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ギラついた中年オヤジのような目つきで、俺のグレイスちゃんを舐め回す様に見る俺様キャラのヴェサリオめがぁ……絶許です、激おこプンプン丸ですっ。
(それ好きだな。っつかちゃんと説明しろや。現在クソ俺様の突きのラッシュが一旦止まり、二人で睨み合って膠着状態になってるんでしょうが。ギラついた目はともかく、色気のかけらも無い、ある意味純粋に繁殖相手としてグレイス様を見てるのよねぇ、あのクソ俺様。あと誰がお前のグレイスちゃんか)
そこは外さないんですね。
(当たり前だド阿呆。グレイス様とサイモン様がくっついてハッピー。私も脅威から開放されてハッピー。皆ハッピーよ)
喪女さんの悪口に自己中も入れて貰っては?
(ぬぐっ! 否定はできないがっ!)
そもそももうそういう心配が要らない状態になってんじゃないの?
(まぁそうなんだけどね)
じゃあそろそろ主人公を自覚しては?
(それは断りたい。トラブルに巻き込まれる未来しか想像できない)
両者睨み合っての膠着状態とは言うが、その実自分の得意な形に持っていけるよう、ジリジリと微妙な足運びで位置を変え続けている。あのオレサマ君、割と慎重だよな。
(だから怖いのよ。直情型の単細胞だと思ってたから)
強いのと単細胞は関係あるんだぜ?
(……無いかも知れない。でも考えない奴と考える奴では違うでしょ。それにあいつ、意識外の攻撃に反応できるみたいな事を言ってたし)
グレイス様大丈夫かね。
(ワカンネ。だから何が起きても良いように、とにかく注視し続けるのよ)
何か起きると?
(そういう予感がする。杞憂であって欲……)
「ぜあっ!」
「むっ!」
ギィンッ!
ヴェサリオの飛び出しにグレイスが綺麗に反応する。速度はこれまで以上であったが、グレイスはついていけてるようだ。
「ははっ! どんどん加速していくぜぇ!」
「おうよ!」
ガンッ、ギィンッ、ジャインッ、ドンッ!
(ああっ! グレイス様……私には何かできることはないの!?)
ねえから指くわえてみてんだろ。
(ぐぬぅ……)
「そらそら! もいっちょ上げてくぜぇ!」
「くぅっ! まだまだぁ!」
ガンガン、ギンッ、ザンッ、ドゴッ!
「うぁっ!」
「グレイス様!」
「大丈夫だ!」
蹴り飛ばされて体勢を崩すものの、直ぐに立ち上がって構えを取るグレイス。
「……はっ、耐えるねぇ。一つてめぇに聞きたい。侯爵家だとか誇ってやがったが、上級貴族様って事ぁよぉ? てめえ、将官って事だよなぁ?」
「はぁっはぁっ、それがどうした」
「いや何、てめぇはえらく経験が浅いと思ってなぁ」
「……? どういう……」
「ヒントをやるつもりはねえ! てめえは俺様の物になるんだよ!」
「私にはサイモンが居る! お引き取り願おう!」
(わぁ、大きな声で宣言しちゃった! エリさんが居たら赤い噴水だったわね!)
……やだなぁ、それ。
「はっは! 冗談抜かせ! サイモンとか言うガキにはてめえは勿体無え! 俺様が可愛がってやんよぉ!」
「引っ込めセクハラ大魔王!」
「てめえが引っ込んでろ! 無能存在害悪がっ!」
「なんかアダ名付きの名前見たく聞こえるだと!?」
ゲラゲラ、無能怪獣喪女らーみたいだな。
(くそう、くっそ~ぅ!)
「余裕だなっ!」
「ああそうとも。っつーか、俺様の隙を突くのは無理だと理解したんじゃなかったのか?」
「ぐぅっ!」
それでも試さずには居られないとばかりにグレイスは何度も斬りかかるのだが、ヴェサリオには見せた隙すらも、攻撃を誘って反撃するというある種の攻撃体勢であるのだった。
「そろそろ終わりにするかぁ! そらそらそらそらそらぁっっ!」
ガン、ギン、ギャリッ、ギシッ、ガァンッ!
「うっぐっがっあっ、ああっ!」
「グレイス様!」
ヴェサリオの一撃でグレイスは大きく跳ね飛ばされるが、回転して受け身を取るとすぐに構え直すのだった。
「はっは! 何を待ってるか知らねえが、もしハイネリアの方に行った奴が援軍として来ると思ってんなら諦めな。あいつは強えぜ?」
「ふっ、それは君よりかい?」
「……ああ、そうだ。アレは俺様より強い」
「何っ!? そんな、馬鹿な……」
「……え? 残念親父じゃないの?」
「全力が出し難いだけで、いざ全力を出せたら俺様の比じゃねえ位強い。まぁあいつの全力に俺様は付き合ったりゃあしねえけどよ」
「それにしたって相性がどうのって……」
「あいつの全力が出せてねえ時の相性ならそうかもな。だが全力のあいつは全てを平らげちまうぜ」
ヅガアアアアアンッッ……ビリビリビリッ
その時すぐ近くで巨大な雷が落ちるのが見え、その余波は直後に地響きを伴って辺りを揺らす。
「ああ、出したなぁ。本気へのカウントダウンだ」
「嘘、だ……」
「何アレ……あんな攻撃どうすれば」
「話は終わりだ! そろそろてめえを連れ帰るぜ!」
「むっ! 残念だが、こちらはまだ一・二段階はギアを上げていけるぞ!」
「いーや、詰んでるんだよてめえは。将官というものを理解してねえ」
「それはどういうっ! ぬうっ!」
ヴェサリオはもう話す事は無いとばかりに、今までの様な突きではなく、槍を大きな軌道で薙いできた。
「ぐぬっ! 戦法の変更か!? それ位で私がぁはっ……!? ……な、に?」
「グレイス様っ!?」
ヴェサリオの薙ぎを受け止めていたグレイスの肩口に、矢が刺さっていた。フローラがこちらに気を割く余り、ヴェサリオ・ハイネリア隊と、フローラの3隊との戦いの拮抗が破られていたのだ。
「よくがんばった、なぁっっ!」
「ぐぼぅっ!」
ヴェサリオは矢傷で力が抜けたグレイスの剣を槍で払いのけると、石突でグレイスの鳩尾に突き……衝撃のあまり、グレイスは気を失ってしまった。
「はあっは! よくやったてめえ等! 約束通り一緒に連れて帰ってやんよぉ!」
「「「「「うおおおおお!!」」」」」
「あんた! もしかしなくても、頑張らない奴は置いてくって脅したわね!?」
「だからどうした!」
「この人でなし!」
「うるせえ! 俺はもう目的を達成した! てめえともこれで終わりだ! 清々するぜ!」
「……はぁっ!? あんた私の命が目的じゃなかったの!?」
「グレイスを連れ去られて、自国で震え上がって閉じ籠もる柄かてめえ? ぜってえ後先考えず、レアムに突っ込んでくるに決まってるだろうがぁ!」
「うぐっ!? 否定できない! ええいこなくそっ!」
「だから俺はこいつをこの『捕獲兵器』でもって……」
キイィィィンッ!
「……はっ! 金属の彫像たぁ、あんまりソソらねえなぁ。まぁ良い……撤収だあ! 『全帰還水晶』発動! はあっはっはっはぁ!」
キィィィィィイイイイインンッッ!
「グレイス様ー!」
光が落ち着いて目が開けられるようになった頃、そこにはレアム軍、ヴェサリオはともかく、グレイスの姿も消えていたのだった。
「ああ、あああ……うわあああああぁぁ!!」
………
……
…
あの後、顔見知りの兵達が近づいてきてフローラの様子を伺うも、反応の無いフローラに後は任せろと声をかけてくれた。どうにかその言葉は聞こえていたのか、放心したままとぼとぼと歩いていく。そして何処へともなく歩いていた喪女さんがふと気付くと、見慣れない長身痩躯の青年がアーチボルドを膝枕しているシーンに出くわした。
「………………サブ?」
「あらやだ、わかっちゃったのぉ?」
「その顔は見覚えある」
「ああ、そっかぁ。私、今そこまでは気が回らなかったわ」
「………………なんでアレに擬態?」
「フローラ様に顔向けできないのもあったけど、アレはアレで私の理想だったの」
「アレ……が?」
アレがぁ!?
「ええ。かつての私が完成されたらああなっていた。そういう幻想よね」
「うぐ……あ、アメリ、ア?」
「あら残念。サブリナですわよぉ」
「さぶ? ……お前! 生きてたのか!?」
アーチボルドは飛び起きてサブリナの無事を確認する。見てくれの違いはどうでも良いようだ。
「生きてた……良かった。そうだ! ハイネリアは!?」
「あそこに」
「おお! 倒した……ん?」
「彼は長い時を生きたゴーレムだったようですわ」
「「ゴーレム」」
喪女さんとアーチボルドは思わずその事実を再確認するかのように口にした。
「………………って、フローラ嬢!? 居たのか! そちらはどうだ……って聞くまでもないな、その顔は。何があった?」
「グレイス様が……連れ去られました」
「なんですって!?」「なんだと!?」
「私が……私が至らないばかりに……っ!」
「それは違いますわね、フローラ様」
「「「アメリア」様!」」
「聞いてたか?」
「ええ、はっきりと。サイモン様には私の方から伝えさせて頂きますのでご安心下さい、フローラ様」
「安心……そんなのできないよ!」
「フローラ様……?」
「あいつ! 事もあろうにグレイス様を嫁にするだとかほざいてた!」
「「「 !? 」」」
「アメリア様、アーチボルド様、私戦場に立ちたい! グレイス様を奪還させて!」
「それは……」
「現時点ではできない相談ですね」
「「「「サイモン」様!」」」
「どうして!? サイモン様はグレイス様が心配じゃないの!?」
「彼女も私も武人ですので、そういう心構えもできています」
「でも……っ!」
「仮に彼女が敵の手に落ちるのを厭うなら、自ら命を断つでしょう」
「「そんな!?」」「「………………」」
「ですが、私は彼女にどんなことがあっても、どんな目にあっても、死なないように生き延びるように言い含めています。安心して下さい」
「でもでも……っ!」
「それに希望はあります」
「希望?」
「そうです。希望、それは貴女です」
絶喪女さんが希望とは如何に!? ……ああ、このタイミングのシャボン玉メンタルじゃ返事を期待するのは無理か。
(それ好きだな。っつかちゃんと説明しろや。現在クソ俺様の突きのラッシュが一旦止まり、二人で睨み合って膠着状態になってるんでしょうが。ギラついた目はともかく、色気のかけらも無い、ある意味純粋に繁殖相手としてグレイス様を見てるのよねぇ、あのクソ俺様。あと誰がお前のグレイスちゃんか)
そこは外さないんですね。
(当たり前だド阿呆。グレイス様とサイモン様がくっついてハッピー。私も脅威から開放されてハッピー。皆ハッピーよ)
喪女さんの悪口に自己中も入れて貰っては?
(ぬぐっ! 否定はできないがっ!)
そもそももうそういう心配が要らない状態になってんじゃないの?
(まぁそうなんだけどね)
じゃあそろそろ主人公を自覚しては?
(それは断りたい。トラブルに巻き込まれる未来しか想像できない)
両者睨み合っての膠着状態とは言うが、その実自分の得意な形に持っていけるよう、ジリジリと微妙な足運びで位置を変え続けている。あのオレサマ君、割と慎重だよな。
(だから怖いのよ。直情型の単細胞だと思ってたから)
強いのと単細胞は関係あるんだぜ?
(……無いかも知れない。でも考えない奴と考える奴では違うでしょ。それにあいつ、意識外の攻撃に反応できるみたいな事を言ってたし)
グレイス様大丈夫かね。
(ワカンネ。だから何が起きても良いように、とにかく注視し続けるのよ)
何か起きると?
(そういう予感がする。杞憂であって欲……)
「ぜあっ!」
「むっ!」
ギィンッ!
ヴェサリオの飛び出しにグレイスが綺麗に反応する。速度はこれまで以上であったが、グレイスはついていけてるようだ。
「ははっ! どんどん加速していくぜぇ!」
「おうよ!」
ガンッ、ギィンッ、ジャインッ、ドンッ!
(ああっ! グレイス様……私には何かできることはないの!?)
ねえから指くわえてみてんだろ。
(ぐぬぅ……)
「そらそら! もいっちょ上げてくぜぇ!」
「くぅっ! まだまだぁ!」
ガンガン、ギンッ、ザンッ、ドゴッ!
「うぁっ!」
「グレイス様!」
「大丈夫だ!」
蹴り飛ばされて体勢を崩すものの、直ぐに立ち上がって構えを取るグレイス。
「……はっ、耐えるねぇ。一つてめぇに聞きたい。侯爵家だとか誇ってやがったが、上級貴族様って事ぁよぉ? てめえ、将官って事だよなぁ?」
「はぁっはぁっ、それがどうした」
「いや何、てめぇはえらく経験が浅いと思ってなぁ」
「……? どういう……」
「ヒントをやるつもりはねえ! てめえは俺様の物になるんだよ!」
「私にはサイモンが居る! お引き取り願おう!」
(わぁ、大きな声で宣言しちゃった! エリさんが居たら赤い噴水だったわね!)
……やだなぁ、それ。
「はっは! 冗談抜かせ! サイモンとか言うガキにはてめえは勿体無え! 俺様が可愛がってやんよぉ!」
「引っ込めセクハラ大魔王!」
「てめえが引っ込んでろ! 無能存在害悪がっ!」
「なんかアダ名付きの名前見たく聞こえるだと!?」
ゲラゲラ、無能怪獣喪女らーみたいだな。
(くそう、くっそ~ぅ!)
「余裕だなっ!」
「ああそうとも。っつーか、俺様の隙を突くのは無理だと理解したんじゃなかったのか?」
「ぐぅっ!」
それでも試さずには居られないとばかりにグレイスは何度も斬りかかるのだが、ヴェサリオには見せた隙すらも、攻撃を誘って反撃するというある種の攻撃体勢であるのだった。
「そろそろ終わりにするかぁ! そらそらそらそらそらぁっっ!」
ガン、ギン、ギャリッ、ギシッ、ガァンッ!
「うっぐっがっあっ、ああっ!」
「グレイス様!」
ヴェサリオの一撃でグレイスは大きく跳ね飛ばされるが、回転して受け身を取るとすぐに構え直すのだった。
「はっは! 何を待ってるか知らねえが、もしハイネリアの方に行った奴が援軍として来ると思ってんなら諦めな。あいつは強えぜ?」
「ふっ、それは君よりかい?」
「……ああ、そうだ。アレは俺様より強い」
「何っ!? そんな、馬鹿な……」
「……え? 残念親父じゃないの?」
「全力が出し難いだけで、いざ全力を出せたら俺様の比じゃねえ位強い。まぁあいつの全力に俺様は付き合ったりゃあしねえけどよ」
「それにしたって相性がどうのって……」
「あいつの全力が出せてねえ時の相性ならそうかもな。だが全力のあいつは全てを平らげちまうぜ」
ヅガアアアアアンッッ……ビリビリビリッ
その時すぐ近くで巨大な雷が落ちるのが見え、その余波は直後に地響きを伴って辺りを揺らす。
「ああ、出したなぁ。本気へのカウントダウンだ」
「嘘、だ……」
「何アレ……あんな攻撃どうすれば」
「話は終わりだ! そろそろてめえを連れ帰るぜ!」
「むっ! 残念だが、こちらはまだ一・二段階はギアを上げていけるぞ!」
「いーや、詰んでるんだよてめえは。将官というものを理解してねえ」
「それはどういうっ! ぬうっ!」
ヴェサリオはもう話す事は無いとばかりに、今までの様な突きではなく、槍を大きな軌道で薙いできた。
「ぐぬっ! 戦法の変更か!? それ位で私がぁはっ……!? ……な、に?」
「グレイス様っ!?」
ヴェサリオの薙ぎを受け止めていたグレイスの肩口に、矢が刺さっていた。フローラがこちらに気を割く余り、ヴェサリオ・ハイネリア隊と、フローラの3隊との戦いの拮抗が破られていたのだ。
「よくがんばった、なぁっっ!」
「ぐぼぅっ!」
ヴェサリオは矢傷で力が抜けたグレイスの剣を槍で払いのけると、石突でグレイスの鳩尾に突き……衝撃のあまり、グレイスは気を失ってしまった。
「はあっは! よくやったてめえ等! 約束通り一緒に連れて帰ってやんよぉ!」
「「「「「うおおおおお!!」」」」」
「あんた! もしかしなくても、頑張らない奴は置いてくって脅したわね!?」
「だからどうした!」
「この人でなし!」
「うるせえ! 俺はもう目的を達成した! てめえともこれで終わりだ! 清々するぜ!」
「……はぁっ!? あんた私の命が目的じゃなかったの!?」
「グレイスを連れ去られて、自国で震え上がって閉じ籠もる柄かてめえ? ぜってえ後先考えず、レアムに突っ込んでくるに決まってるだろうがぁ!」
「うぐっ!? 否定できない! ええいこなくそっ!」
「だから俺はこいつをこの『捕獲兵器』でもって……」
キイィィィンッ!
「……はっ! 金属の彫像たぁ、あんまりソソらねえなぁ。まぁ良い……撤収だあ! 『全帰還水晶』発動! はあっはっはっはぁ!」
キィィィィィイイイイインンッッ!
「グレイス様ー!」
光が落ち着いて目が開けられるようになった頃、そこにはレアム軍、ヴェサリオはともかく、グレイスの姿も消えていたのだった。
「ああ、あああ……うわあああああぁぁ!!」
………
……
…
あの後、顔見知りの兵達が近づいてきてフローラの様子を伺うも、反応の無いフローラに後は任せろと声をかけてくれた。どうにかその言葉は聞こえていたのか、放心したままとぼとぼと歩いていく。そして何処へともなく歩いていた喪女さんがふと気付くと、見慣れない長身痩躯の青年がアーチボルドを膝枕しているシーンに出くわした。
「………………サブ?」
「あらやだ、わかっちゃったのぉ?」
「その顔は見覚えある」
「ああ、そっかぁ。私、今そこまでは気が回らなかったわ」
「………………なんでアレに擬態?」
「フローラ様に顔向けできないのもあったけど、アレはアレで私の理想だったの」
「アレ……が?」
アレがぁ!?
「ええ。かつての私が完成されたらああなっていた。そういう幻想よね」
「うぐ……あ、アメリ、ア?」
「あら残念。サブリナですわよぉ」
「さぶ? ……お前! 生きてたのか!?」
アーチボルドは飛び起きてサブリナの無事を確認する。見てくれの違いはどうでも良いようだ。
「生きてた……良かった。そうだ! ハイネリアは!?」
「あそこに」
「おお! 倒した……ん?」
「彼は長い時を生きたゴーレムだったようですわ」
「「ゴーレム」」
喪女さんとアーチボルドは思わずその事実を再確認するかのように口にした。
「………………って、フローラ嬢!? 居たのか! そちらはどうだ……って聞くまでもないな、その顔は。何があった?」
「グレイス様が……連れ去られました」
「なんですって!?」「なんだと!?」
「私が……私が至らないばかりに……っ!」
「それは違いますわね、フローラ様」
「「「アメリア」様!」」
「聞いてたか?」
「ええ、はっきりと。サイモン様には私の方から伝えさせて頂きますのでご安心下さい、フローラ様」
「安心……そんなのできないよ!」
「フローラ様……?」
「あいつ! 事もあろうにグレイス様を嫁にするだとかほざいてた!」
「「「 !? 」」」
「アメリア様、アーチボルド様、私戦場に立ちたい! グレイス様を奪還させて!」
「それは……」
「現時点ではできない相談ですね」
「「「「サイモン」様!」」」
「どうして!? サイモン様はグレイス様が心配じゃないの!?」
「彼女も私も武人ですので、そういう心構えもできています」
「でも……っ!」
「仮に彼女が敵の手に落ちるのを厭うなら、自ら命を断つでしょう」
「「そんな!?」」「「………………」」
「ですが、私は彼女にどんなことがあっても、どんな目にあっても、死なないように生き延びるように言い含めています。安心して下さい」
「でもでも……っ!」
「それに希望はあります」
「希望?」
「そうです。希望、それは貴女です」
絶喪女さんが希望とは如何に!? ……ああ、このタイミングのシャボン玉メンタルじゃ返事を期待するのは無理か。
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