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7、見ろ。偽者だ!

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 原作小説における断罪イベントの日。

 お城のパーティに、関係者が集まっていた。
 
 原作の主人公、チャリオス王子。
 原作の悪役令嬢、アイリス・フェアリーグローム公爵令嬢。
 原作のヒロイン、隣国のロザリア姫。
 そして、隣国のルシオン王子だ。

「プーランク・ゲーテ・エンチャントホール魔法伯爵、ならびにラヴィエラ・エンチャントホール魔法伯爵令嬢のお越しです」

 案内係が招待状を確認して名前を読み上げる。
 プーランク・ゲーテ・エンチャントホール魔法伯爵にエスコートされたドレス姿の『ラヴィエラ』――ララが会場に足を踏み入れると、会場中がその可愛らしさに目を奪われた。

「んふふっ、チャリオス王子殿下ぁ~♪ 本日は、あたくしをいじめる令嬢を裁いてくださるのですわよね」
 
 隣国のロザリア姫は、チャリオス王子にひっついている。
 
「ロザリア、無礼だぞ。やめなさい」
  
 ロザリア姫の兄である隣国のルシオン王子が妹姫をたしなめている。
 ルシオン王子は蒼銀の髪に紫の瞳をした美青年だが、今日は髪の毛先がピンク色に染まっていた。

「それでは、俺から話をさせていただこう」

 チャリオス王子は快活に言って、会場中の注目を集めた。そして、兵士に命じた。

「ここにいるロザリア姫は偽者だ。悪しき魔法使いが姫を殺害し、成り代わって悪さをしているのだ!」
「……チャリオス王子殿下!?」
 
 ロザリア姫がぎょっと目を剥く中、事前に知らされていたらしき兵士たちが統率の取れた動きで姫を捕らえ、魔力を吸い取る首輪を彼女の手にめる。ララが填められていた首輪だ。

「ま、魔力が吸われて……」

 魔女はあっという間に魔力を枯渇させ、元の姿をさらけ出した。

「見ろ。偽者だ! 正体を暴いたぞ!」
 
 チャリオス王子は彼女の罪を数えた。

「ひとつ。アイリス・フェアリーグローム公爵令嬢を呪ったこと。
 ふたつ。俺とアイリスが不仲で、俺がロザリア姫に懸想しているという噂を流したこと。
 みっつ。『アイリスがロザリア姫に嫉妬して嫌がらせをしている』という悪評をばらまこうとしたこと。これは察知して防いだので、未遂だ。
 よっつ。隣国のロザリア姫を殺害し、成り代わっていたこと。
 いつつ。隣国のルシオン王子に呪いをかけ、ハシビロコウにしたこと。
 むっつ。ラヴィエラ・エンチャントホール魔法伯爵令嬢に、その首輪をはめたこと」

 罪がどんどんと明らかにされていく。

 チャリオス王子のトパーズの瞳が、獲物を追い詰めた捕食者のように殺伐とした感情を覗かせた。発せられた声は、普段の王子からは想像もつかないほど冷えていた。

「父である国王陛下には、もう話してある。極刑だ。さあ、連れていけ」

「ひぃっ、お許しを……! 死にたくないっ、許して、許して……後悔してます、反省してますぅう」 
 
 魔女は涙を流し、懸命に抗い、けれど抗えずに、連行されていった。
 
「愚か者め! 罪が発覚してから悔いても、もう遅い!」
「せっかく転生したのに! いや、いやーーーっ」 
 
 わめき散らす声が、遠くなる。

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