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◆在るべきところへ◇10話◇彼の秘密 ①
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◆在るべきところへ◇10話◇彼の秘密 ①
「インティスという少年は、何者ですか」
フェレナードはずっと疑問だった。
粒子が細かく、歩くのも苦労するほどの砂の上をいとも簡単に走ったり跳んだりすることはもちろん、その跳躍力も軽く人間の背丈を超えるほどだし、背負う荷物も大人四人分くらいを平然と運ぶし、砂竜を二撃で追い返した時の腕力もすさまじかった。
外見だけで判断すれば、細身で誰もが子供と思うはずなのに。
レイはその誤魔化す余地のない端的な疑問に観念したのか、困ったように笑った。
「……ミゼリットの目につかないよう、アテネには……あの少女には、自分の力の制御方法を教えました。あの子は魔法を使うための精霊の力が強いので、コツを掴めば抑えることは簡単です」
なぜさらわれた子のことを、とフェレナードは思ったが、賢者の話は続いた。
「けれどインティスは、魔法に関する力が全くない代わりに、潜在的な力が強すぎるんです。それが身体能力の高い理由かな。本人は普通のことだと思っているようだけど」
「なるほど……」
確かに、彼自身からは精霊の気配は感じられなかった。
「潜在能力は自分で抑えることができません。だから魔法で隠し続けていました」
「ライネからは人間一人を隠すのは難しいと聞きましたが、貴方の仰ることが本当の理由ですね」
「ああ、彼女はインティスに気を遣って言い回しを変えたのでしょう。実際、隠しきれなかったのは事実です」
少しの沈黙の後、賢者は夜空を見上げて溜息をついた。
そして、ゆっくりとフェレナードの方へ向き直った。
「……ここからは長くなる。話しやすい言葉で話してもいいかな」
「は、はい」
賢者が口癖のような敬語をやめると、突然言葉に重みが増したような気がして、フェレナードはかしこまった。
「インティスという少年は、何者ですか」
フェレナードはずっと疑問だった。
粒子が細かく、歩くのも苦労するほどの砂の上をいとも簡単に走ったり跳んだりすることはもちろん、その跳躍力も軽く人間の背丈を超えるほどだし、背負う荷物も大人四人分くらいを平然と運ぶし、砂竜を二撃で追い返した時の腕力もすさまじかった。
外見だけで判断すれば、細身で誰もが子供と思うはずなのに。
レイはその誤魔化す余地のない端的な疑問に観念したのか、困ったように笑った。
「……ミゼリットの目につかないよう、アテネには……あの少女には、自分の力の制御方法を教えました。あの子は魔法を使うための精霊の力が強いので、コツを掴めば抑えることは簡単です」
なぜさらわれた子のことを、とフェレナードは思ったが、賢者の話は続いた。
「けれどインティスは、魔法に関する力が全くない代わりに、潜在的な力が強すぎるんです。それが身体能力の高い理由かな。本人は普通のことだと思っているようだけど」
「なるほど……」
確かに、彼自身からは精霊の気配は感じられなかった。
「潜在能力は自分で抑えることができません。だから魔法で隠し続けていました」
「ライネからは人間一人を隠すのは難しいと聞きましたが、貴方の仰ることが本当の理由ですね」
「ああ、彼女はインティスに気を遣って言い回しを変えたのでしょう。実際、隠しきれなかったのは事実です」
少しの沈黙の後、賢者は夜空を見上げて溜息をついた。
そして、ゆっくりとフェレナードの方へ向き直った。
「……ここからは長くなる。話しやすい言葉で話してもいいかな」
「は、はい」
賢者が口癖のような敬語をやめると、突然言葉に重みが増したような気がして、フェレナードはかしこまった。
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