10 / 10
10話、ふつつかものですが、よろしくお願いいたします
しおりを挟む
踊る貴婦人たちのドレスが華麗に広がり、その身を飾る宝石がきらきらと輝いている。
ワルツの演奏を背景にして、招待客の会話が聞こえる。
「アンカーサイン侯爵閣下は生存が絶望的だと思っていたが、ご無事でよかったなあ」
「侯爵夫人と仲睦まじく寄り添われていて、……本当によかったこと」
「弟君の件は遺憾であるが」
「しーっ、喜ばしい席に水を差してはいけませんよ」
ハシムの件は醜聞として広まりつつも、アンカーサイン侯爵家自体の名誉は守られそうな空気だ。侯爵夫妻がおしどり夫婦として有名なのもあり、仲睦まじく寄り添う二人には、好意的な視線が注がれていた。
スカーロッド伯爵家の親族が集うスペースには、とびきり高貴な招待客も交ざっていた。王太子だ。
「呪いを解いたのも真実を暴いたのもイオネスの花嫁なのだろう? 彼女、実家では軽んじられていたんだって? 卿らは見る眼がないんだなっ、あはは」
「殿下、そ、そのような……」
「私のもとには諜報部からの報告も届いているのだ。卿ら、『魔法の素質が今ひとつの娘にも使い道はあるものだな、資産家のアンカーサイン家を乗っ取る絶好のチャンスではないか』などと笑っていたのだとか?」
「……!!」
「なんと心無い言葉だろうか。私の愛する国にこのような貴族がいるとは、心が痛むぞ」
親族が王太子殿下と揉めている――ローズメイはびっくりした。
「ローズメイさん、あの方は王太子のフィニックス殿下……幼少期から学友をさせていただいている仲だよ。今はお取込み中のようだから、距離を取っておこうね」
「すごく気になるのですが」
「気にしてはいけない。フクロウの声だと思っておけばいいよ」
集団をスルーして、イオネスは姉ジュリアと従兄弟のグランツのペアに挨拶をした。
「はじめまして、ローズメイの夫となりましたイオネスです」
「妹がお世話になっておりますわ」
「妻には俺がお世話されているんです。何から何まで」
「まあ」
にこやかな会話の合間に、王太子とスカーロッド家の輪から「お慈悲を! お慈悲を! 殿下ぁー!」という悲鳴が聞こえてくる。が、イオネスは「フクロウが元気だね」と言って話を続けた。
「俺は妻を溺愛していて、嫉妬深いのです。妻は姉君しか目に入らないようでしたが、そちらの従兄弟どのにはあまり妻を見ないでいただきたい。さっきからじろじろと……」
「い、いきなり何を言う! 失礼だな!」
「視線が失礼だと感じたのでご注意申し上げたのです。俺の妻ですから」
「妻、妻ってアピールしやがって」
「妻ですから」
こちらもこちらで不穏な雰囲気ではないか。姉が「あらあら」と楽しそうにローズメイに目配せしてくる。
そこに、闊達な声が割り込んでくる。
「なんだ、修羅場か? 修羅場だな? 元気があってよろしい。諸君、私は修羅場が好きだ。大好きだ! もっとやれ」
王太子フィニックスだ。修羅場の気配を嗅ぎつけてこちらに来たらしい。
イオネスより一つ年上の王太子は、猛禽類を思わせる眼で楽し気にローズメイを見た。筋骨隆々としていて、自信に充ち溢れている男だ。覇気がある。
「イオネスの嫁……アンカーサイン家を救った次期侯爵夫人はどんな方かと思っていたが、可憐な方なのだな。スコップでイバラと戦ったとかイオネスをお姫様抱っこしたとか聞いていたが、噂は噂か」
「お姫様抱っこはしてみたいと思ったことがありますけど、まだしたことがありません」
「ローズメイさん?」
(いけない、思わず本音が)
ローズメイは恥じらいに頬を染めた。
「願望が出てしまいました、すみません」
「ははは、イオネスは線が細いからな。でも変わったな。病み上がりだからげっそりしてると思ったが、前より筋肉がついたか? 妻の影響か? うん?」
王太子は歯をみせて笑い、言葉を続けた。
「聞けば夫人は造園が趣味で、妖精を呼ぶフェアリーガーデンが作れるのだとか? 王室は妖精を城にも招きたいと考えているのだが、依頼すれば受けてくれるだろうか?」
お城の造園依頼とは、責任重大な話だ。ローズメイは驚いた。
「殿下。新婚の妻に変な依頼をして困らせないでください。我が家の庭だってまだ完成していないのですから」
イオネスは柔らかな口調で物怖じせずに言い、ふわりとローズメイを抱き上げた。
「きゃっ!?」
どきりと鼓動が跳ねる。横に抱き上げる姿勢は、お姫様抱っこと呼ばれる抱え方だ。
「それで、お姫様抱っこがなんだっけ。抱っこされてみたいと思った、の言い間違いかな? そうだよね? ローズメイさん?」
「えっ……」
――前も思ったけど、意外と力があるのですね?
「あら、あらっ……」
「わぁ……」
周囲の声に、ハッとする。
好奇心いっぱいの視線が集まっていることに気づいて、ローズメイは真っ赤になった。
「妻が望むのだから、夫としては叶えるよね。どう、ローズメイさん。こんな感じかな? お気に召したかな?」
溌剌と問われて、ローズメイはあわあわと頷いた。
「は、は、はい。とても。とても……その、よいです」
私は何を言っているの。自分でつっこみをしたくなる返答だが、イオネスはお気に召したようだった。上機嫌で満面の笑みを咲かせている。
「い、イオネス様っ、み、みなさまが見ていらっしゃいます。はずかしいです」
密着した体温が熱い。体に触れる腕や胸板が意外なほど逞しくて、頼もしい硬さを伝えてくる。心臓がばくばくと鳴って、暴れている。距離が近すぎて、視線のやり場に困ってしまう。
「ん……、はしゃぎすぎたかな。妻に恥ずかしい思いをさせてしまった。ごめんね」
イオネスはそう言ってローズメイを降ろし、周囲に流し目を送った。
「と、いうわけで、噂は的外れもいいところなのです。みなさん、よろしいですね!」
よろしくなくてもよろしいと言え――そんな黒いオーラを見た気がして、ローズメイは目を瞬かせた。
「ふーん。おもしろいな。おい、嫁を隠すなよ。余裕がないぞ新郎」
王太子がにやにやと言うと、視線から遮るように立ち位置を変えた夫は「殿下、あまり見ないでください。妻が減ります」などと返している。
(イオネス様は思っていたより逞しくて、気の強い方なのかもしれない)
ローズメイは夫への認識を改めた。
* * *
「皆さま、本日はご多用のところ、当家主催のパーティにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。たくさんの方々から祝辞や、励ましのお言葉を頂き、心より感謝申し上げます」
アンカーサイン侯爵の挨拶の声が会場に響く。
侯爵の隣に父スカーロッド伯爵が並んでいるので、ローズメイは驚いた。
(――お父様!)
いかにも「今まで療養していました」という顔色だが、父は正装して堂々と立っている。
目が合うと、ふんわりと微笑んでくれた。柔らかで優しくて、ちょっと感情を持て余して困ってしまっているような、そんな笑顔だった。
「アンカーサイン侯爵家は、このたびの件をきっかけに変わっていこうと決意いたしました」
アンカーサイン侯爵の堂々とした声に、貴族たちが拍手でこたえる。
「敬愛する王太子殿下が結んでくださったスカーロッド伯爵家との縁を大切にし、……すぐには難しいかもしれませんが、時間をかけて魔法に親しんでいこうと考えております」
父伯爵が口を開くので、ローズメイはハラハラした。
「体調が思わしくなく、長く休んでおりましたが、私も本日より当主の仕事に復帰する所存です。スカーロッド伯爵家は、アンカーサイン侯爵家との友好を望みます。私の娘ローズメイは、友好の架け橋となってくれることでしょう……自慢の娘です」
これから世の中に訪れる変化の予感を胸に、人々は視線を交わした。
特に魔法使いの血統の者たちは「よいことだ!」と破顔している。
アンカーサイン侯爵とスカーロッド伯爵は順に声を響かせた。
「息子夫婦、イオネスとローズメイは、まだまだこれからの未熟な若者たちです。ぜひ応援してやってください」
「これからの両家をあたたかく見守ってくださると嬉しいです」
拍手が湧き、微笑ましく見守る視線が集まる。
注目されるローズメイとイオネスは互いの視線を絡ませた。
アクアマリンと翡翠の瞳には、まだあまり深くは知らないものの、好ましいと思っている伴侶の姿が映っている。
「改めて、これからよろしくね、ローズメイさん」
「こちらこそ、ふつつかものですが、よろしくお願いいたします、イオネス様」
――あなたがお元気になられて、よかった。
あなたの隣にいられるのが、嬉しい。
ローズメイは幸せをかみしめながら、この日一番の煌めく笑顔を咲かせたのだった。
ワルツの演奏を背景にして、招待客の会話が聞こえる。
「アンカーサイン侯爵閣下は生存が絶望的だと思っていたが、ご無事でよかったなあ」
「侯爵夫人と仲睦まじく寄り添われていて、……本当によかったこと」
「弟君の件は遺憾であるが」
「しーっ、喜ばしい席に水を差してはいけませんよ」
ハシムの件は醜聞として広まりつつも、アンカーサイン侯爵家自体の名誉は守られそうな空気だ。侯爵夫妻がおしどり夫婦として有名なのもあり、仲睦まじく寄り添う二人には、好意的な視線が注がれていた。
スカーロッド伯爵家の親族が集うスペースには、とびきり高貴な招待客も交ざっていた。王太子だ。
「呪いを解いたのも真実を暴いたのもイオネスの花嫁なのだろう? 彼女、実家では軽んじられていたんだって? 卿らは見る眼がないんだなっ、あはは」
「殿下、そ、そのような……」
「私のもとには諜報部からの報告も届いているのだ。卿ら、『魔法の素質が今ひとつの娘にも使い道はあるものだな、資産家のアンカーサイン家を乗っ取る絶好のチャンスではないか』などと笑っていたのだとか?」
「……!!」
「なんと心無い言葉だろうか。私の愛する国にこのような貴族がいるとは、心が痛むぞ」
親族が王太子殿下と揉めている――ローズメイはびっくりした。
「ローズメイさん、あの方は王太子のフィニックス殿下……幼少期から学友をさせていただいている仲だよ。今はお取込み中のようだから、距離を取っておこうね」
「すごく気になるのですが」
「気にしてはいけない。フクロウの声だと思っておけばいいよ」
集団をスルーして、イオネスは姉ジュリアと従兄弟のグランツのペアに挨拶をした。
「はじめまして、ローズメイの夫となりましたイオネスです」
「妹がお世話になっておりますわ」
「妻には俺がお世話されているんです。何から何まで」
「まあ」
にこやかな会話の合間に、王太子とスカーロッド家の輪から「お慈悲を! お慈悲を! 殿下ぁー!」という悲鳴が聞こえてくる。が、イオネスは「フクロウが元気だね」と言って話を続けた。
「俺は妻を溺愛していて、嫉妬深いのです。妻は姉君しか目に入らないようでしたが、そちらの従兄弟どのにはあまり妻を見ないでいただきたい。さっきからじろじろと……」
「い、いきなり何を言う! 失礼だな!」
「視線が失礼だと感じたのでご注意申し上げたのです。俺の妻ですから」
「妻、妻ってアピールしやがって」
「妻ですから」
こちらもこちらで不穏な雰囲気ではないか。姉が「あらあら」と楽しそうにローズメイに目配せしてくる。
そこに、闊達な声が割り込んでくる。
「なんだ、修羅場か? 修羅場だな? 元気があってよろしい。諸君、私は修羅場が好きだ。大好きだ! もっとやれ」
王太子フィニックスだ。修羅場の気配を嗅ぎつけてこちらに来たらしい。
イオネスより一つ年上の王太子は、猛禽類を思わせる眼で楽し気にローズメイを見た。筋骨隆々としていて、自信に充ち溢れている男だ。覇気がある。
「イオネスの嫁……アンカーサイン家を救った次期侯爵夫人はどんな方かと思っていたが、可憐な方なのだな。スコップでイバラと戦ったとかイオネスをお姫様抱っこしたとか聞いていたが、噂は噂か」
「お姫様抱っこはしてみたいと思ったことがありますけど、まだしたことがありません」
「ローズメイさん?」
(いけない、思わず本音が)
ローズメイは恥じらいに頬を染めた。
「願望が出てしまいました、すみません」
「ははは、イオネスは線が細いからな。でも変わったな。病み上がりだからげっそりしてると思ったが、前より筋肉がついたか? 妻の影響か? うん?」
王太子は歯をみせて笑い、言葉を続けた。
「聞けば夫人は造園が趣味で、妖精を呼ぶフェアリーガーデンが作れるのだとか? 王室は妖精を城にも招きたいと考えているのだが、依頼すれば受けてくれるだろうか?」
お城の造園依頼とは、責任重大な話だ。ローズメイは驚いた。
「殿下。新婚の妻に変な依頼をして困らせないでください。我が家の庭だってまだ完成していないのですから」
イオネスは柔らかな口調で物怖じせずに言い、ふわりとローズメイを抱き上げた。
「きゃっ!?」
どきりと鼓動が跳ねる。横に抱き上げる姿勢は、お姫様抱っこと呼ばれる抱え方だ。
「それで、お姫様抱っこがなんだっけ。抱っこされてみたいと思った、の言い間違いかな? そうだよね? ローズメイさん?」
「えっ……」
――前も思ったけど、意外と力があるのですね?
「あら、あらっ……」
「わぁ……」
周囲の声に、ハッとする。
好奇心いっぱいの視線が集まっていることに気づいて、ローズメイは真っ赤になった。
「妻が望むのだから、夫としては叶えるよね。どう、ローズメイさん。こんな感じかな? お気に召したかな?」
溌剌と問われて、ローズメイはあわあわと頷いた。
「は、は、はい。とても。とても……その、よいです」
私は何を言っているの。自分でつっこみをしたくなる返答だが、イオネスはお気に召したようだった。上機嫌で満面の笑みを咲かせている。
「い、イオネス様っ、み、みなさまが見ていらっしゃいます。はずかしいです」
密着した体温が熱い。体に触れる腕や胸板が意外なほど逞しくて、頼もしい硬さを伝えてくる。心臓がばくばくと鳴って、暴れている。距離が近すぎて、視線のやり場に困ってしまう。
「ん……、はしゃぎすぎたかな。妻に恥ずかしい思いをさせてしまった。ごめんね」
イオネスはそう言ってローズメイを降ろし、周囲に流し目を送った。
「と、いうわけで、噂は的外れもいいところなのです。みなさん、よろしいですね!」
よろしくなくてもよろしいと言え――そんな黒いオーラを見た気がして、ローズメイは目を瞬かせた。
「ふーん。おもしろいな。おい、嫁を隠すなよ。余裕がないぞ新郎」
王太子がにやにやと言うと、視線から遮るように立ち位置を変えた夫は「殿下、あまり見ないでください。妻が減ります」などと返している。
(イオネス様は思っていたより逞しくて、気の強い方なのかもしれない)
ローズメイは夫への認識を改めた。
* * *
「皆さま、本日はご多用のところ、当家主催のパーティにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。たくさんの方々から祝辞や、励ましのお言葉を頂き、心より感謝申し上げます」
アンカーサイン侯爵の挨拶の声が会場に響く。
侯爵の隣に父スカーロッド伯爵が並んでいるので、ローズメイは驚いた。
(――お父様!)
いかにも「今まで療養していました」という顔色だが、父は正装して堂々と立っている。
目が合うと、ふんわりと微笑んでくれた。柔らかで優しくて、ちょっと感情を持て余して困ってしまっているような、そんな笑顔だった。
「アンカーサイン侯爵家は、このたびの件をきっかけに変わっていこうと決意いたしました」
アンカーサイン侯爵の堂々とした声に、貴族たちが拍手でこたえる。
「敬愛する王太子殿下が結んでくださったスカーロッド伯爵家との縁を大切にし、……すぐには難しいかもしれませんが、時間をかけて魔法に親しんでいこうと考えております」
父伯爵が口を開くので、ローズメイはハラハラした。
「体調が思わしくなく、長く休んでおりましたが、私も本日より当主の仕事に復帰する所存です。スカーロッド伯爵家は、アンカーサイン侯爵家との友好を望みます。私の娘ローズメイは、友好の架け橋となってくれることでしょう……自慢の娘です」
これから世の中に訪れる変化の予感を胸に、人々は視線を交わした。
特に魔法使いの血統の者たちは「よいことだ!」と破顔している。
アンカーサイン侯爵とスカーロッド伯爵は順に声を響かせた。
「息子夫婦、イオネスとローズメイは、まだまだこれからの未熟な若者たちです。ぜひ応援してやってください」
「これからの両家をあたたかく見守ってくださると嬉しいです」
拍手が湧き、微笑ましく見守る視線が集まる。
注目されるローズメイとイオネスは互いの視線を絡ませた。
アクアマリンと翡翠の瞳には、まだあまり深くは知らないものの、好ましいと思っている伴侶の姿が映っている。
「改めて、これからよろしくね、ローズメイさん」
「こちらこそ、ふつつかものですが、よろしくお願いいたします、イオネス様」
――あなたがお元気になられて、よかった。
あなたの隣にいられるのが、嬉しい。
ローズメイは幸せをかみしめながら、この日一番の煌めく笑顔を咲かせたのだった。
23
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
夫が大変和やかに俺の事嫌い?と聞いてきた件について〜成金一族の娘が公爵家に嫁いで愛される話
はくまいキャベツ
恋愛
父親の事業が成功し、一気に貴族の仲間入りとなったローズマリー。
父親は地位を更に確固たるものにするため、長女のローズマリーを歴史ある貴族と政略結婚させようとしていた。
成金一族と揶揄されながらも社交界に出向き、公爵家の次男、マイケルと出会ったが、本物の貴族の血というものを見せつけられ、ローズマリーは怯んでしまう。
しかも相手も値踏みする様な目で見てきて苦手意識を持ったが、ローズマリーの思いも虚しくその家に嫁ぐ事となった。
それでも妻としての役目は果たそうと無難な日々を過ごしていたある日、「君、もしかして俺の事嫌い?」と、まるで食べ物の好き嫌いを聞く様に夫に尋ねられた。
(……なぜ、分かったの)
格差婚に悩む、素直になれない妻と、何を考えているのか掴みにくい不思議な夫が育む恋愛ストーリー。
【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。
【完結】殿下は私を溺愛してくれますが、あなたの“真実の愛”の相手は私ではありません
Rohdea
恋愛
──私は“彼女”の身代わり。
彼が今も愛しているのは亡くなった元婚約者の王女様だけだから──……
公爵令嬢のユディットは、王太子バーナードの婚約者。
しかし、それは殿下の婚約者だった隣国の王女が亡くなってしまい、
国内の令嬢の中から一番身分が高い……それだけの理由で新たに選ばれただけ。
バーナード殿下はユディットの事をいつも優しく、大切にしてくれる。
だけど、その度にユディットの心は苦しくなっていく。
こんな自分が彼の婚約者でいていいのか。
自分のような理由で互いの気持ちを無視して決められた婚約者は、
バーナードが再び心惹かれる“真実の愛”の相手を見つける邪魔になっているだけなのでは?
そんな心揺れる日々の中、
二人の前に、亡くなった王女とそっくりの女性が現れる。
実は、王女は襲撃の日、こっそり逃がされていて実は生きている……
なんて噂もあって────
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
冷徹公爵閣下は、書庫の片隅で私に求婚なさった ~理由不明の政略結婚のはずが、なぜか溺愛されています~
白桃
恋愛
「お前を私の妻にする」――王宮書庫で働く地味な子爵令嬢エレノアは、ある日突然、<氷龍公爵>と恐れられる冷徹なヴァレリウス公爵から理由も告げられず求婚された。政略結婚だと割り切り、孤独と不安を抱えて嫁いだ先は、まるで氷の城のような公爵邸。しかし、彼女が唯一安らぎを見出したのは、埃まみれの広大な書庫だった。ひたすら書物と向き合う彼女の姿が、感情がないはずの公爵の心を少しずつ溶かし始め…?
全7話です。
婚約者が他の令嬢に微笑む時、私は惚れ薬を使った
葵 すみれ
恋愛
ポリーヌはある日、婚約者が見知らぬ令嬢と二人きりでいるところを見てしまう。
しかも、彼は見たことがないような微笑みを令嬢に向けていた。
いつも自分には冷たい彼の柔らかい態度に、ポリーヌは愕然とする。
そして、親が決めた婚約ではあったが、いつの間にか彼に恋心を抱いていたことに気づく。
落ち込むポリーヌに、妹がこれを使えと惚れ薬を渡してきた。
迷ったあげく、婚約者に惚れ薬を使うと、彼の態度は一転して溺愛してくるように。
偽りの愛とは知りながらも、ポリーヌは幸福に酔う。
しかし幸せの狭間で、惚れ薬で彼の心を縛っているのだと罪悪感を抱くポリーヌ。
悩んだ末に、惚れ薬の効果を打ち消す薬をもらうことを決意するが……。
※小説家になろうにも掲載しています
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
勘違い令嬢の離縁大作戦!~旦那様、愛する人(♂)とどうかお幸せに~
藤 ゆみ子
恋愛
グラーツ公爵家に嫁いたティアは、夫のシオンとは白い結婚を貫いてきた。
それは、シオンには幼馴染で騎士団長であるクラウドという愛する人がいるから。
二人の尊い関係を眺めることが生きがいになっていたティアは、この結婚生活に満足していた。
けれど、シオンの父が亡くなり、公爵家を継いだことをきっかけに離縁することを決意する。
親に決められた好きでもない相手ではなく、愛する人と一緒になったほうがいいと。
だが、それはティアの大きな勘違いだった。
シオンは、ティアを溺愛していた。
溺愛するあまり、手を出すこともできず、距離があった。
そしてシオンもまた、勘違いをしていた。
ティアは、自分ではなくクラウドが好きなのだと。
絶対に振り向かせると決意しながらも、好きになってもらうまでは手を出さないと決めている。
紳士的に振舞おうとするあまり、ティアの勘違いを助長させていた。
そして、ティアの離縁大作戦によって、二人の関係は少しずつ変化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる