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いよいよ事件です!
葉一、目覚める
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「あのばあさん、お前としゃべっている時、本当に幸せそうだったな。」
「そう?それはよかった。」
「これであの仕事はしないんだろ。」
「しないよ。」
「だったら、この資料・・・・」
「これは読む。」
「ダメだろう。」
「なんで?だって、面白いじゃん。人の日記なんてそうそう読めないよ。」
「SNSでも読んでりゃいいじゃん。」
「やだ、あんな嘘と広告みたいなものおもしろくねえじゃん!誰だって、本音の日記が読みたいんでしょ。下手な恋愛小説より面白―い・・・」
「悪趣味。」
「そういえば、葉ちゃんって彼女いるの?」
「いない。めんどくさいものはいらない。」
「じゃあ、やっぱり、男の子が好きなんだ。」
「なんでそうなる。」
「あ、晩飯は弁当にしようよ。商店街の出口の角に弁当屋があるから、そこに行こう!
そこのカツ弁当は超オススメ!!そこのシュウ君も葉ちゃんに超オススメ!
太田もいいけど・・・筋肉系がいいならシュウ君だね。」
「何の話してんだよ。」
「大丈夫だって、私はそう言うの理解あるほうだから。」
カツ子はパンパンと二度葉一の肩を力強く叩くと、にやにやとしながらお出かけの準備を始めた。が間口を斜め掛けしてエコバッグを腕に通し、葉一の腕をがっつりつかむと商店街の中へと繰り出した。
「あのさ・・・俺、全く理解できてないけど。」
「そう言えばさ、太田が言ってたよ。小学校の頃、よく胸をもまれてたって。」
思いもよらないカツ子の大暴露だった。
子供の頃、そんなことを太田にしていたなんて・・・自分の頭の中の隅にかけらもなかった・・・が、そう言われると若干そんなこともあったような記憶がふわぁっと蘇ってきた。
昔から本の虫で、ありとあらゆる本を読んできたが、ある日何の間違いか、ちょっと・・・いや。かなりエッチで子供には刺激が強すぎる本を間違って読んでしまった時があった。
親に見つかり、すぐさまその本は閉じられたが、そこに書いてあったおっぱいに対する記述があまりにも感動的で、思わず自分の手で感じてみたくなり、(でも、小学生にもなって母親のおっぱいを触るのもなーーー)と思った時、ちょうどたまたまでぶっちょの太田を見かけ、触ってみたところ、大きさに多少の不満が残るものの、弾力もありなかなかの感触で、つい癖になり、しばらく繰り返していたことを、ふと、思い出してしまった。
「え?えぇ・・・」
「いま、太田は葉ちゃんと一緒に暮らせて幸せなんだろうな・・・けど、そのままゴールインは面白くないから、シュウ君とも付き合えよ。正確にはシュウ君はみんなの者だから、深入りはするなよ。泣くのは葉ちゃんだからな。」
「あのなぁ・・・勝手なことばっか、言ってーーーー。」
「そろそろ、太田が迎えに来る頃だな。よし!弁当屋へ連れてってやるよ。行こう!」
カツ子は葉一の腕を握って、ガンガン進んで引きずるような格好で、弁当屋へ到着した。
「シュウ君!葉ちゃん連れて来た。」
「カツ子、いらっしゃい。この子が噂の葉ちゃん。」
葉一は、勝手に何噂にしてんだおい!と一瞬思ったが、シュウと目が合ったとたん、「うぁ」・・となった。
背が高くて色が浅黒く、整った筋肉に白いTシャツがとてもよく似合う、ど真ん中ストライクの男前中の男前。
ふっくらと厚みのある胸筋、二の腕の筋肉が袖をはじき返すような、それでいてパンパンになっていなくて・・・それはもう、葉一のお気に入りの理想的な筋肉だった。
「初めまして、桧山シュウです。」
シュウがショーケース越しに手を出した。長い指に、大きな手のひら。うっとりするような切れ長の瞳がキラキラと輝いてとてもまぶしかった。
「は、初めまして、高嶺葉一、三十歳。独身です。よ、よろしくお願いいたします。」
葉一はほんの少し頬を赤らめ、その手を握った。その瞬間、キラキラと肌を刺すような輝きを帯びた風が二人を包んだように感じた。その光は、甘酸っぱい、旬より少し早いフルーツのような香りがした。
30歳になって初めての遅すぎる青春の香りだった・・・
「めざめた!」
カツ子は、商店街の真ん中をくるくると踊りながら、50メートルくらい先で一度大きくジャンプ&ターンした後、振り返り、
「私、カツ弁当!」
と、商店街中響く声で叫んだ。
「はい、じゃあ、特上カツ弁当3個でいい?サラダ付きで1個1280円だから・・・3個で3840円です。」
シュウのにっこりとした笑顔に、葉一は素直に1万円札を出した。
それがシュウとの初めての出会い。葉一がまんまとカツ弁当をおごらされたことに気づくのはそのずっと後のことだった。
「そう?それはよかった。」
「これであの仕事はしないんだろ。」
「しないよ。」
「だったら、この資料・・・・」
「これは読む。」
「ダメだろう。」
「なんで?だって、面白いじゃん。人の日記なんてそうそう読めないよ。」
「SNSでも読んでりゃいいじゃん。」
「やだ、あんな嘘と広告みたいなものおもしろくねえじゃん!誰だって、本音の日記が読みたいんでしょ。下手な恋愛小説より面白―い・・・」
「悪趣味。」
「そういえば、葉ちゃんって彼女いるの?」
「いない。めんどくさいものはいらない。」
「じゃあ、やっぱり、男の子が好きなんだ。」
「なんでそうなる。」
「あ、晩飯は弁当にしようよ。商店街の出口の角に弁当屋があるから、そこに行こう!
そこのカツ弁当は超オススメ!!そこのシュウ君も葉ちゃんに超オススメ!
太田もいいけど・・・筋肉系がいいならシュウ君だね。」
「何の話してんだよ。」
「大丈夫だって、私はそう言うの理解あるほうだから。」
カツ子はパンパンと二度葉一の肩を力強く叩くと、にやにやとしながらお出かけの準備を始めた。が間口を斜め掛けしてエコバッグを腕に通し、葉一の腕をがっつりつかむと商店街の中へと繰り出した。
「あのさ・・・俺、全く理解できてないけど。」
「そう言えばさ、太田が言ってたよ。小学校の頃、よく胸をもまれてたって。」
思いもよらないカツ子の大暴露だった。
子供の頃、そんなことを太田にしていたなんて・・・自分の頭の中の隅にかけらもなかった・・・が、そう言われると若干そんなこともあったような記憶がふわぁっと蘇ってきた。
昔から本の虫で、ありとあらゆる本を読んできたが、ある日何の間違いか、ちょっと・・・いや。かなりエッチで子供には刺激が強すぎる本を間違って読んでしまった時があった。
親に見つかり、すぐさまその本は閉じられたが、そこに書いてあったおっぱいに対する記述があまりにも感動的で、思わず自分の手で感じてみたくなり、(でも、小学生にもなって母親のおっぱいを触るのもなーーー)と思った時、ちょうどたまたまでぶっちょの太田を見かけ、触ってみたところ、大きさに多少の不満が残るものの、弾力もありなかなかの感触で、つい癖になり、しばらく繰り返していたことを、ふと、思い出してしまった。
「え?えぇ・・・」
「いま、太田は葉ちゃんと一緒に暮らせて幸せなんだろうな・・・けど、そのままゴールインは面白くないから、シュウ君とも付き合えよ。正確にはシュウ君はみんなの者だから、深入りはするなよ。泣くのは葉ちゃんだからな。」
「あのなぁ・・・勝手なことばっか、言ってーーーー。」
「そろそろ、太田が迎えに来る頃だな。よし!弁当屋へ連れてってやるよ。行こう!」
カツ子は葉一の腕を握って、ガンガン進んで引きずるような格好で、弁当屋へ到着した。
「シュウ君!葉ちゃん連れて来た。」
「カツ子、いらっしゃい。この子が噂の葉ちゃん。」
葉一は、勝手に何噂にしてんだおい!と一瞬思ったが、シュウと目が合ったとたん、「うぁ」・・となった。
背が高くて色が浅黒く、整った筋肉に白いTシャツがとてもよく似合う、ど真ん中ストライクの男前中の男前。
ふっくらと厚みのある胸筋、二の腕の筋肉が袖をはじき返すような、それでいてパンパンになっていなくて・・・それはもう、葉一のお気に入りの理想的な筋肉だった。
「初めまして、桧山シュウです。」
シュウがショーケース越しに手を出した。長い指に、大きな手のひら。うっとりするような切れ長の瞳がキラキラと輝いてとてもまぶしかった。
「は、初めまして、高嶺葉一、三十歳。独身です。よ、よろしくお願いいたします。」
葉一はほんの少し頬を赤らめ、その手を握った。その瞬間、キラキラと肌を刺すような輝きを帯びた風が二人を包んだように感じた。その光は、甘酸っぱい、旬より少し早いフルーツのような香りがした。
30歳になって初めての遅すぎる青春の香りだった・・・
「めざめた!」
カツ子は、商店街の真ん中をくるくると踊りながら、50メートルくらい先で一度大きくジャンプ&ターンした後、振り返り、
「私、カツ弁当!」
と、商店街中響く声で叫んだ。
「はい、じゃあ、特上カツ弁当3個でいい?サラダ付きで1個1280円だから・・・3個で3840円です。」
シュウのにっこりとした笑顔に、葉一は素直に1万円札を出した。
それがシュウとの初めての出会い。葉一がまんまとカツ弁当をおごらされたことに気づくのはそのずっと後のことだった。
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