2 / 150
死亡エンド回避!?
しおりを挟む
「ま、まぁ、なってしまったものは仕方がない。私はそんなに早くに死にたくないし? となれば死亡エンド回避に向け、できることをやっていかないとね」
とまぁ割とあっさり切り替え、主人公は今の自分に何ができるのかを思い浮かべていく。
物語は「剣と魔法の世界の学園モノ」であるのだが、基本的に乙女達の世界は学園で完結してしまう。設定上は、魔王との戦いの歴史とか、隣国との戦争なんてものもあるが、通常プレイで触れられることはない。
ゲームの舞台は様々な爵位のご令息やご令嬢の通う「皇立中央学院エスペランサ」である。御大層に聞こえる名前の割には平民の通う学院も併設されていて、割と頻繁に行われる交流会を考えると、もはやコネを作るために作られたと思わなくもない。そんな場所であるため、基本的には下位貴族といえども有力な縁者やコネを持つもの、でなければ余程の金持ちでなければ入学は難しい。
さて、その物語の主役たる我らが主人公はどうだったかというと、14歳の時、辺境の貧乏男爵であるにもかかわらず「何故か」入学を許されることとなり、そこで希少魔法属性:光魔法に目覚め、主要キャラすべての目に止まることでゲームが始まる……予定である。ちなみに光魔法保持者は、発覚次第国への届け出が義務化されている。
「そう……そうだわ。学院に通うのが確定する前に何か役割とか、他の学校へ行くとか……最悪力技でどこかに嫁に貰われるとか! だってこの世界だと結婚可能年齢は低かったはずだしね!」
14からだな。それもあってお見合いを兼ねてるのかも知れんが。
だがしかし、そんなコネはない。主人公の実家の交流関係にそれらしい男児は存在していないようだ。大体、隣国最前線の辺境伯の下、小さな領地を預かる貧乏男爵と誰が縁を結びたがるのか? 大体コネがあった所で、そんなモテ力ないしコミュ力があったなら前世で喪女なんてやってねえだろ、と突っ込まざるを得ない盲言を吐く主人公なのであった。
「ぐぬぅ……」
コンコンコン……
「フローラぁ?」
図星を指され、歯噛みする主人公の部屋のドアをノックする音がし、次いで鼻にかかった甘い声で呼びかけられる。声の主は主人公の母、ステラである。ちなみにフローラは愛称であるが、わざわざ言うまでもなかろう。
(じゃあ言わなくていいじゃん)
細かい、あいや、面倒くさい、あいや小姑な主人公であった。誰にも聞こえてないって言ってるのにね。頭悪いのかしら。
「あらぁ、起きていたのねぇ。どぉお? もぉ頭痛いのはなぁい? 調子は悪くなってなぁい?」
「ふぐぬっ……おはようございますお母様。大丈夫です。もうどこも痛くありませんし、不調もありません」
「そぉ、良かったわぁ。見てて可愛そうなくらい苦しんでいたものねぇ。お母様、心が潰れそうだったわぁ。
そんな苦難を乗り越えた貴女に朗報でぇ~す。フローラちゃんがずっと行きたがっていた、皇立中央学院エスペランサへの入学が決まっちゃいました。きゃ~ぱちぱちぱちぃ♪」
「……え?」
「せっかく憧れの学院への入学が決まったっていうのに、体調不良でお断りだなんて悲しいわよねぇ。だってあぁんなに楽しみに、してたんですものねぇ~」
「……はい?」
主人公は思った。「え? もう入学決まってるの? なんで? ゲームが始まっちゃう! 高確率で……私死ぬの!? やべえよやべえよ……回避ってか断らないと」――と。だがしかし、母が紡いだ次の言葉でその気勢は削がれることとなる。
「とっても行きたがってたでしょう? 皇都のエスペランサへの入学。お父様やお母様、お祖父様やお祖母様も、それはそれは手を尽くしてようやく、入学の権利を勝ち得たのよぉ。意識不明だった貴女が起き上がった時、何が喜ぶかみんなみんなで考えに考えた結果だものぉ。それはそれは八方手を尽くして頑張ったんだからぁ」
「はむぐんっ!? は、はは……は。そう、です、ね。楽しみだな、わ、わーい」
もはや断ることもできず、退路を断たれて投げやりである。まさかゲームでは語られなかったセレブの園への入学のアレコレが、一族あげたロピー活動? の賜物だと聞かされてしまっては、「あ、やっぱもう入りたくない」とは言えない小心者の喪女であった。
「うう……もう喪女じゃないもん。前世の私はともかく、この子はモテるんだもん」
「うんー? 何か言ったぁ?」
「いえ……友達たくさんできるかなぁ……って」
「お母様の自慢の娘だものぉ。きっと大丈夫よ。うふふふふ~♪」
「あ、ははは、は……」
もはやゲーム開始は時間の問題である。既に目は死んでいるが、本体の命日も待ったなしである。
「私は死にましぇえん……」
いくつだよお前……。
「いくつだろ……どっかでみた言葉なんだけど……」
「うんー? 何か言ったぁ?」
「いえ……何でもありません」
「じゃーあー、私は色々準備があるからぁ、行くわねぇ? 貴女はまだ病み上がりなんだからぁ、ちゃぁんと寝てるのよぉ?」
「はい……お母様」
………
……
…
「ス、ステラ。フ、フローラの様子は……どど、どう、だった?」
フローラの部屋をでてきたステラを待ち受けていたのは、若干……いやかなり挙動不審なクロード男爵家当、ゼオルグ・クロードだった。茶色の短髪茶目、長身筋肉質で容姿は整っているものの、火傷や刃物傷などの目立つ傷痕があり、いかにも歴戦の勇士然とした美丈夫である。
「えっとぉ、元気は元気そうだったわぁ。でも突然表情が『クワッ!』ってなったり、何もない所でブツブツ言ったりしてるのよねぇ。あの子、大丈夫なのかしらぁ……」
主人公は何事もないかのように振舞ってはいるものの、原因不明の熱や頭痛で10日も寝込んでいたのだ。医者も手がつけようがなく、一時は娘の死を覚悟したほどであった。
明日をも知れぬ容態の娘の熱が下がり、頭の痛みも消えたのか苦痛に顔を歪ませることもなくなってから更に5日の間は、起き上がることもできなかった。
そこから5日経ち、起き上がれるようになってからもただぼーっとする日が続き、結局寝込み始めてから数えて一月も過ぎた頃、ようやく人らしい反応を返すようになった。
……と思ったら、奇声を発するわ、鏡と見つめ合ってニヤニヤするわで、今度は頭の心配をする羽目になってしまった、菊からに気の毒な両親である。
「ぬぅ……。うちが裕福であったなら、侍女の一人でもつけてやれるのだが」
「私のお父様に頼るのはぁ……お嫌ぁ?」
ステラの父、マクシマス・ハトラー伯爵は子爵時代、当時一介の騎士であったゼオルグの主だった。マクシマス自身、当時は辺境伯の下、最前線で戦う猛将であった。用兵術に優れたマクシマスの出る戦では、少ない被害で敵を殲滅する手腕が諸外国に広く恐れられていた。
どうにかしてマクシマスを前線より退けたいと考えていた隣国は、彼の留守中に用兵の要となる部下達、および拠点を潰さんと大挙して押し寄せたのだ。その時敵軍から、彼の親族を文字通り身を挺して守り抜いたのがゼオルグである。顔の傷痕の多くがこの時負った傷である。
ちなみにマクシマスはこの時の報復として電撃戦を敢行し、奪われそうになった領地以上の少なくない領土を分捕ったのである。自身は攻め入られた責を負い、全ての功績を辺境伯の手柄としたので身分は据え置かれた。
……ぶっちゃけ、そんなおっかない昔の上司が義父なのである。あと、分捕った領地の一部が、男爵が今借り受けている領地でもある。
「いや、嫌だとかまったくもってそういうわけではないのだが……。
相談の一つでもすれば、全力で親身になってくださるのでいつもありがたくは思っているぞ? ただ、今回の件に関してあの方に任せると、身の回りを世話するものどころか、ご本人様方も押しかけてきそうで……」
「そうねぇ……仮にお父様達だけとしても、受け入れるにはうちは小さいわよねぇ」
「うぐっ!」
庶民派の男爵等、ヘタな町長よりは貧乏である。その上、領地も借り物。男爵と言うより、立場はいわば代官なのである。
「それより旦那様ぁ? 貴方はフローラに声をかけてあげないの?」
そうなのである。「うちはちっさいよね」というツッコミにダメージを受けているこの男爵、娘が目覚めてからはほとんど起きてる間は顔を合わせていない。というのも、記憶の混濁中、前世が素の状態で表層に出てる時に
『おおおおおお! フローラぁああああ! 目が! 目が覚めたのだな! 父は……父は嬉しいぞぉおおおお!』
『……うるさい。……あと、暑苦しい』
『!!!!!』
とまぁ、クリティカルなハートブレイクを食らってしまって、フローラが起きてる間には近づけなくなってしまっていたのだ。
主人公になる前のフローラは『おっきくなったらぱぱのおよめさんになる!』を地で行く、パパっ子だったのだが……中身がこじらせた32歳にしてみると、父の愛情はただただウザかったようだ。
そんなことを知らない男爵は、娘の豹変ぶりにすっかり怯えてしまっていた。トラウマかよ。
「あ、いや、その……」
「まだ『暑苦しい』って言われたの気にしてるのぉ?」
「ごふっ……」
もうやめたげてぇ!? 男爵の心のHPはもう0よ!!
「もう、貴方ってば……。受け答えもちゃんとできないくらい、ぼーっとしてた娘に本当のこと言われたからってそんなに凹まないの」
「ほ、ほんとうのこと……」
何故にとどめを刺そうとするのか、男爵夫人。
「あの子が寝込んでいる間、起きた時に喜ばせたいがために『エスペランサ学院への入学を取り付けよう!』って積極的に行動してたのは貴方じゃない。
ただまぁ……あんまり嬉しそうじゃなかったわねぇ。以前はあんなに行きたがってたのに、一体どうしちゃったのかしらねぇ?」
まさか母親も、寝込んでいるうちに異世界の住人が娘の中に転生してしまっているとは思いもすまい。そして父親も良かれと思って奮闘したことが喜ばれなかったと知って、そろそろ再起不能レベルで倒れそうだ。体勢はすでにorzである。なんともまぁ罪な喪女……
(むがー!)
……主人公である。というか、扉を越えて反応するなよ。母上殿が困惑してるぞ。ちなみに父上殿は不動のorzのままだが。
(ぐぬぬ……)
とまぁ割とあっさり切り替え、主人公は今の自分に何ができるのかを思い浮かべていく。
物語は「剣と魔法の世界の学園モノ」であるのだが、基本的に乙女達の世界は学園で完結してしまう。設定上は、魔王との戦いの歴史とか、隣国との戦争なんてものもあるが、通常プレイで触れられることはない。
ゲームの舞台は様々な爵位のご令息やご令嬢の通う「皇立中央学院エスペランサ」である。御大層に聞こえる名前の割には平民の通う学院も併設されていて、割と頻繁に行われる交流会を考えると、もはやコネを作るために作られたと思わなくもない。そんな場所であるため、基本的には下位貴族といえども有力な縁者やコネを持つもの、でなければ余程の金持ちでなければ入学は難しい。
さて、その物語の主役たる我らが主人公はどうだったかというと、14歳の時、辺境の貧乏男爵であるにもかかわらず「何故か」入学を許されることとなり、そこで希少魔法属性:光魔法に目覚め、主要キャラすべての目に止まることでゲームが始まる……予定である。ちなみに光魔法保持者は、発覚次第国への届け出が義務化されている。
「そう……そうだわ。学院に通うのが確定する前に何か役割とか、他の学校へ行くとか……最悪力技でどこかに嫁に貰われるとか! だってこの世界だと結婚可能年齢は低かったはずだしね!」
14からだな。それもあってお見合いを兼ねてるのかも知れんが。
だがしかし、そんなコネはない。主人公の実家の交流関係にそれらしい男児は存在していないようだ。大体、隣国最前線の辺境伯の下、小さな領地を預かる貧乏男爵と誰が縁を結びたがるのか? 大体コネがあった所で、そんなモテ力ないしコミュ力があったなら前世で喪女なんてやってねえだろ、と突っ込まざるを得ない盲言を吐く主人公なのであった。
「ぐぬぅ……」
コンコンコン……
「フローラぁ?」
図星を指され、歯噛みする主人公の部屋のドアをノックする音がし、次いで鼻にかかった甘い声で呼びかけられる。声の主は主人公の母、ステラである。ちなみにフローラは愛称であるが、わざわざ言うまでもなかろう。
(じゃあ言わなくていいじゃん)
細かい、あいや、面倒くさい、あいや小姑な主人公であった。誰にも聞こえてないって言ってるのにね。頭悪いのかしら。
「あらぁ、起きていたのねぇ。どぉお? もぉ頭痛いのはなぁい? 調子は悪くなってなぁい?」
「ふぐぬっ……おはようございますお母様。大丈夫です。もうどこも痛くありませんし、不調もありません」
「そぉ、良かったわぁ。見てて可愛そうなくらい苦しんでいたものねぇ。お母様、心が潰れそうだったわぁ。
そんな苦難を乗り越えた貴女に朗報でぇ~す。フローラちゃんがずっと行きたがっていた、皇立中央学院エスペランサへの入学が決まっちゃいました。きゃ~ぱちぱちぱちぃ♪」
「……え?」
「せっかく憧れの学院への入学が決まったっていうのに、体調不良でお断りだなんて悲しいわよねぇ。だってあぁんなに楽しみに、してたんですものねぇ~」
「……はい?」
主人公は思った。「え? もう入学決まってるの? なんで? ゲームが始まっちゃう! 高確率で……私死ぬの!? やべえよやべえよ……回避ってか断らないと」――と。だがしかし、母が紡いだ次の言葉でその気勢は削がれることとなる。
「とっても行きたがってたでしょう? 皇都のエスペランサへの入学。お父様やお母様、お祖父様やお祖母様も、それはそれは手を尽くしてようやく、入学の権利を勝ち得たのよぉ。意識不明だった貴女が起き上がった時、何が喜ぶかみんなみんなで考えに考えた結果だものぉ。それはそれは八方手を尽くして頑張ったんだからぁ」
「はむぐんっ!? は、はは……は。そう、です、ね。楽しみだな、わ、わーい」
もはや断ることもできず、退路を断たれて投げやりである。まさかゲームでは語られなかったセレブの園への入学のアレコレが、一族あげたロピー活動? の賜物だと聞かされてしまっては、「あ、やっぱもう入りたくない」とは言えない小心者の喪女であった。
「うう……もう喪女じゃないもん。前世の私はともかく、この子はモテるんだもん」
「うんー? 何か言ったぁ?」
「いえ……友達たくさんできるかなぁ……って」
「お母様の自慢の娘だものぉ。きっと大丈夫よ。うふふふふ~♪」
「あ、ははは、は……」
もはやゲーム開始は時間の問題である。既に目は死んでいるが、本体の命日も待ったなしである。
「私は死にましぇえん……」
いくつだよお前……。
「いくつだろ……どっかでみた言葉なんだけど……」
「うんー? 何か言ったぁ?」
「いえ……何でもありません」
「じゃーあー、私は色々準備があるからぁ、行くわねぇ? 貴女はまだ病み上がりなんだからぁ、ちゃぁんと寝てるのよぉ?」
「はい……お母様」
………
……
…
「ス、ステラ。フ、フローラの様子は……どど、どう、だった?」
フローラの部屋をでてきたステラを待ち受けていたのは、若干……いやかなり挙動不審なクロード男爵家当、ゼオルグ・クロードだった。茶色の短髪茶目、長身筋肉質で容姿は整っているものの、火傷や刃物傷などの目立つ傷痕があり、いかにも歴戦の勇士然とした美丈夫である。
「えっとぉ、元気は元気そうだったわぁ。でも突然表情が『クワッ!』ってなったり、何もない所でブツブツ言ったりしてるのよねぇ。あの子、大丈夫なのかしらぁ……」
主人公は何事もないかのように振舞ってはいるものの、原因不明の熱や頭痛で10日も寝込んでいたのだ。医者も手がつけようがなく、一時は娘の死を覚悟したほどであった。
明日をも知れぬ容態の娘の熱が下がり、頭の痛みも消えたのか苦痛に顔を歪ませることもなくなってから更に5日の間は、起き上がることもできなかった。
そこから5日経ち、起き上がれるようになってからもただぼーっとする日が続き、結局寝込み始めてから数えて一月も過ぎた頃、ようやく人らしい反応を返すようになった。
……と思ったら、奇声を発するわ、鏡と見つめ合ってニヤニヤするわで、今度は頭の心配をする羽目になってしまった、菊からに気の毒な両親である。
「ぬぅ……。うちが裕福であったなら、侍女の一人でもつけてやれるのだが」
「私のお父様に頼るのはぁ……お嫌ぁ?」
ステラの父、マクシマス・ハトラー伯爵は子爵時代、当時一介の騎士であったゼオルグの主だった。マクシマス自身、当時は辺境伯の下、最前線で戦う猛将であった。用兵術に優れたマクシマスの出る戦では、少ない被害で敵を殲滅する手腕が諸外国に広く恐れられていた。
どうにかしてマクシマスを前線より退けたいと考えていた隣国は、彼の留守中に用兵の要となる部下達、および拠点を潰さんと大挙して押し寄せたのだ。その時敵軍から、彼の親族を文字通り身を挺して守り抜いたのがゼオルグである。顔の傷痕の多くがこの時負った傷である。
ちなみにマクシマスはこの時の報復として電撃戦を敢行し、奪われそうになった領地以上の少なくない領土を分捕ったのである。自身は攻め入られた責を負い、全ての功績を辺境伯の手柄としたので身分は据え置かれた。
……ぶっちゃけ、そんなおっかない昔の上司が義父なのである。あと、分捕った領地の一部が、男爵が今借り受けている領地でもある。
「いや、嫌だとかまったくもってそういうわけではないのだが……。
相談の一つでもすれば、全力で親身になってくださるのでいつもありがたくは思っているぞ? ただ、今回の件に関してあの方に任せると、身の回りを世話するものどころか、ご本人様方も押しかけてきそうで……」
「そうねぇ……仮にお父様達だけとしても、受け入れるにはうちは小さいわよねぇ」
「うぐっ!」
庶民派の男爵等、ヘタな町長よりは貧乏である。その上、領地も借り物。男爵と言うより、立場はいわば代官なのである。
「それより旦那様ぁ? 貴方はフローラに声をかけてあげないの?」
そうなのである。「うちはちっさいよね」というツッコミにダメージを受けているこの男爵、娘が目覚めてからはほとんど起きてる間は顔を合わせていない。というのも、記憶の混濁中、前世が素の状態で表層に出てる時に
『おおおおおお! フローラぁああああ! 目が! 目が覚めたのだな! 父は……父は嬉しいぞぉおおおお!』
『……うるさい。……あと、暑苦しい』
『!!!!!』
とまぁ、クリティカルなハートブレイクを食らってしまって、フローラが起きてる間には近づけなくなってしまっていたのだ。
主人公になる前のフローラは『おっきくなったらぱぱのおよめさんになる!』を地で行く、パパっ子だったのだが……中身がこじらせた32歳にしてみると、父の愛情はただただウザかったようだ。
そんなことを知らない男爵は、娘の豹変ぶりにすっかり怯えてしまっていた。トラウマかよ。
「あ、いや、その……」
「まだ『暑苦しい』って言われたの気にしてるのぉ?」
「ごふっ……」
もうやめたげてぇ!? 男爵の心のHPはもう0よ!!
「もう、貴方ってば……。受け答えもちゃんとできないくらい、ぼーっとしてた娘に本当のこと言われたからってそんなに凹まないの」
「ほ、ほんとうのこと……」
何故にとどめを刺そうとするのか、男爵夫人。
「あの子が寝込んでいる間、起きた時に喜ばせたいがために『エスペランサ学院への入学を取り付けよう!』って積極的に行動してたのは貴方じゃない。
ただまぁ……あんまり嬉しそうじゃなかったわねぇ。以前はあんなに行きたがってたのに、一体どうしちゃったのかしらねぇ?」
まさか母親も、寝込んでいるうちに異世界の住人が娘の中に転生してしまっているとは思いもすまい。そして父親も良かれと思って奮闘したことが喜ばれなかったと知って、そろそろ再起不能レベルで倒れそうだ。体勢はすでにorzである。なんともまぁ罪な喪女……
(むがー!)
……主人公である。というか、扉を越えて反応するなよ。母上殿が困惑してるぞ。ちなみに父上殿は不動のorzのままだが。
(ぐぬぬ……)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました
ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公
某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生
さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明
これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語
(基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる