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セスカ
三、
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「疫病神も幸せそうでしたね。」
「ああ、まったく贅沢過ぎるほどの家と服で・・・あれはしばらく住み着くな。」
「女の子が喜びそうな部屋っすね・・・」
「疫病神は女の子じゃないぞ。」
「え、でも・・・:」
「神なんだから女でも男でもないぞ。女の子みたいに見えるけどな。可愛い顔しているし。でも見た目で迷わされるな。性別もだけどあいつああ見えて結構、喧嘩も強いから。挑むなよ。」
「わ。わかってます・・・痛いほど・・・」
僕はこの間の足の怪我を思い出して右足をさすった。
「昼飯にしようか。バルビンバーとの約束もあるし。あー約束しなければよかったかなー・・・そうしたらもう少し散歩していられたのに・・・」
晴天の空を歩くようにして飛ぶのは、空を散歩しているようで気持ちよかったが、残念なことに時間は迫っていた。地面に降り路地の奥の喫茶店に向かった。バルビンバーはまだ来ていなかった。
僕とロビンは今日のお昼はピザ定食にした。
僕はピザとご飯はやめたほうがいいと何度も言ったのに、ご飯を大盛で頼み、同時に食べるとバサバサする、これは失敗したと怒っていた。
「エーゴもだいぶひとりでできるようになってきたな。今日も鍵盤ハーモニカの練習をして弾ける曲を増やせば本物の悪魔に早くなれるかもな。頑張れよ!前が1人前になったら俺は指輪が1個もらえるんだ。」
「それはどういう時もらえるの?」
「よくわからないけれどなにかいろいろな項目が10個あって1個ずつクリアしていくたびに1個もらえる。いま8個だからもうちょっとなんだ。」
僕はグリーンの話の10個指輪がたまったら・・・という話を思い出していた。
それと同時にセスカが言っていた、海の向こうの悪魔の餌の話や魔女の谷の話が、頭の中で交差して、ぐるぐると答えの出ない問題を考えていた。僕は心に引っかかっていた事を思い切って聞いた。
「前のバディの話なんだけど。」
この先もずっとロビンと仲良くやっていきたい、悩んでいるよりは打ち明けてはっきりさせた方がいいはずだ。
「魔女の谷に落ちたっていう。」
「ああ・・・」
「あの事詳しく教えてほしいんだけど・・・」
「あれか、アレは俺が人間だと思って拾ったら、魔法が掛かったカエルで、俺の大切な方位磁針を飲み込んで魔女の谷に帰って行ったんだ。最初からそれが狙いだったんだ。
追いかけたけど飛ぶのが早くて、もうすこしで捕まえられそうだったのに、あとちょっとのところで魔女の谷に入っていってしまったんだ。やられたよ。」
「君を助けたロビンからもらった物だろ。」
「うん。子供の俺が迷わずにアパートに帰れるようにくれたんだ。それを持っていかれたよ。」
「取り戻しに行かないのか?」
「俺は魔女の谷には入れない。とても悔しいし残念だけどあきらめる。もうその話はやめよう。思い出すと腹が立つ。」
「じゃあ・・・それよりも前・・・今まで何人バディがいた?」
「・・・」
ロビンはなぜか俯いて答えなかった。ピザを食べるのもやめて、皿の端に残ったチーズの細い糸を皿の真ん中に集めていた。
「ごめん・・・遅くなって。」
バルビンバーがドタドタと走ってやってきた。まったく間の悪い奴だ。これでまた答えが聞けなくなってしまった。
「今日はピザを食べているのか・・・僕は今日もナポリタンにするよ。ここのナポリタンはとても美味しいね。」
「そうか良かったな。早く食えよ。」
バルビンバーは僕たち二人に会えたことがそんなにうれしいのか、満面の笑顔で、ナポリタンをほおばりながらさほど面白くもない冗談話を続けた。ケチャップで口の周りが真っ赤だった。一生懸命話をしているのに、ロビンは皿の上の集めたチーズの細い糸をフォークで遊ぶばかりで、その話を半分も聴いていなかった。
「早く食えよ。昼休みはもう終わるぞ。」
「ごめん いそぐよ。」
ロビンは案外まじめで時間にはうるさい。その後も話をやめないバルビンバーにイライラしながら、午後の計画を立てていた。ロビンが手帳を机の上に広げ行く準備を考えているようだったが、相変わらず暗号のような内容で、解説なしで理解するにはまだまだ時間がかかる。
「エーゴ 秋山のところ一人で行けるか?俺はバルビンバーのところに行ってくるから、待ち合わせして太田のところへ行こう。当分新しいところを入れるのは難しいな。」
バルビンバーは苦労してスケジュールをやりくりしているのをよそにまだ食事をしていた。
うんざりした顔のロビンをおいて、僕は一人で先に店を出て路地の一つ目の角を曲がったとき、セスカが待ち構えたように寄ってきた。
「エーゴ、まだ生きていて安心したよ。」
なるべく、目を合わせないようにすれ違う予定だったが、肩を組まれて逃げられなくなった。
「マーブルの秘密、ほかにもたっぷりあるんだけど・・・」
「もういいっす。僕、今日は一人で行かないといけないところあって、大変なんで・・・今日はいいっす。」
セスカをつき飛ばしてバタバタと泳ぐようにその場から飛びたった。
セスカはすぐに僕を追い越してきた。当然カッコよく飛んでだ。
「じゃあ、また時間があるときゆっくり話してあげるよ。そしたら、君は泣いて逃げると思うよ。」
セスカは振り返り、刺すような冷たい視線だけを残してとても早く飛びたった。
今まで忘れていた恐怖が、また僕の背中のほうからずるずると湧き上がってきた。
秋山は今日もビラを配っていた。かなりうまくなってきたと思う。
僕はベンチに腰掛けて、思い切り深呼吸をしてから鍵盤ハーモニカを吹いた。なるべく楽しく吹こうと思っていたけど、セスカの声が耳に残ってまた思い切り締めてしまうのではないかと心配だった。
「エーゴ だいぶうまくなったね。」
死神十八番が通りかかった。相変わらず向こうが透けて見えそうなくらい白い。今日はとても天気がいいので日傘をさしていた。
「お久しぶりっす!」
「だいぶらしい感じになったね。スーツもステキだよ。今日はマーブルは?」
「バルビンバーを手伝いに行ってます。」
「相変わらず面倒見がいいやつだね。」
「あの・・・すいません ちょっと聞いていいですか。」
死神十八番は僕の隣に座った。
「何?僕がわかることなら。」
「悪魔は魔女の谷には入れないって本当ですか?」
「入れない訳ではないよ。ただ、悪魔があそこに入ると魔女がざわつくんだ。そうなると人間の世界に災いが起きる、だから入れないって言っているんじゃないか?
魔女がざわつかないように入るには、ムキ出しの悪魔になって力でネジ伏せるしか手がないからね。あれはちょっと厄介なんだ。」
「ムキ出し・・・の悪・・・って・・・」
「欲望、嫉妬、憎しみ、恨みそういうもので悪魔はできているんだ。それをムキ出しにした悪魔はとても強い。天使よりも魔女よりも、ひょっとしたら僕よりも強いかもね。
だけど、力のつかいかたを間違えると人間の世界をも壊してしまう、自分すらも壊してしまう。」
「壊す・・・自分を・・・」
「怒りで自分を燃やすんだ。
だからそうならないように自分自身を抑止しているんだよ。悪魔はみんな優しいだろ。本当に強い者は力の使い方をよく知っているよ。
なんでそんなこと聞くの?」
「ロビン・・・じゃない。マーブルの前のバディが魔法にかけられたカエルで、大切にしていた方位磁石を飲み込んだまま魔女の谷に入ってしまったって・・・
取りに行ったらいいのにって言ったら、魔女の谷には自分は入れないって・・・でもそれは、とても大切なものだったみたいなんだ・・・」
「そう、残念だったね。諦めるのは辛かっただろね。」
「そのことでセスカは、そうじゃないって、前のバディが邪魔になって魔女の谷に突き落としたんだと・・・
その前のバディは海の向こうの悪魔の餌にしたって・・・」
「マーブルがかい?マーブルはなんて言った?」
「マーブルは前回のバディは魔女のカエルが人間に化けて、マーブルのたいせつな方位磁針を盗んで魔女の谷に帰って行ったって。
それよりも前のバディの話は聞いてないです。なんだか怖くて聞けないです。」
「怖いっていうことは、セスカの話は正しいと思っているからなのかな?」
「そうじゃないですけど、でも、もし本当だったら・・・」
「君はマーブルと一緒に居ていったい何を見てきたんだろう。
マーブルよりも1、2回会っただけのセスカの言うことを信じてしまうのかい?」
「セスカのことを信じている訳じゃないですけど、あんなふうにいわれたら・・・」
「それでも、君がマーブルのことが本当に好きで、マーブルを信じていたなら何を言われても、正確に判断できるはずだと思うよ。
君が迷っている意味が僕にはわからないよ。エーゴ自身はどう思っているのかな?ずっとマーブルとやっていきたいのか、それとも逃げだしてセスカと組むのか。」
「僕はずっとマーブルのバディでいたいです。」
「だったらもう答えは出てるじゃないか。」
死神十八番は僕の肩をポンと叩いてどこかへ歩いて行った。
気持ちがスッキリした。なんてバカなことで悩んでいたのかと笑えるほどスッキリした。
秋山に弾いていた曲が途中だったことを思い出し、もう一度はじめから弾きなおした。なるべく、楽しくキレイな音で弾いた。鍵盤を追うのが必死すぎて秋山の様子は見てなかった。
「うまくなったな。」
ロビンがかえって来てベンチの隣に座っていた。それすら気付いていなかった。
「ロビン、どう?強く締めてない?大丈夫?」
「ああ、上手になった。この分だと試験に合格する日も遠くないと思うよ。」
「そうしたら僕はロビンとは別々に行動するようになるの?」
「多分ね。でもちょくちょく会えるよ。大丈夫だから。心配するな。太田のところへ行こう。日が暮れる前に。」
ロビンに背中を押されて高く、高く飛んだ。太田のところは少し遠い。
高く、高く飛んで大田のところへまっすぐ飛んだ。
「ああ、まったく贅沢過ぎるほどの家と服で・・・あれはしばらく住み着くな。」
「女の子が喜びそうな部屋っすね・・・」
「疫病神は女の子じゃないぞ。」
「え、でも・・・:」
「神なんだから女でも男でもないぞ。女の子みたいに見えるけどな。可愛い顔しているし。でも見た目で迷わされるな。性別もだけどあいつああ見えて結構、喧嘩も強いから。挑むなよ。」
「わ。わかってます・・・痛いほど・・・」
僕はこの間の足の怪我を思い出して右足をさすった。
「昼飯にしようか。バルビンバーとの約束もあるし。あー約束しなければよかったかなー・・・そうしたらもう少し散歩していられたのに・・・」
晴天の空を歩くようにして飛ぶのは、空を散歩しているようで気持ちよかったが、残念なことに時間は迫っていた。地面に降り路地の奥の喫茶店に向かった。バルビンバーはまだ来ていなかった。
僕とロビンは今日のお昼はピザ定食にした。
僕はピザとご飯はやめたほうがいいと何度も言ったのに、ご飯を大盛で頼み、同時に食べるとバサバサする、これは失敗したと怒っていた。
「エーゴもだいぶひとりでできるようになってきたな。今日も鍵盤ハーモニカの練習をして弾ける曲を増やせば本物の悪魔に早くなれるかもな。頑張れよ!前が1人前になったら俺は指輪が1個もらえるんだ。」
「それはどういう時もらえるの?」
「よくわからないけれどなにかいろいろな項目が10個あって1個ずつクリアしていくたびに1個もらえる。いま8個だからもうちょっとなんだ。」
僕はグリーンの話の10個指輪がたまったら・・・という話を思い出していた。
それと同時にセスカが言っていた、海の向こうの悪魔の餌の話や魔女の谷の話が、頭の中で交差して、ぐるぐると答えの出ない問題を考えていた。僕は心に引っかかっていた事を思い切って聞いた。
「前のバディの話なんだけど。」
この先もずっとロビンと仲良くやっていきたい、悩んでいるよりは打ち明けてはっきりさせた方がいいはずだ。
「魔女の谷に落ちたっていう。」
「ああ・・・」
「あの事詳しく教えてほしいんだけど・・・」
「あれか、アレは俺が人間だと思って拾ったら、魔法が掛かったカエルで、俺の大切な方位磁針を飲み込んで魔女の谷に帰って行ったんだ。最初からそれが狙いだったんだ。
追いかけたけど飛ぶのが早くて、もうすこしで捕まえられそうだったのに、あとちょっとのところで魔女の谷に入っていってしまったんだ。やられたよ。」
「君を助けたロビンからもらった物だろ。」
「うん。子供の俺が迷わずにアパートに帰れるようにくれたんだ。それを持っていかれたよ。」
「取り戻しに行かないのか?」
「俺は魔女の谷には入れない。とても悔しいし残念だけどあきらめる。もうその話はやめよう。思い出すと腹が立つ。」
「じゃあ・・・それよりも前・・・今まで何人バディがいた?」
「・・・」
ロビンはなぜか俯いて答えなかった。ピザを食べるのもやめて、皿の端に残ったチーズの細い糸を皿の真ん中に集めていた。
「ごめん・・・遅くなって。」
バルビンバーがドタドタと走ってやってきた。まったく間の悪い奴だ。これでまた答えが聞けなくなってしまった。
「今日はピザを食べているのか・・・僕は今日もナポリタンにするよ。ここのナポリタンはとても美味しいね。」
「そうか良かったな。早く食えよ。」
バルビンバーは僕たち二人に会えたことがそんなにうれしいのか、満面の笑顔で、ナポリタンをほおばりながらさほど面白くもない冗談話を続けた。ケチャップで口の周りが真っ赤だった。一生懸命話をしているのに、ロビンは皿の上の集めたチーズの細い糸をフォークで遊ぶばかりで、その話を半分も聴いていなかった。
「早く食えよ。昼休みはもう終わるぞ。」
「ごめん いそぐよ。」
ロビンは案外まじめで時間にはうるさい。その後も話をやめないバルビンバーにイライラしながら、午後の計画を立てていた。ロビンが手帳を机の上に広げ行く準備を考えているようだったが、相変わらず暗号のような内容で、解説なしで理解するにはまだまだ時間がかかる。
「エーゴ 秋山のところ一人で行けるか?俺はバルビンバーのところに行ってくるから、待ち合わせして太田のところへ行こう。当分新しいところを入れるのは難しいな。」
バルビンバーは苦労してスケジュールをやりくりしているのをよそにまだ食事をしていた。
うんざりした顔のロビンをおいて、僕は一人で先に店を出て路地の一つ目の角を曲がったとき、セスカが待ち構えたように寄ってきた。
「エーゴ、まだ生きていて安心したよ。」
なるべく、目を合わせないようにすれ違う予定だったが、肩を組まれて逃げられなくなった。
「マーブルの秘密、ほかにもたっぷりあるんだけど・・・」
「もういいっす。僕、今日は一人で行かないといけないところあって、大変なんで・・・今日はいいっす。」
セスカをつき飛ばしてバタバタと泳ぐようにその場から飛びたった。
セスカはすぐに僕を追い越してきた。当然カッコよく飛んでだ。
「じゃあ、また時間があるときゆっくり話してあげるよ。そしたら、君は泣いて逃げると思うよ。」
セスカは振り返り、刺すような冷たい視線だけを残してとても早く飛びたった。
今まで忘れていた恐怖が、また僕の背中のほうからずるずると湧き上がってきた。
秋山は今日もビラを配っていた。かなりうまくなってきたと思う。
僕はベンチに腰掛けて、思い切り深呼吸をしてから鍵盤ハーモニカを吹いた。なるべく楽しく吹こうと思っていたけど、セスカの声が耳に残ってまた思い切り締めてしまうのではないかと心配だった。
「エーゴ だいぶうまくなったね。」
死神十八番が通りかかった。相変わらず向こうが透けて見えそうなくらい白い。今日はとても天気がいいので日傘をさしていた。
「お久しぶりっす!」
「だいぶらしい感じになったね。スーツもステキだよ。今日はマーブルは?」
「バルビンバーを手伝いに行ってます。」
「相変わらず面倒見がいいやつだね。」
「あの・・・すいません ちょっと聞いていいですか。」
死神十八番は僕の隣に座った。
「何?僕がわかることなら。」
「悪魔は魔女の谷には入れないって本当ですか?」
「入れない訳ではないよ。ただ、悪魔があそこに入ると魔女がざわつくんだ。そうなると人間の世界に災いが起きる、だから入れないって言っているんじゃないか?
魔女がざわつかないように入るには、ムキ出しの悪魔になって力でネジ伏せるしか手がないからね。あれはちょっと厄介なんだ。」
「ムキ出し・・・の悪・・・って・・・」
「欲望、嫉妬、憎しみ、恨みそういうもので悪魔はできているんだ。それをムキ出しにした悪魔はとても強い。天使よりも魔女よりも、ひょっとしたら僕よりも強いかもね。
だけど、力のつかいかたを間違えると人間の世界をも壊してしまう、自分すらも壊してしまう。」
「壊す・・・自分を・・・」
「怒りで自分を燃やすんだ。
だからそうならないように自分自身を抑止しているんだよ。悪魔はみんな優しいだろ。本当に強い者は力の使い方をよく知っているよ。
なんでそんなこと聞くの?」
「ロビン・・・じゃない。マーブルの前のバディが魔法にかけられたカエルで、大切にしていた方位磁石を飲み込んだまま魔女の谷に入ってしまったって・・・
取りに行ったらいいのにって言ったら、魔女の谷には自分は入れないって・・・でもそれは、とても大切なものだったみたいなんだ・・・」
「そう、残念だったね。諦めるのは辛かっただろね。」
「そのことでセスカは、そうじゃないって、前のバディが邪魔になって魔女の谷に突き落としたんだと・・・
その前のバディは海の向こうの悪魔の餌にしたって・・・」
「マーブルがかい?マーブルはなんて言った?」
「マーブルは前回のバディは魔女のカエルが人間に化けて、マーブルのたいせつな方位磁針を盗んで魔女の谷に帰って行ったって。
それよりも前のバディの話は聞いてないです。なんだか怖くて聞けないです。」
「怖いっていうことは、セスカの話は正しいと思っているからなのかな?」
「そうじゃないですけど、でも、もし本当だったら・・・」
「君はマーブルと一緒に居ていったい何を見てきたんだろう。
マーブルよりも1、2回会っただけのセスカの言うことを信じてしまうのかい?」
「セスカのことを信じている訳じゃないですけど、あんなふうにいわれたら・・・」
「それでも、君がマーブルのことが本当に好きで、マーブルを信じていたなら何を言われても、正確に判断できるはずだと思うよ。
君が迷っている意味が僕にはわからないよ。エーゴ自身はどう思っているのかな?ずっとマーブルとやっていきたいのか、それとも逃げだしてセスカと組むのか。」
「僕はずっとマーブルのバディでいたいです。」
「だったらもう答えは出てるじゃないか。」
死神十八番は僕の肩をポンと叩いてどこかへ歩いて行った。
気持ちがスッキリした。なんてバカなことで悩んでいたのかと笑えるほどスッキリした。
秋山に弾いていた曲が途中だったことを思い出し、もう一度はじめから弾きなおした。なるべく、楽しくキレイな音で弾いた。鍵盤を追うのが必死すぎて秋山の様子は見てなかった。
「うまくなったな。」
ロビンがかえって来てベンチの隣に座っていた。それすら気付いていなかった。
「ロビン、どう?強く締めてない?大丈夫?」
「ああ、上手になった。この分だと試験に合格する日も遠くないと思うよ。」
「そうしたら僕はロビンとは別々に行動するようになるの?」
「多分ね。でもちょくちょく会えるよ。大丈夫だから。心配するな。太田のところへ行こう。日が暮れる前に。」
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