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第0章 始まりの戦い

第十二話 親友との再会

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「敵のマリノアス基地攻撃だが、思ったよりも早い。ダール少尉。機体の状態はどうだ?」

格納庫に連邦軍バラノフ家の親衛隊隊長、ロマン・ベロワが走ってきた。

「はい。カストルで戦闘に出る準備は出来ています。」
「そうか。よし。それなら問題ない。全員出撃の準備をしろ。イザリア中隊と同時に出るぞ!」



 アルバートはブライムと分隊を組み、連邦軍のマリノアス基地を攻撃していた。

『よし。それでいい。デグレア准尉。』
「はい。」

 アルバートはマリノアス基地から出撃していたデュラハンを既に五機ほど撃墜していた。これでエースパイロットの称号をもらえる基準はクリアしていた。
 ついでに妨害が気になっていたパトンも今回は基地への攻撃に当たっていたため、気にするようなことは無かった。

「後三機。」

 二十機以上いた敵部隊も後もう少しで全滅出来るかと思った時だった。

『退かないと思ったらやはり増援部隊が来るか。』

 ブライムの言葉と同時にコックピットのレーダに新たな機影が出ていた。

『しかもバラノフ家の親衛隊とイザリア中隊か。厄介だな。』
「隊長、イザリア中隊ってなんですか?」

 アルバートがそう尋ねる。

『あぁ。イザリア中隊は連携が良くとれている部隊だ。一方親衛隊は一機一機がこちらと違いパイロットによく合うように調整されている。まぁ、中隊の方はあのパトン達に任せればいい。だが親衛隊はこちらで相手をすればいい……。』
「承知しました。」

ブライムのゼウスの後を追ってバラノフ家の親衛隊に攻撃を仕掛ける。しかしその直前になって親衛隊は二手に分かれ、二機はイザリア中隊と合流、もう二機が別行動をした。

『エチュード少佐、アークウィン少尉と共にイザリア中隊に合流した二機を追え。こちらは別行動をとった二機を相手にする。』
『了解しました。』

 同時に二機はブライムとアルバートから離れていった。アルバートはエミリアの機体を一瞬だけ目で追うとすぐに別行動をした二機に目を向けた。



『イザリア中隊なら問題はないだろう。それよりも俺たちはこちらに突っ込んでくる機体を相手にするぞ。』
「了解です。」

 少し上機嫌なロマン・ベロワにアインはまだ慣れていないカストルを操作し追いかける。

『それにしてもブライム・エイブラウか。予想通りアークウィン家の親衛隊の隊長が来るか。面白い。ダール少尉はもう一機のゼウスを狙え。貴官ならば大して苦労もせずに撃破できるだろう。』

 ロマンの駆るニョルズはライフルでブライムの機体に射撃を始める。
 
「了解しました。」

 アインはもう一機のゼウスに攻撃をする。その機体はアインからの攻撃を余裕を持って躱していた。ただその躱し方がまだあまりどっしりとした感じではなく、まだ戦場に慣れていない動きであることを感じた。

「これはすぐ撃墜して大佐の援護といった感じかな。」

 アインは接近してくるもう一機のゼウス、アルバートが乗っている機体を狙いながらそう安易に想像をする。このまま何発か撃てばそのうち当たるだろうと。
 しかしその機体はアインからの攻撃を回避し続けた。

「ここまで攻撃を躱すとは。やはり親衛隊を名乗るだけあって強いな。」

 アインはその目の前の機体が思ったよりもやるため頭を切り替える。どうすれば確実に敵を倒せるかと頭を回す。

「接近しすぎたか!」

 カストルの左腰に搭載されているサーベルを引き抜く。それに合わせてゼウスも剣を抜き、二機は剣を交えた。
 そのまま何度か剣を交える。そのパイロットはさっきまでの動きと異なり、アインの動きに合わせて攻撃を繰り出していた。

 一つ一つの攻撃は帝国の教書に乗っているオーソドックスなものであった。しかしその組み合わせが絶妙なものだった。
 そのとき、帝国のあるパイロットの動きを思い出す。

(そういえば、アルバートもよく教本通りの動きを適切なタイミングで行っていたな。)

 アインはそう帝国の友のことを思い出した。

「この機体、まさか……!」



「この機体強い。」

 アルバートは何度も剣を交えている目の前の機体になんとか食らいつく。
 基本的な動きは教本通りに動いていたが、それだけでは追いつけないことは分かっていた。そのため以前の戦いでブライムが行っていたようなスラスターを常に全力にして食らいつく動きを少しだけ、自分が扱える範囲内で行っていた。そのため動きが少しいつもと違い不格好なものになってしまっていた。

「それにしてもこの敵の動き、どこかで見たことが……。」

 何故だか分からないが、アルバートには目の前の機体の動きが直感的に分かっていた。それが何故かは今の彼には思い出せなかった。

「この攻撃が来るということは次はこっちからの斬撃。」

 カストルの攻撃はアルバートの言った通りの動きをする。それはもはや予知というレベルではなく、完全に動きを理解していなければ出来ない領域の物だった。

「この何度も手合わせをしたような感じ……。」

 アルバートはそこまで言って気づく。

「この機体、まさかアインか!」

 剣を交えている瞬間にアルバートは接触回線を開いた。

「アイン・ダールだな?」
『やはり、そうか。その機体に乗っているのはお前だな、アルバート。』

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明日は22時ごろに投稿します。
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