39 / 141
魔王side
しおりを挟むルリがいる寝室と別の部屋に、クラルとアベンを伴い移動した。
「それで」
俺はクラルに本当の診断結果を話すように促した。
「ルリ様の容態は相当酷いです
栄養失調はもちろん、喉の腫れ、目の失明、骨折、打撲等、外的な問題はいくつもあるのですが、中でも一番の問題は心の問題でしょう」
クラルは深刻そうな顔でそう言った。
「心か・・・」
突然聞こえた声や体に触れた時に体を強張らせていたのは、目が見えないからだと思っていたが、違うのか?
「それは、難しそうだねえ」
「はい、それと大変申し上げにくいのですが
まず、ルリ様の足は一度折らないと綺麗な位置に戻らないでしょう
他の箇所の骨折は大丈夫なのですが」
クラルは言いにくそうに答えた。
「・・・そうか」
「それって、結構ヤバいんじゃないのお?」
「はい、まだ折れて間もないと思いますが、骨が癒合し始めています
早い段階で行う方がいいでしょう」
「その時の痛みはどう緩和する」
「そうですね、多少の幻覚作用が伴いますが、その薬草ならば痛みが緩和できるでしょう
しかし、魔力の流れを見る際に少しルリ様の記憶が流れてきましたが、酷いものでした
もし幻覚作用でその時の事を思い出すと、こちらに帰ってこられない可能性がございます」
「それほどか」
あれ程の傷だ
大勢の者にヤられたのだろう
ましてや、まだ子どもだ
トラウマになっていてもおかしくはない
「はい
それに加え、どういうわけかルリ様の魔力は常に働き続けている状態になっています
恐らく、防衛本能かと思われますが、このままですと常に魔力は消耗し、魔力欠乏症になるかと」
「そうか」
確かに、ルリを抱いている際に微かな魔力の流れを常に感じていた
「なら、どうするのお?」
「そうですね、酷なことを申し上げますが、
骨を折る作業は一瞬なので、ルリ様にはその痛みに耐えていただくしかございません」
「・・・わかった
俺から伝えよう
魔力の件は俺の魔力を与えればいいだろう」
痛みか
あの時も相当な痛みだったはずだが、それ程反応を見せていなかった
もしかすると、ルリの魔力と何か関係があるかもしれない
「えっ、魔王様が!?」
「!?」
俺の言葉にアベンもクラルも驚きを隠せなかったのか、目を見開いて俺を見ていた。
「なんだ」
「ううん
なんでもないよお」
「承知しました」
俺もおかしなことを言っている自覚はある
自らの魔力を与えたことも、ましてや寝室に招いたことなど今までなかったことだ
だが、ルリに関してはそうしろと本能が訴えてくる
・・・あいつが俺の番なのか?
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる