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みるくてぃー

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夢のはじまり

第26話 カフェを始めよう

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「カフェを始めようと思うの」
 寒い冬が過ぎ徐々に暖かくなってきた3月、私はねてより考えていたカフェスペースの開業を提案した。

 元々この店は、カフェの経営していたらしくスペース的にも調理場的にも別段問題がない。
 ケーキの販売もおかげさまで順調に進んでおり、貴族様からの予約注文も少しづつ入ってくるようになった。

 そして資金的にも余裕がでてきており、ついにカフェスペースの開業の目処めどが付いてきたのだ。

「カフェですか? ケーキをこの店で食べれるようにするって事ですか?」
 エレンが言う通りケーキがメインには変わりない、だけど今までお持ち帰りができなかった商品あるのだ。

「もちろんケーキがメインよ、だけど忘れていない? 新種のハーブティーを」
 そう、飲み物だ。

 屋敷にいる間、ケーキに合う紅茶やハーブティーを開発していたが、容器の問題で飲み物のお持ち帰りが出来なかったのだ。
 なら茶葉をそのまま売れるばいいじゃないと思われるかもしれないが、今の調理場では大量葉を乾燥や発酵させる程のスペースがない。
 うちの店で出せるぐらいの量なら問題ないが、茶葉をそのまま売るとなると十分な量が用意できないのが現状だ。

 それに試作品は完成しているが同じく容器の問題上、販売できなかった商品が他にもたくさんある、それが……。

「前に飲んだがあるハーブティーですか!?」
「やけに美容効果に反応するわね、まぁそれよ。あとこれを出そうと思っているの」
 そう言ってディオンとエリクが持ってきたのは。

「「なんですかこれ!」」
 見事にエリスとエレンがハモる、わかるよその気持ち! 女の子なら誰もが大好き。

「パフェよ」
 そうパフェだ! 見た目よし、味よし、カロリーよしと三拍子揃った最強のスイーツと言ってもいい商品。
 プラスチック容器や紙の容器がないこの世界ではお持ち帰りはできなかったが、店内での飲食ならウェルカムだ。おまけにコストが安い! 言い切った。

「まぁ食べてみて」

 もぐもぐ、もぐもぐ。ぽわぁ~。
 あ、気に入ってくれたみたい。

「みゃぁー」
 あら、シロもほしいの?

「エリク、悪いんだけどシロ用のお皿に余った材料でパフェを作ってもらっていいかしら」
 エリクにシロのパフェを頼んで作ってもらう。
 この子ホントに甘いものが好きよねぇ、今度肉球触らしてもらうからと目線でシロに合図し「いいぜ!」と言ってくれているような気がするのでグーサインを送っておいた。



「これ絶対売れます! むしろ私が食べたいです」
 シロにパフェを食べさせていたらようやく現実世界に戻ってきたエレンが突然叫んだ。後半心の声が漏れてるわよ。

「エレンも気に入ってくれたようで良かったわ」

「お嬢様、カフェを開業するのはいいのですがスタッフの手配をどうされますか?」
「募集をかけるしかないでしょうね、調理場は今のままで大丈夫だからホールに2名ってところかしら」
 グレイの問いかけに予め考えていた人数を答える、カフェに関してはそれほど調理場の負担はないのだ。

 エレンとグレイ、あと二人いればお持ち帰り用の販売に対応しつつ十分ホールは回るだろう。
 エリスは春から学園に通うことになっているから人数からはずしている。

 実際のところ紅茶やハーブティーはグレイやエレンの方が入れるのは上手いし、ケーキはすでに店頭に並んでいる。
 パフェに関しても事前に材料さえ用意しておけばホールスタッフでも作れるというわけ。意外とパフェって慣れれば誰でも簡単に作れるのよね。
 あとは簡単なパンケーキやハニートースト程度ならそれほど調理場の手間もかからない。

 更に最近発覚したのだけれどシロの特性に魔力強化の魔法があり、私やスイの氷の魔法を溶けにくくする効果があるのがわかった。おかげで本来一番の問題となるアイスの保存用の氷も無事解決したというわけ。
 ここはそっと何んてご都合主義なんだろうとは思わず、シロさまさまと言うことで目をつむってほしい。


「今後の予定だけれどカフェスペースの清掃と食器類の準備、パフェの作り方の練習に庭園の手入れってところかしら」
 カフェスペースの一番奥には手入れがされていないが、おしゃれなミニ庭園があるのでこれは是非活躍させたい。
 ここは既にリリーとエリスが最近手入れを始めてくれている。

「後はアルバイトの手配ね、グレイ明日にでも商業ギルドに募集のチラシを貼らしてもらうよう手配をお願いできるかしら」
 この世界で働き口を探す場合まず最初に各ギルドに行く、物を作る職人なら工業ギルドお店で働きたかったら商業ギルドと言うように。

 そして各ギルドには求人の募集を張り出しているコーナーがあり、気に入った仕事があれば受付で紹介状を書いてもらい、募集を出しているお店へと伺うと言う仕組みになっている。

 ただ、これはあくまで庶民間で成立している求人であり貴族間ではほとんど使われることはない。
 いくらギルドの紹介だとはいえ身元がしっかりしているわけでもなく未経験の者も当然多い。その為ある程度の学校を卒業し、更に誰か身分の確かな方の紹介状が無いと貴族の屋敷では雇ってもらえない。

 だけどこの紹介状、かなり信頼関係がないと書いてもらえない。自分が紹介した人物がもし紹介先で問題を起こしてしまった場合、紹介した人物への責任もでてくるのだ。
 そんなリスクを誰が好き好んでホイホイ望むと言うのか、紹介した先が自分より爵位が高かった場合、最悪お家取り潰しになってしまう可能性だってゼロではない。

 以前も話したことがあるかもしれないが当然そんな人脈を持った人材がゴロゴロいるわけはなく、どこの屋敷も優秀な人材は抱え込んでいるのが実情というわけ。

 それなのにあの叔父夫婦は優秀な人材を辞めさせ、使用人を賃金の安いアルバイトに変えたのだから全く何を考えているのやら。

 噂話はうちに出入りするセネジオや、時々お忍びで買いに来るルテアとルテアのお母さんから聞いてるが、評判はかなり悪いらしい。

 屋敷の使用人の入れ替わりが早かったり、パーティーの質が著しく悪かったりと貴族間の噂話が絶えないらしい。
 どこのご婦人も噂話が大好きだと知らないのだろうか?

 他にも叔父はお金の問題が少しづつ表面化してきているらしく、特産物のコーヒーや果物が当初の数倍値上がってきているらしい。
 夫人と娘のロベリアは相変わらず、あっちこっちのパーティーやお茶会の出席に忙しいと言うし、息子は(名前なんだっけ?)女癖がいろいろ問題になっているという。

 まぁ、自分たちがやらかしているのだからいずれ各々で責任を取ることになるだろうけど、私としてもう関わるつもりは全くない。


しかし再びあんな形で関わるとは、この時の私は考えてもいなかった。
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