魔王の番

にーにゃ

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魔王side

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~太陽が目を覚ます前の出来事~





「ふむ、」


クラルはベッドに眠っている黒髪の人族の様子を診て、頷いた。


「この子大丈夫う?」


「ええ、栄養失調ではありますが、それ程酷い外傷はありませんし栄養のあるものをゆっくりととっていただいたら次第に回復していくでしょう
目を覚ますまでは、私が栄養剤を朝と夜に入れさせていただきます」


「そっかあ
よかったあ」


アベンは安心したように、ほっと息を吐いた。


「では、栄養剤を作ってきますのでこれで失礼したします」


「ああ、頼んだ」


クラルは一礼をして出て行った。


「早く、目を覚まさないかなあ」


「まさか、お前の部屋に運ぶとはな」


「うん、一目見たときから気に入ってるんだあ
だから、この子、ちょうだい?」


アベンは若干狂気を宿した目で俺を見て言った。


「ふっ、そんな目で見るな
世話はきちんとしろ」


「!
うん、ありがとお」


アベンが嬉しそうに返事をした後、再び黒髪の人族を見た。

何がそんなに気に入ったのか俺にはさっぱりわからないが、多分この人族はアベンの番なのだろうと漠然と思った。

こいつがそれを自覚してるかわからないが


アベンと共に執務室に戻り、仕事をしていると


コンコン


「トリスでございます」


執事長のトリスが尋ねてきた。


「入れ」


「失礼いたします」


「どうした」


「はい、人族の神子が目を覚ましました」


「ああ、そういえばいたな」


「うん、すっかり忘れてたよお」


「それと、その、人族の神子が少々暴れておりまして、部屋の外には出られないようにしてあるのですが、」


トリスは言いづらそうにそう言った。


「ああ、わかった」


「暴れてるって、どんな神子なのお」


アベンは不思議そうに言った。


「はあー
お前も一度会ってみればわかる」


「あ、そっかー
こっちに連れてくる時に会ってるもんねえ
魔王様がそんな顔をするってどんな人族なのお」


俺が苦い顔をしていたのか、俺の顔を見てアベンが笑いながらついて来た。

神子がいる部屋に向かっていると、叫んでいるのかだんだん声が聞こえるようになってきた。







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