ナレア王女の物語

加茂晶

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4. 侵略と反乱

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 それから三年間、ライオネル王国は平安を保っておりましたが、となりのアストラル王国では大変なことになっていました。国境からデルモニア帝国が侵略して来たのです。
 侵略されたアストラル王国は、王族も騎士も皆殺され、略奪されました。そこで立ち上がったのが、レナードです。彼は民衆を率いて戦い、ついにデルモニア帝国軍を追い払いました。そして平民だった彼を、民衆が王様にしたのでした。
 十七歳になったナレアは、そのレナード王と婚約しました。ライオネル王国が彼を支援して来たこともあり、小国同士が結びついて助け合うための政略結婚です。
 ナレアは、婚約するまでレナード王を見たことも無く不安でした。でも会ってみると、レナード王は英雄とは思えないほど、おだやかな好青年でした。それになんと言っても、レナード王にも子供の頃から大切にしているライオンのぬいぐるみがある、と聞いたので親近感が湧いたのでした。
 次第に話がはずむようになり、時々訪れて来るレナード王とお忍びで町へ出かけることもしばしばでした。以前より少しだけ豊かになった町の屋台でおいしい食べ物を買い、そのまま歩きながら食べる。二人とも元々平民なので、こんな気ままなデートは肩の力が抜けて楽しいのです。

 ところが、そんなある日のこと、突然デルモニア帝国軍がライオネル王国に侵攻して来たのです。王都はデルモニア帝国の軍隊に囲まれてしまいました。ニコル三世はすぐにアストラル王国に使者を出しましたが、いつ援軍が来るのかわかりません。

 ナレアもジョアンを護衛にして、お忍びで王都の様子を見まわります。しかし、そんな時に反乱が起きてしまいました。三年前にナレアを殺そうとした騎士の仲間が、追放されたことを逆恨して、デルモニア帝国軍と同調したのでした。
 ナレアとジョアンは、人の流れに紛まぎれて王城に帰ろうとしますが、反乱軍に見つかってしまいました。二人は必死に逃げましたが、ついには囲まれてしまいます。ナレアは、夢の中以外では三年ぶりに叫びました。
「デネボラ、助けて!」
 デネボラは、再び光り輝やく巨大なライオンの姿になると、ナレアとジョアンの周りにいた反乱軍を倒しました。しかし、反乱軍はまだ隠れているかも知れません。そこで、デネボラはナレアとジョアンを背中に乗せると、王城へ向むけて飛び立ちました。

 ところが、ちょうどその頃、ナレア達がいたすぐ近くの城壁がデルモニア帝国軍の手に落ちたところでした。デネボラはまだ城壁よりも低い高度を飛んでいます。
 それを見たデルモニア帝国の兵士は、弓矢でデネボラを狙って来ました。たくさんの矢がナレア達に向けて飛んできますが、皆デネボラの尻尾で弾き飛ばされてしまいます。いえ、たった一本だけ、尻尾から逃がれた矢がナレアの胸に深く突き刺さってしまいました。
 その直後、別の輝やく巨大なライオンが飛来しました。レナード王を乗せたレグルスです。レグルスから流星のように光線が降り注ぐと、城壁にいたデルモニア帝国軍は一瞬で壊滅しました。
 しかし、まだデルモニア帝国軍は押し寄せて来ます。危機を脱したデネボラは倒れたナレアを乗せたまま王城に向かい、レナード王は残りの敵と戦うため、城壁の外へ出撃して行きました。
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