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今日配信ありません
#裏垢男子
#裏アカ男子
#関東
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初めてのライブ配信を行った翌朝、光希のSNSアカウントにフォロワーからDMが届いた。相手は「an」という名前だ。
届いたDMには一応全て目を通すが、返信したことはない。裏垢なので当然かもしれないが、大体がセクハラ紛いの内容でスルーしているし、執拗に連投してくる相手はブロックしている。
anというフォロワーからの連絡は今回が初めてだったが、寝起きでまだぼんやりしたまま開いたDMの内容に、光希の眠気は全て吹き飛んでしまった。
『違ってたらすみません。光希?俺は杏吏って言います。高校の時同じ部活だったんだけど、覚えてますか?』
まさか、本当に出会えるとは。
『光希です。おひさし部りです』
誤字を直す余裕もないほど慌てて返したメッセージには、すぐに既読マークが付いた。送信内容を後から修正出来ないアプリの仕様を恨みつつ、その後何度かやり取りをして、その日の仕事後に会う約束を取り付けることができた。
互いの中間地点辺りで個室の店を予約したが、先輩と再会したいと想いながらも、再会した後のことを全く考えていなかった。
しかし、見つけてもらったからには想いを伝えたいと、諦めかけていた光希の気持ちは再燃していた。
気もそぞろに終業時間ぴったりで仕事を終えた光希は一度家に戻り、全身シャワーを浴び歯を磨いて、入念に身嗜みを整えた。
派手過ぎないか、気合が入りすぎて浮いてしまわないか、服装選びに随分と時間を食われた後、結局着慣れたパーカーを着て店に向かった。
予約より少し早く着いてしまったが、店の厚意で個室の中で待たせてもらえることになった。
早足で移動したせいで少し乱れた髪を店内のトイレで直して席に戻り、落ち着かない様子でスマートフォンを弄っていると、個室のドアをコンコンとノックする音が響いた。
「失礼いたします。こちらのお席へどうぞ」
「ごめん、遅くなった」
卒業以来会っていなかった先輩──杏吏はスーツを着て、表情も記憶よりずっと大人びていた。
待ち合わせ時刻より5分ほど遅れてやってきた相手は、店員に促されテーブルを挟んだ対面に座った。一瞬見惚れて反応が遅れた上、声が上擦る。
「あっ、いや、大丈夫です」
「とりあえず適当に頼むか」
杏吏は席に着いて鞄を置くなりメニューを開き、自身を席まで案内した店員に幾つか注文をした。
「あと、ビール1つと…光希は何飲む?」
「お、俺もビールで」
「じゃあビール2つで」
よろしくお願いします、と注文を締めると、壁に掛かっていたハンガーに背広を掛けて光希に向き直った。
久しぶり、元気してたか、と色々声を掛けられたが、光希には飲み物が届くまでの時間が永遠にも思えた。
#裏垢男子
#裏アカ男子
#関東
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初めてのライブ配信を行った翌朝、光希のSNSアカウントにフォロワーからDMが届いた。相手は「an」という名前だ。
届いたDMには一応全て目を通すが、返信したことはない。裏垢なので当然かもしれないが、大体がセクハラ紛いの内容でスルーしているし、執拗に連投してくる相手はブロックしている。
anというフォロワーからの連絡は今回が初めてだったが、寝起きでまだぼんやりしたまま開いたDMの内容に、光希の眠気は全て吹き飛んでしまった。
『違ってたらすみません。光希?俺は杏吏って言います。高校の時同じ部活だったんだけど、覚えてますか?』
まさか、本当に出会えるとは。
『光希です。おひさし部りです』
誤字を直す余裕もないほど慌てて返したメッセージには、すぐに既読マークが付いた。送信内容を後から修正出来ないアプリの仕様を恨みつつ、その後何度かやり取りをして、その日の仕事後に会う約束を取り付けることができた。
互いの中間地点辺りで個室の店を予約したが、先輩と再会したいと想いながらも、再会した後のことを全く考えていなかった。
しかし、見つけてもらったからには想いを伝えたいと、諦めかけていた光希の気持ちは再燃していた。
気もそぞろに終業時間ぴったりで仕事を終えた光希は一度家に戻り、全身シャワーを浴び歯を磨いて、入念に身嗜みを整えた。
派手過ぎないか、気合が入りすぎて浮いてしまわないか、服装選びに随分と時間を食われた後、結局着慣れたパーカーを着て店に向かった。
予約より少し早く着いてしまったが、店の厚意で個室の中で待たせてもらえることになった。
早足で移動したせいで少し乱れた髪を店内のトイレで直して席に戻り、落ち着かない様子でスマートフォンを弄っていると、個室のドアをコンコンとノックする音が響いた。
「失礼いたします。こちらのお席へどうぞ」
「ごめん、遅くなった」
卒業以来会っていなかった先輩──杏吏はスーツを着て、表情も記憶よりずっと大人びていた。
待ち合わせ時刻より5分ほど遅れてやってきた相手は、店員に促されテーブルを挟んだ対面に座った。一瞬見惚れて反応が遅れた上、声が上擦る。
「あっ、いや、大丈夫です」
「とりあえず適当に頼むか」
杏吏は席に着いて鞄を置くなりメニューを開き、自身を席まで案内した店員に幾つか注文をした。
「あと、ビール1つと…光希は何飲む?」
「お、俺もビールで」
「じゃあビール2つで」
よろしくお願いします、と注文を締めると、壁に掛かっていたハンガーに背広を掛けて光希に向き直った。
久しぶり、元気してたか、と色々声を掛けられたが、光希には飲み物が届くまでの時間が永遠にも思えた。
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