魔王の番

にーにゃ

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なぜ?

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「はあ!?
え!?どういう事!?」


太陽がなぜ驚いたのかわからないが、椅子から立ち上がり身を乗り出しながら聞いてきた。


「どうもこうもそのままの意味だ」


何を驚いているんだ?


「嘘だろ」


太陽は信じられないとでも言いそうな顔でドカッと椅子に座りなおした。


「それはこっちのセリフだ」


俺とラスのどこをどう見てそう言ってんだ?


「えっ、何
瑠璃って鈍かったっけ?」


「は?
俺は鈍くねえ」


「いやいや、明らかに鈍いでしょ!」


「だから、どうなったらそうなるんだよ!」


しつこい太陽に若干キレかかっていると


「本当にわからないんだ」


俺の様子を見て、太陽は声のトーンを落とし静かにそう言った。


「ああ、わからねえな」


そんな太陽を睨んで、俺も自然と低くなる声でそう言い放った。


「ふーん
じゃあ、俺がなんで瑠璃と魔王が付き合ってるのかって聞いたか教えてやるよ」


「は?いらねえ」


そんな俺の言葉を無視し、太陽は独り言のように話しだした。


「まず最初に驚いたのが、魔王が瑠璃をこの部屋に連れて行ったこと!
他の部屋もあるのに、なんで魔王の部屋なの?って疑問に思ったね
それから、魔王の瑠璃に対する態度と俺らに対する態度のあからさまな違い
瑠璃にはこれでもかっていうくらい甘々だからな
もう少し俺らにも優しくしてほしいもんだぜ
何度背筋が凍る思いをしたか知らないだろ?
あと、お前がアベンを見てパニックになった時に、瑠璃は覚えているかどうかわからないけど、魔王にキスされただろ?どうでもいいやつにキスで過呼吸をどうにかしようとするやつはいねえよ
なあ瑠璃、いまだにこの部屋にいる理由は?」


途中、口を挟もうと思ったけど、黙って聞けと目で制された。

太陽の話を聞き、俺がこの部屋にいる理由を聞かれ困惑した。

それは太陽に言われる前に何度も考えたことだ
他の部屋に移る、それを言うだけなのに今日まで言う事が出来なかった
確かにラスは俺に優しいだけじゃなく、甘い気がする
だけどそれはただ単に利用する価値があるからかと思っていたけど、そうじゃなかった
いつまでたってもそういう素振りを見せたことも言ったこともねえ
ならなんで俺に優しくする?
太陽がいるからか?
だけど、自分の部屋に俺を置いておく必要もない
・・・もしかしたらと思った
もしラスが俺の事を好きだとしたら?
俺は?
確かにラスの側は安心する
ずっと側にいたい
だけど好きかどうか聞かれると、わからねえ

ズキズキと痛む胸を抑えた。

・・・胸がいたい


「なあ瑠璃、そう難しく考えんなよ」


そう言われて、いつの間にか俯いていた顔を上げて太陽を見た。
すぐ側まで来ていた太陽は、俺の頭をぐしゃぐしゃに撫でた後、俺の耳元で囁いた。




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