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三、戦うことになる
クレタの秘密
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太と理玖とヒロトの三人は並んで星空を見上げていた。
「俺・・・やっぱ、諦められない・・・・
サッカーも、彼女も。学校も。全部!!あっちに戻りたい!!」
「なら、受付でそう言おう。」
「なあ、あいつについて行って本当に大丈夫なのか、俺たち死んじゃうんじゃないのか。あいつ、女神様とか言ってたけど、本当なのかよ。」
「信じるしかないだろう。
第一、俺たちだってこんな事初めてなんだから嘘か本当かなんて確かめようもないだろう。」
「そうだけどさ・・・なんか、元に戻る方法ないのかな・・・」
「わからないけど、とにかく、寝よう。今何時かもわからないけど、やることもないし。」
「そうだな・・・・」
とは言ったものの、太は眠れる気がしなかった。
ずっとウトウトと眠っているのか、起きているのかうつつな感じがどれほどか続いた時
「おはよう太、朝だよ。」と、聞き覚えのあるかわいい声に合わせて肩を何度か揺すられた。
「あれ・・・俺、いつの間に寝たんだろ・・・」
「太、起きて、練習の時間だよ。」
その声の主を確かめようと振り返ると、太を起こしていたのは堀田まひろだった。
彼女とは手紙をもらってから1度だけ、みんなでファミレスでお茶を飲み、その帰り道、ほんの十メートルくらいをドキドキしながら手をつないで歩き、やっとの思いで今度の日曜、デートの約束をしたところだった。
今、一番の大好き絶頂期の相手、まひろに起こされた太がうれしくないわけがない。
「わざわざ起こしに来てくれたのか。」
「だって、練習始まっちゃうよ。さあ・・・いこ・・・」
まひろは手を伸ばした。
当然、太はその手を握った。
そして部屋から引きずり出された太の体に、まひろの腕はからまるようにしがみつき、そしてぐいぐいと締め付けた。
「理玖・・・ヒロト・・・」
その苦しそうに唸るような声で目を覚ました理玖はクレタを起こした。
そして、太をまひろから引き離そうと、腕を引っ張ったり、まひろの手を叩いたりしてみたが、太が苦しがるだけで効果はない。
それだけではない、抵抗すればするほどさらに強く太にしがみつき、その体をどんどんと持ち上げて行こうとしていた。
ヒロトも太の足にしがみつき、連れていかれないようにはしていたが、まひろの力のほうがかなり勝っていた。
上半身をやっと起こしたクレタは、頭を描きながらその様子を見て一度「ちっ」と舌打ちをして、
「だから余計なことを考えずに寝ろって言ったんだ。」
そういうとふわっと浮き上がり、まひろのあごをつかんだ。
「なんだおまえ。」
まひろは真顔でクレタに目を向けた。
「俺はこいつらを受付まで案内するクレタでーす。
しばらく会わなかったから俺のことは忘れたちゃったかな。」
クレタがまひろを挑発すると、まひろの左の目に灰色の雲がかかり、黒く深い穴のように渦を巻いた。
「ここにいたのか、ガリウス。」
「なんだよガリウスって。」
理玖はあまりの事の重大さにどうしていいかわからなくなっていた。
ただクレタの後ろについて現状を見守ることしかできなかった。
「だから、鬼がでるっつーただろ。」
鬼が脱いだまひろの抜け殻は、さらに豹変し、何本も手を生やし、植物のように太に絡みつき締め上げた。
クレタは左手をバーナーに変え、まひろの腕を一本、一本焼き切り、苦しみにゆがむ太をまひろの腕から切り離し、理玖に預けた。
引き離すのに結構な力を使ったのか、次にガリウスと向き合ったとき少し足元がふらついた。
「大丈夫かな、クレタ。戦えるのか?」
「ああ、もちろん戦うさ。」
クレタはシャツの裾を引っ張り、襟を直して姿勢を正した。
「久しぶりに君に会えてとても嬉しいよ、クレタ。せっかく再会できたんだ。今日は、ここまでにしてやるよ。
楽しみは後に取っておくたちでね。」
「お前がそういうなら明日にしてやってもいいぞ。俺はいつでも戦えるけどな。」
「クレタ…相変わらず威勢はいいな。ま、それもいつまで持つかな。明日からは、ゆっくりとその綺麗な顔に傷つけるとしようか、楽しみだな。」
ガリウスの長い爪がクレタの頬を撫でてしばらくするとガリウスの姿は砂煙のように消えていった。クレタはヘタリとその場に座りこんだが、すぐに立ち上がりシャツの裾を引っ張り、姿勢を正すとベッドに戻っていった。
「お前らも寝ろ。絶対余計なことは考えるなよ。」
「なあ、まひろはどうなったんだ。」
太はベッドのそばに座りクレタの肩を揺すって聞いた。
「どうもなってない。さっきのは、まひろの皮をかぶった何かだ。別にまひろを燃やした訳じゃない。もう何も考えるな。黙って寝ろ。」
「でも、まひろが出てきたらやっぱり気になるだろ。」
「それはお前がずーっとそうやってグジグジ考えているから鬼に漬け込むすきを与えるんだ。もう、寝ろったら、寝ろ。」
「クレタ・・・ひょっとして泣いている?」
「泣くわけないだろ。もう寝ろって、明日も歩きだぞ。」
三人は床に転がって1枚のタオルを横にして掛けて寝た。考えるなと言われれば言われるほどに考えたくなるのだが、太も今の一件でちょっと疲れて、時期に夢の中に落ちて行った。理玖もヒロトもだ。
眠れないのはクレタだった。
もっと後に出てくると思っていた鬼が予想以上に早く出て来て、しかもよりによってガリウス・・・
ガリウスはクレタの家族、女神一族の天敵。今まで九十九戦九十九敗、出てくる鬼がガリウスの時はすべて負け越し。
武器も山ほど持ってきた。玉もしっかり補充してきた。けど、根本的な問題はクレタが初めてこの仕事を請け負ったというところにあった。「なんとかなる、なんとかなる」そう何回も自分に言い聞かせやっと眠気が全身を包んだころに夜が開けた。
「どうする?クレタ・・・起こす?」
「疲れているんだろう、まだ寝かしてやろう。朝飯つくるよ。
トーストでいいか。」
「ヒロト、手伝って・・・」
ヒロトの手はまだカエルだった。
コーヒーカップも持てない。
「いいや、ヒロトはクレタについていてあげて。太、手伝ってよ。」
「へいへい。」
太はしぶしぶ立ち上がり、理玖について店に行った。
普段なら仕込みが始まる時間なのに祖父の姿も、祖母の姿もなくまったく瓜二つの別の世界にいるような気がした。
コーヒーを入れてパンを焼いてゆで卵を作った。
二人が朝食を作っている間、ヒロトはとても暇だったから、クレタのすぐ隣に座って顔をしみじみと見た。
白くとてもきれいな肌にうらやましいほどの長いまつ毛。
あまりにも美しかったから、華やかな薄ピンクのほっぺをそのカエルの手でグッと押してみた。
「うわ。くせっ。」
クレタはそれにびっくりして飛び起きた。
「なんだよ、気持ち悪いな、今、ヌルっとしたぞ。
お前の手か!クセェよ。気安く触るな。」
「ごめん。でも、そんな言い方することないでしょ、ほんのちょっと触っただけじゃない。」
「ちょっとでも、クセエもんはクセェんだよ。」
クレタの寝起きは、機嫌がものすごく悪かった。
ヒロトを叩いて嫌味なことを言っては泣かせ、まるでガキだった。
朝が苦手なのに加えて、夕べなかなか寝付けなかったこと、さらにガリウスが今日から出てくると考えたらイライラして、それをヒロトに全部ぶつけたのだった。
「理玖・・・急にぶってきた。」
朝飯を作って戻った理玖と太が止めに入っても、まだヒロトを叩こうとしていた。
理玖の背中に張り付いたヒロトをまだ目で追いかけていた。
「急にじゃない。お前がほっぺをぎゅーってした。」
「ぎゅーじゃないよ。ちょっと触っただけじゃない。」
「クセェんだよ、その手。」
たしかに理玖も太もそう思っていた。
実はヒロトも思っていたけど、改めてハッキリ言われると相当ショックだ。
「もう、クレタもヒロトも朝飯を食べよう。今日もたくさん歩くんだろう。」
「なんだよ、なんでヒロトガエルだけアイスなんだよ。ミルクだっていっぱいで、俺のとは色も違う。
パンだって小さく切ってホークがささってる。」
「仕方ないだろ。ヒロトはカップが持てないし、コーヒーが苦手なんだよ。パンだってこの手では・・・」
「ヒロトは自分が悪くてバチが当たったのに、なんでそんな高待遇なんだ。俺にも気を使えよ。」
「気を使ったからホットにしたんだよ。クレタは大人だから、きっとコッチの方がいいと思ったんだ。明日からはアイスにするよ。それとも今、アイスに変えてこようか?」
「今日はいいや。我慢してやるよ。大人だからな。」
クレタは横を向いて一人で食べはじめた。まだ機嫌が治っていないようだった。
「あいつ、性格悪いな。ホントに神様かよ。理玖がいなかったら俺、殴ってたよ。」
太は小声で理玖に耳打ちした。
「気をつけろよ。ヘソ曲げられると困る。受付に行くことがとりあえずの目標だからな。
クレタしか道をしらないんだ。」
「厄介だな・・・」
朝食が終わった四人は九時ごろ理玖の祖父の店を出た。出発前に理玖はヒロトの両手に水で濡らしたタオルを巻いてカエルの部分を隠した。
これで太もヒロトも自分も気持ち悪くない。
「じゃあ行くぞ。」
クレタは大きな溜め息を一度つくと玄関を開けた。長い足でスタスタと先頭を行き、その後ろを三人が続いた。
昨日のように道は透明の階段を上がっているように、少しづつ地面から離れて空へと登った。
「俺・・・やっぱ、諦められない・・・・
サッカーも、彼女も。学校も。全部!!あっちに戻りたい!!」
「なら、受付でそう言おう。」
「なあ、あいつについて行って本当に大丈夫なのか、俺たち死んじゃうんじゃないのか。あいつ、女神様とか言ってたけど、本当なのかよ。」
「信じるしかないだろう。
第一、俺たちだってこんな事初めてなんだから嘘か本当かなんて確かめようもないだろう。」
「そうだけどさ・・・なんか、元に戻る方法ないのかな・・・」
「わからないけど、とにかく、寝よう。今何時かもわからないけど、やることもないし。」
「そうだな・・・・」
とは言ったものの、太は眠れる気がしなかった。
ずっとウトウトと眠っているのか、起きているのかうつつな感じがどれほどか続いた時
「おはよう太、朝だよ。」と、聞き覚えのあるかわいい声に合わせて肩を何度か揺すられた。
「あれ・・・俺、いつの間に寝たんだろ・・・」
「太、起きて、練習の時間だよ。」
その声の主を確かめようと振り返ると、太を起こしていたのは堀田まひろだった。
彼女とは手紙をもらってから1度だけ、みんなでファミレスでお茶を飲み、その帰り道、ほんの十メートルくらいをドキドキしながら手をつないで歩き、やっとの思いで今度の日曜、デートの約束をしたところだった。
今、一番の大好き絶頂期の相手、まひろに起こされた太がうれしくないわけがない。
「わざわざ起こしに来てくれたのか。」
「だって、練習始まっちゃうよ。さあ・・・いこ・・・」
まひろは手を伸ばした。
当然、太はその手を握った。
そして部屋から引きずり出された太の体に、まひろの腕はからまるようにしがみつき、そしてぐいぐいと締め付けた。
「理玖・・・ヒロト・・・」
その苦しそうに唸るような声で目を覚ました理玖はクレタを起こした。
そして、太をまひろから引き離そうと、腕を引っ張ったり、まひろの手を叩いたりしてみたが、太が苦しがるだけで効果はない。
それだけではない、抵抗すればするほどさらに強く太にしがみつき、その体をどんどんと持ち上げて行こうとしていた。
ヒロトも太の足にしがみつき、連れていかれないようにはしていたが、まひろの力のほうがかなり勝っていた。
上半身をやっと起こしたクレタは、頭を描きながらその様子を見て一度「ちっ」と舌打ちをして、
「だから余計なことを考えずに寝ろって言ったんだ。」
そういうとふわっと浮き上がり、まひろのあごをつかんだ。
「なんだおまえ。」
まひろは真顔でクレタに目を向けた。
「俺はこいつらを受付まで案内するクレタでーす。
しばらく会わなかったから俺のことは忘れたちゃったかな。」
クレタがまひろを挑発すると、まひろの左の目に灰色の雲がかかり、黒く深い穴のように渦を巻いた。
「ここにいたのか、ガリウス。」
「なんだよガリウスって。」
理玖はあまりの事の重大さにどうしていいかわからなくなっていた。
ただクレタの後ろについて現状を見守ることしかできなかった。
「だから、鬼がでるっつーただろ。」
鬼が脱いだまひろの抜け殻は、さらに豹変し、何本も手を生やし、植物のように太に絡みつき締め上げた。
クレタは左手をバーナーに変え、まひろの腕を一本、一本焼き切り、苦しみにゆがむ太をまひろの腕から切り離し、理玖に預けた。
引き離すのに結構な力を使ったのか、次にガリウスと向き合ったとき少し足元がふらついた。
「大丈夫かな、クレタ。戦えるのか?」
「ああ、もちろん戦うさ。」
クレタはシャツの裾を引っ張り、襟を直して姿勢を正した。
「久しぶりに君に会えてとても嬉しいよ、クレタ。せっかく再会できたんだ。今日は、ここまでにしてやるよ。
楽しみは後に取っておくたちでね。」
「お前がそういうなら明日にしてやってもいいぞ。俺はいつでも戦えるけどな。」
「クレタ…相変わらず威勢はいいな。ま、それもいつまで持つかな。明日からは、ゆっくりとその綺麗な顔に傷つけるとしようか、楽しみだな。」
ガリウスの長い爪がクレタの頬を撫でてしばらくするとガリウスの姿は砂煙のように消えていった。クレタはヘタリとその場に座りこんだが、すぐに立ち上がりシャツの裾を引っ張り、姿勢を正すとベッドに戻っていった。
「お前らも寝ろ。絶対余計なことは考えるなよ。」
「なあ、まひろはどうなったんだ。」
太はベッドのそばに座りクレタの肩を揺すって聞いた。
「どうもなってない。さっきのは、まひろの皮をかぶった何かだ。別にまひろを燃やした訳じゃない。もう何も考えるな。黙って寝ろ。」
「でも、まひろが出てきたらやっぱり気になるだろ。」
「それはお前がずーっとそうやってグジグジ考えているから鬼に漬け込むすきを与えるんだ。もう、寝ろったら、寝ろ。」
「クレタ・・・ひょっとして泣いている?」
「泣くわけないだろ。もう寝ろって、明日も歩きだぞ。」
三人は床に転がって1枚のタオルを横にして掛けて寝た。考えるなと言われれば言われるほどに考えたくなるのだが、太も今の一件でちょっと疲れて、時期に夢の中に落ちて行った。理玖もヒロトもだ。
眠れないのはクレタだった。
もっと後に出てくると思っていた鬼が予想以上に早く出て来て、しかもよりによってガリウス・・・
ガリウスはクレタの家族、女神一族の天敵。今まで九十九戦九十九敗、出てくる鬼がガリウスの時はすべて負け越し。
武器も山ほど持ってきた。玉もしっかり補充してきた。けど、根本的な問題はクレタが初めてこの仕事を請け負ったというところにあった。「なんとかなる、なんとかなる」そう何回も自分に言い聞かせやっと眠気が全身を包んだころに夜が開けた。
「どうする?クレタ・・・起こす?」
「疲れているんだろう、まだ寝かしてやろう。朝飯つくるよ。
トーストでいいか。」
「ヒロト、手伝って・・・」
ヒロトの手はまだカエルだった。
コーヒーカップも持てない。
「いいや、ヒロトはクレタについていてあげて。太、手伝ってよ。」
「へいへい。」
太はしぶしぶ立ち上がり、理玖について店に行った。
普段なら仕込みが始まる時間なのに祖父の姿も、祖母の姿もなくまったく瓜二つの別の世界にいるような気がした。
コーヒーを入れてパンを焼いてゆで卵を作った。
二人が朝食を作っている間、ヒロトはとても暇だったから、クレタのすぐ隣に座って顔をしみじみと見た。
白くとてもきれいな肌にうらやましいほどの長いまつ毛。
あまりにも美しかったから、華やかな薄ピンクのほっぺをそのカエルの手でグッと押してみた。
「うわ。くせっ。」
クレタはそれにびっくりして飛び起きた。
「なんだよ、気持ち悪いな、今、ヌルっとしたぞ。
お前の手か!クセェよ。気安く触るな。」
「ごめん。でも、そんな言い方することないでしょ、ほんのちょっと触っただけじゃない。」
「ちょっとでも、クセエもんはクセェんだよ。」
クレタの寝起きは、機嫌がものすごく悪かった。
ヒロトを叩いて嫌味なことを言っては泣かせ、まるでガキだった。
朝が苦手なのに加えて、夕べなかなか寝付けなかったこと、さらにガリウスが今日から出てくると考えたらイライラして、それをヒロトに全部ぶつけたのだった。
「理玖・・・急にぶってきた。」
朝飯を作って戻った理玖と太が止めに入っても、まだヒロトを叩こうとしていた。
理玖の背中に張り付いたヒロトをまだ目で追いかけていた。
「急にじゃない。お前がほっぺをぎゅーってした。」
「ぎゅーじゃないよ。ちょっと触っただけじゃない。」
「クセェんだよ、その手。」
たしかに理玖も太もそう思っていた。
実はヒロトも思っていたけど、改めてハッキリ言われると相当ショックだ。
「もう、クレタもヒロトも朝飯を食べよう。今日もたくさん歩くんだろう。」
「なんだよ、なんでヒロトガエルだけアイスなんだよ。ミルクだっていっぱいで、俺のとは色も違う。
パンだって小さく切ってホークがささってる。」
「仕方ないだろ。ヒロトはカップが持てないし、コーヒーが苦手なんだよ。パンだってこの手では・・・」
「ヒロトは自分が悪くてバチが当たったのに、なんでそんな高待遇なんだ。俺にも気を使えよ。」
「気を使ったからホットにしたんだよ。クレタは大人だから、きっとコッチの方がいいと思ったんだ。明日からはアイスにするよ。それとも今、アイスに変えてこようか?」
「今日はいいや。我慢してやるよ。大人だからな。」
クレタは横を向いて一人で食べはじめた。まだ機嫌が治っていないようだった。
「あいつ、性格悪いな。ホントに神様かよ。理玖がいなかったら俺、殴ってたよ。」
太は小声で理玖に耳打ちした。
「気をつけろよ。ヘソ曲げられると困る。受付に行くことがとりあえずの目標だからな。
クレタしか道をしらないんだ。」
「厄介だな・・・」
朝食が終わった四人は九時ごろ理玖の祖父の店を出た。出発前に理玖はヒロトの両手に水で濡らしたタオルを巻いてカエルの部分を隠した。
これで太もヒロトも自分も気持ち悪くない。
「じゃあ行くぞ。」
クレタは大きな溜め息を一度つくと玄関を開けた。長い足でスタスタと先頭を行き、その後ろを三人が続いた。
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