柴犬さんは子猫さんと仲良くなりたい

朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です

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ボク、怖くないで

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 さて、助けられた子猫さんは、最初は柴犬さんに怯えていて、小さな身体をプルプル震わせたり、「ふーっ!」と威嚇してきたりしていました。

「わふ、わふっ」
(弱々しい生き物やなぁ。ボク、怖くないで)
 
 柴犬さんはズイズイと鼻を寄せて接近を試みて、「ふしゃー!!」と猫パンチの洗礼を受けたりしました。子猫さんの爪は、ちょっぴり痛ぁい。

「きゃんっ! ……くぅん……」
 あいたたた。
 でも、ボクは怒ったりせえへん。
 柴犬さんは伏せをして、「ボクは無害!」とアピールしました。
 前のご主人が言っていたのです。

『ええか、坊。でっかい体で力の大きなお前さんは、ちっちゃい子ぉにはやさし~く、せなあかん』

『強いオスは、乱暴じゃあかんえ。たくましくて優しいオスが、格好ええんや』

 ご主人。ボク、優しくするで。
 格好よいオスになるで!

 じーっと大人しくしていると、子猫さんはチラチラと柴犬さんのお鼻を見ました。

 ボクは動かへん。
 ボクは置き物や。
 それにしても、子猫さん可愛いなぁ。
 お母さんいなくなってしもて、寂しいやろな。
 ボクも、寂しいのわかるで。

 ――そう思ったら、前のご主人に言われたからという理由だけでなく、自分の望みとして、子猫さんに優しくしたい気持ちがどんどん湧いてきます。
 
「……みゃあ」
 やがて、子猫さんは小さく鳴いて、そーっとそーっと近づいて。ぺろっと、可愛らしい舌で、柴犬さんの鼻を舐めました。

 自分の爪で傷つけたところを気にして舐めてくれたのだ、と気づいて、柴犬さんは心がぽかぽかしました。

「くぅん、わふん……っ」
「しゃーっ!!」

 ありがとう、と鳴き声をこぼすと、子猫さんはピャッと後ろに跳んで、とっても怯えた様子で威嚇してきます。
 なんでよ、今の怖かったんか。

「仲良くなれたらいいね」
 新しいご主人はほんわかと言いました。


 
 
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