お気に入りの悪魔

富井

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小さくてかわいいやつに会う

二、

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「今度はあの広場の大学生ですか?」

「そうだ。今日もあの広場なんだ・・・大学に行ってないのかこいつは?」

ロビンは手帳を見ながら歩いた。僕もそれをまねて手帳にいろいろ書き込みながら歩いた。金田の家から広場まではそう遠くはない。

「どうなんでしょう。毎日いますね。」
「まあ、いいけど!」

ロビンは手帳をポケットにいれ、代わりにお菓子を取り出して食べ始めた。
同じように僕もチョコをだして食べた。

「なあ、エーゴもチョコ好きか?」
「はい大好きっす。」

「俺も。なんだかチョコを食べていると幸せな気分になるんだ・・・ウキウキするよ。エーゴはしない?」
「え?ロビンっていくつっすか?」
「年?なんでそんな事聞くんだよ。」

「なんとなくですけど・・・面白いなって。」
「もーうるさい!」

ロビンは少し機嫌が悪くなったのか、広場まで浮き上がって一気にすすんだ。

「待ってくださいよ。飛ぶなんて・・・」

僕は飛べないから走って追いかけた。一気に進んで行ったのに、急に止まったのでロビンの背中にぶつかってしまった。

「どうしたんですか?」

「死神・・・十八番・・・・」

「あ、マーブル・マービー・ケルン。」

死神は真っ白な服を着て、日傘をさしてベンチに座っていた。

「どうした。ひょっとして秋山久男か?」
「違う。吉田美代子のほうだよ。もうじきここを通る予定なんだ。心臓発作で死ぬんだよ。」
「前から決まっていたのか?」
「違うんだ、昨日急に決まってね。本当は休日だんだけど、急遽駆り出されたんだよ。」
「そうか・・・・」

ロビンと僕は死神十八番の隣に座り広場を見つめた。
そこでは、秋山が相変わらずチラシを配っていた。

「吉田美代子は誰の担当?」
「バルビンバーだ。」
「あいつの仕事は雑だからな・・・あ、来た。あれだ・・・」

吉田美代子は広場についたころにはすでに苦しそうで、よたよたと歩いて来て、中央付近で急に胸を抑えて倒れた。

「無茶だよな。あんなにぐるぐる巻かれていたら、そりゃあ生きるのも大変だ・・・」

その倒れた吉田美代子に秋山が駆け寄り、携帯で救急車を呼んだり、心臓マッサージを始めた。

「あいつ・・・いいやつですね。」
「もう少し、見ていようか・・・」

死神十八番が言った。

「助かる予定があるのか?」
「ないよ。時間も決まっている。あと20秒だ。」
「だったら連れて行け。期待を持たせると返って傷つく。」
「そうだね。」

死神十八番は吉田美代子に近づき、そっと手を伸ばした。

吉田美代子も死神に手を伸ばし、スクッと立ち上がると、自分の姿に一度振り返り、死神十八番に手を引かれ歩いて行った。

「じゃあね。マーブル・マービー・ケルン。また。」

死神十八番は日傘を少し上げ消えていった。

到着した救急車は吉田美代子の肉体乗せて行ったが、もう息がないことを僕たちは知っていた。

秋山は暫く呆然と救急車を見送ったが、またビラ配りを始めた。

ロビンはハーモニカを吹き始めた。なんだかとっても悲しい曲だった。吉田美代子はロビンの担当ではないけれど、この人は今、悲しんでいる・・・と、思った。

「おいおい、時代遅れのハーモニカかよ。」

バルビンバーがいつものダブダブの服でのろのろとやってきた。

「最新の道具にしろって。」

ロビンは無視してハーモニカを吹き続けていた。
秋山の心にも響いているのだろうか、少し涙ぐんでいるように見えた。

「おい、聞こえているのか・・・」

バルビンバーがロビンの肩をつかもうとしたので、両手を広げてバルビンバーの前に立ちふさがった。

「おいおまえ、エーゴ・・・・」

僕の顔を不思議そうに見つめ、手で頬を撫でた。

「なんで、目から水が出ているんだ?」

僕は知らず知らずに泣いた。
ロビンは一曲引き終わり、秋山のビラの山を、また昨日と同じように右足で高く蹴り上げ、広く飛ばした。
それから僕の腕を掴み。ふわりと1Mくらい浮き上がった。

「吉美代子は死神十八番が連れて行ったぞ。」

そうバルビンバーに言うと、一気に飛び上がりすごいスピードで前にすすんだ。
また海辺の町に行くためだ。このスピードだと僕の涙もあっという間に乾くだろう。
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