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ベティさん、まじ女神
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注)ノーコン不在回が数回続きます。
時間は少し遡り、将官達が檻で分断された頃の事。
『はい、皆さん混乱しないように。こちらで将官達の無事は追っております。なのでこちらはこちらでできる事をやりましょう』
ベティの声掛けに力強く頷く兵士達。
『敵さんはこちらの様子をつぶさに把握できているのですが、何処にも目がありません。先程敵の腹の中と言いましたが、案外本当に言い当てていたかも知れません』
この言葉にはピンとこなかったようで、多くの兵達が首を傾げていた。
『まぁ分からなくても良いです。ただ、私が合図をしたら一斉に壁を削って下さい。できるだけ派手に。理想は城壁を崩せるとこまで行く感じですね』
そのオーダーに、一部の工兵がニヤリと口角を上げる。
『どの当たりが良いかなぁ……お? アレは……よっし野郎共! 壁を削れぇ!』
その言葉に弾かれたように、各々近くの壁を一心不乱に攻撃したり削ったりと、崩そうと躍起になるのだった。すると迷路側の壁の一部が崩れ……
「ゴーレムだぁ!」
崩れた部分がゴーレムとして動き始めた。近くに居た兵達がゴーレムを壊そうと殺到する。しかし将官を分断できたことで用が済んだのか、迷路の壁は次々とゴーレムへと姿を替えて兵に襲いかかり始めたのだった。
『あー、このゴーレム割と強いな……。それに数も多いなぁ、どうなってんの?』
ベティの呟きは始終垂れ流しではあったが、ちょくちょく戦法の変更も口にしているため、現場での混乱はなかった。
『よし、計算終わり。ゴーレムの総数はおよそ5万。こちらの兵士4人がかりでギリな強さです。つまり兵力では拮抗か、ややこちらが有利なので心配無用。逆にこちらが手こずると、中の将官達にゴーレムが差し向けられるようです。……野郎共! 将官達のためにも奮起しやがれ! 男だろうがっ!』
「「「「「おおおおおっっ!」」」」」
『後は私が意識リンクで部隊をまとめてやる。後方支援とはいえガキみたいな私におんぶに抱っこじゃ格好つかねえよなぁ! 期待してんぜ野郎共!』
「「「「「うおおおおおっっ!」」」」」
このベティの発破を境に、4人一組でゴーレムに当たりだした兵達の猛攻がゴーレムを次々と屠っていくのだが、ゴーレムの方も次々補充されていくのだった。
『うーん。こっちが優勢だと思うんだけど、数減らないねぇ。一気に操れる数に限界があるだけか? ……手が合いた奴はさっき同様壁壊せぇ! どうやら壁もゴーレムの材料臭いぞおぉ!』
「「「「「うっおおおおおっっ!」」」」」
兵士達の士気は高い。ゴーレムが手薄になった所はすぐさま壁を攻撃し始め、壊されては堪らないのか破壊を阻止せんと、その場所にゴーレムが追加される。
『モグラ叩きみたいになってるね。でもいい仕事してんぞ野郎共! お陰で中の将官達に差し向けられるゴーレムが減ってやがる! そしてお前等が格好良く戦う姿は……私の大好物だぁ!』
「「「「「うっほおおおおっっ! ベーティ! ベーティッ!」」」」」
(ああ、幸せだ。この戦いを、野郎共の躍動を見ることができて……)
ベティはこの時、皆と繋がる力を授けてくれたジュール先生への感謝捧げていた。
………
……
…
「「ジュール先生?」」
「あら? お二人はご存知でしたの?」
アメリアの問いに、ベティとミリーの両名は肯首で返す。
「座学の先生ですわ」「男爵クラスの」
「なるほど。今日より特別授業が始まるのでミリー君にも同席してもらうことになった。悪いね」
「い、いえいえ、グレイス様! お気になさらずっ」
「この授業は誰に適正があるか分からないのですわ。なので士官候補生や魔力の保持量の多い方は、とりあえず受けてもらうことになりましたの」
「なるほど……」
この出会いの後、めでたくベティ・ミリー・グレイス・アメリア、ディレクの5名に適性があることが分かった。ただその適性もかなり幅があったらしく、グレイスは主に魔力が少ないがため不適となり、ディレクは親和性の低さで適性が低くなった。
「……私に才は、無かった、か」
「そうとも言い切れませんがね。むしろお嬢さん方がここまで適正があった、というのが不思議なのですよ。ミリー嬢は私の縁戚であるのを差し引いたとしても、ね」
「………………えええ!? もしかして、主家のご当主様でしたか!?」
「ふふ、隠居の身、だと言いましたよ?」
「あああ、そうでしたわ」
「皇子、貴方は本来なら上に立たれる身の上。しかし適性が不十分だったため、私の魔法を使うには対象が少なすぎるため足りておりません。しかし使う側の視点と、使われる側の視点を両方持てる、それは悪い事だとは思いませんよ。これはグレイス嬢にも言えることですね」
「……ありがとう」「有難う御座います、先生」
「で、ジュール先生。実践はよ」
「べ、ベティ嬢?」
「ああ、済まないジュール先生。この娘はどうやら兵士の視点を借り受ける魔法と聞いてワクワクしているようなのだ」
「ほう? というと?」
「彼女は肉体同士のぶつかり合いが好きという……ね」
「な、なるほど。では早速修練場にいきましょう」「いやたー!」「……か」
一人走っていったベティを追いかけ、ジュール達が修練場にたどり着くと、そこには目がキラッキラの、もっかい言うがキラッキラのベティが居た。ジュールが魔法の細かい説明をしていたのだが、聞いているのかアレ? ってレベルで兵士達をガン見していた。
やがて実践する事となり、まずは感覚共有に慣れたジュールの部隊で魔法を試していくこととなる。感覚共有のためにはまず他の一人との視界共有から入り、次いでもう一人増やした二人との共有、そしてこの二人の視界を共有させるというプロセスを踏むのだが……
「うっぷ……酔いましたわ」
「同じくですわ……」
「ううむ……親和性は悪くないようだが、私は元の魔力が低いため、長くは続けられんな。ジュール先生の言うように使う側の視線も持てると慰めるとしよう」
「私は親和性が低いせいでよく見えなかった。それもまた酔わずに済むのかも知れんが……」
ディレクは言葉を濁しながらベティを見、皆もその視線を追うようにベティを見る。
「うっひょー! その体裁き! 素晴らしいです! あ! そこもうちょっと右足を踏み込んで……そうです! ぐっと良くなりました! ああんっ! 副隊長さん流石ですわっ! 流れるような動きでバッタバッタと……ああもう!」
大ハッスルなベティであった。
「なぁ隊長、あの嬢ちゃん何者なんだ? 途中からもう視覚の入れ替えとか普通にやってやがったぜ?」
「……天才、なんでしょうねぇ」
この日の訓練はそこで終わっていたが、ベティの暴走はこれだけでは終わらなかった。
「どぅふふふっ! むっはー! すげー! ジュール先生ありがとうっっ!」
「ちょ、ベティ嬢! 貴族の女子たるものそのような……ああこら! 顔っ、顔っ!」
別の日に、騎士団の練兵場に潜り込んで、勝手にその視界を拝借していたりしたのだ。そして絶賛見せちゃいけない顔していたりする。グレイスは彼女の護衛なので巻き添えの形だ。
「ぬあっはぁ! もしかしてこういうことができるのでは? すげー! この魔法、っすげー!」
「ベティ嬢……言葉もなんかおかしいよ」
「グレイス様! ジュール先生を連れてこなきゃ!」
「はぁ……?」
困惑して動かないグレイスに痺れを切らせたのか、ベティがジュールを呼びにすっ飛んでいった。勿論グレイスも慌てて後を追うが……。
「私を呼んで一体どうしたというのですか?」
「私の発見を見て下さい!」
「うおっ!? もう、急に感覚共有をしないでくだ……な、なんだこれは?」
「皆の目を共有して、それを巨大な情報網として捉え、何処からでも俯瞰して見ることができるようにしてみました!」
「す、凄い……彼等の見てる情報の中だけとはいえ、何処からどう見るまでもが選べる、というのか……」
ベティがやってのけたのはVRの視界の様なもので、練兵場にいる誰かが視覚情報として持っていれば、どの位置からでもどの方向でも見れるというシロモノだった。つまり、目の数が多ければ多いほど情報が完璧になるというものである。
「これなら本人が意識していない情報、例えば崖崩れが起きた時、その情報を目の端に捉えてはいてもちゃんと見てなければ気付かない。でも第三者の目線なら気付くこともある。しかもこの方法だと、より近くに居る人間の視界情報を、まるで空を飛ぶかのように見ることもできる……ということですね」
「どうでしょう!?」
「……君は紛れもなく天才です。私は8人までの視界を共有させて、確実に敵を倒す包囲殲滅戦で運用することを目指して発展させました。しかし君は……」
「ああその共有させる技法、私は4人が限界です。アレ凄いですよね……他人の感覚まで共有させるなんて。凄い魔法だと思います!」
「私の共有には人数に限界があるが、君には無いんじゃないかい? それに君が発展させた魔法はもっと凄い。完全に近い空間把握が可能となっている。更に補佐する人間を選べば、一人の視点や考えに凝り固まる不安もない」
ジュールはこの時の彼女を指し、本当の天才を見たという。新しい才能を見つけられたのは最上の幸運だったと。
………
……
…
「ベティ、10の2番辺りに圧力が」
「おっけー、そっちも視界共有させるー」
「まだ行けますの? ……そろそろ1万近く展開してますけど。 ……良い感じですわ。持ち直しました」
「当然。私の野郎共だからね」
「いや、その表現はどうなんですの……」
今ベティはミリーという補佐を伴って、時折将官達の安全も確認しながら戦局を自由自在に見て回っている。
ベティが『私の』というのも少しばかり根拠がある。時間を見ては練兵場に入り浸り、各々の身体の動きや良さを褒めて回り、また改善点を幾つも提示することによって、彼らをより高みへと導いていった。この様な事を日夜繰り返し、騎士のみならず一般の兵士達とも仲を深めていっていたのだ。更に、一見小さなお人形のように見えるベティは、総じて高い年齢層から娘の様に思われて大事に愛され、若い世代からは共に歩む未来を妄想させるという、かなり罪な女神であった。なので……
「「「「「ベーティ! ベーティッ! 女神っ! 女神っっ!!」」」」」
こんなコールが起こるのも仕方ないことである。
『野郎共! 愛してるぜぇ!』
「ちょっ、ベティ!?」
「「「「「イイィィイャッッホォオォオ!!」」」」」
仕方ない?
時間は少し遡り、将官達が檻で分断された頃の事。
『はい、皆さん混乱しないように。こちらで将官達の無事は追っております。なのでこちらはこちらでできる事をやりましょう』
ベティの声掛けに力強く頷く兵士達。
『敵さんはこちらの様子をつぶさに把握できているのですが、何処にも目がありません。先程敵の腹の中と言いましたが、案外本当に言い当てていたかも知れません』
この言葉にはピンとこなかったようで、多くの兵達が首を傾げていた。
『まぁ分からなくても良いです。ただ、私が合図をしたら一斉に壁を削って下さい。できるだけ派手に。理想は城壁を崩せるとこまで行く感じですね』
そのオーダーに、一部の工兵がニヤリと口角を上げる。
『どの当たりが良いかなぁ……お? アレは……よっし野郎共! 壁を削れぇ!』
その言葉に弾かれたように、各々近くの壁を一心不乱に攻撃したり削ったりと、崩そうと躍起になるのだった。すると迷路側の壁の一部が崩れ……
「ゴーレムだぁ!」
崩れた部分がゴーレムとして動き始めた。近くに居た兵達がゴーレムを壊そうと殺到する。しかし将官を分断できたことで用が済んだのか、迷路の壁は次々とゴーレムへと姿を替えて兵に襲いかかり始めたのだった。
『あー、このゴーレム割と強いな……。それに数も多いなぁ、どうなってんの?』
ベティの呟きは始終垂れ流しではあったが、ちょくちょく戦法の変更も口にしているため、現場での混乱はなかった。
『よし、計算終わり。ゴーレムの総数はおよそ5万。こちらの兵士4人がかりでギリな強さです。つまり兵力では拮抗か、ややこちらが有利なので心配無用。逆にこちらが手こずると、中の将官達にゴーレムが差し向けられるようです。……野郎共! 将官達のためにも奮起しやがれ! 男だろうがっ!』
「「「「「おおおおおっっ!」」」」」
『後は私が意識リンクで部隊をまとめてやる。後方支援とはいえガキみたいな私におんぶに抱っこじゃ格好つかねえよなぁ! 期待してんぜ野郎共!』
「「「「「うおおおおおっっ!」」」」」
このベティの発破を境に、4人一組でゴーレムに当たりだした兵達の猛攻がゴーレムを次々と屠っていくのだが、ゴーレムの方も次々補充されていくのだった。
『うーん。こっちが優勢だと思うんだけど、数減らないねぇ。一気に操れる数に限界があるだけか? ……手が合いた奴はさっき同様壁壊せぇ! どうやら壁もゴーレムの材料臭いぞおぉ!』
「「「「「うっおおおおおっっ!」」」」」
兵士達の士気は高い。ゴーレムが手薄になった所はすぐさま壁を攻撃し始め、壊されては堪らないのか破壊を阻止せんと、その場所にゴーレムが追加される。
『モグラ叩きみたいになってるね。でもいい仕事してんぞ野郎共! お陰で中の将官達に差し向けられるゴーレムが減ってやがる! そしてお前等が格好良く戦う姿は……私の大好物だぁ!』
「「「「「うっほおおおおっっ! ベーティ! ベーティッ!」」」」」
(ああ、幸せだ。この戦いを、野郎共の躍動を見ることができて……)
ベティはこの時、皆と繋がる力を授けてくれたジュール先生への感謝捧げていた。
………
……
…
「「ジュール先生?」」
「あら? お二人はご存知でしたの?」
アメリアの問いに、ベティとミリーの両名は肯首で返す。
「座学の先生ですわ」「男爵クラスの」
「なるほど。今日より特別授業が始まるのでミリー君にも同席してもらうことになった。悪いね」
「い、いえいえ、グレイス様! お気になさらずっ」
「この授業は誰に適正があるか分からないのですわ。なので士官候補生や魔力の保持量の多い方は、とりあえず受けてもらうことになりましたの」
「なるほど……」
この出会いの後、めでたくベティ・ミリー・グレイス・アメリア、ディレクの5名に適性があることが分かった。ただその適性もかなり幅があったらしく、グレイスは主に魔力が少ないがため不適となり、ディレクは親和性の低さで適性が低くなった。
「……私に才は、無かった、か」
「そうとも言い切れませんがね。むしろお嬢さん方がここまで適正があった、というのが不思議なのですよ。ミリー嬢は私の縁戚であるのを差し引いたとしても、ね」
「………………えええ!? もしかして、主家のご当主様でしたか!?」
「ふふ、隠居の身、だと言いましたよ?」
「あああ、そうでしたわ」
「皇子、貴方は本来なら上に立たれる身の上。しかし適性が不十分だったため、私の魔法を使うには対象が少なすぎるため足りておりません。しかし使う側の視点と、使われる側の視点を両方持てる、それは悪い事だとは思いませんよ。これはグレイス嬢にも言えることですね」
「……ありがとう」「有難う御座います、先生」
「で、ジュール先生。実践はよ」
「べ、ベティ嬢?」
「ああ、済まないジュール先生。この娘はどうやら兵士の視点を借り受ける魔法と聞いてワクワクしているようなのだ」
「ほう? というと?」
「彼女は肉体同士のぶつかり合いが好きという……ね」
「な、なるほど。では早速修練場にいきましょう」「いやたー!」「……か」
一人走っていったベティを追いかけ、ジュール達が修練場にたどり着くと、そこには目がキラッキラの、もっかい言うがキラッキラのベティが居た。ジュールが魔法の細かい説明をしていたのだが、聞いているのかアレ? ってレベルで兵士達をガン見していた。
やがて実践する事となり、まずは感覚共有に慣れたジュールの部隊で魔法を試していくこととなる。感覚共有のためにはまず他の一人との視界共有から入り、次いでもう一人増やした二人との共有、そしてこの二人の視界を共有させるというプロセスを踏むのだが……
「うっぷ……酔いましたわ」
「同じくですわ……」
「ううむ……親和性は悪くないようだが、私は元の魔力が低いため、長くは続けられんな。ジュール先生の言うように使う側の視線も持てると慰めるとしよう」
「私は親和性が低いせいでよく見えなかった。それもまた酔わずに済むのかも知れんが……」
ディレクは言葉を濁しながらベティを見、皆もその視線を追うようにベティを見る。
「うっひょー! その体裁き! 素晴らしいです! あ! そこもうちょっと右足を踏み込んで……そうです! ぐっと良くなりました! ああんっ! 副隊長さん流石ですわっ! 流れるような動きでバッタバッタと……ああもう!」
大ハッスルなベティであった。
「なぁ隊長、あの嬢ちゃん何者なんだ? 途中からもう視覚の入れ替えとか普通にやってやがったぜ?」
「……天才、なんでしょうねぇ」
この日の訓練はそこで終わっていたが、ベティの暴走はこれだけでは終わらなかった。
「どぅふふふっ! むっはー! すげー! ジュール先生ありがとうっっ!」
「ちょ、ベティ嬢! 貴族の女子たるものそのような……ああこら! 顔っ、顔っ!」
別の日に、騎士団の練兵場に潜り込んで、勝手にその視界を拝借していたりしたのだ。そして絶賛見せちゃいけない顔していたりする。グレイスは彼女の護衛なので巻き添えの形だ。
「ぬあっはぁ! もしかしてこういうことができるのでは? すげー! この魔法、っすげー!」
「ベティ嬢……言葉もなんかおかしいよ」
「グレイス様! ジュール先生を連れてこなきゃ!」
「はぁ……?」
困惑して動かないグレイスに痺れを切らせたのか、ベティがジュールを呼びにすっ飛んでいった。勿論グレイスも慌てて後を追うが……。
「私を呼んで一体どうしたというのですか?」
「私の発見を見て下さい!」
「うおっ!? もう、急に感覚共有をしないでくだ……な、なんだこれは?」
「皆の目を共有して、それを巨大な情報網として捉え、何処からでも俯瞰して見ることができるようにしてみました!」
「す、凄い……彼等の見てる情報の中だけとはいえ、何処からどう見るまでもが選べる、というのか……」
ベティがやってのけたのはVRの視界の様なもので、練兵場にいる誰かが視覚情報として持っていれば、どの位置からでもどの方向でも見れるというシロモノだった。つまり、目の数が多ければ多いほど情報が完璧になるというものである。
「これなら本人が意識していない情報、例えば崖崩れが起きた時、その情報を目の端に捉えてはいてもちゃんと見てなければ気付かない。でも第三者の目線なら気付くこともある。しかもこの方法だと、より近くに居る人間の視界情報を、まるで空を飛ぶかのように見ることもできる……ということですね」
「どうでしょう!?」
「……君は紛れもなく天才です。私は8人までの視界を共有させて、確実に敵を倒す包囲殲滅戦で運用することを目指して発展させました。しかし君は……」
「ああその共有させる技法、私は4人が限界です。アレ凄いですよね……他人の感覚まで共有させるなんて。凄い魔法だと思います!」
「私の共有には人数に限界があるが、君には無いんじゃないかい? それに君が発展させた魔法はもっと凄い。完全に近い空間把握が可能となっている。更に補佐する人間を選べば、一人の視点や考えに凝り固まる不安もない」
ジュールはこの時の彼女を指し、本当の天才を見たという。新しい才能を見つけられたのは最上の幸運だったと。
………
……
…
「ベティ、10の2番辺りに圧力が」
「おっけー、そっちも視界共有させるー」
「まだ行けますの? ……そろそろ1万近く展開してますけど。 ……良い感じですわ。持ち直しました」
「当然。私の野郎共だからね」
「いや、その表現はどうなんですの……」
今ベティはミリーという補佐を伴って、時折将官達の安全も確認しながら戦局を自由自在に見て回っている。
ベティが『私の』というのも少しばかり根拠がある。時間を見ては練兵場に入り浸り、各々の身体の動きや良さを褒めて回り、また改善点を幾つも提示することによって、彼らをより高みへと導いていった。この様な事を日夜繰り返し、騎士のみならず一般の兵士達とも仲を深めていっていたのだ。更に、一見小さなお人形のように見えるベティは、総じて高い年齢層から娘の様に思われて大事に愛され、若い世代からは共に歩む未来を妄想させるという、かなり罪な女神であった。なので……
「「「「「ベーティ! ベーティッ! 女神っ! 女神っっ!!」」」」」
こんなコールが起こるのも仕方ないことである。
『野郎共! 愛してるぜぇ!』
「ちょっ、ベティ!?」
「「「「「イイィィイャッッホォオォオ!!」」」」」
仕方ない?
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