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秘密のステッキ
二、
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「エーゴ。今日は休むか?」
「いや、行くよ。頑張ればなんとか・・・飛ぶこともできるし・・・」
昨日思い切り踏まれた右足が動かなかったが、今日はどうしても褒美でもらいたいものがあった。
休んでなんていられない
「休んだほうが良くないか?」
「いや、行けるっす。大丈夫。」
「スーツ。新しいの届いているぞ。着替えられるか?」
「やったっす!千鳥ですか?」
「俺は、トリコロールカラーのレジメンタル。どう?」
「かっこいいっす!!マジいいっす。」
大きな声をだすと肋骨が痛んだ。でも笑った。ロビンに心配をかけたくなかったからだ。
シャツを着るのは大変だった。全部の指の先まで傷だらけで爪もはがれていて、痛くてボタンがかえず、ロビンに着替えを手伝ってもらって、なんだか赤ちゃんになったみたいで恥ずかしかった。
「これ、貸してやるよ。でもとても大事なものだから、絶対なくすなよ。」
ロビンが部屋の奥から持ってきたものは、持ち手が骸骨で目にルビーとサファイア入った、黒と白のゼブラのとてもかっこいいステッキだった。
「そんな大事なものいいよ。大丈夫だから・・・・」
「一人で歩けないだろ。でも今日だけだからな。」
「サンキューっす・・・」
「絶対、今日だけだからな。明日までに怪我、絶対直せよ。」
何度も念を押されて、今日一日だけそのステッキを借りることにした。ステッキはカツン、カツンと、とてもいい音がした。
「かっこいいね。このステッキ。」
「そうだろ。いままで誰にも触らせなかったんだ。だけど今日だけ特別だ。」
いつものようにエレベーターをまち、いつものようにエレベーターを降りると1日の始まりだ。
一番初めは山田康夫。二番目は金田利夫。まだ変な動物と一緒に縛られている。変な動物はひとまわり小さくなったような気がした。
三番目は秋山。まだビラを配っていた。
毎日同じように見回り、どこへ行っても丁寧にハーモニカを吹いた。人間は美しい音色がまるで聞こえているかのようにうっとりとしていた。
「先にあのじいさんのところへ行ってからお昼にしよう。」
「またお茶かけられないですよね。」
「かけるだろうね。」
「お茶をかけられて頭にきませんか?」
「イヤ。ちょっとはビックリするけど、それで怒ったりとかはしないな・・・」
「僕はダメだな・・・ああいう気難しい人は、苦手っす。」
「ココにはね、娘さんがいて二階の部屋からいつも外を見ていた。小鳥みたいな子だった。長く病気でね、十二歳の時死んだんだ。
そのショックで奥さんも病気になって寝込むことが多くなった。
この家から笑い声も怒る声もしなくなって最後は普通の会話すら聞こえなくなった。
5年前に奥さんも死んで、ますます氷の中にいるような生活になって行ったんだ。」
「なんだか、かわいそっすね。」
「だけど、あの爺さんは若い時から成功して、あまり苦しまず、順風満帆の人生を送ってきた。だから後半の人生はそのツケを払うのは仕方がないんだ。払い終わるまでこの人は死ねないからまだまだ付き合いはつづく。いちいち頭にきていたら、やってられないよ。」
そして、今日もまたロビンはお茶をかけられた。まるで老人には見えているかのようにロビンはびしょ濡れになる。
それでもロビンはなるべく優しい曲を選曲して吹いた。今日も老人はうなだれて聞いていた。
帰り際、老人は、「懐かしいステッキの音がしたが、気のせいか。」と言った。
この老人もこのステッキ持ち主のことを知っていたんだ
ロビンは老人の方を振り返り、ニヤっと笑って、そして、屋敷をあとにした。
「いや、行くよ。頑張ればなんとか・・・飛ぶこともできるし・・・」
昨日思い切り踏まれた右足が動かなかったが、今日はどうしても褒美でもらいたいものがあった。
休んでなんていられない
「休んだほうが良くないか?」
「いや、行けるっす。大丈夫。」
「スーツ。新しいの届いているぞ。着替えられるか?」
「やったっす!千鳥ですか?」
「俺は、トリコロールカラーのレジメンタル。どう?」
「かっこいいっす!!マジいいっす。」
大きな声をだすと肋骨が痛んだ。でも笑った。ロビンに心配をかけたくなかったからだ。
シャツを着るのは大変だった。全部の指の先まで傷だらけで爪もはがれていて、痛くてボタンがかえず、ロビンに着替えを手伝ってもらって、なんだか赤ちゃんになったみたいで恥ずかしかった。
「これ、貸してやるよ。でもとても大事なものだから、絶対なくすなよ。」
ロビンが部屋の奥から持ってきたものは、持ち手が骸骨で目にルビーとサファイア入った、黒と白のゼブラのとてもかっこいいステッキだった。
「そんな大事なものいいよ。大丈夫だから・・・・」
「一人で歩けないだろ。でも今日だけだからな。」
「サンキューっす・・・」
「絶対、今日だけだからな。明日までに怪我、絶対直せよ。」
何度も念を押されて、今日一日だけそのステッキを借りることにした。ステッキはカツン、カツンと、とてもいい音がした。
「かっこいいね。このステッキ。」
「そうだろ。いままで誰にも触らせなかったんだ。だけど今日だけ特別だ。」
いつものようにエレベーターをまち、いつものようにエレベーターを降りると1日の始まりだ。
一番初めは山田康夫。二番目は金田利夫。まだ変な動物と一緒に縛られている。変な動物はひとまわり小さくなったような気がした。
三番目は秋山。まだビラを配っていた。
毎日同じように見回り、どこへ行っても丁寧にハーモニカを吹いた。人間は美しい音色がまるで聞こえているかのようにうっとりとしていた。
「先にあのじいさんのところへ行ってからお昼にしよう。」
「またお茶かけられないですよね。」
「かけるだろうね。」
「お茶をかけられて頭にきませんか?」
「イヤ。ちょっとはビックリするけど、それで怒ったりとかはしないな・・・」
「僕はダメだな・・・ああいう気難しい人は、苦手っす。」
「ココにはね、娘さんがいて二階の部屋からいつも外を見ていた。小鳥みたいな子だった。長く病気でね、十二歳の時死んだんだ。
そのショックで奥さんも病気になって寝込むことが多くなった。
この家から笑い声も怒る声もしなくなって最後は普通の会話すら聞こえなくなった。
5年前に奥さんも死んで、ますます氷の中にいるような生活になって行ったんだ。」
「なんだか、かわいそっすね。」
「だけど、あの爺さんは若い時から成功して、あまり苦しまず、順風満帆の人生を送ってきた。だから後半の人生はそのツケを払うのは仕方がないんだ。払い終わるまでこの人は死ねないからまだまだ付き合いはつづく。いちいち頭にきていたら、やってられないよ。」
そして、今日もまたロビンはお茶をかけられた。まるで老人には見えているかのようにロビンはびしょ濡れになる。
それでもロビンはなるべく優しい曲を選曲して吹いた。今日も老人はうなだれて聞いていた。
帰り際、老人は、「懐かしいステッキの音がしたが、気のせいか。」と言った。
この老人もこのステッキ持ち主のことを知っていたんだ
ロビンは老人の方を振り返り、ニヤっと笑って、そして、屋敷をあとにした。
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