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結婚までの7日間 Lucian & Rosalie

7日目㉔

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因縁という言葉を小さく口にしたミランダだったが、リドリー伯爵へと視線を移し

「リドリー伯爵、引き留めてごめんなさい。」

そう言って微笑むと
「あなたにはずいぶんお世話になってしまったわ。ありがとう。」

リドリーもミランダの微笑に誘われるように、口元に笑みを浮かべ
「御礼なら、ミランダ姫からのご指示で準備したを見られた後で…。」

ミランダはクスリと笑い
「えぇ、ではお礼はその時に。だから…必ず帰って来てね。武運を祈ってるわ。」

「はい。」

リドリー伯爵は、またにっこり笑うと城へと馬車を走らせて行った。



だんだん遠くなって行く馬車を見つめながら
「ロイに会わなくては…」

そう呟くようにミランダは言うと、後ろに控える兵士達に
「あなたも城に戻り、あとはウィンスレット侯爵の指示に従うように」

「ですが…姫様!」

「私は大丈夫。ロイがいるから…。」

まぁ、ロイが暗示にかかっていれば、ロイの標的は私のはず。

だったら…大丈夫じゃないけど…。

でも…

「剣を持つことができない私は、私なりの戦い方でこのローラン国を守りたいの。だから、私をひとりで行かせて。」

ミランダは、リドリー伯爵の屋敷まで、自分に付き添って来てくれた3人の兵士のひとり、ひとりに話しかけるように
「剣を持つ事出来るあなた達は、力を発揮できる場はここではないわ。」

「…ミランダ姫。」

「違う場所で私も戦ってくるから、新しい王と王妃をお願いね、あなた達の武運を祈ってます。」

ミランダはそう言うと、屋敷を見つめ、息を吸うと走り出した。

ミランダは屋敷に飛び込むように入ると、ロイの部屋に案内を頼むべく、侍女に声をかけようとしたら、それよりも早く大きな声でミランダを呼ぶロイの声がした。

「ミランダ姫!」

「…ロイ。」

「リドリー伯爵が、私に城には戻らず、ここで待てと言われたのは…ミランダ姫がお見えになるからだったんですね。」
そう言って、ホッとしたように笑みを浮かべると
「でも、リドリー伯爵もお人が悪い。何も言って下さらなかったらから、まだ自分は信用されていないのかと思ってしまうところでした。」

饒舌に話し出すロイに、ミランダは人の心を色として見る目で、黙ってロイを見ていた。

ロイの色を始めて見た時と、変わりない。だが、 暗示は、本人が自覚していない以上、色としては出てこない。だから、色を見ながら…誘導し、スイッチを探す。

これしかない。

「…どうなさいました。ミランダ姫。」
 
不安なのだろう。ロイが纏う色が翳って行く。
どう、動くべきか…。
いや、そんな悠長な事を言っていられない。

動かないと…。
とりあえずやらないと。

落ちつこう。
落ちつかなくては失敗は許されないのだから。


ミランダはロイに笑みを浮かべた。

ロイが暗示にかかっていなければ、叔父様にとって、腕の良い騎士が味方につく。

もし、ロイが暗示にかかっていれば、ロザリーの暗示を解く為の試金石として、ロイの暗示を解く。

時がない。
なら…そのふたつを頭に入れて、やるのみ。


「ロイ。あなたは近衛師団長のヒューゴを知っているかしら?」

「は、はい。バウマン公爵に会う時には、いつも側にいましたから、知っています。」

「ヒューゴは…人の心を操る事ができるらしいの。」

ロイの色が変わった。
ミランダは目を細め、ロイを見つめると、ロイは一歩、ミランダに近づき

「…私もそうだと?」

「…そうだったら、怖いんだけど…」

ロイは口元に笑みを浮かべ、ゆっくりとミランダへと足を一歩進めながら
「もし、私が暗示とやらにかかっていたら、ミランダ姫は生きてここから出られませんよ。おわかりになってますか?ミランダ姫。」

そう言って、ロイはまた一歩ミランダに近づいた。





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