116 / 119
終 章 ヴィクトリア編
第117話 囚われのアリス
しおりを挟む
「……」
暗闇の中、先行するアストリアの合図で移動する。
今私たちがいるのはドゥーベ王国王都、ドゥーベ城。アルティオから事前に教えて貰った隠し通路から潜入し、城の内部までやってきた。
ここまでの潜入は思いの外に順調。途中警邏する兵を見かけたりもしたが、今の所は発見されずにいる。
「おい、アリスが囚われている部屋って言うのはこの先か?」
隣に追いついた私に、アストリアが小声て尋ねてくる。
「えぇ、アルティオがくれた地図によると、この先に地下へと続く階段があるそうよ」
アリスが捉えられているであろうその場所は、城の地下にある貴族専用の牢獄。
言葉に中に貴族とあるように、多少他の牢獄と比べれば環境はいいそうだが、地上からの光は一切入らず、簡素なベットと簡単な敷居で区切られたトイレが据え置かれただけの小さな部屋。普通のご令嬢ならば3日も経たないうちに根を上げてしまうほどの環境らしい。
今はアルティオが進言してくれたお陰で、孤独さと空腹さだけは回避できているという。
「……ここね」
地下への階段を降り、先行するアストリアが手信号で見張りの兵がいることを教えてくる。指で示す内容からその数2名。
その合図とともに私の隣からジークと、先行しているアストリアが物陰から同時に飛び出し、一声も出させないまま制圧する。
「よし、このまま一気にいくぞ」
ここから先に身を潜められる場所は見当たらない。これほど見通しのよい通路にわざわざ兵を隠しているとも考えられないが、できるだけ足音を殺しながら奥へ奥へと進んで行く。すると……
「んっ……あぁぁ」
「「「!」」」
突然耳に入る弱々しいアリスの声。三人同時に顔を合わせたかと思うと、全員が我先にと走り出す。
バンッ!
先ほどまでの隠密行動は一体どこへいったのかと問いたくなるが、ジークが真っ先に駆けつけ、アリスがいるであろう光が漏れる一枚の扉を力いっぱい蹴り開く。
「えっ、誰!? ジーク様ぁ!? きゃ!」
私が部屋へと入ると真っ先に飛び込んできたのはロベリアの驚く声と、目の前で佇む三人の女性。一人は言わずとしれたロベリア、そしてもう一人は何処となくセリカさんを思い出させる雰囲気の年配の女性。恐らくこの女性がこの国の王妃なのだろうが、それを理解する前にジークが一人飛び出し、ロベリアとその年配の女性を力任せに弾き飛ばす。
「アリス!」
えっ?
ジークにしては無抵抗の女性に手を挙げるなど考えられないが、次の瞬間彼のの腕の中で苦しむアリスの姿が目に入り、全身から一気に血の気が引いていく。
「しっかりしろアリス!」
「……ぁ……っ」
なにこれ……。弱々しく声を上げるアリスを目にし、敵の真っ只中だというにに頭が呆然とし、考えることを拒否してしまう。
これが、こんなのが現実なわけがない。風邪をひいた時でも、嫌いなピーマンを無理やり食べさせた時でも、こんな苦しそうに歪む顔を見せたことがないアリスが、いま目の前で首元を押さえながらもがき苦しんでいる。
「こんな、こんなことって……」
「しっかりしろミリィ! アリスならまだ無事だ」
はっ!
耳元でアストリアに怒鳴られ、一気に意識を取り戻す。
そうだ、私がこんなところで現実を拒否していたら助けられるもの助けられなくなる。パッと見た目は外傷らしい傷は見当たらない。すると薬物か何かの関係か? もし毒物ならアーリアルの力を使えば私の癒しの奇跡で応急処置は出来るし、ここを抜け出すことができれば聖女候補生のルテアだっている。
問題は今この場をどうやって切り抜けるか。
「イタタタ、って、なんでジーク様がここにおられるんですか!?」
必死にアリスの様子を確認するジークに、痛めた肩を押さえロベリアが立ち上りながら尋ねてくる。
「ロベリア、アリスに何をしたの!」
ご丁寧に二人の再会を待つつもりもないので、腰からアーリアルを抜きながらロベリアとジークの間に割り込んでいく。
とりあえず今はジークにアリスを任せておくしかないだろう。本当はすぐに駆け寄り、私自身の手で容態を確かめたいところではあるが、アリスが何をされたかがわからない状況では、先にロベリアを問い詰める方が優先だ。
今この場でロベリアと王妃がいるということは、たった今アリスは何らかの薬かを施されたばかりなのだろう。そうでなければ真夜中に近いこの時間に、王族である二人がこのような場にいるとは考えられない。
「ちょっ、なんで貴女までここにいるのよ! っていうか、それ聖剣!!」
ようやく私たちの存在に気づいたのか、ロベリアが驚くように後ずさる。
ロベリアにしてみればアーリアルをその目で見ているし、その威力の凄さも身を持って体験している。自身のホームだとしても、多少後ずさってしまうのは仕方がないことだろう。
「答えなさい! アリスに何をしたの!」
何も答えようとしないロベリアに対し、アーリアルを突きつけながら一歩、さらに一歩と詰め寄っていく。
「聖剣ということは貴女がロベリアが入っていた王女ね」
それまで沈黙を保っていた年配の女性が立ち上がりながら尋ねてくる。
「えぇそうよ。そういう貴女はドゥーベ国の王妃ね」
何処となくセリカさんに似ているという言葉を、心の中で付け加えながらアーリアルの剣先をロベリアから王妃の方へと移動させる。
「聖剣なんて眉唾ものだと思っていたけれど、確かにただの剣という分けでもなさそうね。でもいいのかしら? 私たちを殺したらその娘に何をしたのかは一生わからないわよ」
「ここで言葉の応酬をするつもりはないわ。アリスに何をしたの!」
このまま向こうのペースでやり取りしていたら、いつ異変を感じた兵たちがやってくるとも思えない。私はアーリアルに自身の力を乗せ、剣を光らせながら両手で構える。
「ちょっ、ちょっと待ちなさい! こんな狭い部屋であんな技を出したら貴女たちだってただじゃすまないわよ!」
「悪いわね。どんな技であろうとも私たちがダメージを受けることは絶対にないの。忘れたわけじゃないわよね。貴女の炎が私には全く通用しなかったことを」
今この場にいる三人はそれぞれアリスが作った武器を所有している。当然作った本人であるアリスに精霊が攻撃を仕掛けるとも考えられないので、ここで風やら炎やらを呼び出しても、私たちにはダメージは通らない。
今更ながらなんてチートな武器を作り出したんだと感心するが、今この場では心強い相棒といえよう。
「ふふふ、そんな脅しがこの私に通用するとでも思っているのかしら? まったくレガリアの小娘も底が知れているわね」
怯えるロベリアをよそに、冷静さを保ちながら王妃が優雅に答えてくる。
こんな危機的状況だというのに王妃の威厳さを保てているということは、アーリアルの威力を信じていないか、王妃という立場を理解しての強がりだろう。
だが、今の私たちには王妃と言葉の駆け引きをしている時間は一切ない。
「時間稼ぎに付き合うつもりはないの。脅しかどうかその身を持って味わうことね」
ここ一番、私が持つアーリアルが一段と眩い光が溢れ出す。
「そんな大技を出してみなさい。すぐに兵備兵が駆けつけるわよ!」
「言ったでしょ、時間稼ぎに付き合うつもりはないの!」
ここに来て、ようやく私が本気だと思ったのか王妃に若干の焦りが見え始める。
正直アーリアルの輝きはただのハッタリ。確かに精霊が多く集まってきているので、ここで何らかの力を発動させれば私が先に言ったような状況にはなるだろう。
だが残念なことにここは地下。光こそは地上へは届かないだろうが、私の攻撃で脆くなった天井が崩落してくる可能性は十分に考えられる。
そうなってしまえば、さすがの聖戦器でも防ぎきることは出来ないだろう。
「ちっ、オムツも取れていない小娘が、便利なおもちゃ一つで調子に乗りやがって。まぁいいわ、教えてあげる。その娘に掛けた術は黙声の言霊。掛けられた者は解術しない限り二度と声を出せなくなる」
「えっ、声?」
アリスが声を出せない? そういえば先ほどから一度もアリスの言葉を聞いていない。
恐る恐る剣を構えたままアリスの方へと視線を動かすと、そこには首もとを押さえながら苦しそうにもがく姿が……。
「自国の聖女に解術を頼もうとして無駄よ、この言霊はドゥーベ王国の聖女にしか伝わっていない秘術。もっとも、術を掛けたのが未熟なロベリアだから、妙な副作用が働いて苦しんでいるようだけど。でも自業自得よね、ここに聖剣があると言うことは、レガリアも初めから取引するつもりもなかったんでしょ」
この時セリカさんが亡くなった時の状況がかぶさり、私の中で何かがプツンと切れたとともに、沸き起こる怒りに応えるようアーリアル眩いばかりに輝き出す。
「ロベリアァーーーーー!!」
「ま、まって! 術は完全に終わってないわよ! だから完全には……って、ちょっとぉーーーー」
ドォーーーーーーーーーッ!!!!
その後、大きな爆発と共に天井が崩れる様子を見ながら私は意識を失った。
後から聞かされた話だが、ドゥーベ兵が瓦礫の撤去を急ぐ中、前線を突破したレガリア軍が一気に王都を制圧。
先の戦争で多くの兵が療養中のドゥーベ軍はろくな抵抗も出来ずに降伏したという。
瓦礫の下敷きとなった私たちは、レガリア軍と共に駆けつけたルテアとアルベルトによって救出されたが、ジークとアストリアのおかげで一命を取り留めることができた。
なんでも聖戦器の力を解放して、崩れてくる瓦礫を防いでくれたんだとか。
そこを駆けつけたルテアとアルベルトが聖戦器が共鳴する場所を探り当て、力を使って救出してくれたそうだ。
アストリア達も限界ギリギリだったそうだから、ルテア達があと一歩遅ければ危なかったと聞けば、自分が起こしてしまった行動を反省するしかないだろう。
そして……
暗闇の中、先行するアストリアの合図で移動する。
今私たちがいるのはドゥーベ王国王都、ドゥーベ城。アルティオから事前に教えて貰った隠し通路から潜入し、城の内部までやってきた。
ここまでの潜入は思いの外に順調。途中警邏する兵を見かけたりもしたが、今の所は発見されずにいる。
「おい、アリスが囚われている部屋って言うのはこの先か?」
隣に追いついた私に、アストリアが小声て尋ねてくる。
「えぇ、アルティオがくれた地図によると、この先に地下へと続く階段があるそうよ」
アリスが捉えられているであろうその場所は、城の地下にある貴族専用の牢獄。
言葉に中に貴族とあるように、多少他の牢獄と比べれば環境はいいそうだが、地上からの光は一切入らず、簡素なベットと簡単な敷居で区切られたトイレが据え置かれただけの小さな部屋。普通のご令嬢ならば3日も経たないうちに根を上げてしまうほどの環境らしい。
今はアルティオが進言してくれたお陰で、孤独さと空腹さだけは回避できているという。
「……ここね」
地下への階段を降り、先行するアストリアが手信号で見張りの兵がいることを教えてくる。指で示す内容からその数2名。
その合図とともに私の隣からジークと、先行しているアストリアが物陰から同時に飛び出し、一声も出させないまま制圧する。
「よし、このまま一気にいくぞ」
ここから先に身を潜められる場所は見当たらない。これほど見通しのよい通路にわざわざ兵を隠しているとも考えられないが、できるだけ足音を殺しながら奥へ奥へと進んで行く。すると……
「んっ……あぁぁ」
「「「!」」」
突然耳に入る弱々しいアリスの声。三人同時に顔を合わせたかと思うと、全員が我先にと走り出す。
バンッ!
先ほどまでの隠密行動は一体どこへいったのかと問いたくなるが、ジークが真っ先に駆けつけ、アリスがいるであろう光が漏れる一枚の扉を力いっぱい蹴り開く。
「えっ、誰!? ジーク様ぁ!? きゃ!」
私が部屋へと入ると真っ先に飛び込んできたのはロベリアの驚く声と、目の前で佇む三人の女性。一人は言わずとしれたロベリア、そしてもう一人は何処となくセリカさんを思い出させる雰囲気の年配の女性。恐らくこの女性がこの国の王妃なのだろうが、それを理解する前にジークが一人飛び出し、ロベリアとその年配の女性を力任せに弾き飛ばす。
「アリス!」
えっ?
ジークにしては無抵抗の女性に手を挙げるなど考えられないが、次の瞬間彼のの腕の中で苦しむアリスの姿が目に入り、全身から一気に血の気が引いていく。
「しっかりしろアリス!」
「……ぁ……っ」
なにこれ……。弱々しく声を上げるアリスを目にし、敵の真っ只中だというにに頭が呆然とし、考えることを拒否してしまう。
これが、こんなのが現実なわけがない。風邪をひいた時でも、嫌いなピーマンを無理やり食べさせた時でも、こんな苦しそうに歪む顔を見せたことがないアリスが、いま目の前で首元を押さえながらもがき苦しんでいる。
「こんな、こんなことって……」
「しっかりしろミリィ! アリスならまだ無事だ」
はっ!
耳元でアストリアに怒鳴られ、一気に意識を取り戻す。
そうだ、私がこんなところで現実を拒否していたら助けられるもの助けられなくなる。パッと見た目は外傷らしい傷は見当たらない。すると薬物か何かの関係か? もし毒物ならアーリアルの力を使えば私の癒しの奇跡で応急処置は出来るし、ここを抜け出すことができれば聖女候補生のルテアだっている。
問題は今この場をどうやって切り抜けるか。
「イタタタ、って、なんでジーク様がここにおられるんですか!?」
必死にアリスの様子を確認するジークに、痛めた肩を押さえロベリアが立ち上りながら尋ねてくる。
「ロベリア、アリスに何をしたの!」
ご丁寧に二人の再会を待つつもりもないので、腰からアーリアルを抜きながらロベリアとジークの間に割り込んでいく。
とりあえず今はジークにアリスを任せておくしかないだろう。本当はすぐに駆け寄り、私自身の手で容態を確かめたいところではあるが、アリスが何をされたかがわからない状況では、先にロベリアを問い詰める方が優先だ。
今この場でロベリアと王妃がいるということは、たった今アリスは何らかの薬かを施されたばかりなのだろう。そうでなければ真夜中に近いこの時間に、王族である二人がこのような場にいるとは考えられない。
「ちょっ、なんで貴女までここにいるのよ! っていうか、それ聖剣!!」
ようやく私たちの存在に気づいたのか、ロベリアが驚くように後ずさる。
ロベリアにしてみればアーリアルをその目で見ているし、その威力の凄さも身を持って体験している。自身のホームだとしても、多少後ずさってしまうのは仕方がないことだろう。
「答えなさい! アリスに何をしたの!」
何も答えようとしないロベリアに対し、アーリアルを突きつけながら一歩、さらに一歩と詰め寄っていく。
「聖剣ということは貴女がロベリアが入っていた王女ね」
それまで沈黙を保っていた年配の女性が立ち上がりながら尋ねてくる。
「えぇそうよ。そういう貴女はドゥーベ国の王妃ね」
何処となくセリカさんに似ているという言葉を、心の中で付け加えながらアーリアルの剣先をロベリアから王妃の方へと移動させる。
「聖剣なんて眉唾ものだと思っていたけれど、確かにただの剣という分けでもなさそうね。でもいいのかしら? 私たちを殺したらその娘に何をしたのかは一生わからないわよ」
「ここで言葉の応酬をするつもりはないわ。アリスに何をしたの!」
このまま向こうのペースでやり取りしていたら、いつ異変を感じた兵たちがやってくるとも思えない。私はアーリアルに自身の力を乗せ、剣を光らせながら両手で構える。
「ちょっ、ちょっと待ちなさい! こんな狭い部屋であんな技を出したら貴女たちだってただじゃすまないわよ!」
「悪いわね。どんな技であろうとも私たちがダメージを受けることは絶対にないの。忘れたわけじゃないわよね。貴女の炎が私には全く通用しなかったことを」
今この場にいる三人はそれぞれアリスが作った武器を所有している。当然作った本人であるアリスに精霊が攻撃を仕掛けるとも考えられないので、ここで風やら炎やらを呼び出しても、私たちにはダメージは通らない。
今更ながらなんてチートな武器を作り出したんだと感心するが、今この場では心強い相棒といえよう。
「ふふふ、そんな脅しがこの私に通用するとでも思っているのかしら? まったくレガリアの小娘も底が知れているわね」
怯えるロベリアをよそに、冷静さを保ちながら王妃が優雅に答えてくる。
こんな危機的状況だというのに王妃の威厳さを保てているということは、アーリアルの威力を信じていないか、王妃という立場を理解しての強がりだろう。
だが、今の私たちには王妃と言葉の駆け引きをしている時間は一切ない。
「時間稼ぎに付き合うつもりはないの。脅しかどうかその身を持って味わうことね」
ここ一番、私が持つアーリアルが一段と眩い光が溢れ出す。
「そんな大技を出してみなさい。すぐに兵備兵が駆けつけるわよ!」
「言ったでしょ、時間稼ぎに付き合うつもりはないの!」
ここに来て、ようやく私が本気だと思ったのか王妃に若干の焦りが見え始める。
正直アーリアルの輝きはただのハッタリ。確かに精霊が多く集まってきているので、ここで何らかの力を発動させれば私が先に言ったような状況にはなるだろう。
だが残念なことにここは地下。光こそは地上へは届かないだろうが、私の攻撃で脆くなった天井が崩落してくる可能性は十分に考えられる。
そうなってしまえば、さすがの聖戦器でも防ぎきることは出来ないだろう。
「ちっ、オムツも取れていない小娘が、便利なおもちゃ一つで調子に乗りやがって。まぁいいわ、教えてあげる。その娘に掛けた術は黙声の言霊。掛けられた者は解術しない限り二度と声を出せなくなる」
「えっ、声?」
アリスが声を出せない? そういえば先ほどから一度もアリスの言葉を聞いていない。
恐る恐る剣を構えたままアリスの方へと視線を動かすと、そこには首もとを押さえながら苦しそうにもがく姿が……。
「自国の聖女に解術を頼もうとして無駄よ、この言霊はドゥーベ王国の聖女にしか伝わっていない秘術。もっとも、術を掛けたのが未熟なロベリアだから、妙な副作用が働いて苦しんでいるようだけど。でも自業自得よね、ここに聖剣があると言うことは、レガリアも初めから取引するつもりもなかったんでしょ」
この時セリカさんが亡くなった時の状況がかぶさり、私の中で何かがプツンと切れたとともに、沸き起こる怒りに応えるようアーリアル眩いばかりに輝き出す。
「ロベリアァーーーーー!!」
「ま、まって! 術は完全に終わってないわよ! だから完全には……って、ちょっとぉーーーー」
ドォーーーーーーーーーッ!!!!
その後、大きな爆発と共に天井が崩れる様子を見ながら私は意識を失った。
後から聞かされた話だが、ドゥーベ兵が瓦礫の撤去を急ぐ中、前線を突破したレガリア軍が一気に王都を制圧。
先の戦争で多くの兵が療養中のドゥーベ軍はろくな抵抗も出来ずに降伏したという。
瓦礫の下敷きとなった私たちは、レガリア軍と共に駆けつけたルテアとアルベルトによって救出されたが、ジークとアストリアのおかげで一命を取り留めることができた。
なんでも聖戦器の力を解放して、崩れてくる瓦礫を防いでくれたんだとか。
そこを駆けつけたルテアとアルベルトが聖戦器が共鳴する場所を探り当て、力を使って救出してくれたそうだ。
アストリア達も限界ギリギリだったそうだから、ルテア達があと一歩遅ければ危なかったと聞けば、自分が起こしてしまった行動を反省するしかないだろう。
そして……
0
あなたにおすすめの小説
奥様は聖女♡
喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。
ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
【完結】婚約破棄され国外追放された姫は隣国で最強冒険者になる
まゆら
ファンタジー
完結しておりますが、時々閑話を更新しております!
続編も宜しくお願い致します!
聖女のアルバイトしながら花嫁修行しています!未来の夫は和菓子職人です!
婚約者である王太子から真実の愛で結ばれた女性がいるからと、いきなり婚約破棄されたミレディア。
王宮で毎日大変な王妃教育を受けている間に婚約者である王太子は魔法学園で出逢った伯爵令嬢マナが真実の愛のお相手だとか。
彼女と婚約する為に私に事実無根の罪を着せて婚約破棄し、ついでに目障りだから国外追放にすると言い渡してきた。
有り難うございます!
前からチャラチャラしていけすかない男だと思ってたからちょうど良かった!
お父様と神王から頼まれて仕方無く婚約者になっていたのに‥
ふざけてますか?
私と婚約破棄したら貴方は王太子じゃなくなりますけどね?
いいんですね?
勿論、ざまぁさせてもらいますから!
ご機嫌よう!
◇◇◇◇◇
転生もふもふのヒロインの両親の出逢いは実は‥
国外追放ざまぁから始まっていた!
アーライ神国の現アーライ神が神王になるきっかけを作ったのは‥
実は、女神ミレディアだったというお話です。
ミレディアが家出して冒険者となり、隣国ジュビアで転生者である和菓子職人デイブと出逢い、恋に落ち‥
結婚するまでの道程はどんな道程だったのか?
今語られるミレディアの可愛らしい?
侯爵令嬢時代は、女神ミレディアファン必読の価値有り?
◈◈この作品に出てくるラハルト王子は後のアーライ神になります!
追放された聖女は隣国で…にも登場しておりますのでそちらも合わせてどうぞ!
新しいミディの使い魔は白もふフェンリル様!
転生もふもふとようやくリンクしてきました!
番外編には、ミレディアのいとこであるミルティーヌがメインで登場。
家出してきたミルティーヌの真意は?
デイブとミレディアの新婚生活は?
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
【完結】平民聖女の愛と夢
ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる