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希望へのはじまり
第49話 お城のお茶会
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「アリスお姉さまお待ちしておりました」
「エリスちゃんもどうぞこちらへ」
お城に着くなり奥へ奥へと案内され、気づけば王族の方々が生活されているプライベートエリアまで通されてしまった。
まって、それはダメでしょ。いくらお父様が陛下の友人だからといっても、部外者が王女様の寝室まで入ったらいけないでしょうが!
どうやら私たちの招待状だけ公爵家の方々より早い時間を書かれていたらしく、メイドさんに案内された先で二人の王女様に捕まり……コホン、案内され、フィーナ第一王女の部屋の中まで連れて来られた。
ついでに言うとエリスは隣のレティシア第二王女の部屋に連れて行かれた。
「あのぉ、王女様。なぜ私はここにいるのでしょうか?」
「なぜってバスルームで湯浴みをする以外に何をするんでしょうか?」
いやいや、そんな事を聞いているのではなくて、なぜ湯浴みをしなければいけないのかと聞いているのだ。
そんな私はあれよあれよ言う間に、メイドたちによる手厚いお風呂事情ですっかり磨かれ、用意された目が痛くなるような豪華なドレスを見て、初めて自分たちが騙されていた事に気がついた。
まさかあの招待時にこんな罠が隠されていようとは誰が気づく!
たしかにあの招待状には『楽な格好でお越しください』と書いていたが、あれはてっきり私たちの事情を知って気遣ってくださったのかと思っていたのだ。
だったら初めから『ドレスを用意しておくから気楽に来てね』と書いとけや! と声を大にして言いたい。めっちゃ言いたい。
「やはりアリスお姉さまはドレス姿が一番お似合いです」
うっとりとした表情で私にくっ付いてくるフィーナ様。
ルテアならどさくさに紛れて私の胸も揉むところではあるが、ただくっ付いてくるだけなら可愛いものだ。
あれ? 私いつの間にこんな免疫強くなったんだっけ?
メイドさん達にドレスを着せてもらい出来上がりを確かめる。
ん~、フィーナ様に言われたからではないが、確かに自分で言うのも痴が中々似合っているのではないだろうか。
それにしてもこのドレス、豪華すぎて動きにくいが妙に着心地がいい。まるで私の為に作られたような……。
「あの、妙に私の体にピッタリサイズなんですが……」
「あぁ、それはアリス様のお付きの方から事前に伺っておりましたので」
恐る恐る尋ねてみればメイドの一人が教えてくれる。って、エレンもグルかい!
あやつめ初から知っていたならなぜ私に報告しないのだ、帰ったらお仕置きじゃ!
私が密かにエレンへのお仕置きスペシャルを思案していたら、隣の部屋で準備をしていたエリスとレティシア様がやって来られた。
予想通りエリスとついでにシロも綺麗に着飾ってもらっている。
うん、可愛いエリスの姿を見れただけでも良しとしよう。
「それにしてもアリスお姉さまもエリスちゃんも綺麗な髪ですよね」
「そうでございましょう、私たちもお支度をさせて頂く甲斐があるというものです」
フィーナ様とメイドたちが楽しそうに私の髪で遊んでいる。まぁ、いいんだけどね。
この髪はお母様から受け継いだ自慢の髪だから、褒められると悪い気がしない。
私の支度と、なぜか精霊達まで用意されていた服に着替え終わり、ようやくお茶会の会場まで案内された。
今日は生憎寒空の為か、室内に設けられた場所でお茶会をやるようだ。
パフェにはアイスが入っているからね、寒い外では体を冷やしてしまうからメイドさん達が気遣ってくれたのだろう。
会場にはすでにカテリーナ王妃以下ティアナ様やフローラ様、ルテアに妹のチェリーティア様、それとユミナ様が着席されている。
ただ一人だけ場違いの方が……なぜそこに座っておられるのですか、国王陛下……。
このメンバーを見ただけですでに帰りたい気分が満載なのは仕方があるまい。
まぁ、今更足掻いても無駄なので、素直に挨拶をしてから私もテーブルに着いた。
「ほぉ、今日のドレスも中々似合っておるではないか」
「そうでしょ? 今日の為に私たちが話し合って作らさせたのですから」
…………はいぃ? カテリーナ様今なんて言いました? 作らさせたって、もしかしてこれフルオーダードレスですか!?
「あ、あの。このドレスってもしかして……」
「気にしなくていいわよ。そのドレスは私たちからアリスとエリスへのプレゼントだから」
って全員グルかい!
フルオーダードレスは結構いいお値段がするのだ。ルテアのパーティーの時に一着つくったが、このドレスがあのドレスの値段とは比べものになるまい。
だってドレスのあちこちに宝石が散りばめられているんだもの。
「ですが、このドレス結構なお値段が……」
「ほぅ、そうなのか? まぁ気にせず受け取っておけば良い」
陛下、何気楽に言ってるんですか……。もうこの人たちには私の常識が通用しなよ。
私たち用に作られてしまったドレスを今更お返しするわけにも行かず、何度もお礼を言って受け取ることにした。
(お値段を聞くのは失礼だからと自分に言い聞かせたのは、決して怖くて聞けなかった訳じゃないんだからね!)聞いたら確実に倒れる。
「それでは皆様のパフェをご用意させて頂きますので、こちらのメニューからお好きな物をお選びください」
気を取り直して、当初の目的であったパフェ作りの実演を行う。
持ち込んだ材料はすでにメイドさん達の手によってセッテングしてもらっている。
エリスの足元でじゃれついているシロが私に何かを訴えているが、『ちゃんとシロの分も用意するからね』とアイコンタクトで合図をしてあげると、満足したのかユミナ様の精霊であるソラと再び遊びはじまた。
そう言えば私、いつの間にシロの心が読めるようになったのかしら。
皆さんの注文をメイドさんの手を借りながら準備していく。
さすが王家に仕えるメイドさんだけあって、簡単な指示で要領よくパフェを仕上げてくれるから、私は完全に見ているだけだった。
だってご令嬢様にそんなことさせられないって、触らせてくれないんだもの。
「まぁまぁ、これは想像していたより美味しいわね。ティアナが一押しするだけの事はあるわ」
「ホント、ユミナがずっとパフェの話ばかりしていた意味が分かったわ」
カテリーナ様もフローラ様もご満足といった感じだ。
「さすがアリスお姉さまです。レティシアもそう思わない?」
「すごく美味しいで。フィーナお姉さま、一口交換しませんか」
「それいいわね。チェリーティア、お姉ちゃんのと食べさせあいをしましょ」
「はい、ルテアお姉さま。あ~ん」
「ほぉ、たしかにアストリアがこっそり食べに行っている理由がわかるな」
「ユミナちゃん私たちも、はいあ~ん」
「もぐもぐ、エリスのも美味しいわね。じゃ私も、はいあ~ん」
こういうのも良いものね、エリスもユミナ様と楽しそうにしているし、王女様達も美味しそうに食べてくれている。
ちょっとだけエリスの『はいあ~ん』でユミナ様に殺意を覚えたけれど、それはごく普通の反応だろう。うん、私は至って正常だ。
ただ、一人だけ気になる単語が出てきたが、ここはあえて聞かなかった事にする。今日もシロの肉球が気持ちいいや。
この後は優秀なメイドさんたちがパフェ作りを頑張ってくれて、私ゆっくりとお茶を楽しく事が出来た。
「このパフェはアリスのお店に行かないと食べれないのよね」
カテリーナ様はよほど気に入ってくださったのか、『残念ねぇ』と頬に手を当てながら呟かれている。
「もしレシピを内密にしていただけるのなら、お教えさせて頂きますが」
王妃様にここまで気に入ってもらえたのであれば教えないわけにもいくまい、王家に仕えている料理人なら信頼できる人物だろうし。
それにお忍びでお店に来られたりなんかしたら、お付きの人達の苦労が増えてしまうだろう。流石にパフェのせいでアタフタさせるのは気が引けると言うものだ。
「あら、いいの?」
「はい、カテリーナ様に気に入って頂けたのであれば光栄でございます」
「じゃお願いしていいかしら?」
「では、後日料理人の一人をお店の方へ寄越して頂いてよろしでしょうか? 責任を持ってレクチャーさせて頂きますので」
「私はアリスのお店に行って頂くわ、あそこのお店は季節限定メニューがあるのよ。行くたびに新しい商品も増えているしね」
カテリーナ様だけにレシピを提供するわけにもいかないので、公爵家の皆さんはどうでしょうかと進めたら、ティアナ様から出た答えがこれだ。
「なにそれ? 季節限定メニューって」
「その季節に合った果実や素材を使ったメニューよ。私はクランベリーやキゥーイを使ったパフェが好きね。あと季節のクレープなんかもオススメよ」
興味深々のカテリーナ様にティアナ様がお店のメニューを上げていく。
まって、確かに今日は数種類のパフェしか用意していないけど、そんないろんなメニューを言っちゃったら、お店に行きたいとか言い出されるじゃないですか。
「なになに、他にもメニューがあるの?」
「そうよ、ここに載ってるメニューなんてほんの一部よ。他にもプリンやティラミスなんて物もあるのよ」
「そうなの! これは一度お店に行かなければいけないわね」
って、やっぱりそうなるよね。
後ろの方でメイドさんたちが頭を悩まされているよ。言っておくけど私が煽った訳じゃないからね。
「フローラはどう? アリスにレシピを教えてもらう?」
「そうね、私も遠慮しておくわ。お店にいく方が楽しそうだし、いずれは私の娘になるんだもの。その時まで楽しみにしておくわ」
ブフッ。
カテリーナ様の問いに答えたフローラ様、今サラッと何て言いましたか?
「それもそうね、ところで二人はどこまで進んでいるかしら?」
「それ私も聞きたいです。お兄様とはどこまで進んでいるんですか? もうキスとかしちゃいました?」
ブハッ。
まってユミナ様、なに嬉しそうにキスとか聞いてくるんですか! それにカテリーナ様も公認って事は、王家も私とジーク様が付き合っている事になっているんですか!?
「えー、アリスお姉さまジーク様とお付き合いされているんですか!」
フィーナ様が驚きながら私に寄り添って来る。この子ボディタッチが多いのよね。
「えっと、まだお友達……かな?」
「あら、あの子ったらまだ告白もしていないの? ホントダメな子ね。この際二人を一晩閉じ込めて、既成事実でも作ってしまおうかしら」
こらこら、ご自分の息子さんに何させようとしてるんですか、しかも可愛らしく言っても私が目の前にいるんですから!
「どうかしらアリス、今度公爵家に泊まりに来ない? ちゃんと気を利かせて二人っきりにさせてあげるから」
「えー、ユミナちゃん家でお泊まり会するならお城にも泊まってくださいよ。私もエリスちゃんみたいにアリスお姉さまと一緒のベットで寝たいです」
「だめよフィーナ、アリスちゃんは私も大切なおもちゃ……コホン、友達なんだから私が先に一緒に寝るわ」
「ルテアお姉さまずるいです。お姉さまにはチェリーティアがいるじゃないですか」
「私もアリスお姉ちゃんと一緒に寝たいです。ルテアお姉ちゃんは寝相が……いえ、何でもないです」
「じゃ私達は三人で寝ない? どうレティシア様」
「ユミナちゃんとエリスちゃんとなら一緒に寝たいかな」
「ねぇ、シロも一緒でいい?」
あ、あれ? 私とジーク様の話から、なぜかお泊まり会の話へと進んでいた。
陛下は傍で『ほう、面白そうだな。』とか言いながら暖かな目で見守っている。いや、そうじゃなくて止めろよ!
このままじゃ近々、王家&公爵家によるお泊り会が開催されるのではないだろうか。
「うん、今日もお茶が美味しいなぁ。」
私は一人遠くのお空に呟くのであった。
「エリスちゃんもどうぞこちらへ」
お城に着くなり奥へ奥へと案内され、気づけば王族の方々が生活されているプライベートエリアまで通されてしまった。
まって、それはダメでしょ。いくらお父様が陛下の友人だからといっても、部外者が王女様の寝室まで入ったらいけないでしょうが!
どうやら私たちの招待状だけ公爵家の方々より早い時間を書かれていたらしく、メイドさんに案内された先で二人の王女様に捕まり……コホン、案内され、フィーナ第一王女の部屋の中まで連れて来られた。
ついでに言うとエリスは隣のレティシア第二王女の部屋に連れて行かれた。
「あのぉ、王女様。なぜ私はここにいるのでしょうか?」
「なぜってバスルームで湯浴みをする以外に何をするんでしょうか?」
いやいや、そんな事を聞いているのではなくて、なぜ湯浴みをしなければいけないのかと聞いているのだ。
そんな私はあれよあれよ言う間に、メイドたちによる手厚いお風呂事情ですっかり磨かれ、用意された目が痛くなるような豪華なドレスを見て、初めて自分たちが騙されていた事に気がついた。
まさかあの招待時にこんな罠が隠されていようとは誰が気づく!
たしかにあの招待状には『楽な格好でお越しください』と書いていたが、あれはてっきり私たちの事情を知って気遣ってくださったのかと思っていたのだ。
だったら初めから『ドレスを用意しておくから気楽に来てね』と書いとけや! と声を大にして言いたい。めっちゃ言いたい。
「やはりアリスお姉さまはドレス姿が一番お似合いです」
うっとりとした表情で私にくっ付いてくるフィーナ様。
ルテアならどさくさに紛れて私の胸も揉むところではあるが、ただくっ付いてくるだけなら可愛いものだ。
あれ? 私いつの間にこんな免疫強くなったんだっけ?
メイドさん達にドレスを着せてもらい出来上がりを確かめる。
ん~、フィーナ様に言われたからではないが、確かに自分で言うのも痴が中々似合っているのではないだろうか。
それにしてもこのドレス、豪華すぎて動きにくいが妙に着心地がいい。まるで私の為に作られたような……。
「あの、妙に私の体にピッタリサイズなんですが……」
「あぁ、それはアリス様のお付きの方から事前に伺っておりましたので」
恐る恐る尋ねてみればメイドの一人が教えてくれる。って、エレンもグルかい!
あやつめ初から知っていたならなぜ私に報告しないのだ、帰ったらお仕置きじゃ!
私が密かにエレンへのお仕置きスペシャルを思案していたら、隣の部屋で準備をしていたエリスとレティシア様がやって来られた。
予想通りエリスとついでにシロも綺麗に着飾ってもらっている。
うん、可愛いエリスの姿を見れただけでも良しとしよう。
「それにしてもアリスお姉さまもエリスちゃんも綺麗な髪ですよね」
「そうでございましょう、私たちもお支度をさせて頂く甲斐があるというものです」
フィーナ様とメイドたちが楽しそうに私の髪で遊んでいる。まぁ、いいんだけどね。
この髪はお母様から受け継いだ自慢の髪だから、褒められると悪い気がしない。
私の支度と、なぜか精霊達まで用意されていた服に着替え終わり、ようやくお茶会の会場まで案内された。
今日は生憎寒空の為か、室内に設けられた場所でお茶会をやるようだ。
パフェにはアイスが入っているからね、寒い外では体を冷やしてしまうからメイドさん達が気遣ってくれたのだろう。
会場にはすでにカテリーナ王妃以下ティアナ様やフローラ様、ルテアに妹のチェリーティア様、それとユミナ様が着席されている。
ただ一人だけ場違いの方が……なぜそこに座っておられるのですか、国王陛下……。
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まぁ、今更足掻いても無駄なので、素直に挨拶をしてから私もテーブルに着いた。
「ほぉ、今日のドレスも中々似合っておるではないか」
「そうでしょ? 今日の為に私たちが話し合って作らさせたのですから」
…………はいぃ? カテリーナ様今なんて言いました? 作らさせたって、もしかしてこれフルオーダードレスですか!?
「あ、あの。このドレスってもしかして……」
「気にしなくていいわよ。そのドレスは私たちからアリスとエリスへのプレゼントだから」
って全員グルかい!
フルオーダードレスは結構いいお値段がするのだ。ルテアのパーティーの時に一着つくったが、このドレスがあのドレスの値段とは比べものになるまい。
だってドレスのあちこちに宝石が散りばめられているんだもの。
「ですが、このドレス結構なお値段が……」
「ほぅ、そうなのか? まぁ気にせず受け取っておけば良い」
陛下、何気楽に言ってるんですか……。もうこの人たちには私の常識が通用しなよ。
私たち用に作られてしまったドレスを今更お返しするわけにも行かず、何度もお礼を言って受け取ることにした。
(お値段を聞くのは失礼だからと自分に言い聞かせたのは、決して怖くて聞けなかった訳じゃないんだからね!)聞いたら確実に倒れる。
「それでは皆様のパフェをご用意させて頂きますので、こちらのメニューからお好きな物をお選びください」
気を取り直して、当初の目的であったパフェ作りの実演を行う。
持ち込んだ材料はすでにメイドさん達の手によってセッテングしてもらっている。
エリスの足元でじゃれついているシロが私に何かを訴えているが、『ちゃんとシロの分も用意するからね』とアイコンタクトで合図をしてあげると、満足したのかユミナ様の精霊であるソラと再び遊びはじまた。
そう言えば私、いつの間にシロの心が読めるようになったのかしら。
皆さんの注文をメイドさんの手を借りながら準備していく。
さすが王家に仕えるメイドさんだけあって、簡単な指示で要領よくパフェを仕上げてくれるから、私は完全に見ているだけだった。
だってご令嬢様にそんなことさせられないって、触らせてくれないんだもの。
「まぁまぁ、これは想像していたより美味しいわね。ティアナが一押しするだけの事はあるわ」
「ホント、ユミナがずっとパフェの話ばかりしていた意味が分かったわ」
カテリーナ様もフローラ様もご満足といった感じだ。
「さすがアリスお姉さまです。レティシアもそう思わない?」
「すごく美味しいで。フィーナお姉さま、一口交換しませんか」
「それいいわね。チェリーティア、お姉ちゃんのと食べさせあいをしましょ」
「はい、ルテアお姉さま。あ~ん」
「ほぉ、たしかにアストリアがこっそり食べに行っている理由がわかるな」
「ユミナちゃん私たちも、はいあ~ん」
「もぐもぐ、エリスのも美味しいわね。じゃ私も、はいあ~ん」
こういうのも良いものね、エリスもユミナ様と楽しそうにしているし、王女様達も美味しそうに食べてくれている。
ちょっとだけエリスの『はいあ~ん』でユミナ様に殺意を覚えたけれど、それはごく普通の反応だろう。うん、私は至って正常だ。
ただ、一人だけ気になる単語が出てきたが、ここはあえて聞かなかった事にする。今日もシロの肉球が気持ちいいや。
この後は優秀なメイドさんたちがパフェ作りを頑張ってくれて、私ゆっくりとお茶を楽しく事が出来た。
「このパフェはアリスのお店に行かないと食べれないのよね」
カテリーナ様はよほど気に入ってくださったのか、『残念ねぇ』と頬に手を当てながら呟かれている。
「もしレシピを内密にしていただけるのなら、お教えさせて頂きますが」
王妃様にここまで気に入ってもらえたのであれば教えないわけにもいくまい、王家に仕えている料理人なら信頼できる人物だろうし。
それにお忍びでお店に来られたりなんかしたら、お付きの人達の苦労が増えてしまうだろう。流石にパフェのせいでアタフタさせるのは気が引けると言うものだ。
「あら、いいの?」
「はい、カテリーナ様に気に入って頂けたのであれば光栄でございます」
「じゃお願いしていいかしら?」
「では、後日料理人の一人をお店の方へ寄越して頂いてよろしでしょうか? 責任を持ってレクチャーさせて頂きますので」
「私はアリスのお店に行って頂くわ、あそこのお店は季節限定メニューがあるのよ。行くたびに新しい商品も増えているしね」
カテリーナ様だけにレシピを提供するわけにもいかないので、公爵家の皆さんはどうでしょうかと進めたら、ティアナ様から出た答えがこれだ。
「なにそれ? 季節限定メニューって」
「その季節に合った果実や素材を使ったメニューよ。私はクランベリーやキゥーイを使ったパフェが好きね。あと季節のクレープなんかもオススメよ」
興味深々のカテリーナ様にティアナ様がお店のメニューを上げていく。
まって、確かに今日は数種類のパフェしか用意していないけど、そんないろんなメニューを言っちゃったら、お店に行きたいとか言い出されるじゃないですか。
「なになに、他にもメニューがあるの?」
「そうよ、ここに載ってるメニューなんてほんの一部よ。他にもプリンやティラミスなんて物もあるのよ」
「そうなの! これは一度お店に行かなければいけないわね」
って、やっぱりそうなるよね。
後ろの方でメイドさんたちが頭を悩まされているよ。言っておくけど私が煽った訳じゃないからね。
「フローラはどう? アリスにレシピを教えてもらう?」
「そうね、私も遠慮しておくわ。お店にいく方が楽しそうだし、いずれは私の娘になるんだもの。その時まで楽しみにしておくわ」
ブフッ。
カテリーナ様の問いに答えたフローラ様、今サラッと何て言いましたか?
「それもそうね、ところで二人はどこまで進んでいるかしら?」
「それ私も聞きたいです。お兄様とはどこまで進んでいるんですか? もうキスとかしちゃいました?」
ブハッ。
まってユミナ様、なに嬉しそうにキスとか聞いてくるんですか! それにカテリーナ様も公認って事は、王家も私とジーク様が付き合っている事になっているんですか!?
「えー、アリスお姉さまジーク様とお付き合いされているんですか!」
フィーナ様が驚きながら私に寄り添って来る。この子ボディタッチが多いのよね。
「えっと、まだお友達……かな?」
「あら、あの子ったらまだ告白もしていないの? ホントダメな子ね。この際二人を一晩閉じ込めて、既成事実でも作ってしまおうかしら」
こらこら、ご自分の息子さんに何させようとしてるんですか、しかも可愛らしく言っても私が目の前にいるんですから!
「どうかしらアリス、今度公爵家に泊まりに来ない? ちゃんと気を利かせて二人っきりにさせてあげるから」
「えー、ユミナちゃん家でお泊まり会するならお城にも泊まってくださいよ。私もエリスちゃんみたいにアリスお姉さまと一緒のベットで寝たいです」
「だめよフィーナ、アリスちゃんは私も大切なおもちゃ……コホン、友達なんだから私が先に一緒に寝るわ」
「ルテアお姉さまずるいです。お姉さまにはチェリーティアがいるじゃないですか」
「私もアリスお姉ちゃんと一緒に寝たいです。ルテアお姉ちゃんは寝相が……いえ、何でもないです」
「じゃ私達は三人で寝ない? どうレティシア様」
「ユミナちゃんとエリスちゃんとなら一緒に寝たいかな」
「ねぇ、シロも一緒でいい?」
あ、あれ? 私とジーク様の話から、なぜかお泊まり会の話へと進んでいた。
陛下は傍で『ほう、面白そうだな。』とか言いながら暖かな目で見守っている。いや、そうじゃなくて止めろよ!
このままじゃ近々、王家&公爵家によるお泊り会が開催されるのではないだろうか。
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私は一人遠くのお空に呟くのであった。
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