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川をわたる
流されてゆく
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「どうした。大丈夫か太。」
「あ、ああ。今、マヒロ流されて行ったのが見えた。」
「またマヒロ・・・」
「ああ・・・ごめん・・・」
理玖に声をかけられて一度は正気をとり戻したが、ざわざわするあたりを見回すと今度はサッカーの仲間達が次々に流されて行くのが見えた。理玖の目にはクラスの仲間や祖父、祖母、部屋に飾ってあった宝物のNゲージの鉄道模型が流されて行くのが見えた。
「なんだよこれは・・・」
「なあ、理玖、ここって三途の川じゃないって言っていたよなぁ。」
「ああ、でも、渡りきったら戻れない気がして来た。」
太と理玖は次々に流されてくる友人や物の多さに露骨に狼狽え、何度もそれに手を伸ばして列を乱した。
「チクショウ・・・帰りてぇ・・」
「理玖、太もダメだよ。全部幻覚だって!」
ヒロトは太が手を離したクレタの板に捕まって二人をなだめたが、一向に聞く耳を持たない。
「お前らいい加減にシロ。俺が流されたら大変だろ!」
クレタの声も二人には届かず、まだ気づいてはいないだろうが、川はもう足もとどかないほど深くなり、あたりも漆黒の闇に包まれ対岸も見えないほどだった。
「理玖!太!」
怒ったヒロトは二人をカエルの手でぶん殴った。
「二人ともうるさい!幻覚だって言ってるだろ!しっかりして!
もう真っ暗だよ。向こう岸も見えない。このままっだったら溺れちゃうよ。」
理玖と太はやっとヒロトの声を真面もに聞くことがでた。それでわかったのはただ、真っ暗な川にもうほとんど足のつかなくなった川でただ必死に浮いていることだった。だが、見えていたものが見えなくなったわけではない。闇と深さは二人をさらに動揺させただけだった。
「二人とも目を閉じてクレタと一緒に板に乗って。」
「ヒロト・・・板に乗ってどうするんだ。」
「僕が泳いで板を引っ張る。」
「ヒロト一人ではムリだ。」
「理玖も太も使いモノにならない。僕が引っ張るしかないでしょ。」
「もう大丈夫だから、俺も泳ぐよ。」
「理玖、大丈夫な訳ないでしょ。僕も同じものが見えてるよ。嘘ついてもだめ。
とにかく渡らなきゃ、三人ともここで死んじゃうよ。
何も流れてこなくなったら代わってよ。それまでクレタの隣で目をつぶっていて。」
ヒロトの言う通り、クレタの転がっている板に乗り、ヒロトの腰につないだ縄を強く握った。ヒロトは泳いだ。カエルの手で必死に水をかき分けて泳いだ。進むスピードは遅いが、さっきよりは確実に前に進んだ。
「カエルヒロトやるじゃん。進んでる、進んでる!ヤッホー」
「うるさい、クレタ。黙って乗ってろ。」
「るっせえ、ダメ太。俺はヒロトの応援をしているんだ。お前ら二人がだめだから、頑張ってくれているヒロト君のために俺が力を貸してやっているんだ。」
「本当なら、おまえが連れて行かないとだめなんだぞ。」
「それは最初から無理な話だ。」
「なんでだよ。」
「俺は泳げない。ひとかきもできない。水の中でジタバタもできないほど泳げない。
第一、水は飲む以外触らない主義なのだ。だーって俺、王子様だから激しい運動はしないんだもーん。」
「自慢になってねえ・・・・王子様って普通、スゲーなんでもできるっていうイメージあるけどな・・・弱いし、几帳面に見えて案外雑だし、さらに泳げないとか・・・
あ、でもイジワルなところは王様級だ!」
「おまえ、この板から落とす。この板は俺の板だ。あのおばさんが俺のためにくれた板だからな。お前は乗るな。」
クレタはくねくねと身体を捩って太を落とそうと体当たりした。
「コラ!揺らすな。ヒロトが可愛そうだろ。」
「アレ理玖。それって俺に言ってる?何度も言ってるだろ。俺に指示するな。」
今度はごろっと転がって理玖をぐいっと押した。
「今度は理玖を落とすぞー。」
「クレタ、俺を怒らせるな。弱い上にぐるぐる巻きのお前なんか怖くないぞ。」
クレタの髪を鷲掴みにし、目を見開いて威嚇した。
「ちょっと待って理玖ちゃん。俺がいなくなって受け付けまで行けなくなったら困るでしょう。」
「この川を越えたところに公衆電話があるんだろう。リリーに電話して聞くからお前はいらない。おまえなんかいなくても、努力して絶対たどり着いてみせる。」
「えー・・・もう、冗談じゃん・・・理玖ちゃん。こわ~い。」
「落とされたくなければ、おまえも目を閉じて黙ってろ。」
クレタがぐっと目を閉じたのを確認すると理玖も目を閉じた。ヒロトは一人、暗い川を泳いだ。ただ三人を無事に向う岸に届けたい、その気持ちだけで必死にカエルの手で水をかいた。
少しすると一艘の舟が板の隣に並んだ。
音もなく静かに近づいて来たが、理玖と太には、その舟のことがなぜかわかった。
舟を見上げると、川に入る前に会った人が乗っていた。
「大変な事になっていますね。」
「おばさん、この川は三途の川じゃないよね。」
「ハイ、違います。この川は欲望の川です。」
「なんだそのいやらしいネーミングは俺たちはそんなエッチな事ばかり考えないぞ。」
「欲望と聞いて性欲だと思うのは、いささか単純な発想だと思います。
欲望はそれとは限りません。何かをしたい、何かが欲しいと強く思う気持ちが欲望なのです。そしてその欲望にあなたがたは溺れているのです。手を貸しましょう。
その板に乗っている二人。ぐるぐる巻きでない、お二人。こちらの舟で向こう岸まで送ります。どうぞ、お乗りください。」
理玖と太は顔を見合わせた。
「どうする。理玖。このままヒロト一人に泳がせるのも可愛そうだし、俺たちだけでも先にいく?」
理玖は少し考え、
「イヤ、俺はやめとく。ここまで頑張って引いてくれたヒロトを置いてはいけない。」
「けど、この先も長そうだし、ヒロト一人では・・・」
「イヤ、俺たちにもできる事はあるよ。」
理玖はバタ足で板を押した。
「そうだな。三人は一緒じゃないとな。」
太も同じようにバタ足をした。
「おい、じゃあ、俺を乗せろよ。その舟に俺が乗ってやる。」
クレタは転がったままその人の方へ顔を向けて大声で叫んでは見たが、その人はクレタを全く見ることなく、
「そうですか。では。」
と深々と頭を下げ舟は通りすぎて行った。
「ちょっと待って!俺が乗るって言ってるだろ。なんで無視する。
おい!おーい!!」
クレタが大声で叫んでみたが、舟は空気に溶け込むように消えた。
「何なんだよ!もー。無視かよ!」
クレタはふてくされて板の上で足をバタバタさせた。するとバランスが崩れて水がザバザバと板の上に上がって来た。
「コラ、おとなしくしろって言っているだろ・」
「太、さっきの人読んで来いよ。俺があの船乗るって。言ってこいよ。」
「お前、突き落としてやるから自分で言ってこい。」
「太が言ってきて。あの船に乗りたい!乗りたい!この板は背中が痛い。顔が濡れる。嫌だよーお船に乗りたい!」
「うるさい。今度俺を怒らせたら、本当に突き落とすからな。」
またもや理玖に髪を鷲掴みにされ、怯んだクレタは小さな声で「ハイ」と返事した後固く硬く目をつぶった。
「ヒロト、大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ。頑張る。」
板は前に進んでいる実感はあるのだが、一向に岸にたどり着く様子はなかった。
「ヒロト、変わろうか。」
川には、まだいろいろなものは流れていた。読みかけの本、飼っていた犬、サッカーボール、子供の時大切にしていたおもちゃ、何からな何まで流れて来てはいたが、長い間自分たちを一人で引いてくれているヒロトが気になって、周りはどうでもよくなってきていた。
「大丈夫だよ。僕頑張るから。」
「本当か。どこかで止まれ、俺が変わる。」
太もヒロトのことが気にかかって、川に流れてくるものはどうでもよくなっていた。
その時またさっきの舟が隣に並んだ。
音もなく、まるでどこからか湧いて来たかのように現れた。
「だいぶお困りのようですが、そのぐるぐる巻きでないほうのお二人、よろしければこちらの舟に乗せて差し上げましょうか。」
「俺たちはいいです。この板で向こう岸まで行きます。」
「そうですか・・・」
その人はそうは言ったが一向に進む気配もなく、理玖達の板と並走していた。
「おい、そこの人、俺を乗せろよ。顔に水がかかって気持ち悪いんだよ。」
クレタは上半身を起こして怒鳴った。板はバランスを崩して左右に大きく揺れた。
「そこのぐるぐる巻きの人は乗せられません。乗せるのはそのお二人です。」
「なんでだよ。理玖からも頼めよ。」
クレタはさらに体を揺すって理玖に詰めよったので、板も大きく揺れた。
「ごめんおばさん乗せてもらえませんか。うるさくて・・・」
「・・・仕方ありませんね・・・では、そこのぐるぐる巻きの人の糸の端っこを私にください。
これを巻き取りながら引っ張って行きます。それでかなり早く岸にたどり着く事ができるでしょう。」
「先に俺を舟に乗せろ!」
「いえ、乗せてしまっては引っ張る事が出来ないので、板の上でお願いします。」
「えーそっちに乗りたい!乗りたい!乗りたい!」
舟の上の人は思い切り呆れた顔でクレタを見ていた。
理玖は恥ずかしくなってクレタのぐるぐる巻きの端っこをそっとその人に手渡し、
「よろしくお願いします。」
と小声で言った。
「あ、ああ。今、マヒロ流されて行ったのが見えた。」
「またマヒロ・・・」
「ああ・・・ごめん・・・」
理玖に声をかけられて一度は正気をとり戻したが、ざわざわするあたりを見回すと今度はサッカーの仲間達が次々に流されて行くのが見えた。理玖の目にはクラスの仲間や祖父、祖母、部屋に飾ってあった宝物のNゲージの鉄道模型が流されて行くのが見えた。
「なんだよこれは・・・」
「なあ、理玖、ここって三途の川じゃないって言っていたよなぁ。」
「ああ、でも、渡りきったら戻れない気がして来た。」
太と理玖は次々に流されてくる友人や物の多さに露骨に狼狽え、何度もそれに手を伸ばして列を乱した。
「チクショウ・・・帰りてぇ・・」
「理玖、太もダメだよ。全部幻覚だって!」
ヒロトは太が手を離したクレタの板に捕まって二人をなだめたが、一向に聞く耳を持たない。
「お前らいい加減にシロ。俺が流されたら大変だろ!」
クレタの声も二人には届かず、まだ気づいてはいないだろうが、川はもう足もとどかないほど深くなり、あたりも漆黒の闇に包まれ対岸も見えないほどだった。
「理玖!太!」
怒ったヒロトは二人をカエルの手でぶん殴った。
「二人ともうるさい!幻覚だって言ってるだろ!しっかりして!
もう真っ暗だよ。向こう岸も見えない。このままっだったら溺れちゃうよ。」
理玖と太はやっとヒロトの声を真面もに聞くことがでた。それでわかったのはただ、真っ暗な川にもうほとんど足のつかなくなった川でただ必死に浮いていることだった。だが、見えていたものが見えなくなったわけではない。闇と深さは二人をさらに動揺させただけだった。
「二人とも目を閉じてクレタと一緒に板に乗って。」
「ヒロト・・・板に乗ってどうするんだ。」
「僕が泳いで板を引っ張る。」
「ヒロト一人ではムリだ。」
「理玖も太も使いモノにならない。僕が引っ張るしかないでしょ。」
「もう大丈夫だから、俺も泳ぐよ。」
「理玖、大丈夫な訳ないでしょ。僕も同じものが見えてるよ。嘘ついてもだめ。
とにかく渡らなきゃ、三人ともここで死んじゃうよ。
何も流れてこなくなったら代わってよ。それまでクレタの隣で目をつぶっていて。」
ヒロトの言う通り、クレタの転がっている板に乗り、ヒロトの腰につないだ縄を強く握った。ヒロトは泳いだ。カエルの手で必死に水をかき分けて泳いだ。進むスピードは遅いが、さっきよりは確実に前に進んだ。
「カエルヒロトやるじゃん。進んでる、進んでる!ヤッホー」
「うるさい、クレタ。黙って乗ってろ。」
「るっせえ、ダメ太。俺はヒロトの応援をしているんだ。お前ら二人がだめだから、頑張ってくれているヒロト君のために俺が力を貸してやっているんだ。」
「本当なら、おまえが連れて行かないとだめなんだぞ。」
「それは最初から無理な話だ。」
「なんでだよ。」
「俺は泳げない。ひとかきもできない。水の中でジタバタもできないほど泳げない。
第一、水は飲む以外触らない主義なのだ。だーって俺、王子様だから激しい運動はしないんだもーん。」
「自慢になってねえ・・・・王子様って普通、スゲーなんでもできるっていうイメージあるけどな・・・弱いし、几帳面に見えて案外雑だし、さらに泳げないとか・・・
あ、でもイジワルなところは王様級だ!」
「おまえ、この板から落とす。この板は俺の板だ。あのおばさんが俺のためにくれた板だからな。お前は乗るな。」
クレタはくねくねと身体を捩って太を落とそうと体当たりした。
「コラ!揺らすな。ヒロトが可愛そうだろ。」
「アレ理玖。それって俺に言ってる?何度も言ってるだろ。俺に指示するな。」
今度はごろっと転がって理玖をぐいっと押した。
「今度は理玖を落とすぞー。」
「クレタ、俺を怒らせるな。弱い上にぐるぐる巻きのお前なんか怖くないぞ。」
クレタの髪を鷲掴みにし、目を見開いて威嚇した。
「ちょっと待って理玖ちゃん。俺がいなくなって受け付けまで行けなくなったら困るでしょう。」
「この川を越えたところに公衆電話があるんだろう。リリーに電話して聞くからお前はいらない。おまえなんかいなくても、努力して絶対たどり着いてみせる。」
「えー・・・もう、冗談じゃん・・・理玖ちゃん。こわ~い。」
「落とされたくなければ、おまえも目を閉じて黙ってろ。」
クレタがぐっと目を閉じたのを確認すると理玖も目を閉じた。ヒロトは一人、暗い川を泳いだ。ただ三人を無事に向う岸に届けたい、その気持ちだけで必死にカエルの手で水をかいた。
少しすると一艘の舟が板の隣に並んだ。
音もなく静かに近づいて来たが、理玖と太には、その舟のことがなぜかわかった。
舟を見上げると、川に入る前に会った人が乗っていた。
「大変な事になっていますね。」
「おばさん、この川は三途の川じゃないよね。」
「ハイ、違います。この川は欲望の川です。」
「なんだそのいやらしいネーミングは俺たちはそんなエッチな事ばかり考えないぞ。」
「欲望と聞いて性欲だと思うのは、いささか単純な発想だと思います。
欲望はそれとは限りません。何かをしたい、何かが欲しいと強く思う気持ちが欲望なのです。そしてその欲望にあなたがたは溺れているのです。手を貸しましょう。
その板に乗っている二人。ぐるぐる巻きでない、お二人。こちらの舟で向こう岸まで送ります。どうぞ、お乗りください。」
理玖と太は顔を見合わせた。
「どうする。理玖。このままヒロト一人に泳がせるのも可愛そうだし、俺たちだけでも先にいく?」
理玖は少し考え、
「イヤ、俺はやめとく。ここまで頑張って引いてくれたヒロトを置いてはいけない。」
「けど、この先も長そうだし、ヒロト一人では・・・」
「イヤ、俺たちにもできる事はあるよ。」
理玖はバタ足で板を押した。
「そうだな。三人は一緒じゃないとな。」
太も同じようにバタ足をした。
「おい、じゃあ、俺を乗せろよ。その舟に俺が乗ってやる。」
クレタは転がったままその人の方へ顔を向けて大声で叫んでは見たが、その人はクレタを全く見ることなく、
「そうですか。では。」
と深々と頭を下げ舟は通りすぎて行った。
「ちょっと待って!俺が乗るって言ってるだろ。なんで無視する。
おい!おーい!!」
クレタが大声で叫んでみたが、舟は空気に溶け込むように消えた。
「何なんだよ!もー。無視かよ!」
クレタはふてくされて板の上で足をバタバタさせた。するとバランスが崩れて水がザバザバと板の上に上がって来た。
「コラ、おとなしくしろって言っているだろ・」
「太、さっきの人読んで来いよ。俺があの船乗るって。言ってこいよ。」
「お前、突き落としてやるから自分で言ってこい。」
「太が言ってきて。あの船に乗りたい!乗りたい!この板は背中が痛い。顔が濡れる。嫌だよーお船に乗りたい!」
「うるさい。今度俺を怒らせたら、本当に突き落とすからな。」
またもや理玖に髪を鷲掴みにされ、怯んだクレタは小さな声で「ハイ」と返事した後固く硬く目をつぶった。
「ヒロト、大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ。頑張る。」
板は前に進んでいる実感はあるのだが、一向に岸にたどり着く様子はなかった。
「ヒロト、変わろうか。」
川には、まだいろいろなものは流れていた。読みかけの本、飼っていた犬、サッカーボール、子供の時大切にしていたおもちゃ、何からな何まで流れて来てはいたが、長い間自分たちを一人で引いてくれているヒロトが気になって、周りはどうでもよくなってきていた。
「大丈夫だよ。僕頑張るから。」
「本当か。どこかで止まれ、俺が変わる。」
太もヒロトのことが気にかかって、川に流れてくるものはどうでもよくなっていた。
その時またさっきの舟が隣に並んだ。
音もなく、まるでどこからか湧いて来たかのように現れた。
「だいぶお困りのようですが、そのぐるぐる巻きでないほうのお二人、よろしければこちらの舟に乗せて差し上げましょうか。」
「俺たちはいいです。この板で向こう岸まで行きます。」
「そうですか・・・」
その人はそうは言ったが一向に進む気配もなく、理玖達の板と並走していた。
「おい、そこの人、俺を乗せろよ。顔に水がかかって気持ち悪いんだよ。」
クレタは上半身を起こして怒鳴った。板はバランスを崩して左右に大きく揺れた。
「そこのぐるぐる巻きの人は乗せられません。乗せるのはそのお二人です。」
「なんでだよ。理玖からも頼めよ。」
クレタはさらに体を揺すって理玖に詰めよったので、板も大きく揺れた。
「ごめんおばさん乗せてもらえませんか。うるさくて・・・」
「・・・仕方ありませんね・・・では、そこのぐるぐる巻きの人の糸の端っこを私にください。
これを巻き取りながら引っ張って行きます。それでかなり早く岸にたどり着く事ができるでしょう。」
「先に俺を舟に乗せろ!」
「いえ、乗せてしまっては引っ張る事が出来ないので、板の上でお願いします。」
「えーそっちに乗りたい!乗りたい!乗りたい!」
舟の上の人は思い切り呆れた顔でクレタを見ていた。
理玖は恥ずかしくなってクレタのぐるぐる巻きの端っこをそっとその人に手渡し、
「よろしくお願いします。」
と小声で言った。
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