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1話、私、お嫁に行くの
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『幸福を呼ぶ魔女』の異名を持つ亡き母が作った庭には、妖精が住んでいる。母はこの庭をフェアリーガーデンと呼んでいた。
「さようなら。私、お嫁に行くの。イオネス様をお助けするために」
フェアリーガーデンの入り口で、ローズメイは妖精たちにお別れをした。
さらさらとした真っすぐな黒髪に、明るいアクアマリンの瞳をしたローズメイは、魔法使いの血統、名家スカーロッド伯爵家の次女。魔法が使える『魔女』だ。
そして、そんな彼女の嫁入り先アンカーサイン侯爵家は、なんと『魔法使いの血統なんて絶対にうちの一族に混ぜたくない!』と公言している大の魔法嫌いの一族!
スカーロッド伯爵家の天敵ともいえる家柄なので、今回の縁談は世間の注目の的である。
「アンカーサイン侯爵家の魔法嫌いを改善させたいからって、王室からのご命令なのですって。びっくりよね」
妖精に言っても人間社会の話は共感してもらえないかもしれないが、ローズメイはのんびりと語った。
噂によると夫になる青年イオネスは現在呪われていて、病床の身。かなり衰弱しているらしい。
スカーロッド伯爵家の親族会議で、親族は目をギラギラさせて言った。
「ローズメイ、相手が亡くなるより先に子供を作れ。イオネスの子でも別の男のでも構わん。アンカーサイン侯爵家の後継ぎを産むのだ」
「魔法の腕が今ひとつの落ちこぼれ娘にも使い道はあるものだな、資産家のアンカーサイン家を乗っ取る絶好のチャンスではないか」
ローズメイはそんな親族に反発心を抱きつつ、表面上は従順に「かしこまりました」と頷いた。
結婚したいか、したくないかで言えば、したかったので。
「私ね、実はイオネス様に一度お会いしたことがあるの。あちらは私をご存じないけど、小鳥に変身して遊んでいて、怪我をしたときに助けてくださったのよ」
(大人たちはイオネス様が亡くなってしまうと予想しているけど、私が長生きさせてみせる)
彼は小鳥を助けたことなんて忘れているだろうけど、ローズメイの心にはあの時の彼の優しい笑顔が素敵な思い出として刻まれている。
『恋』というほどの特別な感情ではないが、好意は抱いていたのである。
「さようなら。私、お嫁に行くの。イオネス様をお助けするために」
フェアリーガーデンの入り口で、ローズメイは妖精たちにお別れをした。
さらさらとした真っすぐな黒髪に、明るいアクアマリンの瞳をしたローズメイは、魔法使いの血統、名家スカーロッド伯爵家の次女。魔法が使える『魔女』だ。
そして、そんな彼女の嫁入り先アンカーサイン侯爵家は、なんと『魔法使いの血統なんて絶対にうちの一族に混ぜたくない!』と公言している大の魔法嫌いの一族!
スカーロッド伯爵家の天敵ともいえる家柄なので、今回の縁談は世間の注目の的である。
「アンカーサイン侯爵家の魔法嫌いを改善させたいからって、王室からのご命令なのですって。びっくりよね」
妖精に言っても人間社会の話は共感してもらえないかもしれないが、ローズメイはのんびりと語った。
噂によると夫になる青年イオネスは現在呪われていて、病床の身。かなり衰弱しているらしい。
スカーロッド伯爵家の親族会議で、親族は目をギラギラさせて言った。
「ローズメイ、相手が亡くなるより先に子供を作れ。イオネスの子でも別の男のでも構わん。アンカーサイン侯爵家の後継ぎを産むのだ」
「魔法の腕が今ひとつの落ちこぼれ娘にも使い道はあるものだな、資産家のアンカーサイン家を乗っ取る絶好のチャンスではないか」
ローズメイはそんな親族に反発心を抱きつつ、表面上は従順に「かしこまりました」と頷いた。
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「私ね、実はイオネス様に一度お会いしたことがあるの。あちらは私をご存じないけど、小鳥に変身して遊んでいて、怪我をしたときに助けてくださったのよ」
(大人たちはイオネス様が亡くなってしまうと予想しているけど、私が長生きさせてみせる)
彼は小鳥を助けたことなんて忘れているだろうけど、ローズメイの心にはあの時の彼の優しい笑顔が素敵な思い出として刻まれている。
『恋』というほどの特別な感情ではないが、好意は抱いていたのである。
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