転生したら貧乏男爵家でした。

花屋の息子

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06換金

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 買い取りカウンターはガチオッサンとしか言えない様なオッサンが担当していた。
 重量物とかも取り扱うためマッチョマンで無ければ勤まらないそうな。

「ほぅ~、綺麗に剥げてるな。しかも皮に傷がねぇってこたぁ、おめえ若けぇのに良い腕してやがるな」
「村にいた猟師のおじさんから、皮に傷が少ない方が良い値で売れると教えて貰ったので」
「それで首だけ刎ねられたら苦労はねぇんだがなぁ」
「魔法でそればっかりやってましたから。エヘッ」
「まぁいいや。それじぁネズミの毛皮が6枚と野犬の毛皮が4枚とその魔石だな。魔石は小だな。一つ銅貨15枚だから10個で銀貨1枚銅板5枚。毛皮はネズミが銅貨25枚野犬が銅貨が15枚で、え~っと銀貨2枚と銅貨が1枚で、銀貨3枚銅板5枚だ。どれも綺麗な剥ぎ取りだな。これからもこうやって持って来いよ。それと狩ったのは登録前だから討伐褒賞が出ないからな」
「これで宿に泊まれますかね?」
「宿にもよるが組合の目の前にある宿なら数日くらいは泊まれるんじゃねぇか?御貴族様が泊まるような宿なら一泊もできねぇけどなぁがはははっ」

 別に貴族と思われての話ではなく、おっちゃんの常套句なのだろう。銀貨が吹き飛ぶ宿など俺には縁のない物でしかない。
 早速貰った金を新品の財布袋に放り込みギルドを後にした。目指すは道向こうの宿屋だ。

「一日銅板5枚だよ、5日以上なら夕食に一品付けるよ」
「では5日でお願いします」
「田舎から出てきた割には計算が出来るんだねぇ」
「田舎もんって馬鹿にされないように勉強しました」
「計算が出来ない者が多いんだから出来るだけで対したもんだよ」

 換金した金が丁度良くあったものだから、5×5=25と払った訳だが、算が出来ると思われたらしい。と言っても日本人の感覚では小学生の掛け算程度を褒められてもなとなる訳で。
 この程度なら日本じゃ八歳の子供・・・なら俺は十分子供だけど、まぁ良いか。
 しかし金には困りそうで、もう1/3以上が宿代に消えてしまった。金策を急がなければすぐに困窮するだろう。

 とは言え夜通し歩いた体で狩りに行きたいかと言われたら御免被るので夜までセルフマッサージしながら体を労わる。
 この宿の夕食はウチの食事よりもかなり塩が効いており、俺には少ししょっぱいくらいだった。
 翌朝は市場調査と言う事で持ち金で何が買えるか何が出来るかを知らなければならないと思い狩りの前に朝市に顔を出した。
 丸一日の稼ぎが宿に数日泊まれるくらいとなれば、日本の宿泊施設なら一泊1万円くらいかな。
 おろ?日給3万5千の稼ぎじゃねえか。冒険者何ってやったらバイトなんて馬鹿らしくてやってられんぞ。
 一日?30時間オーバーで命の危険と言うか、死と隣り合わせであると言うブラックな事は頭から抜けて、総額だけで計算してしまうと所が褒められないのだろうが、最悪でも月に10日働けば生活は問題なさそうだ。時給に換算しない方が良さそうだけど。
 酒と大人の楽しみ以外の娯楽が無く命の危険があるけど休日取り放題、先輩が就職したIT企業よりもストレスは無くて出来高によっては高収入。
 余程異世界で就職した方が美味しいではないだろうか。命がけの仕事だけど。
 朝市を見たところ野菜や生活雑貨などが売られていたが、どれも銅板銅貨の物ばかりで銀貨払いするような物は無かった。これであれば最悪の事態であっても飢える心配だけはなさそうだ。
 いくら肉は狩れば食べられると言っても野菜類が無いのでは栄養バランスが偏るからな。
 朝市の次は固定店。こちらも朝市顔負けに早々店を開けている。
 朝から武器を買いに来る冒険者など居るのだろうか?と疑問を持ちながらも武器屋を覗くと、並べられた物は軒並み高価で銀板が無ければ買う事ができない物ばかりだった。銀貨や銅版ではお話にならない。
 店主に声を掛けると眺める分には見ても良いと言う事なので店内を見せて貰うと、店を入ったすぐのところにある木箱に乱雑な入れ方をされた武器が積まれていた。
 価格は銅版1~2枚

「すいませ~ん。これって何ですか?」
「買い換えた武器の下取りしたのだね。キミみたいな新人さんが練習用に使うに売ってるのさ。ただし、どれも耐久度に難が有ったりするからそれで魔物を狩りに行く何って事はやめた方が良いよ。信頼できない武器で戦うのは命を落とすからね。あくまで重さに慣れるための練習用、鉄クズ一歩手前、そう思っていた方が良いよ」

 試しにショートソードを手に取り鑑定してみれば、確かに耐久度に難が有るもので長く使える物ではなさそうだった。

「少しの間使えれば良いかと思ったんですけど、それじゃダメですね」
「命を預けるんだからね。武器も防具も信頼の置けない物は裏切り者と同じだよ」

 剥ぎ取り用のナイフとも思ったが、それでも銀板1枚もしたので、お金を稼がなければ冒険者としての生活に影を落としそうである。ハイリスクハイリターンな仕事と思っていたけれど、どうやらハイコストでもあったようだ。
 少しお財布から漏れ出る冷たい空気を感じてしまったが、店主に「お金を貯めてまた来ます」と声を掛けると「気を付けてがんばんな」とかえして貰えた。







異様なほどPCが重い上に入力が全てアルファベットでしか打てない。ノートンの更新通知以降何かがおかしい。何が起こっているのでしょう?
こんなに早く異世界生活物語を落とす事になるとは・・・
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