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1章 葉月と樹
樹・・・思う。
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「樹、今は眼の前の事を片付けてからだ。」
「今は…?と言うことは、教えてくれるんですか?諸刃の剣の意味を…」
「本当は葉月のプライベートを、軽々しく口にはしたくはない。だが事と場合によっちゃ、言って置くべきかと考え直した。」
「事と場合?」
「あぁ…あの婆さんが葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変えると言うことさ。まぁ、行こうか。まずは眼の前の障害を片付けようぜ。」
「いや、もうここまでにしましょう。だから葉月ちゃんを連れて「無理だ。」」
俺の言葉を途中で遮り、顔を歪ませ
「絶対に無理だ。久住の婆さんに葉月を見られたんだ。敵前逃亡なんてしてみろ怪しまれる。それに何より、葉月がお前を助けたいと言っているんだ。あたしらは親バカなんでね、あいつの願うことは…してやりたいのさ。」
そう言って、理香さんは苦笑し
「まぁ、バカな子ほど可愛いいというからなぁ…」と言って苦笑を、声を立てて笑うことに変えていったが、俺は笑えなかった。なぜなら…
理香さんが言った言葉が引っかかっていたからだ。
【葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変える。】
それは…葉月ちゃんには、大きな秘密があると言っているようだ。
その秘密がどこまで知られたかの度合いによって、計画を変えるということか…
その秘密が…諸刃の剣。
「理香さん、葉月ちゃんが俺にとって諸刃の剣なら、その剣で傷つくことなど恐れはしません、耐えることができます。でも、それだけじゃないんでしょう?【葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変える】それは…葉月ちゃんも傷つく出来事が、別にあると言うことではないんですか?もし、そんなことがあれば俺は耐えられない。」
「なら!!…なら、もしもの時は、お前が血だらけになっても、葉月を守ってくれるというのか?」
「もちろん…です。」
「冗談だ。」
「理香さん!」
「冗談に決まってんだろう…。行こうぜ。早く片付けて宴会だ。もち、樹の奢りでなぁ。」
「情けないところばかり見せているから、頼りないと思っているでしょうが、これでも俺は男なんです!守ってやりたいと思う人が、俺のせいで傷つくかもしれないのなら…「なら!どうするってんだ!」」
理香さんは俺の言葉に、被さる様に声を荒げたが…眼を瞑って、高ぶった感情を抑えるように
「お前は…ほんと感が良いよなぁ。誤魔化しながら話をしたつもりだったが、やっぱり気が付いたか。あぁ…ひょっとしたら、葉月も血を流すかも知れんなぁ…。だが、そういうことがあるかもしれないとわかっていても、それでもここに来たのは、葉月がお前を助けたいと思ったからだ。それは、お前もわかっているだろう。なら、その気持ちを汲んでやれよ。片付けて来い。お前が綺麗なままで取っておきたくて、長いこと箱に入れていた恋だ。よく見て来い。10年前と今では、その思いがどう変わった。いや…終わった事を確認して来い。」
そう言って、理香さんは歩き出した。
苦しかった。
自分の恋の後始末さえ出来なくて、葉月ちゃん達を巻き込んだ自分が情けなくて…ましてや、葉月ちゃんは婆様に知られてはマズイことがあるようだ。婆様がどこまで、葉月ちゃんを調べたかによっては…
俺は唇を噛んで、前を見た。
婆様を…そして…由梨奈を…
婆様の横で、由梨奈は立っていた。
長い黒髪を結い上げ、青みがかった付け下げを着た由梨奈は、俺に気が付いたのだろう。一瞬大きく眼を見開いたが、ピンク色の唇に微笑みを称えた。
あの美しい黒髪に、俺は何度指を絡めただろうか…
あのピンク色の唇に何度も、キスを請い願っただろうか…
2つ上の彼女は…その年齢差より、ずっと大人に見えていた。
いつも、ああやって微笑みを称え…そんな彼女にキスを請うと
「樹がしたいと思えば、好きにしていいわ。」
と言って、心のうちを見せてはくれなかった。
今…、あの微笑みの下で、何を思って俺を見ているんだろう。
「今は…?と言うことは、教えてくれるんですか?諸刃の剣の意味を…」
「本当は葉月のプライベートを、軽々しく口にはしたくはない。だが事と場合によっちゃ、言って置くべきかと考え直した。」
「事と場合?」
「あぁ…あの婆さんが葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変えると言うことさ。まぁ、行こうか。まずは眼の前の障害を片付けようぜ。」
「いや、もうここまでにしましょう。だから葉月ちゃんを連れて「無理だ。」」
俺の言葉を途中で遮り、顔を歪ませ
「絶対に無理だ。久住の婆さんに葉月を見られたんだ。敵前逃亡なんてしてみろ怪しまれる。それに何より、葉月がお前を助けたいと言っているんだ。あたしらは親バカなんでね、あいつの願うことは…してやりたいのさ。」
そう言って、理香さんは苦笑し
「まぁ、バカな子ほど可愛いいというからなぁ…」と言って苦笑を、声を立てて笑うことに変えていったが、俺は笑えなかった。なぜなら…
理香さんが言った言葉が引っかかっていたからだ。
【葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変える。】
それは…葉月ちゃんには、大きな秘密があると言っているようだ。
その秘密がどこまで知られたかの度合いによって、計画を変えるということか…
その秘密が…諸刃の剣。
「理香さん、葉月ちゃんが俺にとって諸刃の剣なら、その剣で傷つくことなど恐れはしません、耐えることができます。でも、それだけじゃないんでしょう?【葉月をどこまで調べたかによっては、計画を変える】それは…葉月ちゃんも傷つく出来事が、別にあると言うことではないんですか?もし、そんなことがあれば俺は耐えられない。」
「なら!!…なら、もしもの時は、お前が血だらけになっても、葉月を守ってくれるというのか?」
「もちろん…です。」
「冗談だ。」
「理香さん!」
「冗談に決まってんだろう…。行こうぜ。早く片付けて宴会だ。もち、樹の奢りでなぁ。」
「情けないところばかり見せているから、頼りないと思っているでしょうが、これでも俺は男なんです!守ってやりたいと思う人が、俺のせいで傷つくかもしれないのなら…「なら!どうするってんだ!」」
理香さんは俺の言葉に、被さる様に声を荒げたが…眼を瞑って、高ぶった感情を抑えるように
「お前は…ほんと感が良いよなぁ。誤魔化しながら話をしたつもりだったが、やっぱり気が付いたか。あぁ…ひょっとしたら、葉月も血を流すかも知れんなぁ…。だが、そういうことがあるかもしれないとわかっていても、それでもここに来たのは、葉月がお前を助けたいと思ったからだ。それは、お前もわかっているだろう。なら、その気持ちを汲んでやれよ。片付けて来い。お前が綺麗なままで取っておきたくて、長いこと箱に入れていた恋だ。よく見て来い。10年前と今では、その思いがどう変わった。いや…終わった事を確認して来い。」
そう言って、理香さんは歩き出した。
苦しかった。
自分の恋の後始末さえ出来なくて、葉月ちゃん達を巻き込んだ自分が情けなくて…ましてや、葉月ちゃんは婆様に知られてはマズイことがあるようだ。婆様がどこまで、葉月ちゃんを調べたかによっては…
俺は唇を噛んで、前を見た。
婆様を…そして…由梨奈を…
婆様の横で、由梨奈は立っていた。
長い黒髪を結い上げ、青みがかった付け下げを着た由梨奈は、俺に気が付いたのだろう。一瞬大きく眼を見開いたが、ピンク色の唇に微笑みを称えた。
あの美しい黒髪に、俺は何度指を絡めただろうか…
あのピンク色の唇に何度も、キスを請い願っただろうか…
2つ上の彼女は…その年齢差より、ずっと大人に見えていた。
いつも、ああやって微笑みを称え…そんな彼女にキスを請うと
「樹がしたいと思えば、好きにしていいわ。」
と言って、心のうちを見せてはくれなかった。
今…、あの微笑みの下で、何を思って俺を見ているんだろう。
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