89 / 121
89ヘンリーは・・・
しおりを挟む
「そんだけ出して貰えれば酒が飲めるからな。俺たちくらいの戦士隊じゃ10日に一遍飲めるか飲めないかで言えば、飲めないやつの方が多いくらいなんだぞ。それが荷物を運ぶだけで2日に一遍は飲めるようになるんだ。流石に朝持ってこなけりゃダメだとかになれば仕事的にキツイが、夜中以外いつでも良いとなれば喜んでやるさ」
「そりゃ翌日分にすれば良いだけだから昼でも夕でも良いけど、古くて黒くなりかけてるのはダメだからな。前に試した事があるけど粗悪品みたいに腕が赤くなって、すげえ痒くてヒドイ目にあったからな」
「袋で受け取るんじゃなくて全部出して改めればいいさ。中身は肉屋の脂箱みたいなところに移させて袋は持って帰らせる。誰かが立ち会って古いヤツは金を払えないって返せば良い。そうすれば変なものが混じる事も無いだろ?」
確かに確認した物だけなら安心出来るしゴミに金を払う事も無いが、ただの勘違い君と思っていたヘンリーにしたら良く考えている。
「それで、戦士団に依頼を持っていけば良いのか?」
「団に出してもらえれば良いんだけど、出来れば若手限定だとかにしてやって欲しいな。中堅どころのヤツらにも悪くない話だから、制限掛けねぇと若手より先にそっちに回っちまう」
「そうなのか?普通に稼げてるんじゃないのか?」
「中堅どころのヤツラの力なら山盛りの荷車で持って来るぞ?エドに取っちゃ良い話だが、それじゃ俺たちみたいな下のヤツラは稼げなくなっちまう」
確かに自分たちで稼ぐ手段のある人たちには、キチンと本職で頑張ってもらえば良い訳だな。
こいつらとは違うけど、金が欲しくて無茶する若手がこれから出ないとも限らないのだし、割の良いバイトみたいなものだからベテラン勢に適応するのも違う話だ。
「そしたら昼過ぎにでも依頼を出しに行くか。ヘンリーはお供な」
「うっ俺か?」
「お前の案なんだから当たり前だろ」
「副団長に会わなきゃいけないんだぞ」
そう言う事か、単純にファリアさんに会いたくないんだな。
こいつらに取ったら、未だに自分たちを無礼討ち出来る人だからな。まあ俺の手前問答無用で切る事は無いけど、こいつらの事は団の恥としてしか見ていないから、俺の元でしっかり更生されていないと判断されたら、切られるんじゃないかと言う心配があるんだろう。そう思うならしっかりしていろと言いたいがな。
「更生の兆しなしで切られないと良いな」
「ノ~~~~~~~」
この世界にノーと言う単語は存在していないのでタダの雄たけびだ。
と言うかそういう態度を直さない限り、いつまで経っても命の危険は無くならないと思うんだけどな。
他の四人に比べるとヘンリーの軽さだけが気になるので、たまにはファリアさんの所にお使いに出すのが良いのかも知れないけど・・・マジで切られるかも。
出合った時に比べれば尖がっていたところも少しは改善されているので、今では良いムードメーカーとなって来ているのだが、如何しても昔の癖が顔を出す所が直りきらない。
スズメ100まで踊り忘れず。小さい時からの習慣は抜けないと言う諺だが、ヘンリーよ、キミのためにあるような言葉だと思う。
「昼までに今日分の準備は全部終わらせるから、そのつもりで頑張ってね」
「本当に行かなきゃダメか?」
「ファリアさんにお前だけ変わりませんねって報告されたくなければな」
「・・・・それは・・・マズイだろ」
「きちんとしてれば良いだけだ。しっかりやっている姿を見せればファリアさんの印象も良くなるだろ」
拾った時から見ればマシになっているとは報告してやろうとは思うが、こいつ取り繕うのが下手だからな~
戦士団への依頼を出すために中央区にある本部に向かわなければならないので、作業を終えた俺は慌ただしく荷物をまとめた。
荷物とはなんぞや?それはロウソクである。転んでもタダでは起きない男、それがエドワードなのだ。原料を運んでもらって作るロウソクの製作のためには費用が掛かる。その依頼に掛かる費用はロウソクで回収するつもりでいるのだ。
現状の住宅事情の中で灯明で事足りるにも関わらず、ロウソクにそれ程の価値があるのか?それはある。それは明るさの勝負だからだ。
灯明の明るさとロウソクの明るさでは、ロウソクの方が明るいのだ。
当然の事だが、かがり火のような大きな火が焚けない家の中では、灯明が無ければ移動すら困難になるが、ロウソクであれば移動補助に留まらず文化進展も望めるのだ。
一般で言えば日中にしか出来なかった内職仕事だが、戦士団にとっては武具の手入れに酒盛りも明るい中で出来るだろう。
価格しだいでロウソクは売れる事間違いなし。誰だ売れるか悩んでいたヤツは。
「エド。急に腹が痛くなってきた」
「向こうで便所を借りれば良いから行くぞ」
「じゃあ頭が痛くなってきた」
「大丈夫だ。痛くなる頭が無い」
「ぅおい」
「準備が出来たから行くぞ」
「そりゃ翌日分にすれば良いだけだから昼でも夕でも良いけど、古くて黒くなりかけてるのはダメだからな。前に試した事があるけど粗悪品みたいに腕が赤くなって、すげえ痒くてヒドイ目にあったからな」
「袋で受け取るんじゃなくて全部出して改めればいいさ。中身は肉屋の脂箱みたいなところに移させて袋は持って帰らせる。誰かが立ち会って古いヤツは金を払えないって返せば良い。そうすれば変なものが混じる事も無いだろ?」
確かに確認した物だけなら安心出来るしゴミに金を払う事も無いが、ただの勘違い君と思っていたヘンリーにしたら良く考えている。
「それで、戦士団に依頼を持っていけば良いのか?」
「団に出してもらえれば良いんだけど、出来れば若手限定だとかにしてやって欲しいな。中堅どころのヤツらにも悪くない話だから、制限掛けねぇと若手より先にそっちに回っちまう」
「そうなのか?普通に稼げてるんじゃないのか?」
「中堅どころのヤツラの力なら山盛りの荷車で持って来るぞ?エドに取っちゃ良い話だが、それじゃ俺たちみたいな下のヤツラは稼げなくなっちまう」
確かに自分たちで稼ぐ手段のある人たちには、キチンと本職で頑張ってもらえば良い訳だな。
こいつらとは違うけど、金が欲しくて無茶する若手がこれから出ないとも限らないのだし、割の良いバイトみたいなものだからベテラン勢に適応するのも違う話だ。
「そしたら昼過ぎにでも依頼を出しに行くか。ヘンリーはお供な」
「うっ俺か?」
「お前の案なんだから当たり前だろ」
「副団長に会わなきゃいけないんだぞ」
そう言う事か、単純にファリアさんに会いたくないんだな。
こいつらに取ったら、未だに自分たちを無礼討ち出来る人だからな。まあ俺の手前問答無用で切る事は無いけど、こいつらの事は団の恥としてしか見ていないから、俺の元でしっかり更生されていないと判断されたら、切られるんじゃないかと言う心配があるんだろう。そう思うならしっかりしていろと言いたいがな。
「更生の兆しなしで切られないと良いな」
「ノ~~~~~~~」
この世界にノーと言う単語は存在していないのでタダの雄たけびだ。
と言うかそういう態度を直さない限り、いつまで経っても命の危険は無くならないと思うんだけどな。
他の四人に比べるとヘンリーの軽さだけが気になるので、たまにはファリアさんの所にお使いに出すのが良いのかも知れないけど・・・マジで切られるかも。
出合った時に比べれば尖がっていたところも少しは改善されているので、今では良いムードメーカーとなって来ているのだが、如何しても昔の癖が顔を出す所が直りきらない。
スズメ100まで踊り忘れず。小さい時からの習慣は抜けないと言う諺だが、ヘンリーよ、キミのためにあるような言葉だと思う。
「昼までに今日分の準備は全部終わらせるから、そのつもりで頑張ってね」
「本当に行かなきゃダメか?」
「ファリアさんにお前だけ変わりませんねって報告されたくなければな」
「・・・・それは・・・マズイだろ」
「きちんとしてれば良いだけだ。しっかりやっている姿を見せればファリアさんの印象も良くなるだろ」
拾った時から見ればマシになっているとは報告してやろうとは思うが、こいつ取り繕うのが下手だからな~
戦士団への依頼を出すために中央区にある本部に向かわなければならないので、作業を終えた俺は慌ただしく荷物をまとめた。
荷物とはなんぞや?それはロウソクである。転んでもタダでは起きない男、それがエドワードなのだ。原料を運んでもらって作るロウソクの製作のためには費用が掛かる。その依頼に掛かる費用はロウソクで回収するつもりでいるのだ。
現状の住宅事情の中で灯明で事足りるにも関わらず、ロウソクにそれ程の価値があるのか?それはある。それは明るさの勝負だからだ。
灯明の明るさとロウソクの明るさでは、ロウソクの方が明るいのだ。
当然の事だが、かがり火のような大きな火が焚けない家の中では、灯明が無ければ移動すら困難になるが、ロウソクであれば移動補助に留まらず文化進展も望めるのだ。
一般で言えば日中にしか出来なかった内職仕事だが、戦士団にとっては武具の手入れに酒盛りも明るい中で出来るだろう。
価格しだいでロウソクは売れる事間違いなし。誰だ売れるか悩んでいたヤツは。
「エド。急に腹が痛くなってきた」
「向こうで便所を借りれば良いから行くぞ」
「じゃあ頭が痛くなってきた」
「大丈夫だ。痛くなる頭が無い」
「ぅおい」
「準備が出来たから行くぞ」
16
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか
宮崎世絆
ファンタジー
うたた寝していただけなのに異世界転生してしまった。
公爵家の長女レティシア・アームストロングとして。
あまりにも美しい容姿に高い魔力。テンプレな好条件に「もしかして乙女ゲームのヒロインか悪役令嬢ですか?!」と混乱するレティシア。
溺愛してくる両親に義兄。アームストロング公爵の他に三つの公爵家のそれぞれ眉目秀麗な御子息三人も、才色兼備で温厚篤実なレティシアに心奪われ三人共々婚約を申し出る始末。
十五歳になり、高い魔力を持つ者のみが通える魔術学園に入学する事になったレティシア。
しかし、その学園はかなり特殊な学園だった。
全員見た目を変えて通わなければならず、性格まで変わって入学する生徒もいるというのだ。
「みんな全然見た目が違うし、性格まで変えてんだからもう誰が誰だか分からない!! 乙女ゲームの舞台かも知れないなんて知ったこっちゃない! 恋愛ど素人には荷が重いから、レティシアとバレずに平穏な学園生活送りたい! お願いだからモブとして学生生活エンジョイさせて!!」
果たしてレティシアは正体がバレる事なく無事卒業出来るのだろうか?
そしてレティシアは誰かと恋に落ちることが、果たしてあるのか?
レティシアは一体誰の手(恋)をとるのか。
これはレティシアの半生を描いたドタバタアクション有りの痛快学園コメディ……ではなく、れっきとした異世界ファンタジー感のある恋愛物語である。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
【完結】魔王様、今度も過保護すぎです!
綾雅(りょうが)今年は7冊!
ファンタジー
「お生まれになりました! お嬢様です!!」
長い紆余曲折を経て結ばれた魔王ルシファーは、魔王妃リリスが産んだ愛娘に夢中になっていく。子育ては二度目、余裕だと思ったのに予想外の事件ばかり起きて!?
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
魔王夫妻のなれそめは【魔王様、溺愛しすぎです!】を頑張って読破してください(o´-ω-)o)ペコッ
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
※2023/06/04 完結
※2022/05/13 第10回ネット小説大賞、一次選考通過
※2021/12/25 小説家になろう ハイファンタジー日間 56位
※2021/12/24 エブリスタ トレンド1位
※2021/12/24 アルファポリス HOT 71位
※2021/12/24 連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる