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年上の女の唇(後編)
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うっ…嘘だろう、その…台詞。マジ?…あんたもあの場にいたのかよ…。
俺は座り込み、頭を抱え込んだ。
「いたんだ…。全然気が付かなかった」と口にして、ハッとして彼女を見た。
この人は…どんな気持ちで聞いていたんだろう。
だが吹っ切れたように彼女は笑うと
「中学、高校、大学で、いつも言われてたわ。エロいって…。あいつなら誰でもいいんじゃないと言われて…。お付き合いだってしたことがないのにね。だから嫌だった。この容姿がすっごく嫌だった!だから男の人が口にする(好き)という言葉が信じられなかった。」
そう言って、彼女はベットにゴロンと横になり
「だから春夏冬さんに恋心を持っていた訳じゃないけれど、春夏冬さんは私の内面を見てくれた人だったの。だからこの人ならこれからの人生を一緒に歩めると思ったわ。」
噂では婚約は解消となり、理恵と春夏秋(あきなし)も大学から去ったことは知ってはいたが、正直その後の吉田教授の娘さんのことは、気の毒にとは思ったがそれほど関心はなかった。
「でも、どうして俺を知ってんの?!」
「前にね、お父さんが言っていたの。ゼミに面白い奴がいる。見かけはカッコ良くて、チャラそうな今時の子なんだけどな。中味はおっさんなんだよ。浪花節のような性格で、義理人情に厚い男だって。」
爺さん教授から…おっさんと呼ばれるとは…。ひでぇ…。
ふくれっツラの俺を見ながら彼女は微笑むと
「先日、あなたのバイト先(コンビニ)の店長が訪ねてこられ…突然、頭を下げられて言われたそうよ。
『吉浦君が学校に来れなかったのは、私共のせいなんです。すみません…。人手が足らなくて、廃業を考えていたんですが、でも退職金を全部つぎ込んだあのコンビニが潰れたら、自分たち夫婦が路頭に迷うと思った吉浦君が、大学を休んでバイトに来てくれて、おまけにバイトができる学生までを捜してくれたんです。学校は大丈夫なのかと聞いても、大丈夫だと言って…おかしいと思っていたのですが、甘えてしまい…。でも先日、吉浦君の紹介で入ってくれたバイトの子から、留年しそうだと聞いて…すみません。吉浦君のご両親にも申し訳ない…先生どうにか助けてください。』
お父さんは前々から、学校にちゃんと来いと、あなたには言っていたそうね。でもあなたは生返事で。
でも店長さんから事情を聞いたあと、お父さんはあなたに言ったんでしょう?
『あと2単位なんだから、大学に来いと…ここでお前が留年したら、店長は一生罪の意識を感じるぞ。』って
そうしたら、あなたは顔を歪めて
『来月、いや…あと2週間待っててください。店長の奥さんがインフルエンザで、寝込んでいるんです。俺が休むとここまでやった事が水の泡になってしまう。』と言って…お父さんに頭を下げたんですってね。」
だってしょうがねぇだろう。あのおっちゃん夫婦、子供がいないから老後は誰からの助けてもらえないんだから…見捨てるわけいかないし…、俺もバイトをまた探すのは面倒だし…まぁそんなだし…。
「だから春夏秋さんと女性を責めて、知り合いでもない私のことを心配してくれるあなたを見て、すぐに誰だかわかったの。お父さんが言っていた人だって。」
「じゃぁ、がっかりしたよな?俺めっちゃあんたを外見で判断し、ここへ誘ったんだもんな。」
「でも…でも、私が経験ないとわかったら、説教までして…何もしなかったじゃない。」
「俺…そんな高潔な男じゃないよ。…今でも…チャンスがあればなんて思っている野郎です。」と言いながら、俺はそっと自分の下半身を隠した。…もう最悪。心は折れているのに、あれは…まだ勃ってるって…この状況ってカオスだ。
俺の不自然な動きに気が付いた女は、顔を赤くし…
「誰でも簡単に誘う人は今も嫌。でもあなたは浪花節のような性格で、義理人情に厚い人だって、知ってるから…。」そう言って俯き、小さく息を吐くと「私の…外見は…あなたの好みだった?私を誘ったのは…好みだったから?」
見透かされていたんだ。スケベな顔で誘ったんだろうな。はぁ~額に手を当て項垂れると正直に答えた。
「はい!ど真ん中です。ど真ん中の女性に声をかけないという選択肢はありませんでした。」
クスクスと笑う女の声に驚き、顔を見ようと額の手を降ろそうとしたが、その手の上に女の手が重なり、俺の唇に柔らかいものがそっと触れ
「私もあなたがど真ん中です。だからついていかないという選択肢はありませんでした。」
「えっ?」
「でもこれ以上は…もう少しお付き合いしてからでもいいですか?」
あの爺さん教授の顔がチラリと横切ったが、俺は自分の唇に触れて大きく頷いた。
俺は座り込み、頭を抱え込んだ。
「いたんだ…。全然気が付かなかった」と口にして、ハッとして彼女を見た。
この人は…どんな気持ちで聞いていたんだろう。
だが吹っ切れたように彼女は笑うと
「中学、高校、大学で、いつも言われてたわ。エロいって…。あいつなら誰でもいいんじゃないと言われて…。お付き合いだってしたことがないのにね。だから嫌だった。この容姿がすっごく嫌だった!だから男の人が口にする(好き)という言葉が信じられなかった。」
そう言って、彼女はベットにゴロンと横になり
「だから春夏冬さんに恋心を持っていた訳じゃないけれど、春夏冬さんは私の内面を見てくれた人だったの。だからこの人ならこれからの人生を一緒に歩めると思ったわ。」
噂では婚約は解消となり、理恵と春夏秋(あきなし)も大学から去ったことは知ってはいたが、正直その後の吉田教授の娘さんのことは、気の毒にとは思ったがそれほど関心はなかった。
「でも、どうして俺を知ってんの?!」
「前にね、お父さんが言っていたの。ゼミに面白い奴がいる。見かけはカッコ良くて、チャラそうな今時の子なんだけどな。中味はおっさんなんだよ。浪花節のような性格で、義理人情に厚い男だって。」
爺さん教授から…おっさんと呼ばれるとは…。ひでぇ…。
ふくれっツラの俺を見ながら彼女は微笑むと
「先日、あなたのバイト先(コンビニ)の店長が訪ねてこられ…突然、頭を下げられて言われたそうよ。
『吉浦君が学校に来れなかったのは、私共のせいなんです。すみません…。人手が足らなくて、廃業を考えていたんですが、でも退職金を全部つぎ込んだあのコンビニが潰れたら、自分たち夫婦が路頭に迷うと思った吉浦君が、大学を休んでバイトに来てくれて、おまけにバイトができる学生までを捜してくれたんです。学校は大丈夫なのかと聞いても、大丈夫だと言って…おかしいと思っていたのですが、甘えてしまい…。でも先日、吉浦君の紹介で入ってくれたバイトの子から、留年しそうだと聞いて…すみません。吉浦君のご両親にも申し訳ない…先生どうにか助けてください。』
お父さんは前々から、学校にちゃんと来いと、あなたには言っていたそうね。でもあなたは生返事で。
でも店長さんから事情を聞いたあと、お父さんはあなたに言ったんでしょう?
『あと2単位なんだから、大学に来いと…ここでお前が留年したら、店長は一生罪の意識を感じるぞ。』って
そうしたら、あなたは顔を歪めて
『来月、いや…あと2週間待っててください。店長の奥さんがインフルエンザで、寝込んでいるんです。俺が休むとここまでやった事が水の泡になってしまう。』と言って…お父さんに頭を下げたんですってね。」
だってしょうがねぇだろう。あのおっちゃん夫婦、子供がいないから老後は誰からの助けてもらえないんだから…見捨てるわけいかないし…、俺もバイトをまた探すのは面倒だし…まぁそんなだし…。
「だから春夏秋さんと女性を責めて、知り合いでもない私のことを心配してくれるあなたを見て、すぐに誰だかわかったの。お父さんが言っていた人だって。」
「じゃぁ、がっかりしたよな?俺めっちゃあんたを外見で判断し、ここへ誘ったんだもんな。」
「でも…でも、私が経験ないとわかったら、説教までして…何もしなかったじゃない。」
「俺…そんな高潔な男じゃないよ。…今でも…チャンスがあればなんて思っている野郎です。」と言いながら、俺はそっと自分の下半身を隠した。…もう最悪。心は折れているのに、あれは…まだ勃ってるって…この状況ってカオスだ。
俺の不自然な動きに気が付いた女は、顔を赤くし…
「誰でも簡単に誘う人は今も嫌。でもあなたは浪花節のような性格で、義理人情に厚い人だって、知ってるから…。」そう言って俯き、小さく息を吐くと「私の…外見は…あなたの好みだった?私を誘ったのは…好みだったから?」
見透かされていたんだ。スケベな顔で誘ったんだろうな。はぁ~額に手を当て項垂れると正直に答えた。
「はい!ど真ん中です。ど真ん中の女性に声をかけないという選択肢はありませんでした。」
クスクスと笑う女の声に驚き、顔を見ようと額の手を降ろそうとしたが、その手の上に女の手が重なり、俺の唇に柔らかいものがそっと触れ
「私もあなたがど真ん中です。だからついていかないという選択肢はありませんでした。」
「えっ?」
「でもこれ以上は…もう少しお付き合いしてからでもいいですか?」
あの爺さん教授の顔がチラリと横切ったが、俺は自分の唇に触れて大きく頷いた。
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