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第二章・慈悲の聖女クレディア・シーウェル
ヴェリタリアス教団本部3
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「そろそろ失礼していいですか? 怪我の治療もしたいので」
「ああ悪いな、そういえば怪我人だったな」
ライアンが申し訳なさそうに言った。
怪我は治療が終わってあとは自然治癒するだけなのだが、思ったとおり怪我の申告をすれば解放されやすい。
なにより悪魔討伐を生業にする聖女は怪我が絶えないのである。手足を失くすこともあれば内臓が潰れることもある。骨折など日常茶飯事というもので、鉄糸が貫通したくらいでは怪我のうちに入らない。止血さえすれば治る。
こうして教師への報告を終えて職員室を出ようとした時だった。
ふと学園長の老女が職員室に入ってくる。
職員室内にいた教師たちが慌てて起立して学園長を迎えた。
しかし学園長はそれに構わず、私を見つけるとまっすぐ近づいてくる。
「あなたがロロット・カーデリアさんかしら」
「はい」
「そう、あなたが。……先ほど本部から連絡が入りました。至急、本部の大聖堂に来るようにとのことです。枢機卿・慈悲の聖女クレディア・シーウェル様があなたに会いたいそうですよ」
職員室が騒然となった。
いつも冷静な教師たちも『枢機卿』という機関に動揺が隠し切れない。
「枢機卿の聖女様が候補生に会うなんて……」
「いったいどういうことだ、なにかあったのか」
「クレディア様に直接お会いできるなんて羨ましいっ……」
教師たちの囁く声。
ヴェリタリアス教団は大聖女を頂点にした組織である。枢機卿と呼ばれる聖女は大聖女直属の大幹部で、しかも枢機卿団には四人の聖女しか在籍していない。
その中で慈悲の聖女クレディア・シーウェルは多くの尊敬を集めていた。
「静まりなさい。職員室ですよ」
学園町がぴしゃりと注意した。
シンッと静まり返る中、学園長に改めて命じられる。
「ロロット・カーデリア、至急大聖堂へ行きなさい。分かりましたね」
「はい」
真面目に返事をして、真面目にお辞儀する。
そして学園長と教師たちに見守られながら職員室を後にした。
ギルタレスがさっそくからかってくる。
「呼び出しか? 面倒くさそうだな」
「まあね」
私もそう思う。きっと面倒くさいことが起こる。
だって今までどれだけ悪魔討伐をして名を馳せようと、枢機卿が一介の聖女候補生に興味を示すことはなかったのだ。
でも今回、呼び出された。
今までと違うことといえば地獄の盟主ギルタレスがいるということ。
まさか……。という思いがよぎる。
しかし先ほどの職員室では一切気付かれなかった。学園長でさえ気付いていない。
「おい、なにブサイクな顔してんだ。奴隷にした時に抱く気が失せるだろ」
「奴隷になる分際で言葉も選べないの? 考えごとよ」
そう答えつつも横目でギルタレスを見た。
今から行くところはヴェリタリアス教団本部。いわば悪魔討伐をする聖女の総本山みたいなところだ。
ギルタレスは殺されるのだろうか。
それとも誰もギルタレスに気付かないだろうか。
もし誰も気付かなかったら、人間はギルタレスの気まぐれで滅ぼされることもあるだろう。
もし気付かれたらギルタレスが殺されるだけ。
後者については特になにも困ることはない。
もし私が門の封印を解除したことが責められるなら、その時は上級悪魔の存在に気付かなかった上層部の責任を問えばいい。
それだけの話し。
私は呼び出しに応えるために王都の中心にある教団本部に向かったのだった。
「ああ悪いな、そういえば怪我人だったな」
ライアンが申し訳なさそうに言った。
怪我は治療が終わってあとは自然治癒するだけなのだが、思ったとおり怪我の申告をすれば解放されやすい。
なにより悪魔討伐を生業にする聖女は怪我が絶えないのである。手足を失くすこともあれば内臓が潰れることもある。骨折など日常茶飯事というもので、鉄糸が貫通したくらいでは怪我のうちに入らない。止血さえすれば治る。
こうして教師への報告を終えて職員室を出ようとした時だった。
ふと学園長の老女が職員室に入ってくる。
職員室内にいた教師たちが慌てて起立して学園長を迎えた。
しかし学園長はそれに構わず、私を見つけるとまっすぐ近づいてくる。
「あなたがロロット・カーデリアさんかしら」
「はい」
「そう、あなたが。……先ほど本部から連絡が入りました。至急、本部の大聖堂に来るようにとのことです。枢機卿・慈悲の聖女クレディア・シーウェル様があなたに会いたいそうですよ」
職員室が騒然となった。
いつも冷静な教師たちも『枢機卿』という機関に動揺が隠し切れない。
「枢機卿の聖女様が候補生に会うなんて……」
「いったいどういうことだ、なにかあったのか」
「クレディア様に直接お会いできるなんて羨ましいっ……」
教師たちの囁く声。
ヴェリタリアス教団は大聖女を頂点にした組織である。枢機卿と呼ばれる聖女は大聖女直属の大幹部で、しかも枢機卿団には四人の聖女しか在籍していない。
その中で慈悲の聖女クレディア・シーウェルは多くの尊敬を集めていた。
「静まりなさい。職員室ですよ」
学園町がぴしゃりと注意した。
シンッと静まり返る中、学園長に改めて命じられる。
「ロロット・カーデリア、至急大聖堂へ行きなさい。分かりましたね」
「はい」
真面目に返事をして、真面目にお辞儀する。
そして学園長と教師たちに見守られながら職員室を後にした。
ギルタレスがさっそくからかってくる。
「呼び出しか? 面倒くさそうだな」
「まあね」
私もそう思う。きっと面倒くさいことが起こる。
だって今までどれだけ悪魔討伐をして名を馳せようと、枢機卿が一介の聖女候補生に興味を示すことはなかったのだ。
でも今回、呼び出された。
今までと違うことといえば地獄の盟主ギルタレスがいるということ。
まさか……。という思いがよぎる。
しかし先ほどの職員室では一切気付かれなかった。学園長でさえ気付いていない。
「おい、なにブサイクな顔してんだ。奴隷にした時に抱く気が失せるだろ」
「奴隷になる分際で言葉も選べないの? 考えごとよ」
そう答えつつも横目でギルタレスを見た。
今から行くところはヴェリタリアス教団本部。いわば悪魔討伐をする聖女の総本山みたいなところだ。
ギルタレスは殺されるのだろうか。
それとも誰もギルタレスに気付かないだろうか。
もし誰も気付かなかったら、人間はギルタレスの気まぐれで滅ぼされることもあるだろう。
もし気付かれたらギルタレスが殺されるだけ。
後者については特になにも困ることはない。
もし私が門の封印を解除したことが責められるなら、その時は上級悪魔の存在に気付かなかった上層部の責任を問えばいい。
それだけの話し。
私は呼び出しに応えるために王都の中心にある教団本部に向かったのだった。
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