魔王の番

にーにゃ

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ラスに仕返し

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「それじゃあ、そろそろ部屋に戻るー?」


アベンの言葉に皆頷き、立ち上がった。
俺も椅子から立ち上がろうとしたが、足に力が入らなく崩れ落ちるようにして再び椅子に座った。


「ルリ?」


俺の側にいたラスは不思議そうに俺の名前を呼んだ。


「ラス、立てねえ」


まったく足に力がはいらねえ
無理しすぎたか?


「ふむ
掴まれ」


ラスはそれだけ言うと、俺を軽々と抱き上げた。


「うわっ」


突然の事だったのでラスにしがみつく形で服を握った。


「ルリ、手を俺の首に回せ
それだと落ちるぞ」


そう言われて、何も考えずにラスの言うとおりにラスの首に手を回した。


「ヒナちゃんもするー?」


「しない!」


そんなやり取りが近くから聞こえて振り向くと、アベンがニヤニヤとしながら手を広げて太陽に迫っていた。


「あいつらの事は放っておけ」


もの凄く近い距離からラスの声が聞こえて、振り向くと


「うっうわっ!?」


近い!!


あまりの近さに思わずのけぞった。


「うるさいぞ」


「あ、ごめん
じゃねえ、この抱き、いや、抱え方は、ちょっと!」


所謂、姫抱きじゃねえか!!


「では、どう抱えるのだ?」


「え!?
あ、・・・」


子供抱きは姫抱きより厳しいだろ?
肩に担いでもらう?いや、食べたもの全部吐き出しそう
俵抱きも同じか・・・
あ!おんぶ!
背中に担いでもらうのがいいなっ


「背中に担いでくれないか?」


すぐ近くにラスの顔があるから落ち着かなく恥ずかしさも相まって、視線をウロウロしながらそう言った。


「・・・
ダメだ」


「え!?」


ラスは優しいから俺の頼みを聞いてくれると思っていたが、予想外の反対に驚いて思わずラスの方を見た。


「こうして、ルリの顔を見れなくなるだろう?」


さらっと俺の唇にキスを落として歩き出した。


「なっ、な、な、な、何して!?」


俺の問いには答える気はないのか、少し微笑むだけで何も答えてくれなかった。


くそっ
余裕かよっ
見てろよ!
元の体に戻ったらぜってえ、やり返してやる!


今は何も出来ないから、せめてもの抵抗とラスの首筋に顔を押し付けて軽く歯を当てた。
ラスは俺が噛みつくとは思ってもみなかったのか、少し体を強張らせたけど、また何事もなかったかのように歩き出した。
ラスが今、どんな顔をしているか見たくて顔を上げると


「ルリ、部屋に戻ったら覚悟しておけ」


「っ!?」


ギラリと欲を耐えているかのような目で見られ、咄嗟に顔を背けた。


やべー
あの顔は、ヤバいだろ


徐々に顔に熱を持っていく事を自覚しながら、ラスの肩に頭を預けて大人しく運ばれた。




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