乙女ゲー転生、私が主役!? ……いやそれ、何かの間違いです!

まんどう

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バレました……かーらーのー?

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 思いがけず前世が身バレしてから数日。注意すべき当代当主であるマリオとの接触もなく、怖い怖いお姉様や、可愛い可愛いメイリア嬢の間で揺れ動きながらカサカサ生きてる我らが喪女さんは、

(Gみたいに言うんじゃないわよー、うふふ)

 こちらの貶しにも余り反応しないレベルで浮かれていた。それもそのはず、現代人には馴染みのない授業、魔法のお時間がやってまいりました。理論等を座学でしっかり勉強してからの実技である。

(どんどんぱふぱふー!)

 ……事前調査で特に魔力が強いわけでもないことが判明しているフローラだったが、未知の技術にwktkするのは仕方ないことだろう。きっと誰もが魔法を夢見ているのだから。現実さえ見えなければ……。そう、現実。実際にそううまく行くわけがないのである。

「お前は不器用であるな」

「うぐっ……そのようです」

「ほんの初級の土魔法であるぞ? 皆が出来ていることができんというのも難儀であるな。……何か無理をしてるのか?」

「そんなはずは……無いと思うのですが」
(めっちゃ無理してるであります!)

 心の中で叫ぶくらいには自覚がある。何せ主人公なのだもの。珍しい「光」の魔法属性を持っているのである。それがきっかけで主役街道待ったなしになってしまう。よって、自身が唯一誇れる光の魔法を押し込めて、落第点だらけの他の属性で何とかしようと躍起になっているのである。
 ただし、フローラにとって不幸だったのは、光の魔法以外はポンコツだったことだ。ポンコツ部分に力を込めると、優秀な光の魔法が「こんにちはー」してくるのわけだ。フローラの内心は「ハウス!」である。
 例えるなら画鋲を指だけで硬い木材に刺すようなものだ。手だって腕だって体重だってかけてしまうのが普通なのに使えない、そんな状態といえるだろう。まーさーにー、無駄な努力。残念!

(言いたい放題言ってくれてんじゃねえ!)

 あ、光が漏れそう。

(ぎゃあ! ぐぬぬ……あんた覚えてなさい!)

 漏れ出そうになった光の魔法を無理やり押し込め、土魔法の発動に集中する。それに伴い砂粒がサワサワ動き出す。わぁ、砂粒のダンスみたい、かっわいいー。

(てめえ、黙ってねえと後で酷いからね……)

 何が出来るのやら……興味あります! って、あ、弾けた。

「えっ? ……あっ! 目ぐぁっ!」

 爆ぜた砂粒がフローラの目にシュート!

「はー、騒々しいのである。ほれ水」

 すかさずクライン先生が、水魔法を球状にしてフローラの目の前に展開する。

「わっぶ! ……(ぱちぱち)ぷぁっ。……ありがとうございます」

「良い。しかし授業の方は問題であるな。今日は居残りを命じるのである」

「は……い、分かりました」

 ここの所毎日怖い怖いお姉様に呼び出されていたからすっかり落ちこぼれの烙印を押されつつあるフローラ。今回の件で魔法まで駄目となったので、噂は加速することであろう。更に他の世界の歴史に明るわけもなく、座学の方もちょっとまずかったりする。
 ……これで座学も居残り来たらスリーアウトだな。

(やめてー。予言しないでー)


 ………
 ……
 …


「そ、クライン様に居残りを命じられたのね」

「はい。ですので今日の所は……」

「私も同席するわね」

「……はいぃ?」

「と言うか、もう許可は取ってあるっていうかぁ」

 ガチャ

「来たのである」

「……(あんぐり)」

「いらっしゃい、クライン様。無礼講でよろしいわよね?」

「構わんのである。というか、メアラ、君は弟のことで身分関係なく食って掛かってきた張本人であろう?」

「何のことやら……」

「あの動じないグラジアス男爵が、流石に強張った顔で当家にやってきた時には肝を潰したぞ。『家族のためなら王家にも噛み付く狂犬一族』は伊達ではないな」

 何やってんだグラジアス家は……。

(何やっちゃってんのお姉様!?)

「閣下にはご迷惑おかけしました」

「迷惑したのは私であるのだがな」

「あらあら、うふふ……」

(ちょ、怖い! 何時でも喧嘩買いますよ? 的な不穏なオーラ出さないで!?)

 すげーなグラジアス家。狂犬扱いかよ。

「さて、フローレンシア嬢。お前、一体何を隠している?」

「隠す? ですか? ……はて、何の」

「お前の行使せんとする魔法には光が混じっていたのである」

「光……ですって?」

(ぅぉぅ、まぁいがっ)

 それは神様を信仰していない人が言っちゃ駄目な言葉よ。

(神様助けて……)

 苦しい時の神頼みは見苦しい。

「「「………………」」」

 沈黙の時間が過ぎていく。

「皇家直轄の魔法兵長を呼び出して、詳しい鑑定を……」

「ごめんなさい、光魔法持ってます、内緒にして下さい」

「お前なぁ……」

「呆れた……貴女それ許される話じゃない事くらい分かるでしょう?」

「うう……」

 光の魔法は皇家の始祖が使っていたという、選ばれし者の象徴。いつか現れた場合、必ず届け出ることになっている。この話には続きがあるのだが、喪女さんはそこまで詳しくないので割愛。

(え!? いや、大事そうだから飛ばさないで??)

 色々影響出るから駄目。

「フローレンシア、まずは軽く使ってみせろ」

「はい……」

 パァアアアア……!!

 かなりの光量を持つ光魔法が発現する。

「これで軽く? 思ったより凄いわね……かなり高位の光魔法じゃないの?」

「で、あるな。フローレンシア」

「はい……」

「理由を一応聞いておこうか?」

「目立ちたくない……と言ったら納得して頂けますか?」

「良いだろう。分かった」

「良いわけ無いでしょう……「はい!?」」

(お姉様とかぶってしまったのは仕方ないと思うの)

 そうだなー。あの流れで『分かった』はないわなー。何でだ? 何となく分かるけど。by裏事情。

「光魔法は稀有ではあるが、流出の心配のない素質でもある。最低限、国家の一大事には力となることを約束さえすれば、自由を束縛するつもりはないのである」

「え? そんなもんなの?」

「そんなもんである」

(……そうなの?)

 そうなの。光魔法は珍しいし強力だけど、帝国のためだけにあると言っても過言ではないんだそうだ。もっと裏設定は色々あるけど、今はここまでだな。

(ううう、裏設定が気になる)

 それにしても公爵家の次男坊殿は割とあっさり言及したな。機密事項だと思ったんだが……。

「あの……それ私が聞いても良かったことなんでしょうか?」

「構わん。当事者であるし、我々が後ろについたほうが何かと都合が良かろう。光魔法は帝国のために発現する魔法。使える者には心安くあらんことを願うのみである」

「ふーん」

(ふーんて、お姉様……)

「それより他の魔法である」

「あっ、はい」

「光に回る魔力を別の魔法へ流せないのであるか?」

「・……無理のようです」

 物は試しと、即座にやってみせ……悲しい結果となった。

「お前は壊滅的に不器用であるな」

「ぶきっちょねー」

「うぐぐ……」

 ポンッ

「うぐ?」

 不意に頭の上に載せられた手に首を傾げるフローラ。

「少々痛いのである。我慢するのだぞ」

「え? 痛いってどういう意味ですぎゃあああああああああああ!?」

「うわぁ、酷い悲鳴ねぇ……」

 思いもかけない汚い悲鳴にメアラ女史が顔をしかめるも、風呂オラさんはそれどころではない。頭の中に手を突っ込まれたかのような感覚、次いで襲ってきたのはブチブチと何かを引き千切られる感覚、更にこねくり回され叩きつけられる粘土の如き扱いを、脳みそは受けてるんじゃないのと錯覚するような痛みである。悲鳴をあげない方がどうかしている。

「ふむ、このようなものだろう」

「………………」

 気も失わず、粗相もしなかったフローラは素直に褒めていいと思う。俺はしないけど。

(……しろよ)

 した所で裏を勘ぐるじゃん。

(……そうね)
「あ、あの、この仕打ちは一体……?」

「光魔法、使ってみるのである」

「? はい……あれ?」

 ほわぁ、と光が灯される。明らかに光量が減っている。

「では次は風魔法である」

「はい……。って、おぉ?」

 ほんの微風であるが、風が動いている。

「お前の魔法のサーキットをいじって、バイパスを繋いだのである。しばらくすればいじった分はリセットされてしまうが、それまでに他の魔法を使う感覚に慣れておくのである。そうすれば、光魔法がしゃしゃり出ることもないであろう」

「そ、そんなことが……?」

(やだ、クライン様イケメン!)

「ちょっと、医官も連れずにそんな危険なことしないでよ。下手したら死んじゃうわよ? それ」

(やだ、クライン様さいてー!?)

「問題無いのである。私の専門分野であるからして」

(……どう判断していいの?)

 まぁ専門家なのは間違いない。普通の魔法使いが同じことやれば80%廃人だな。

(ヒィ!? ……クライン様だと?)

 それでも20%位かなぁ? 5回に1回は、ボンッ! ってな?

「ぅ危っ!? クライン先生! 危ないことでしたら、事前に当人からの! 私の! 了承を得てからにしてくださいませ!」

「ふむ……国家の方針を無視してまで隠匿したかったお前は、自己申告して目立つか、多少の危険はあるものの隠匿し続ける道を選ぶのか、どっちなのであるか?」

 目立って数多のストーカー達に追われるルートか、今既に足を踏み込んでいる、地味目のルートかって奴だな。

「……すみません、私が間違っておりました」

 喪女さん、完全敗北の図である。
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