神人転生 欠陥品で廃棄されたようですが、実は最強だったので異世界で生きていくことにしました

蒼の燈

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外の世界

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 シャワーを浴びてスッキリしたので、今は夕食ーーというには遅い、言うならば夜食を食べている。
 すわ飢え死にか、と最初は不安になったのだが、探してみれば意外と見つかった。

 カラッカラになった硬いパンのようなものと、塩まみれの干し肉というインナップなのが悲しい所だが、空腹には逆らえないし、水で流し込めば塩気もパサパサ感も誤魔化された。
 保存食として保管されていたのか、かなりの量が倉庫らしき部屋にあったが、これと同じものを食べ続けるのは苦痛でしかないし、一人で食べる計算でも、一年は不可能。数ヶ月くらいしか持たなさそうだ。

 やはり、ここに篭っているのではなく、外に出てみるべきだろうか。
 この研究所はかなり広い。壊れている部分も多いが、水は出るし食料もある。
 衣服も、生活区画らしき所ーー構成員個人の部屋や、シャワー室もここにあったーーから拝借したローブがある。
 あいにく、部屋は全部見てみたが、全員が揃いも揃って同じローブーー黒の下地に謎の紋章が刺繍されているので、これぞ悪の組織といったデザインだーーを残していた。
 衣食住揃ったここで生きていくだけなら当面は問題はなさそうだが、そんな生活はいつか限界が訪れるだろう。

 その為に外に出て自活したいが、どんな危険があるかも分からない。
 一応自分は「神人」らしき存在ーー廃棄規格ナンバーという文言が不安を誘うがーーだし、物理的な危険に関しては何とかなると思いたい。
 神人が超常的な力を持つと言っても、現時点ではそれがどんな力なのかは分からないし、確認のしようもない。
 外へ出て、人から情報を集めるしかないだろう。
 日本語は無論通じない。会話が成り立つのかは不安だが、古代の中国と日本も最初はボディランゲージから始まり、コミュニケーションを取っていたはず。
 そう、それは異世界でも不可能なことではない。
 自分に言い聞かせ、外に出る決意をした。

 そう決めたなら、行動あるのみだ。
 研究所の構成員の生活スペースを中心に物色し、外で必要と思われるものを集めていった。

 バックパックに水筒、例の不味い保存食はもちろん、外で寝袋にするための厚手の布類。
 人が住む文明圏にたどり着けた場合、そこで生活するための諸々の資金として、高価そうで嵩張らない鉱物、宝石ーー俺が目覚めた地下の上階、研究区画らしき建物に大事そうに保管されていたーーなども詰め込んでいく。
 廃棄された建物から色々と盗み出すのは日本の倫理観では完全に犯罪行為であるが、状況が状況である。そもそもこちらは(恐らく)被害者なのだ。許せとは言わないが黙認してもらいたい。
 などと、誰へともいえない言い訳を心の中でしながら作業を進めた。
 
 そうして物色を進める中で俺が最も驚き、そして最も実用的なのが、魔法を使用したと思われるカンテラだった。
 オイルを入れる燃料タンクやマントル(電球でいう発光するフィラメントの部分)は無い。
 普通のカンテラなら火力調節ノブがある場所に魔法陣が二つあり、円筒型のガラスに覆われた中に紅い水晶が設置されているのみだ。
 使い方が分からなかったのだが、右の魔法陣に触れると点灯。もう片方は消灯という簡単な操作方法だった。
 赤く光っているが炎とは違う、LEDに似た鮮やかな光だ。

 魔法を使った日用品という意味では、地球の時計によく似た物もあった。
 しかし、同じような機械仕掛けではないだろう。
 見た目は薄い鉄板を円形に切り取り、ただ長身と短針、数字を付けただけ。背面にこれまた魔法陣が刻まれているのが、唯一の特異な点だ。
 中身なんてほぼ無いような薄さだ。どうやって動いているか分からないが、使えそうだ。

 資料を読んでいる限り、この世界は魔法技術が相当に発達しているらしい。少なくとも地球の現代科学では説明がつかない程の。
 以前までの自分なら頑として認めなかっただろうが、この肉体になって、色々な事を目にしてしまった今では、科学を超越する現象の数々を認めざるを得なかった。

「本当に、早く人間と会いたいもんだな」

 不安を含んだ呟きをしてしまうのも、仕方がない事だろう。
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