。自分の中は反省の気持ちと嬉しい気持ちが交差していた。そんなこんなでアニタの説教を聞いたあと、私は少しビクビクしながら質問した。
「あのーアニタ、さん…魔物討伐騎士団に入るにはどうしたらいいか、いいですか?」
そう聞くとアニタは少し驚いた顔をしてフフッと笑った。
「もう…お説教が効いたのね。いつものように話していいのに」
さっきまで怒っていたのが嘘のようにふんわりと笑顔をみせる。そして私の問いかけにうーんと考えだし、ある提案をした。
「私の考えとしては…そうね、平民としての偽の戸籍を作ってその戸籍で騎士団採用試験を受ける。それから自分の貴族という地位を平民に落としてその戸籍を使って働くのもいいと思うわ。そうすれば貴族として推薦されるよりもまだ可能性があるし、なにより女性でも試験を受けることができるわ」
確かに…貴族として働くよりいいかもしれない。平民というのは私の元の世界での身分とあまり変わらないだろう。それに推薦が必要ないのはありがたい。
「その策いいね!でもどうやって偽の戸籍を作るの?」
そう聞くとアニタはいい考えがあると私に教えてくれた。夢の中はそこで終わったがアニタから聞いた方法を試してみることにした。
朝起きてメイドに身なりを整えてもらい朝食をとる。それからのんびり鍛錬をし、昼のティータイムとなった。
来た!
いつもこの時間に遊びに来るエイデンをアニタは今か今かと待ち構えていた。
「待ってましたわ!エイデン兄様!」
私の気迫に少し驚いたようだが、すぐに嬉しそうに顔を綻ばせる。
「どうしたの?そんなに僕に会いたかったの?」
「ええ!会いたかったですわ!相談したいことがありますの!」
「相談?なぁに?」
とびきりの笑顔でエイデンに告げる。
「私の平民の戸籍を作ってくださいませ!」
まずい…王族にあんなこと言ったら駄目だったよね。侮辱した罪になんて…ならないよね?あぁもうどうしよう。アニタに絶対怒られる…まぁそれはいいんだけど。アニタは怒る姿もかわいいからね~。
悩んでいるうちに自宅へとつき、動きやすい服へと着替える。屋敷を出て手入れされた庭を足早に進み草が伸びきった場所へとつく。そこで亜紀は模擬剣を右手に持ち特訓を始めた。
んーやっぱり模擬とはいえどなにか違う。剣だとある程度重みがある分、力を乗せやすいが調節しにくい。かといって、レイピアは逆に軽すぎる。ナイフは多分魔物と対峙するとき危険性がある上、扱い方がよく分からない。こうなると残されたのは……
「刀…か」
この世界に刀は存在しない、そりゃそうだ。ヨーロッパ風な世界観に日本の刀が出るほうが違和感がある。だけど…欲しいなぁ、何故かそれが一番私に合ってる気がする。
「無いのなら…自分で作るしかない!」
模擬剣を持ったまま腕を上にあげる。私なりの決意表明、エイエイオー!だ。
しかしもう一つ問題がある。魔物討伐騎士団の試験だ。基本的に誰でも受けることができるが平民と貴族によって試験の基準が違う。平民は試験の期日までに申込みをして基礎テストをする。それから訓練に入るといったものだが、貴族は元から剣術を習っていることが多いのでその部分は免除される。しかし貴族として騎士団に入るには騎士団長、もしくは副騎士団長からの推薦が必要となる。コネとも言えるがある意味一番いい方法だと思える。才能だけあってもその人の性格などもあるだろう。大きな権力を持っているからこその推薦だと思えた。
あまりの難しさに模擬剣を肩にポンと乗せてふぅとため息が出る。
私は今17歳、あと2ヶ月もすれば18歳になる。それまでに団長か副団長を探さないといけないが、そんなこと可能なのだろうか。それに簡単に婚約破棄なんてできるはずがない。
「どうしようかなー」
問題は山積み、転生したとはいえ元々平凡な高校生である私には得策なんて思いつかない。…こんな時アニタならなんて言うんだろう。どんな策を出してくるんだろう。私はアニタであって"アニタ"ではない。
私はぐるぐると結論の出ない思考を寝るまで繰り返していた。
眠りに入るといつものようにアニタが座っていた。夢の中なのでアニタは部屋を好きなように変化できる。今日はイスに座って本を読んでいた。本に集中しているようでこちらにはまだ気づいた様子はない。そぉっと近づき肩に手を置こうとした瞬間、目の前にアニタはいなかった。
「えっ……?」
私から間抜けな声が出た瞬間左肩をポンポンと叩かれ、ゆっくりと振り向くが誰もいない。本当に怖くなってきて涙声で「アニタァ…」と呟くと右からふふっと笑い声が聞こえた。思いっきり右を振り向くとそこには笑いを堪えるようにして肩を震わせているアニタがいた。
「ふ…ふふっ驚きすぎよアキ!」
笑ってるのかわいすぎか!…じゃなくてマジで怖かった!今も心臓バクバクしてる…。
「本当に怖かった…アニタひどいよぉ」
少し拗ねたように言うと笑いながらも「ごめんなさい」と無邪気に言う。最初はお淑やかで優雅な人だったが仲良くなるに連れて、かわいいいたずらっ子へと変わっている。おそらくこれは元の性格だろう。
まだバクバクしている心臓を落ち着けて、アニタに今日の報告をした。するとめちゃくちゃ怒られた。流石にぶっちゃけすぎたらしい。正座させられお説教をひたすら聞いていた。
今日分かったこと:美人は怒ると怖い
お説教の中に私を心配する言葉もあった。怒っているけど優しい、そんなアニタだから私は好きなのだ。自分の中は反省の気持ちと嬉しい気持ちが交差していた。そんなこんなでアニタの説教を聞いたあと、私は少しビクビクしながら質問した。
「あのーアニタ、さん…魔物討伐騎士団に入るにはどうしたらいいか、いいですか?」
そう聞くとアニタは少し驚いた顔をしてフフッと笑った。
「もう…お説教が効いたのね。いつものように話していいのに」
さっきまで怒っていたのが嘘のようにふんわりと笑顔をみせる。そして私の問いかけにうーんと考えだし、ある提案をした。
「私の考えとしては…そうね、平民としての偽の戸籍を作ってその戸籍で騎士団採用試験を受ける。それから自分の貴族という地位を平民に落としてその戸籍を使って働くのもいいと思うわ。そうすれば貴族として推薦されるよりもまだ可能性があるし、なにより女性でも試験を受けることができるわ」
確かに…貴族として働くよりいいかもしれない。平民というのは私の元の世界での身分とあまり変わらないだろう。それに推薦が必要ないのはありがたい。
「その策いいね!でもどうやって偽の戸籍を作るの?」
そう聞くとアニタはいい考えがあると私に教えてくれた。夢の中はそこで終わったがアニタから聞いた方法を試してみることにした。
朝起きてメイドに身なりを整えてもらい朝食をとる。それからのんびり鍛錬をし、昼のティータイムとなった。
来た!
いつもこの時間に遊びに来るエイデンをアニタは今か今かと待ち構えていた。
「待ってましたわ!エイデン兄様!」
私の気迫に少し驚いたようだが、すぐに嬉しそうに顔を綻ばせる。
「どうしたの?そんなに僕に会いたかったの?」
「ええ!会いたかったですわ!相談したいことがありますの!」
「相談?なぁに?」
とびきりの笑顔でエイデンに告げる。
「私の平民の戸籍を作ってくださいませ!」
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