43 / 50
最後の最後
でっかい口ビル
しおりを挟む
「おい、クレタ!受付ってどこだよ。」
「おい、とはなんだ!口の利き方に気お付けろ、太!何度も言うが、俺は王子様なんだ。女神で王子なんだぞ。偉いんだ!お前なんか、パパに頼んで地獄行きにしてやる。」
明るくなったが、ただ平たいところを走っているだけで、方向感覚も鈍り、クレタの元気とは裏腹に、精神的な疲労が極限まで達し、ただただ、もう終わってくれとしか考えることができなくなっていた。
「ねえ、あそこじゃないかな。」
ヒロトが指を指した先に本の小さく、ポツンと赤い丸印が見えた。
「そうなのか?クレタ、あそこに行けばいいのか?」
クレタは車から身を乗り出してその赤い丸印を見た。本当に小さく米粒くらいの丸だった。
「ああ・・・・そう?かなぁ・・・・」
「頼りないな。最後くらいガツンとやれよ!」
「じゃ・・・そうだ!あれだ!あれに違いない!」
クレタは、今までの7日間の中で一番大きな声で叫んだ。
すると、その赤い丸印は「みつけた!」と言わんばかりに、急激にむっちりと膨らみ、ぐぅいぃぃーーーんと膨張し続けながら、理玖たちに向かってきた。
「お、おい!クレタ・・・マジかよ・・・あ、あれ・・・・」
「な、なに、なに、なにーーーーぃ」
「理玖!ブレーキ、ブレーキ!」
「やってる!こっちじゃない、あっちが来るんだ!」
「バックだバック!」
「バックって・・・どうやるんだ!」
「知るか!」
「ぎぇぇぇぇぇーーーー」
その赤い膨らんだものは唇の形に変化し、「ぱか」っと空いたかと思うと、「ぺろ」っと車ごと悲鳴も一緒にのみこんだ。
(もうだめだ・・・せっかくここまで来たのに・・・こんな終わりかたって、ないよな・・・)
などと、四人が思っていたとき、
「クレタ、遅かったな。」
と天から優しい声が降って来た。
そっと目を開けると、そこはド定番な天国の景色、アニメや絵本によくあるような、お決まりのように池があり噴水があり、庭には花が咲き乱れ蝶が飛び小鳥が歌い・・・
それに加えて、ちょっとアミューズメントパーク的な要素が加わった女子がきゃあきゃあ言って喜びそうな、なんだかかわいい建物が並んでいるそんなところにいた。
噴水の奥にある大きな門から、白いローブを着た白髪のロン毛に白髭、木の枝をバキッと折ってきたような杖を持った、これまたベタベタの定番神様の装いの男が、数人の従事を引き連れ現れた。
「クレタ!」
「クレタ?」
クレタはその声を聞くと、車の後部座席から思い切りビョーンっと飛び出し、先頭にいた白髪のいかにも神様の装いの男に飛びついた。
「パパ!」
「パパ?」
車に残された理玖たち三人はクレタと父親の再会を最初は暖かく見守ったが、抱擁があまりに長くてイラっとした。
「クレタ!おい!いいかげんにしろ!いつまでやっているんだ!」
太はクレタを怒鳴りつけた。
「仕方ないだろ。一週間も離れていたんだ!」
「たった一週間だろ・・・それより俺達をもてなせよ。俺達が客だろ。」
「ああ・・・悪かったね。君たち。」
「あんたがここの神様か。」
「なんでわかった?」
これでわからない奴がいたら教えてほしいというほどド定番なその人は不思議そうな顔で太と理玖を見た。
「さすがじゃな、理玖君は賢い。」
「いえ、見たマンマですから。」
クレタの父親のローブを着て白髪のロン毛の人は、自分の姿をまじまじと見た後、
「スーツのほうがよかったかな?」
と聞いた。
「着る物なんてなんでもいいです。早く僕達を戻してください。」
「ああ、そうじゃったな。それでは、戻れるようにしよう。
おっと、その前に、クレタをここまで送ってくれて本当にありがとう。
今までご苦労だったね。今、お茶でも用意するよ。」
「いえ、何もいらないです。一刻も早く僕達を元居た場所に帰してください。」
「そうかい、わかった。今用意するから、少しだけ待ちなさい。
おっと、その前に、私の名前を言わないと。私はここの門の神、パビレックだ。よく名前を憶えておきなさい。そしてまた今回のようなことが起きたら、私の名前を思い出しなさい。」
「そしたらどうなる?」
「ちょっとは気持ちが救われる。」
「え?それだけ。」
「え?十分でしょ。」
理玖たち三人は顔を見合わせ、そして深く頷いた。その時思っていたことは
(やっぱ、クレタの父親に間違いない。この親にしてこの子アリだ。)
と思っていた。
「もういいよ。早く帰りたい。これからどうするんだ、あんたでいいのか、それとも、もっと偉い神様に会うのか、どうなんだよ。」
太はパビレックの言葉に少し苛ついた。偉い神様っぽい身なりはしているが、それよりも何よりも待たされることが大嫌いだった。
「わかった。わかった。それでは・・・」
「おい、とはなんだ!口の利き方に気お付けろ、太!何度も言うが、俺は王子様なんだ。女神で王子なんだぞ。偉いんだ!お前なんか、パパに頼んで地獄行きにしてやる。」
明るくなったが、ただ平たいところを走っているだけで、方向感覚も鈍り、クレタの元気とは裏腹に、精神的な疲労が極限まで達し、ただただ、もう終わってくれとしか考えることができなくなっていた。
「ねえ、あそこじゃないかな。」
ヒロトが指を指した先に本の小さく、ポツンと赤い丸印が見えた。
「そうなのか?クレタ、あそこに行けばいいのか?」
クレタは車から身を乗り出してその赤い丸印を見た。本当に小さく米粒くらいの丸だった。
「ああ・・・・そう?かなぁ・・・・」
「頼りないな。最後くらいガツンとやれよ!」
「じゃ・・・そうだ!あれだ!あれに違いない!」
クレタは、今までの7日間の中で一番大きな声で叫んだ。
すると、その赤い丸印は「みつけた!」と言わんばかりに、急激にむっちりと膨らみ、ぐぅいぃぃーーーんと膨張し続けながら、理玖たちに向かってきた。
「お、おい!クレタ・・・マジかよ・・・あ、あれ・・・・」
「な、なに、なに、なにーーーーぃ」
「理玖!ブレーキ、ブレーキ!」
「やってる!こっちじゃない、あっちが来るんだ!」
「バックだバック!」
「バックって・・・どうやるんだ!」
「知るか!」
「ぎぇぇぇぇぇーーーー」
その赤い膨らんだものは唇の形に変化し、「ぱか」っと空いたかと思うと、「ぺろ」っと車ごと悲鳴も一緒にのみこんだ。
(もうだめだ・・・せっかくここまで来たのに・・・こんな終わりかたって、ないよな・・・)
などと、四人が思っていたとき、
「クレタ、遅かったな。」
と天から優しい声が降って来た。
そっと目を開けると、そこはド定番な天国の景色、アニメや絵本によくあるような、お決まりのように池があり噴水があり、庭には花が咲き乱れ蝶が飛び小鳥が歌い・・・
それに加えて、ちょっとアミューズメントパーク的な要素が加わった女子がきゃあきゃあ言って喜びそうな、なんだかかわいい建物が並んでいるそんなところにいた。
噴水の奥にある大きな門から、白いローブを着た白髪のロン毛に白髭、木の枝をバキッと折ってきたような杖を持った、これまたベタベタの定番神様の装いの男が、数人の従事を引き連れ現れた。
「クレタ!」
「クレタ?」
クレタはその声を聞くと、車の後部座席から思い切りビョーンっと飛び出し、先頭にいた白髪のいかにも神様の装いの男に飛びついた。
「パパ!」
「パパ?」
車に残された理玖たち三人はクレタと父親の再会を最初は暖かく見守ったが、抱擁があまりに長くてイラっとした。
「クレタ!おい!いいかげんにしろ!いつまでやっているんだ!」
太はクレタを怒鳴りつけた。
「仕方ないだろ。一週間も離れていたんだ!」
「たった一週間だろ・・・それより俺達をもてなせよ。俺達が客だろ。」
「ああ・・・悪かったね。君たち。」
「あんたがここの神様か。」
「なんでわかった?」
これでわからない奴がいたら教えてほしいというほどド定番なその人は不思議そうな顔で太と理玖を見た。
「さすがじゃな、理玖君は賢い。」
「いえ、見たマンマですから。」
クレタの父親のローブを着て白髪のロン毛の人は、自分の姿をまじまじと見た後、
「スーツのほうがよかったかな?」
と聞いた。
「着る物なんてなんでもいいです。早く僕達を戻してください。」
「ああ、そうじゃったな。それでは、戻れるようにしよう。
おっと、その前に、クレタをここまで送ってくれて本当にありがとう。
今までご苦労だったね。今、お茶でも用意するよ。」
「いえ、何もいらないです。一刻も早く僕達を元居た場所に帰してください。」
「そうかい、わかった。今用意するから、少しだけ待ちなさい。
おっと、その前に、私の名前を言わないと。私はここの門の神、パビレックだ。よく名前を憶えておきなさい。そしてまた今回のようなことが起きたら、私の名前を思い出しなさい。」
「そしたらどうなる?」
「ちょっとは気持ちが救われる。」
「え?それだけ。」
「え?十分でしょ。」
理玖たち三人は顔を見合わせ、そして深く頷いた。その時思っていたことは
(やっぱ、クレタの父親に間違いない。この親にしてこの子アリだ。)
と思っていた。
「もういいよ。早く帰りたい。これからどうするんだ、あんたでいいのか、それとも、もっと偉い神様に会うのか、どうなんだよ。」
太はパビレックの言葉に少し苛ついた。偉い神様っぽい身なりはしているが、それよりも何よりも待たされることが大嫌いだった。
「わかった。わかった。それでは・・・」
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる