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理玖と太
挫折
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「どうした?風邪か?」
「うん、ちょっと・・・」
「大丈夫か。」
ヒロトはうっすら笑って、ちょっと手を挙げただけで理玖の前から逃げるようにいなくなった。
理玖は授業が終わると、慌てて家に帰り携帯のスイッチを入れた。
長く放置したせいか、充電も切れていて、イライラしながら画面が光るのを待った。
『ヒロト。どうした?大丈夫か』
そうメールして、返事が帰ってくるまでに、理玖は制服を着替え時間割りを合わせるくらいの時間はゆうゆうあった。
『風邪だと思う。頭が痛いよ・・・』
『ごはん食べたのか?』
『今日はママもパパも旅行に行っていていないんだよ。』
そう返事があったあと理玖は自分の家を飛び出していた。
「ヒロト上がるぞ」
ヒロトはベッドの上で苦しんでいた。
「熱はないと思うけど、頭が痛くて、胸も苦しい。」
「水持ってくるよ。冷蔵庫開けていいか。」
「うん。」
ヒロトの家は誰もいない。シンと静まり返って、冷蔵庫の中もほぼ何も入っていなかった。
「ヒロト、何日食べてないんだ。」
「3日くらいかなぁ。」
「何か食べるもの買ってくるよ。水も。何か食べたいものあるか?」
「なにもない。だからお願い、行かないで。」
「何か食べないと治らない。体力つけないと。」
「ちゃんと帰って来てくれる?」
「うん、帰ってくるよ。絶対帰ってくるから。」
「絶対、絶対・・・」
「うん絶対。」
子どもっぽく涙ぐんで理玖の手を掴んで離さずにいるヒロトの手を、優しくそっと握りしめて布団の中に入れ、
「ちょっとコンビニに行ってくるだけだから」
と言って、髪を撫でた。ヒロトは大粒の涙を流し、ゆっくりうなづいた。
理玖は自分でも信じられない早さで自転車を漕ぎコンビニに行って思いつくままに買い物をして、また来た道を必死で帰った。
「ヒロト。」
「理玖。おかえり。」
「な、帰って来ただろ。」
「うん、すごい汗。大丈夫。」
「おかゆ食べる?レトルトだけど。」
理玖は水を枕元に置いて台所に向かおうとした。ヒロトは布団にもぐって、顔を見せず立ち上がろうとする理玖の腕をつかんだ。
「どうした。台所に行くだけだよ。」
「ありがとう。」
ヒロトは布団の中で震えていた。泣いているのだろうと想像していた。
よっぽど寂しかったんだな、少し遅かったけど気づいてやれて本当によかった。
そう理玖は思っていた。
その晩、理玖はヒロトのそばでずっと看病をしていた。
はじめは勉強をしながら見ていたが、深夜に近づくにつれ咳き込み出し、嘔吐し、看病だけに専念せざる負えなくなった。
朝が来て、ヒロトは学校を休むことにしたが、理玖は向かった。
今日は、絶対外せない試験があった。この試験でいい成績を取れば、大学の推薦がもらえる。
この日を目標に努力を重ねてきた。
理玖は、勉強が子供の頃からまあできたほうではあったが、天才とか秀才とか呼ばれる人ではなく、ただ目標に向かって努力をするだけの人だった。
太もまた同じようなタイプで、太にしても理玖にしても一度見つけた目標に貪欲に食らいつき、叶える為ならどんな努力もおしまないというタイプの人間だった。
けれど、結果は惨敗だった。たった一日の徹夜でこんなに成績が落ちるのかというほどの点数にまで下がってしまった。
一般クラスからすれば「良い点数だよ」と言われても特別クラスに居続けなければならない理玖にとっては、平均70点は0点に等しく、入学時から6ヶ月死守してきたベスト3からはもちろん転落した。
「うん、ちょっと・・・」
「大丈夫か。」
ヒロトはうっすら笑って、ちょっと手を挙げただけで理玖の前から逃げるようにいなくなった。
理玖は授業が終わると、慌てて家に帰り携帯のスイッチを入れた。
長く放置したせいか、充電も切れていて、イライラしながら画面が光るのを待った。
『ヒロト。どうした?大丈夫か』
そうメールして、返事が帰ってくるまでに、理玖は制服を着替え時間割りを合わせるくらいの時間はゆうゆうあった。
『風邪だと思う。頭が痛いよ・・・』
『ごはん食べたのか?』
『今日はママもパパも旅行に行っていていないんだよ。』
そう返事があったあと理玖は自分の家を飛び出していた。
「ヒロト上がるぞ」
ヒロトはベッドの上で苦しんでいた。
「熱はないと思うけど、頭が痛くて、胸も苦しい。」
「水持ってくるよ。冷蔵庫開けていいか。」
「うん。」
ヒロトの家は誰もいない。シンと静まり返って、冷蔵庫の中もほぼ何も入っていなかった。
「ヒロト、何日食べてないんだ。」
「3日くらいかなぁ。」
「何か食べるもの買ってくるよ。水も。何か食べたいものあるか?」
「なにもない。だからお願い、行かないで。」
「何か食べないと治らない。体力つけないと。」
「ちゃんと帰って来てくれる?」
「うん、帰ってくるよ。絶対帰ってくるから。」
「絶対、絶対・・・」
「うん絶対。」
子どもっぽく涙ぐんで理玖の手を掴んで離さずにいるヒロトの手を、優しくそっと握りしめて布団の中に入れ、
「ちょっとコンビニに行ってくるだけだから」
と言って、髪を撫でた。ヒロトは大粒の涙を流し、ゆっくりうなづいた。
理玖は自分でも信じられない早さで自転車を漕ぎコンビニに行って思いつくままに買い物をして、また来た道を必死で帰った。
「ヒロト。」
「理玖。おかえり。」
「な、帰って来ただろ。」
「うん、すごい汗。大丈夫。」
「おかゆ食べる?レトルトだけど。」
理玖は水を枕元に置いて台所に向かおうとした。ヒロトは布団にもぐって、顔を見せず立ち上がろうとする理玖の腕をつかんだ。
「どうした。台所に行くだけだよ。」
「ありがとう。」
ヒロトは布団の中で震えていた。泣いているのだろうと想像していた。
よっぽど寂しかったんだな、少し遅かったけど気づいてやれて本当によかった。
そう理玖は思っていた。
その晩、理玖はヒロトのそばでずっと看病をしていた。
はじめは勉強をしながら見ていたが、深夜に近づくにつれ咳き込み出し、嘔吐し、看病だけに専念せざる負えなくなった。
朝が来て、ヒロトは学校を休むことにしたが、理玖は向かった。
今日は、絶対外せない試験があった。この試験でいい成績を取れば、大学の推薦がもらえる。
この日を目標に努力を重ねてきた。
理玖は、勉強が子供の頃からまあできたほうではあったが、天才とか秀才とか呼ばれる人ではなく、ただ目標に向かって努力をするだけの人だった。
太もまた同じようなタイプで、太にしても理玖にしても一度見つけた目標に貪欲に食らいつき、叶える為ならどんな努力もおしまないというタイプの人間だった。
けれど、結果は惨敗だった。たった一日の徹夜でこんなに成績が落ちるのかというほどの点数にまで下がってしまった。
一般クラスからすれば「良い点数だよ」と言われても特別クラスに居続けなければならない理玖にとっては、平均70点は0点に等しく、入学時から6ヶ月死守してきたベスト3からはもちろん転落した。
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